25 / 41
噛ませ犬
17
しおりを挟む
相馬のことだから拒否ってくると思ったけど、案外素直に今度は対面でやり直すことになった。けども、流石に硬いコンクリートの壁と立ちっぱなしは俺の体が死ぬ。あと、普通にこいつ一回がしつこすぎて体力が全て持ってかれた。
抱き抱えられたまま乳首を噛まれて嬲られて正直、死ぬほどよかった。
人が来そうになってようやく相馬は止まったが、多分誰もこなかったらずっとやってたかもしれない。それくらい相馬の底なしの体力には度肝抜かれたが、正直どこまで出来るから試したい気持ちもあった。怖いもの見たさではあるが。
不完全燃焼ではあるが出すもの出してスッキリ――するわけない。
もやもやむずむずとしたものを下半身に残したままの俺とは対照的に相馬は普段と変わらない。何事もなかったような顔をして着替えた相馬は「いつまで座ってんだよ」と階段の段差から動けなくなってた俺に声をかけてきた。
普段と代わりないその笑顔が憎たらしく見えるのは気のせいではないだろう。
「……足に力が入んない」
「なに、俺のせい?」
「お前の他に誰がいるんだよ」
「ふーん、そりゃ大変だな」
全然心が篭ってねえ。
ごめんくらい言え、とじとりと見上げれば、相馬は何を勘違いしたのかこちらに手を差し出してきた。
「なに」
「ほら、立てないんだろ? 部屋まで連れていってやるよ」
「…………」
そっち手コキした方の手じゃね?と思いながらも、せっかくなのでその好意に甘えてやることにした。
「変な歩き方」
「誰かさんのせいでな」
「俺のデカかったから?」
「自分で言うな」
「はは、否定はしねえのな」
何でお前いつも通りなんだよ。少しはもじもじしたり照れたり、いやせめてちょっとくらい申し訳なさそうな顔しろ。
ムカついた矢先、よろめいた体を相馬に支えられる。
「……どーも」
「キュンとすんなよ」
「してねえっての……っ、誰がお前みたいなアホ相馬に」
相馬は「だよな」と笑い、そのまま肩を抱かれるみたいにしてエレベーター乗り場まで引きずられる。
そして相馬に支えられたまま乗り込んだエレベーターの箱内。「何階?」と聞いてくる相馬の代わりに腕を伸ばしてボタンを押した。動き出す機内の中、静かに時間が流れていく。
非常階段同様電灯が切れかかったそこは薄暗く、視界全体がチカチカと明滅するのがやや鬱陶しい。
いい加減電灯交換しろよ、なんて思いながら天井を眺めていた時。
「木江って、なにも言わないんだな」
エレベーターの壁にもたれかかったまま相馬はこちらを見ていた。
「なにそれ、俺が無口ってこと?」
言ってる意味がわからず聞き返せば、相馬は「ちげーよ」と笑った。
「口止めとか、しなくていいわけ? そういうの」
こでそようやくその言葉、相馬の笑顔の意味を理解した
どうやら俺は、相馬に「愛斗に言ってもいいのか」と脅されているらしい。本当、アホなやつだと思う。こいつは。俺と何年一緒にいるんだよ。それとも、分かってて聞いてんのか。
「つか、する必要ねーじゃん」
愛斗にバレて困ることもないし、やましーこともない。というか、少なくとも愛斗は俺の性格のことを理解してる。つか、知ってる。分からせた。
それに、そもそもの話だ。口止めなんかして自分から弱味を見せるような真似もしたくない。
笑い返せば、相馬の顔から笑顔が抜け落ちた――ような気がした。
それも一瞬のこと。気を取り直した相馬は、「そ。ならいいわ」と俺から顔を逸らした。
相馬がどういうつもりで聞いてきたのかわからなかったが、俺の返答を聞いて諦めたのか、それとも呆れたのか。それ以上そのことについて触れてくることはなかった。
抱き抱えられたまま乳首を噛まれて嬲られて正直、死ぬほどよかった。
人が来そうになってようやく相馬は止まったが、多分誰もこなかったらずっとやってたかもしれない。それくらい相馬の底なしの体力には度肝抜かれたが、正直どこまで出来るから試したい気持ちもあった。怖いもの見たさではあるが。
不完全燃焼ではあるが出すもの出してスッキリ――するわけない。
もやもやむずむずとしたものを下半身に残したままの俺とは対照的に相馬は普段と変わらない。何事もなかったような顔をして着替えた相馬は「いつまで座ってんだよ」と階段の段差から動けなくなってた俺に声をかけてきた。
普段と代わりないその笑顔が憎たらしく見えるのは気のせいではないだろう。
「……足に力が入んない」
「なに、俺のせい?」
「お前の他に誰がいるんだよ」
「ふーん、そりゃ大変だな」
全然心が篭ってねえ。
ごめんくらい言え、とじとりと見上げれば、相馬は何を勘違いしたのかこちらに手を差し出してきた。
「なに」
「ほら、立てないんだろ? 部屋まで連れていってやるよ」
「…………」
そっち手コキした方の手じゃね?と思いながらも、せっかくなのでその好意に甘えてやることにした。
「変な歩き方」
「誰かさんのせいでな」
「俺のデカかったから?」
「自分で言うな」
「はは、否定はしねえのな」
何でお前いつも通りなんだよ。少しはもじもじしたり照れたり、いやせめてちょっとくらい申し訳なさそうな顔しろ。
ムカついた矢先、よろめいた体を相馬に支えられる。
「……どーも」
「キュンとすんなよ」
「してねえっての……っ、誰がお前みたいなアホ相馬に」
相馬は「だよな」と笑い、そのまま肩を抱かれるみたいにしてエレベーター乗り場まで引きずられる。
そして相馬に支えられたまま乗り込んだエレベーターの箱内。「何階?」と聞いてくる相馬の代わりに腕を伸ばしてボタンを押した。動き出す機内の中、静かに時間が流れていく。
非常階段同様電灯が切れかかったそこは薄暗く、視界全体がチカチカと明滅するのがやや鬱陶しい。
いい加減電灯交換しろよ、なんて思いながら天井を眺めていた時。
「木江って、なにも言わないんだな」
エレベーターの壁にもたれかかったまま相馬はこちらを見ていた。
「なにそれ、俺が無口ってこと?」
言ってる意味がわからず聞き返せば、相馬は「ちげーよ」と笑った。
「口止めとか、しなくていいわけ? そういうの」
こでそようやくその言葉、相馬の笑顔の意味を理解した
どうやら俺は、相馬に「愛斗に言ってもいいのか」と脅されているらしい。本当、アホなやつだと思う。こいつは。俺と何年一緒にいるんだよ。それとも、分かってて聞いてんのか。
「つか、する必要ねーじゃん」
愛斗にバレて困ることもないし、やましーこともない。というか、少なくとも愛斗は俺の性格のことを理解してる。つか、知ってる。分からせた。
それに、そもそもの話だ。口止めなんかして自分から弱味を見せるような真似もしたくない。
笑い返せば、相馬の顔から笑顔が抜け落ちた――ような気がした。
それも一瞬のこと。気を取り直した相馬は、「そ。ならいいわ」と俺から顔を逸らした。
相馬がどういうつもりで聞いてきたのかわからなかったが、俺の返答を聞いて諦めたのか、それとも呆れたのか。それ以上そのことについて触れてくることはなかった。
187
お気に入りに追加
276
あなたにおすすめの小説
天国地獄闇鍋番外編集
田原摩耶
BL
自創作BL小説『天国か地獄』の番外編短編集になります。
ネタバレ、if、地雷、ジャンルごちゃ混ぜになってるので本編読んだ方向けです。
本編よりも平和でわちゃわちゃしてちゃんとラブしてたりしてなかったりします。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
どうしょういむ
田原摩耶
BL
苦手な性格正反対の難あり双子の幼馴染と一週間ひとつ屋根の下で過ごす羽目になる受けの話。
穏やか優男風過保護双子の兄+粗暴口悪サディスト遊び人双子の弟×内弁慶いじめられっ子体質の卑屈平凡受け←親友攻め
学生/執着攻め/三角関係/幼馴染/親友攻め/受けが可哀想な目に遭いがち
美甘遠(みかもとおい)
受け。幼い頃から双子たちに玩具にされてきたため、双子が嫌い。でも逆らえないので渋々言うこと聞いてる。内弁慶。
慈光宋都(じこうさんと)
双子の弟。いい加減で大雑把で自己中で乱暴者。美甘のことは可愛がってるつもりだが雑。
慈光燕斗(じこうえんと)
双子の兄。優しくて穏やかだが性格が捩れてる。美甘に甘いようで甘くない。
君完(きみさだ)
通称サダ。同じ中学校。高校にあがってから美甘と仲良くなった親友。美甘に同情してる。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる