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CASE.08『デート・オア・デッド』
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しおりを挟む「そ、そんな気分じゃ……あうっ、だ、ダメです、脱がさないでください……っ!」
「は? 今まであんだけ自分から誘っといて何それ」
「そ、それとこれとは別……っ、ぅ、んん……ッ!」
言い終わる前に仮面を投げ捨てたナハトに肩を掴まれ、そのまま唇に噛みつかれる。イラついたようなキスに驚く暇もない。唇に食い込む歯にびっくりして思わずナハトの胸を押し返そうとするが、逆にあっさりと手首を掴まれる。そのまま頸に回された手に体を抱き寄せられるのだ。
「な、は」
「大人しくしろ」
「ゃ……っ、ぅ、んん……っ」
キスして誤魔化されてどさくさに紛れて着ていた服ごと剥ぎ取られそうになる。
ダメだ。このままでは。今どんな顔をしてナハトと向き合えばいいのか俺には心の整理もついていない。
そんな俺の思考を読み取ったかのようにナハトは強引に唇を割り開き、舌先を絡めてくる。奥へと引っ込もうとしていた舌を絡み取られ、先っぽから根本までぬるりとした粘膜に包み込まれた。濡れた音と荒い呼吸が辺りに響く。
逃げたいのに、ナハトはそれを許してくれない。
「っん、う、……っ、むぅ……~~っ」
キスも言ってることも強引なのに、後頭部に回された手に優しく撫でられるとより混乱する。
無理矢理体の奥を焚きつけられてるようなそんな感覚だ。自分だけを見ろ、とでも言うかのように何度も逸らそうとする顔を固定され、鋭い目で心の奥まで覗き込まれる。
「っは、な、は……っん、む、……っ」
粘膜同士、体温が混ざり合っていく。緊張していた体から僅かに力が抜け、そのままずるりとナハトの胸にしがみつきかけたとき、ようやくナハトは俺を解放してくれた。引き抜かれる舌先、その先っぽから垂れる唾液が自分の舌先と繋がってるのを見て顔が熱くなる。俺は慌てて俯いた。
「おい……顔、こっち向けろ」
「っゃ、です……っ」
「なんで」
「だ、だから……っ、ぁ……っ」
そんな気分ではないからです、と言い終わる前にナハトの手が寝間着の中へと入ってくる。皮膚の上を弄っていた手が腹部からゆっくりと胸に伸びた時、再び体が緊張した。
「っな、はとさ……」
「アンタの癖、分かってきた」
「へ……っ、ひゃ、う」
柔らかく乳頭を掠めた指先はそのまま胸全体を撫でる。二本の指で硬くなり始めていた乳首を挟まれ、そのまま胸全体を揉みしだくナハト。普段はもっと乱暴なのに、なんだかいつもよりも優しい触れ方が焦ったくて下腹部に熱が溜まっていく。
「っ、ゃ、な、はとさん……っ」
「じゃ、こっち向け」
「……っ」
つい絆されかけたところに目の前のナハトに覗き込まれる。嫌です、と抵抗の意を込めて顔を逸らせば、ナハトは冷ややかに笑った。
「……っ、良平のくせに、生意気」
そっぽ向いたままの耳元に押し付けられる唇。その熱に驚く暇もなく、直接吹きかけられる熱い吐息に背筋が震えた。
「っ、ぅ、あ」
「瞼腫れすぎ。どんだけ泣いてたの?」
「ぁ、や、ナハトさん……っ、……ぅ……っ」
「……また泣いてるし」
「こ、これは、ナハトさんが……っ」
「俺のせい?」
布団の中で泣いていたのがバレたみたいで恥ずかしいのに、ナハトは顔を隠すことも許してくれない。恥ずかしくてまたじわりと滲み出す涙腺をナハトは笑い、それから俺の目尻に舌を這わせる。
体を抱きしめられたまま目尻から頬、耳の付け根、耳朶へと押し付けられていく唇に呼応するかのように体の奥、燻っていた熱が全身へと広がっていくのが分かった。
「っふ、ぅ」
「嫌々してる割にはしっかり感じるんだな」
「……っ」
「なにこれ、挟めるくらい勃ってんじゃん」
指で挟められたそれを柔らかく揉みながら、くすくすと耳元で笑うナハト。布が擦れるだけでも反応してしまいそうなくらいそこが過敏になってるのは自分でも分かった。
そんな気なんてなかったのに、もう既にナハトに流されそうになっている己にも。
「~~……っ、い、じわる、です……っ」
「アンタよりマシだと思うけど?」
「お、俺はこんなことは、しな……ぁ……っい、……っ、ぅ、しな、ぁ……っ」
「ふーん?」
長い指先が器用に乳首に絡みついて、根本から先っぽまで柔らかく扱いてくる。それだけで無意識に口から呼吸音が漏れ、服の下で蠢くナハトの指先を追ってしまう。もう片方の触れられてない乳首もむずむずしてきて、それを誤魔化そうとするのにただ俺は必死だった。
「な、はとさん……っ、なんで、意地悪……」
「俺が意地のいい人間だったことある?」
「それは、ないですけど……ぁうっ」
小さいながらも硬く隆起したそこをぴん、と指先で弾かれた瞬間、下着の中で下半身が震える。滑り気を帯び始めた己の下半身に青褪めるのも束の間、そのまま指の腹で乳首をコリコリ転がされると求めていた刺激に耐えきれずに背筋を丸める。
「俺のこと、分かってきただろ。アンタも。……良平」
「……っ、ナハト、さん……っ」
だとしても、もっと他に慰め方はあるのではないか。
あまりにも強引だけど、何度もその強引さに救われてきた。俺とは正反対のその性質だからこそ、憧れも抱いた。
悔しいが、それは紛れもない事実だった。
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