どうしょういむ

田原摩耶

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性悪双子から逃れようと友人に泣きついたけど詰んだ。二日目。

処女危機一髪※

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 今日の夜、サダの部屋に泊まるのが楽しみでどんな話をしようかだとかそんなことを考えている間にあっという間に放課後になる。
 ホームルームが終わり、俺はサダとともに教室を出た。

「あいつらに連絡した?」

 昇降口まで降りていく途中の通路。
 サダは真面目な顔をしてそんなことを聞いてくるのだ。

「した。出かけるから迎えはいいって、もしかしたら泊まるかも~って感じで」
「え、大丈夫か?」
「返事ねえけど既読ついてたし大丈夫だろ」

「な、それよりどこ行く?」そうサダを振り返れば、サダは「どこって?」と目を丸くした。

「せっかくなんだからどっか寄り道しようぜ、サダとちゃんと遊びに行ったことない気するし」
「ま、まあ確かにな」
「そうだ、ゲーセン行かね? 俺の好きなゲームの新台確か今週からだったんだよな」
「……そうだな。じゃあ今日は美甘御苦労様会ってことで」
「なんだよそれ」

 少しだけ歯切れの悪いサダに、もしかしてノリ気じゃなかったのだろうかと少し心配したがどうやら余計な心配だったようだ。
 アイツら以外と、それもちゃんと友達と呼べる相手と学校以外でちゃんと一緒に遊んだりするのはなんだかんだ初めてかもしれない。

 本当は燕斗からの既読を見てその後のメッセージも通知も確認できていないのだが、伝えるべきことは伝えてあるので問題ないはずだ。
 少しくらい楽しんだって罰は当たらない。

 それから俺はサダとともに学校を出て、駅前通りへと向かった。
 郊外のクソ田舎なので遊べる場所は限られている。大体駅前に集まってる娯楽施設で一通りは楽しめるのだが、以前はあの双子がいたおかげで荷物持ちやパシリばっかでろくに楽しめなかったが、サダと二人となると別だ。学校帰りのファストフードがこんなに美味しいとは思わなかった。
 色んな話をしながらそんでゲーセンに立ち寄る。

 サダとは趣味も近いので話が合うのだ。あいつらといたら全然違う、俺の話をちゃんと聞いて相槌打ってくれる相手がいるというだけで感激ものだ。
 学校帰りの生徒たちや社会人がちらほら増えてきたゲーセン内、サダと対戦ゲームで遊んでいたら急に催してきた。

「あ、ちょっと俺トイレ行ってくる」
「一人で大丈夫か?」
「なんだよそれ、大丈夫だっての」

 流石に迷子にはなんねえよ、とサダに笑い返し、俺はそのままサダと別れてフロアの奥にはある男子便所へと向かった。
 しかしこんなにゲーセンが楽しい場所だったなんて。
 つい鼻歌交じりになりながら、薄暗いフロアからトイレの通路へと出たときだった。
 向かい側に壁が立ちふさがる。

「っ、す、……みません」

 頭からぶつかってしまい、咄嗟に謝ったときだった。俺は見覚えのある制服を身に纏った目の前の“壁”に思わず息を飲んだ。

「本当だよ、……ちゃんとしっかりと前見ねえと危ねーだろ」

 美甘、とそいつは――宋都は凶悪なツラで笑った。
 アレだけ騒がしかった店内の喧騒やBGMも全ての音が遠くなる。
 なんでお前が、と俺が声を振り絞るよりも先に、伸びてきた大きな掌に顔面を鷲掴みにされる。

「むぎゅっ!」
「よお~~、随分と楽しそうじゃねえか」
「んぶ、さ、宋都……っ、なんでお前ここに……ぃ゛ッ!」

 そのまま壁に背中を乱暴に押し付けられる。逃げなければと咄嗟に宋都の腕を掴むが、がっちりと人の顔を掴むその指は離そうとすればするほどギチギチとのめり込んでくるのだ。

「い、で……っ」
「お前のせいで燕斗の野郎にパシられたんだよ。テメェわざとか? あいつの機嫌損ねるような真似すんじゃねえよ」
「そ、損ねるって……しらねえよ、ぉ、俺ちゃんとメッセージ入れたし……んぶッ!」
「言い訳してんじゃねえ、返事してねえだろ。電話にも出なかったらしいし、おまけに自分は男と遊んでやがると来た」

 そんなの俺の勝手だろ、と言えればどれほどよかっただろうか。指の隙間から覗く宋都の目が怖くて、食い込む指に締め付けられた脳は完全に萎縮してしまっていた。
 まずい、という生物的本能が叫んでいる。このままではろくな目に遭わないと。

「ご、ごめんなひゃ……ッ」
「あ~? おせえおせえ、つうかお前さっき俺に口答えしたよな?」
「へ……」
「あー、すっげえ腹立ってきた」

 頭を掴んでいたその手が離れたと思いきや、「こっちに来い」とそのまま宋都に髪を掴まれる。ぐいっと前髪を引っ張られれば、恐怖心で全身が緊張した。

「さ、宋都、まって」
「うるせえ、聞こえねえよ」
「ご、ごめん、ごめんって、謝るから……っ」
「うるせえって言ってんだろ!」

 前髪を引っこ抜かれないようについていくのが精一杯だった。ガチガチと奥歯が震える。内腿が痛いほど突っ張りだし、痺れてくるのだ。
 男子便所、その奥の個室までやってきた宋都はそのまま乱暴に俺を押し込めた。
 そこでようやく俺の髪を掴んでいた手が離れる。
 その代わり――。

「な……なに、なんで」
「お前のツラ見てたらイライラしてきたっつってんだよ」

「だから、ちゃんと責任取れよな」美甘、と俺の頭を掴んだ宋都は無理矢理頭を押さえつけてくる。そして目の前、恐怖諸々で固まる俺の鼻先に押し当てられるやつの下腹部に息を飲む。

「しゃぶれよ、美甘」
「……ッ」
「お前得意だろ、こうやって野郎のちんぽしゃぶんのは」

「俺のストレス解消手伝ってくれるよな」と笑う宋都にただ血の気が引いていく。
 サダも待たせてる状況、こんなことしている場合ではない。けれど、扉を背に立ち塞がる宋都を振り払って逃げることはまず不可能だ。
 ――つまり、詰みである。

「……っ、しゃ、んと」
「それとも無理矢理こじ開けられてえのか?」

 これで、と笑いながらファスナーを下ろす宋都。
 やめろやめろ人の顔面の前で出すんじゃねえと慌てて顔を逸らそうとしたところを、べちんと嫌な重みと触感が当たる。
 目を開けたくねえ。

「チッ、おいコラ何目ぇ閉じてんだ」
「な、なんでんなもの出してんだよ……っ!」
「便所は出すところだろうが! いいからさっさとしろ、また殴られてえのか?」
「う、うう……っ」

 この単細胞野郎、と罵りたいがそんなこと口にしてみろ。何されるか分かったものじゃない。
 べそ掻きながら俺は薄目で顔にべちんと押し当てられる性器を握り、避ける。
 くそ、俺が触っただけで硬くなるくせになんでこんなに上からなんだよ。人に物事頼むときはもっと下手に出るべきなんじゃないかとか、心の中で吐き捨てながらも俺は渋々舌を突き出し、どくどくと脈打つ肉の塊に舌を這わせた。表面が血管でボコボコして気持ち悪い。

「なあにちんたらしてんだよ。……もっとちゃんとしろ、んなお上品なフェラじゃ日暮れるっての」
「ん、……ッ、んぅ……ッ」

 頭の上でごちゃごちゃ文句垂れながらも人の髪を触ったり掻き上げたりして笑う宋都。
 言いながらもカリを咥えれば、宋都は笑った。
 ――宋都の性感帯など覚えたくなかった、できれば忘れていたかった。
 先っぽを咥えたりキスしたり舌で舐ったり軽く吸ったり、そんなやつが好きなのだ。こいつは、昔から。

「……っ、やる気出してきたなぁ美甘。んなに待たせてる彼氏が気になるのかよ」
「か、れし、じゃな……っ」
「じゃあなんだよ、随分お前べたべた懐いてたよな」

「ま、お前にその気がなくても相手がどう思ってんのかしらねえけど」せっかく人が集中しようとした矢先だ、サダのことを出されて手が止まってしまう。顔が熱い。

「お、お前らと一緒にするな、あいつは……ッ、んぶ……ッ!!」
「うるせえ、さっさと黙ってしゃぶれ」

 こいつは本当に、なんなんだ。
 俺が口淫をやめて唇を離したのがよほど気に入らなかったのか、人の頭掴んだ宋都は人の唇に性器をねじ込んでくるのだ。

「っ、ぉ゛、んぶ……ッ!」
「おい美甘、歯立てんなよ。立てたら殺すからな」
「っ、ん゛ん゛……ッ」

 太い性器が顎をこじ開け、喉の奥まで侵入してくる。鼻で呼吸をしようとするが、苦しい。
 だから嫌なのだ、こいつをフェラするのは。
 無駄にでけー上に顎がぶっ壊れる。燕斗も論外ではあるが、こいつはもっとだ。

「つうか燕斗のやつ、あいつもあいつだろ。俺にわざわざ行かせるってことはそれなりにいい思いしていいってことだよなあ? なあ、美甘。お前もそう思うだろ?」
「ん゛、う゛う゛~~……ッ」
「きったねえ声。なあ美甘、ちゃんとしゃぶれよ、舌止まってんぞ」

 お前が頭掴むからだ。鼻先でふがふがと息をするのも精一杯の中、見下ろしてくる宋都がただただ恨めしい。
 いち早く開放されたい一心で咥内に滲む唾液を舌に絡め、性器全体を濡らしていく。外がうるさいものの、それでもホールから離れた男子便所の中は静かだ。じゅぷ、ぐぷ、と口の中のそれをしゃぶるたびに嫌な音が響いて気分は最悪だった。

「っ、ん゛う、ふ……ッ」
「は……ガツガツしゃぶるよなお前、んなに俺のチンポは美味いか?」
「ん、む゛……ッ!」

 早くサダんところに戻りたいだけに決まってんだろ、と口の中で吐き捨てたとき、顎を掴んでいた宋都の指が左耳に伸びる。
 そのまま横髪をかき上げ、耳に掛けられたと思いきや耳の穴にずぼっと入ってくる指先に息を飲んだ。

「……っ、ふ、う゛……ッ」

 やめろ、触るな。そう身を攀じるが宋都はやめない。
 くそ、俺が耳触られるの苦手だとわかっててこんなことするのだ。
 耳を宋都の指で塞がれば口の中、頭の中で響く水音はより一層大きく響く。音が籠もった中、唾液とは別のものまで混ざり、唇の端から溢れる。

「ふ、ぅ゛……ッ、ぅ゛……ッ」
「そーそー、しっかり喉締めてけ?」
「……ッむ、ぅ゛……ッ!」

 耳朶の溝までくるくると撫でられるとそれだけで喉我震える。ぽたぽたと顎まで流れていく唾液を拭い、宋都は息を吐く。
 こんなことしてる場合じゃねえのに。
 半ばヤケクソに宋都の腰を掴み、喉で先っぽを圧迫しながらも舌で根本から竿の部分を舐める。個室の中、籠もった匂いに頭がクラクラしてくる。
 頭に宋都の視線を感じながらも必死にフェラしていたときだった。
 不意に、男子便所に誰か入ってきた。

「美甘、腹痛いのか?」

 聞こえてきた声はサダだった。
 あまりにも戻ってこない俺を心配してきてくれたようだ。あまりにも最悪なタイミングに思わず俺は宋都の性器から口を外した。

「っ、だ、いじょうぶ……少し腹壊しただけだから、もう少し待っててくれ……ッ!」

 まずい、と咄嗟に声をあげれば宋都が声を上げずに笑った。

「腹? 大丈夫か?」
「あ……ああ、もうすぐ戻れると思うから」

 サダの優しさが身に沁みるが、今はただ頼むからどこかに行ってほしいという気持ちが大きかった。

「そうか、分かった。……あんま無理すんなよ、外のベンチで待ってるから」

 扉越し、サダが出ていくのを待とうとしたときだった。伸びてきた宋都の手にべろんと制服を脱がされそうになる。「おいっ」と口パクで止めようとするが、あいつは「声聞こえんぞ」と笑うばかりでそのまま人の胸を弄り出すのだ。
 そのまま乳首を抓られ、「ひっ」と声が漏れそうになった。

「ん? どうした?」

 そんな俺の声がサダに聞こえていたようだ。足音が止まり、サダが声を掛けてきた。

「な、なんにもない……っ、ふ、踏ん張ってただけだから……ッ!」
「ふ……っ、…………悪い、邪魔したな」

 やばい、絶対変に思われた。
 やや引いたようなサダの反応に泣きそうになる反面、そんな会話を交えてる間も人の乳首を潰したり引き伸ばして揉んでくる宋都に殺意を覚えた。
 宋都の腕を掴んだまま、俺は今度こそサダが便所から出ていくまで自分の口を塞いで堪えた。

 そしてサダの足音が聞こえなくなったとき、俺は宋都を睨む。あいつは思い出したように笑いを噛めしめていた。

「っ、さ、宋都……っ、ぉ、お前な……ッ」
「踏ん張るって、はは! 品のねえやつだな、もっと他に言い訳あったろ? ありゃドン引きしてんぞ」
「お、お前が、余計なことするから……ッぁ、」
「ああ? してねえよ、寧ろ触っていただきありがとうございますだろうが。乳首イジられて勃起してるくせに」
「こ、これは……ッ」

 不可抗力だ、と声を上げたとき。「ま、いいや」と宋都は俺を便器から引っ張り上げるのだ。

「な、なんだよ、も……ッ」
「挿れさせろ」
「……は?!」
「さっき大人しくしてやっただろ? ……だからその褒美、くれたっていいだろ?」

 な、何言ってんだこいつは。本当に意味がわからない。そもそも挿れるって……挿れる?!

「じょ、うだんだろ」
「因みにマジ」
「え、燕斗に駄目だって言われてんだろ……ッ」

 そう、何を隠そう散々幼い頃から性行為紛いの遊びに耽っていた俺達ではあったが挿入などの所謂本番行為を行ったことはなかった。
 だからこそ無いに等しい俺の矜持も保たれていたというのに、この男は。

「うるせえな、そもそもお前が燕斗に言わなきゃバレねえよ」

 暗黙のルールをこの男はその場のノリで越えようとしてくるのだ。
 本当にこいつは、燕斗も燕斗だが宋都も宋都だ。

「い、嫌だ、駄目だって……ッ」
「あ? それ抵抗してるつもりかよ」
「さ、宋都……っ、口でも、素股でもいい。それ、抜いてやるから頼むから考え直せって……ッ!」

 経験済と未経験の壁は大きい。
 宋都は「うるせえな」と苛ついたように人の頭を掴み、そのまま壁に押し付ける。「むぎゅ」と潰れそうになる俺を無視し、そのままウエストを緩めた宋都はそのまま乱暴に下着ごと脱がしてくるのだ。

「っ、や、まじでやめろっ、宋都……ッ!」
「あー……イライラしてきた、お前のその顔ムカつくんだよな。いい加減分れよ、逆効果って……ッ!」
「ぅ、んん……っ!」

 丸出しになった尻を引っ叩かれ、乾いた音ともに痛みが走る。ぶるりと震える下半身、俺が痛みに気を取られている間に宋都は尻を掴むのだ。そのまま片手で割れ目を広げられれば、そこに外気が触れ喉が鳴る。

「さ、さんと……ッ」
「……ッ少しくらい貰ってもバチ当たんねえよな」

 当たるに決まってんだろ、と喉元まで出かけたが、割れ目にずしりとした性器が乗せられ背筋が凍った。くにくにと窄みに口付けするように亀頭を押し付けられれば、唾液と先走りで濡れた亀頭がゆっくりと沈んでくるのだ。

「さ、んと……ッ」
「アイツには言うなよ……二人だけの秘密だからな、美甘」
「待――っ」

 待ってくれ、と背後の宋都を振り返ろうとしたのと、身体が浮くような感覚を覚えたのはほぼ同時だった。バタつく下半身を抱き込んだ宋都は、そのままケツの穴に思いっきり性器を挿入させてきた。

「ひ、ぎ……――ッ!!」

 なんだ、なんなのだ。何故俺がこんな仕打ちを受けなければならないのか。
 ケツの穴に焼けたパイプの頭ぶち込まれたような痛み、激痛、吐き気、混乱。その他諸々に思考すらも吹き飛びそうになる。
 呼吸することもできず、固まる俺の腰を掴んだまま「締め過ぎだ、馬鹿」とケツを叩かれまた飛び上がりそうになった。

「や゛、め゛……ッ! さ、んと……ッ、抜い、ひ、ッ、ぅ゛……ッ!」
「抜かねえ、ぜってーやめねえから。今決めた……っ、お前は今は俺のモンだろ?」
「なに゛、を゛ッ、ぉ゛~~……ッ!!」

 体が必死にねじ込まれるブツを拒もうと頑張ってるのに、背後のやつは無視して腰を進めてくるのだ。
 みちみちみちとおおよそ人体からしてはいけないような音とともに肉壁を自重でこじ開け、その形ごと変えてくるもはや凶器とも等しいソレに俺は息を吐くことすらできなかった。

 なんだ、なんだこれは。これがセックスというやつなのか。皆こんなことしてやれ脱童貞だの脱処女などのたまってたのか?
 ――全然気持ちよくないじゃないか。

「さん、とッ、抜い、死ぬ、死んじゃう……っ!」
「ハ……っ、ああ? ビビりすぎんだよ、こんなんで死ぬわけねえだろ……ッ!」
「ひ、ぎゅ゛ッ!!」

 頼む!動くな!そのまま突然飽きてやめてくれ!と心の中で叫ぶが無念。届かないどころか、その性器はどんどん奥へと入ってくる。どこまで自分の中に入ってるのか確認するのも怖くて、多分喉元まできてるんじゃないかってくらいのそのブツを今度はゆっくりと引き抜いて浅いところから徐々に拓くように腰を動かしてくる宋都に「やべ、や゛ッ、ごめん、謝るから!」と俺はボロボロ泣きながら降参した。「うるせえ!店員くるから黙ってろ」とまたケツを叩かれ、その痛みすら下半身に響いてもうどうにかなってしまう。

「ふ、ぅ゛……ッ! ぐ……っ、うえ……ッ!」
「んだよ、気持ちよくねえのか?」

 ずぷ、ずちゅ、と肉が潰れる音ともに腰を打ち付けられる。「わか、んな、いっ」と腰の動きに合わせて声が震え、頭をぶるぶると横に振れば背後の宋都はクソでかい溜息を吐いた。

「……チッ、これだから処女様は面倒臭えんだよなぁ~? ……仕方ねえな、おい、ケツもっと出せ」
「わ、わかんにゃ」
「わかんねえわけねえだろ! こうだっつってんだろ!」
「う゛ひ、ッ!」

 なんで、なんで大きい声出すんだ。人のケツ勝手に掘ってるくせに逆ギレか。
 いきなり腰を突き出すように掴まれたと思えば、そのまま宋都は更に根本まで一気に深く腰を打ち付けてきた。

「っふ、い、いだいっ! や! ぁ゛ッ、やめ、ごめんなさいっ! ごめんなさいッ!」
「いいから、ケツに集中しろ」
「な、に゛」

 無理だ。お前こえーんだもん、と答えるよりも先に、ずるりと引き抜かれた性器に引っ張られて中が擦れる。その感触に息を呑むのも束の間、宋都は俺の腰を掴んだまま今度はゆっくりと口を開いたそこに再び抽挿を始めたのだ。

「ぁ゛、あ゛……や、……ッ」

 さっきみたいな乱暴な挿入の直後だからだろうか、余計痛みや恐怖で逆立った神経にとってその宋都の挿入はお腹の中の違和感が膨らむものだった。指をねじ込まれるのとはまるで比べ物にならない、先程までは感じる余裕もなかった性器の形や亀頭と竿の境目の凹凸だったり鼓動だったりがより鮮明に伝わってくるのだ。

「っ、な、やだ、これ……ッ、へ、へんだ……ッ、くるじ……ッ」
「苦しいだけか?」
「じらない゛……ッ、も、こんな……ッぁ……っ、ふ、う゛ぅ……――~~ッ」

 腹の中、性器を通ったあとが爛れるように熱く、更にそこを摩擦するように長いストロークで挿入されるだけで脳味噌の中までかき混ぜられるみたいになにも考えられなくなる。
 腰を揺すられる度に股の間で痛みと恐怖で縮んだ性器がびたんびたんとぶつかった。

――こんなの、気持ちいいわけなんてない。

 そう早く抜いてくれと祈るように目を瞑ったときだった。性器の裏っかわ辺りを亀頭で擦られた瞬間、腰が震えた。

「ぅ、あ……ッ、……ッ?」
「……お前、体あっせえな」
「ま、まって、さんと……いま、なに」

 今何をした、と言いかけるよりも先に、宋都に肩を掴まれ、そのまま上半身を反らすような形で締められる。
 瞬間、その反動でより深く挿入される亀頭に“そこ”を思いっきり抉られた瞬間「ぉ゛ッ」と、押し上げられ、潰れた肺から声が溢れ出した。

「ぉ゛、や゛め、にゃに、これ」
「……っ、なあ、苦しいだけか?」

 先程と同じ問いを投げかけられる。自然とギチギチと器官が締め上げられ、頭が真っ白になった。「わからない」と震える声で応えれば、耳元で浅く宋都は息を吐いた。

「じゃあ、直接確かめてやる」

 あまりにも凶悪な笑みを浮かべた宋都に、ただ俺は目の前が暗くなっていくのを感じた。

 腰を掴まれ、性器の頭でゴリゴリに中を犯される。前立腺を指とは違う、太い亀頭で押し潰されるだけで声にならない悲鳴が漏れそうになるのだ。
 ケツが割れるだとか、もうそんな次元ではなかった。宋都に突かれる度にガクガクと震える内股を伝って体液諸々が垂れ落ちる。宋都の支えがなかったら俺は恐らく立つことすらできなかっただろう。
 爪先立ちになり、無理やり持ち上げられた腰に何度も抽挿される度に最初は受け入れられるだけで精一杯だったナカの形が無理やり作り変えられているような感覚があって恐ろしかった。

「や、っ、ぁ゛……ッ」
「んだよ美甘、ちょっとは可愛い声出せるようになったじゃねえかよ……ッ!」
「っ、ひ、う゛……ッ!! ぢがっ、ご、んなの゛、おれじゃ……ッ、ぐ、ひッ!」
「違わねえって、ほら、ここ。裏っ側チンポで押し上げられんの気持ちいいだろ?」

 恐ろしいことに宋都のものを象るように膨らんだ腹の表面を撫でられ、そのまま軽く押さえつけられるだけで「ん゛ひ」と声が漏れる。腹の中でドクドクドクドクと俺のものなのか宋都のものなのか最早誰のものかも分からない鼓動がより一層大きく響いた。
 苦しい、吐きそうなのに。
 みっちりと詰まった性器で奥をこじ開けられて指では届かないような場所を擦られると何も考えられなくなる。気持ちいいなどとは絶対思いたくない、認めたくない。それなのに、わざと性器の感覚を意識させるように緩急つけて今度は腰をゆっくり引かれると、粘膜ごと引きずり出されるような感覚に思考が痺れ「あ゛、ぁ゛あ……ッ」っと汚い声が漏れてしまうのだ。

「や゛、だ……っ、も、これ……ッ」
「気持ちよくねえ?」
「わが、ッ、わがんない、も、おれ、きら、い……ッ、これ、やだ……ッ」
「嫌いじゃねえだろ、んなに勃起させてなに言ってんだよ」
「ひ、ぃ゛……ッ!」

 苛ついたように笑う宋都に両腕を掴まれ、そのまま手綱を引くかのように強く引っ張られたと同時に思いっきりその亀頭で奥を突き上げられる。
 瞬間、すべての音が遠くなるような感覚とともに目の前、頭の中が真っ白に染まった。浮いた足元、爪先はぴんと伸び、無理やり脱がされた下半身で自分の性器からじょろ、と尿が溢れる。

「……っ、は、おまえ、まじかよ」
「っ、ぉ゛……ッ、ぁ゛……ッ、や……ッ」
「はー……ッ、くそ、勘弁してくれ……ッ、脱処女で嬉ションかましてんじゃねえよエロすぎんだろ美甘……ッ!」
「ま゛ッ、ぁ゛、らめ、ぉ゛……ッ! ぁ゛ッ、でちゃ、でて、ぅ゛ひッ!!」

 一度決壊したダムは止まることはない。それどころか、興奮した宋都に担ぎあげられたまま内側から膀胱を押し上げられれば更に勢いよく目の前の扉にぶちまけられる尿に宋都は楽しげに笑った。
 俺は掘られたショックに次ぎ、小便まで漏らさせられたショックでもう涙と鼻水と汗で顔がどろどろになっていた。
 床のタイルを汚し、そのまま排水口に流れていく尿を見送る元気もなかった。

「泣くなよ美甘、いい思い出になったじゃねえか……っ、ほら、ついでに初中出しも体験させてやるよ」
「や、も、や……ッ、う゛、んん……ッ!」

 どさくさに紛れて、顎を掴まれ、唇に噛みつかれる。肉厚な舌に唇、涙で濡れた頬を舐められ、そのまままた閉じることを忘れていた唇に舌をねじ込まれた。

「ん゛ッ、んん゛~~ッ!!」

 先程よりも体内に分泌された体液の量は明らかに嵩を増していた。唇を貪られ、舌を甘く舐られながらも腹の奥までねじ込まれた性器。
 その最奥までずっぽりと性器を埋めたまま腰の動きを止める宋都。その鍛えられた腕の中、やばい、と身動ぎ逃げようとするが脱出不可能だった、

「っ、ふ、ぅ゛……ッ!!」

 どくん、と大きく腹の中で跳ねた性器に意識を取られるのも一瞬。次の瞬間腹の中に広がるどろりとしたマグマのような熱に俺は動くこともできなかった。
 これが噂の生、というやつか。こんなこと経験したくなかった。どうせならする方で体験したかった、なんて強がることもできない。
 呼吸が浅くなり、息苦しさに意識が朦朧としてくる。宋都の胸にしがみつけば、そのまま宋都は「本当、体力ねえな」と笑った。
 そのままずるりと引き抜かれる性器とともに開いた肛門からどろりと溢れる精液の感覚に身震いする。立つことなんてできなくて、そのままよろめく俺を抱えたまま宋都は俺の頬に唇を押し付けるのだ。

「またやろうな」

 ――燕斗のやつには秘密でな。
 そう笑う宋都にただ俺は頷くこともできないまま意識を飛ばしたのだった。
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