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CASE.08『デート・オア・デッド』
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「だ、だだ、抱かれてるなんて……ッ!」
「なんだ、違うのか?」
「な、なんでそんなことを……」
聞くんですか、と恥ずかしさやらバレた動揺のあまり震えていると、「否定はしないんだな」とシェイムレスは口元を歪めて笑う。
しまった、と慌てて口を抑えるが遅い。
「あの堅物男がなあ? ……ふうん」
顔から爪先までじっくりと舐めるように見つめられる。先程、名前も分からないヴィランに向けられた性的なそれとは違う。
まるで今から狙う獲物を精査するような目だった。――俺の苦手な目だ。
「あ、あの、お、俺……やっぱりトイレ我慢します……っ!」
恐怖に耐えきれず、そのまま来た道へと踵を返そうとすれば「まあ待て」とシェイムレスの手が肩を掴む。
そして、先程までの冷たく鋭い目――ではなく、柔らかな笑みを浮かべるシェイムレス。
「失敬、ただ個人的に興味があっただけだ。深く考えないでくれ」
「シェイムレスさん……」
なんだ、そうだったんですね。と、その笑顔にほっとした矢先。
「――なんてな」
「え」
シェイムレスがパチンと指を鳴らした瞬間、全身の筋肉の機能が停止する。糸が切れた人形のようにそのまま崩れ落ちそうになる体。それをシェイムレスは抱き寄せる。膝に力が入れず、顔を動かすことで精一杯だった。
――何が起こってるのだ、これは。
「ぁ、あ、なに……」
「油断大敵だとあの男には習わなかったのか。君は少々、いや大分不用心なようだな」
「シェイムレスさん……?」
「君に恨みはないが、悪いね。恨むならあの男を恨むと良い」
シェイムレスは笑っていた。先程見せた冷たい目で俺を見下ろし、そしてそのまま伸びてきた手に視界を覆い隠された瞬間。意識はぷつんと音を立てて途切れる。
まずい、と思った時には全て遅かった。
瞬きをした一瞬のことだった、次に目を覚ました時は先程までいた通路――ではなく、見覚えのない個室の中にいた。
「……ぁ、あれ……」
「気分はどうだ」
視界の端、見下ろすように立っていた看守服の銀髪の男のは冷たく微笑む。
シェイムレスさんだ、と安心し掛け、はっとした。
そうだ。俺、この人にいきなり眠らされて――ということはあれがシェイムレスさんの能力なのか?
なんて思いながら動こうとして、体が動かないことに気付いた。椅子の上、背凭れの後ろで腕を拘束されているらしい。物理的に動きを阻害する拘束はガチャガチャ音を立てるばかりで、びくりともしない。
それから辺りを見渡し、自分のいるここがどこなのか理解する。質素な部屋には机と椅子が一脚ずつ、そしてその壁にズラリとぶら下がるのは鞭に始まり用途不明の謎の機械、凶器、刃物……。
血の気が引いていく。青褪める俺の顔を見てシェイムレスはくつくつと笑う。
「ここにはカップル向けのプレイルームもあるんだ。……中々拷問したくてもデキない、道具がない、後片付けが面倒臭い――などといったお言葉に応えるために古今東西ありとあらゆる拷問道具も用意してある」
「ぉ、お、俺……ご、拷問されるんですか……っ?」
「……」
な、なんで無言なんだ。
壁際に置かれていた長い棒のようなものを手にしたシェイムレスはそのままこちらへと近付いてくる。その棒の両先端部にはそれぞれベルトが着いている。
「シェ、シェイムレスさ……んん……っ!」
近付いてきたシェイムレスの手が腿を撫でる。なんで?!と飛び上がりそうになるが腕の拘束のせいでビクともしない。
そんな俺を横目に、慣れた手付きでシェイムレスは俺の腿を掴みあげる。そのまま持ち上げられた腿、そこにステンレス製の棒の片方についたベルトを巻き付けられた。
「ひ……っな、な、ぁ、あの……っ」
「拷問されたいのか?」
「い、嫌です、痛いのは……」
「痛くなければいいのか、君は」
同様、もう片方の腿を端のベルトで固定される。するとどうなるか。シェイムレスの眼下、みっともないくらい足を開かされるような体勢に顔が熱くなる。
ある種の拷問では間違いないが、これは。
「ど、どうして、シェイムレスさん……」
「――嫌がらせだ」
もしかして下半身に痛いことされるかもしれない。
震えが止まらない俺に、シェイムレスは変わらぬ涼しい顔で刃物を取り出す。ひっと縮み込んだ矢先、シェイムレスはそのまま俺の制服の股間部にその刃先を滑らせる。
皮膚が傷つかないすれすれの部分を走るナイフ。そこからぱっくりと開く切り込みに指を潜り込ませ、シェイムレスはそのまま強引に更に穴を広げた。
「ぁ、あ、勿体な……っ」
「気にするな。看守服はいくらでもある」
「そ、それなら……」
よかったです、と安心してる場合ではない。
尻まで丸見えになってる恥ずかしい格好のまま下着越しに股間に触れられる。
「ひっ! ぁ、あの、シェイムレスさん……」
「震えてるのか? 殊勝だな」
「こ、こんなこと、駄目です……っグルーサムさんたちが待ってるのに……」
「安心しろ。所長たちにはすでに伝えてある」
「え」
「良平君は体調が悪くなったから私が診察室に連れていくとな」
言いながらシェイムレスの長い指の間でくるりとナイフが回る。そのまま奥の下着へと突きつけられたナイフに固まるのも束の間、あっという間に布切れと化した下着を抜き取ったシェイムレスはそれを床の上に放った。
「み、見ないで下さいぃ……っ」
「大抵の人間誰にもついてる部位だ。恥じることはない」
恐らくシェイムレス視点丸出しになってる下半身を撫でられ、ぶるりと下半身が震えた。シェイムレスの指は穴の付近をそっと触れ、それから俺から手を離す。
終わったのか、とホッとするのも束の間、椅子から離れたと思えば部屋の奥から何かを取り出してくるシェイムレス。その手に握られたボトルには既視感があった。
「あいつの男としてのプライドを砕いてやるだけだ。……君に苦痛は強いるつもりはない、安心しろ」
そう、手袋を噛んで引き抜いたシェイムレスはその真っ白な掌にボトルの中のローションを垂らした。
血の気が引く。痛いのは嫌だと言ったが、これはもうもはや。
腿枷と手枷でがっちりと拘束された今、下半身へと伸びてくるシェイムレスの指から逃れることはできなかった。
「なんだ、違うのか?」
「な、なんでそんなことを……」
聞くんですか、と恥ずかしさやらバレた動揺のあまり震えていると、「否定はしないんだな」とシェイムレスは口元を歪めて笑う。
しまった、と慌てて口を抑えるが遅い。
「あの堅物男がなあ? ……ふうん」
顔から爪先までじっくりと舐めるように見つめられる。先程、名前も分からないヴィランに向けられた性的なそれとは違う。
まるで今から狙う獲物を精査するような目だった。――俺の苦手な目だ。
「あ、あの、お、俺……やっぱりトイレ我慢します……っ!」
恐怖に耐えきれず、そのまま来た道へと踵を返そうとすれば「まあ待て」とシェイムレスの手が肩を掴む。
そして、先程までの冷たく鋭い目――ではなく、柔らかな笑みを浮かべるシェイムレス。
「失敬、ただ個人的に興味があっただけだ。深く考えないでくれ」
「シェイムレスさん……」
なんだ、そうだったんですね。と、その笑顔にほっとした矢先。
「――なんてな」
「え」
シェイムレスがパチンと指を鳴らした瞬間、全身の筋肉の機能が停止する。糸が切れた人形のようにそのまま崩れ落ちそうになる体。それをシェイムレスは抱き寄せる。膝に力が入れず、顔を動かすことで精一杯だった。
――何が起こってるのだ、これは。
「ぁ、あ、なに……」
「油断大敵だとあの男には習わなかったのか。君は少々、いや大分不用心なようだな」
「シェイムレスさん……?」
「君に恨みはないが、悪いね。恨むならあの男を恨むと良い」
シェイムレスは笑っていた。先程見せた冷たい目で俺を見下ろし、そしてそのまま伸びてきた手に視界を覆い隠された瞬間。意識はぷつんと音を立てて途切れる。
まずい、と思った時には全て遅かった。
瞬きをした一瞬のことだった、次に目を覚ました時は先程までいた通路――ではなく、見覚えのない個室の中にいた。
「……ぁ、あれ……」
「気分はどうだ」
視界の端、見下ろすように立っていた看守服の銀髪の男のは冷たく微笑む。
シェイムレスさんだ、と安心し掛け、はっとした。
そうだ。俺、この人にいきなり眠らされて――ということはあれがシェイムレスさんの能力なのか?
なんて思いながら動こうとして、体が動かないことに気付いた。椅子の上、背凭れの後ろで腕を拘束されているらしい。物理的に動きを阻害する拘束はガチャガチャ音を立てるばかりで、びくりともしない。
それから辺りを見渡し、自分のいるここがどこなのか理解する。質素な部屋には机と椅子が一脚ずつ、そしてその壁にズラリとぶら下がるのは鞭に始まり用途不明の謎の機械、凶器、刃物……。
血の気が引いていく。青褪める俺の顔を見てシェイムレスはくつくつと笑う。
「ここにはカップル向けのプレイルームもあるんだ。……中々拷問したくてもデキない、道具がない、後片付けが面倒臭い――などといったお言葉に応えるために古今東西ありとあらゆる拷問道具も用意してある」
「ぉ、お、俺……ご、拷問されるんですか……っ?」
「……」
な、なんで無言なんだ。
壁際に置かれていた長い棒のようなものを手にしたシェイムレスはそのままこちらへと近付いてくる。その棒の両先端部にはそれぞれベルトが着いている。
「シェ、シェイムレスさ……んん……っ!」
近付いてきたシェイムレスの手が腿を撫でる。なんで?!と飛び上がりそうになるが腕の拘束のせいでビクともしない。
そんな俺を横目に、慣れた手付きでシェイムレスは俺の腿を掴みあげる。そのまま持ち上げられた腿、そこにステンレス製の棒の片方についたベルトを巻き付けられた。
「ひ……っな、な、ぁ、あの……っ」
「拷問されたいのか?」
「い、嫌です、痛いのは……」
「痛くなければいいのか、君は」
同様、もう片方の腿を端のベルトで固定される。するとどうなるか。シェイムレスの眼下、みっともないくらい足を開かされるような体勢に顔が熱くなる。
ある種の拷問では間違いないが、これは。
「ど、どうして、シェイムレスさん……」
「――嫌がらせだ」
もしかして下半身に痛いことされるかもしれない。
震えが止まらない俺に、シェイムレスは変わらぬ涼しい顔で刃物を取り出す。ひっと縮み込んだ矢先、シェイムレスはそのまま俺の制服の股間部にその刃先を滑らせる。
皮膚が傷つかないすれすれの部分を走るナイフ。そこからぱっくりと開く切り込みに指を潜り込ませ、シェイムレスはそのまま強引に更に穴を広げた。
「ぁ、あ、勿体な……っ」
「気にするな。看守服はいくらでもある」
「そ、それなら……」
よかったです、と安心してる場合ではない。
尻まで丸見えになってる恥ずかしい格好のまま下着越しに股間に触れられる。
「ひっ! ぁ、あの、シェイムレスさん……」
「震えてるのか? 殊勝だな」
「こ、こんなこと、駄目です……っグルーサムさんたちが待ってるのに……」
「安心しろ。所長たちにはすでに伝えてある」
「え」
「良平君は体調が悪くなったから私が診察室に連れていくとな」
言いながらシェイムレスの長い指の間でくるりとナイフが回る。そのまま奥の下着へと突きつけられたナイフに固まるのも束の間、あっという間に布切れと化した下着を抜き取ったシェイムレスはそれを床の上に放った。
「み、見ないで下さいぃ……っ」
「大抵の人間誰にもついてる部位だ。恥じることはない」
恐らくシェイムレス視点丸出しになってる下半身を撫でられ、ぶるりと下半身が震えた。シェイムレスの指は穴の付近をそっと触れ、それから俺から手を離す。
終わったのか、とホッとするのも束の間、椅子から離れたと思えば部屋の奥から何かを取り出してくるシェイムレス。その手に握られたボトルには既視感があった。
「あいつの男としてのプライドを砕いてやるだけだ。……君に苦痛は強いるつもりはない、安心しろ」
そう、手袋を噛んで引き抜いたシェイムレスはその真っ白な掌にボトルの中のローションを垂らした。
血の気が引く。痛いのは嫌だと言ったが、これはもうもはや。
腿枷と手枷でがっちりと拘束された今、下半身へと伸びてくるシェイムレスの指から逃れることはできなかった。
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