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土砂降り注ぐイイオトコ
第34回intense内部戦争
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「司…っ!」
なんとか誤魔化そうとするものの、肝心の頭は回らないしめっちゃ店長の顔怖いし司は相変わらずだし。
「おい、俺とはディナーに行ったこともないのにどういう事だ!」
「説明しろ」と促してくる店長はまじで怒っているようで。
ここは腹を括るしかない。
「う、うう……は……はい」
あまり思い出したくないことも思い出しつつ、俺は一連の事情を店長に説明することにしたわけだがこれがなかなかの羞恥プレイだったのでもう忘れることにする。
「なるほど、つまり貴様は原田と付き合いたいということか」
休憩室、俺の隣に司が座りその正面には店長が座り、空いた適当な席に座る紀平さんたち。つーかなんだこの図は。
そんな俺のことを知ってか知らずか司はこくりと頷く。
「原田、お前は…」
どうなんだと目を向けてくる店長に慌てて俺は首を横に振った。
暫く渋い顔して黙り込んでいた店長だったが、それもつかの間。
「よし、分かった!ならばこうしよう!」
勢い良く立ち上がる店長はテーブルを叩く。
うたた寝していた紀平さんがビクッてなっていたが敢えて俺は見なかったことにして俺は店長を見上げた。
その場に居たやつらの目が店長に集中した時、店長はにやりと不敵な笑みを浮かべる。
「この一連のタライ騒動の犯人を捕まえた方が原田を好きにすることが出来るというのはどうだ!」
「えッ?!」
まず驚いたのは俺だった。
「なっ、何言ってるんですか店長!」
そして、次に笹山が呆れ返る。
そりゃそうだ、仮にも店長は俺の恋人ということになっているのだ。そういうプレイを嗜むのも恋人なのか?!と思ったが笹山を見る限りそういうわけでもないのだろう。
「手段は問わない。ただし、ちゃんと仕事はしろ。これなら問題はないだろう」
そんな俺達を無視して話を進めやがる恋人様。
なんなんだ、そんなに俺が司についついポロッと口滑らせちゃったのが気に入らなかったのか。
「…原田さんを好きに……」
なんだか泣きそうになっていると隣から聞こえてきた司の呟きに背筋が凍る。ちょっと待って、まじでこの席嫌なんすけど。
「…分かりました。捕まえればいいんですよね」
案の定乗っかってくれる司に驚きはしなかったが俺の寿命は順調に縮こまっていることだろう。
目があってなんかもう死にそうになっていたが、どうやら運命というものは俺に無慈悲なようで、更に追い打ち掛けられることになる。
「へぇ、面白そうだね。じゃ、俺司君手伝おうかなぁ」
「はっ?!」
「おい紀平、遊びじゃないんだぞ」
「分かってますよ、邪魔するわけじゃないんだから良いじゃないですか」
「減るもんじゃないし」と、目が合った紀平さんはにこっと笑った。
相変わらずいい笑顔だが今はその笑顔が恐ろしい。
つまり、ということは、だ。紀平さんが司につくってことは司が有利になるということだから…。
あわわわわと一人戦慄していると、向かい側の笹山に「原田さん」と手を握られる。
「原田さん、俺も何か手伝えることがあるなら手伝います」
「さ、笹山…!」
「二人を仲違いさせるようなことにはさせません」
「さ、笹山ぁ…」
有難いが、有難いが、相変わらず誤解されたままだし。
その優しさが逆に辛いが、味方は多いに越したことはない。「ありがとう」とその手を握り返す。
「気に入らねえな」
そんな中、感動的な空気をぶち壊す声が響く。
何だこの野郎と声の主、四川を睨めばやつはうんざりしたように立ち上がる。
そして、
「おい時川、手伝ってやるから捕まえたら俺にも引き渡せよ。ぶん殴ってやらねえと気が済まねえ」
なんですと。
俺たちが協定結んだのがそんなに気に入らないのか。
司も司でそういうところには興味ないようで、「勝手にしたらいい」とだけ答える司に冷や汗がだらだら零れてくる。
司と紀平さんと四川、俺と店長と笹山、見事真っ二つに対立することになってしまったわけだが相手側が質悪すぎるんじゃないか。犯人が可哀想になるレベルの凶暴メンツじゃないか。
「なるほど、紀平と四川は時川につくか。まあいい、不安分子はないに過ぎないからな」
不安になる俺とは対照的に、店長は清々した様子だった。
お前が言うなと言いたいところだが、今はそのなにを根拠に湧いているのかわからないたっぷりな自信が心強い。
話が纏まれば早速休憩室から出ていく四川。
釣られるようにふらりと立ち上がった司を、店長は「時川」と呼び止める。
「貴様が誰の恋人に手を出したのか思い知らせてやる」
「…」
誰だ恋人ってってなったがもしかしなくても俺のことのようで。
詰られすぎて心細くなっていた俺は不覚にもちょっと店長にときめきそうになったが、司の無表情が怖すぎて俺は慌てて避難する。
司は何も言わずに紀平さんたちの後を追って休憩室を出ていった。
なんとか誤魔化そうとするものの、肝心の頭は回らないしめっちゃ店長の顔怖いし司は相変わらずだし。
「おい、俺とはディナーに行ったこともないのにどういう事だ!」
「説明しろ」と促してくる店長はまじで怒っているようで。
ここは腹を括るしかない。
「う、うう……は……はい」
あまり思い出したくないことも思い出しつつ、俺は一連の事情を店長に説明することにしたわけだがこれがなかなかの羞恥プレイだったのでもう忘れることにする。
「なるほど、つまり貴様は原田と付き合いたいということか」
休憩室、俺の隣に司が座りその正面には店長が座り、空いた適当な席に座る紀平さんたち。つーかなんだこの図は。
そんな俺のことを知ってか知らずか司はこくりと頷く。
「原田、お前は…」
どうなんだと目を向けてくる店長に慌てて俺は首を横に振った。
暫く渋い顔して黙り込んでいた店長だったが、それもつかの間。
「よし、分かった!ならばこうしよう!」
勢い良く立ち上がる店長はテーブルを叩く。
うたた寝していた紀平さんがビクッてなっていたが敢えて俺は見なかったことにして俺は店長を見上げた。
その場に居たやつらの目が店長に集中した時、店長はにやりと不敵な笑みを浮かべる。
「この一連のタライ騒動の犯人を捕まえた方が原田を好きにすることが出来るというのはどうだ!」
「えッ?!」
まず驚いたのは俺だった。
「なっ、何言ってるんですか店長!」
そして、次に笹山が呆れ返る。
そりゃそうだ、仮にも店長は俺の恋人ということになっているのだ。そういうプレイを嗜むのも恋人なのか?!と思ったが笹山を見る限りそういうわけでもないのだろう。
「手段は問わない。ただし、ちゃんと仕事はしろ。これなら問題はないだろう」
そんな俺達を無視して話を進めやがる恋人様。
なんなんだ、そんなに俺が司についついポロッと口滑らせちゃったのが気に入らなかったのか。
「…原田さんを好きに……」
なんだか泣きそうになっていると隣から聞こえてきた司の呟きに背筋が凍る。ちょっと待って、まじでこの席嫌なんすけど。
「…分かりました。捕まえればいいんですよね」
案の定乗っかってくれる司に驚きはしなかったが俺の寿命は順調に縮こまっていることだろう。
目があってなんかもう死にそうになっていたが、どうやら運命というものは俺に無慈悲なようで、更に追い打ち掛けられることになる。
「へぇ、面白そうだね。じゃ、俺司君手伝おうかなぁ」
「はっ?!」
「おい紀平、遊びじゃないんだぞ」
「分かってますよ、邪魔するわけじゃないんだから良いじゃないですか」
「減るもんじゃないし」と、目が合った紀平さんはにこっと笑った。
相変わらずいい笑顔だが今はその笑顔が恐ろしい。
つまり、ということは、だ。紀平さんが司につくってことは司が有利になるということだから…。
あわわわわと一人戦慄していると、向かい側の笹山に「原田さん」と手を握られる。
「原田さん、俺も何か手伝えることがあるなら手伝います」
「さ、笹山…!」
「二人を仲違いさせるようなことにはさせません」
「さ、笹山ぁ…」
有難いが、有難いが、相変わらず誤解されたままだし。
その優しさが逆に辛いが、味方は多いに越したことはない。「ありがとう」とその手を握り返す。
「気に入らねえな」
そんな中、感動的な空気をぶち壊す声が響く。
何だこの野郎と声の主、四川を睨めばやつはうんざりしたように立ち上がる。
そして、
「おい時川、手伝ってやるから捕まえたら俺にも引き渡せよ。ぶん殴ってやらねえと気が済まねえ」
なんですと。
俺たちが協定結んだのがそんなに気に入らないのか。
司も司でそういうところには興味ないようで、「勝手にしたらいい」とだけ答える司に冷や汗がだらだら零れてくる。
司と紀平さんと四川、俺と店長と笹山、見事真っ二つに対立することになってしまったわけだが相手側が質悪すぎるんじゃないか。犯人が可哀想になるレベルの凶暴メンツじゃないか。
「なるほど、紀平と四川は時川につくか。まあいい、不安分子はないに過ぎないからな」
不安になる俺とは対照的に、店長は清々した様子だった。
お前が言うなと言いたいところだが、今はそのなにを根拠に湧いているのかわからないたっぷりな自信が心強い。
話が纏まれば早速休憩室から出ていく四川。
釣られるようにふらりと立ち上がった司を、店長は「時川」と呼び止める。
「貴様が誰の恋人に手を出したのか思い知らせてやる」
「…」
誰だ恋人ってってなったがもしかしなくても俺のことのようで。
詰られすぎて心細くなっていた俺は不覚にもちょっと店長にときめきそうになったが、司の無表情が怖すぎて俺は慌てて避難する。
司は何も言わずに紀平さんたちの後を追って休憩室を出ていった。
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