アダルトな大人

田原摩耶

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土砂降り注ぐイイオトコ

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「はっ、ぁ…んん…っ」

 根本奥深く挿入されれば、流石に息が苦しくて。
 少し動いただけで伝わってくる震動に腰が震える。
 それでも、何故だろうか。激しく突かれているわけでもないのに、密着した体から流れ込んでくる店長の体温に、恥ずかしくなると同時に心地よさを感じ始めている自分がいることに驚いた。

「り、ひとさ……」
「どうした?辛いか」

 伸びてきた指に前髪を掬い上げられる。額に唇を寄せられた。
 あまりにも自然すぎて意識することもしなかったが、当たり前のようにこういう行為をしてくる店長には脱帽だ。
 そうじゃない、と首を横に振る。

「…なんか、なんか、おかしいです……っ、俺……お腹の中、ぽかぽかして……」
「そうか。…原田、お前、こういうのが好きなのか」
「っ、ぁ……」

 腰を撫でられ、抱き寄せられる。
 蕩けたように力が抜けた上半身。されるがままに店長へと凭れかかれば、すぐ目の前には店長の顔があって。

「ん、っ、ぅ…ん…」

 目が合えば、当たり前のように重ねられる唇。
 いくら美形とはいえ男相手だと身をもって知っていても、何故だろうか。拒むことが出来なくて。
 咥内へ入り込んでくる店長の舌を受け入れる。
 今は、それ以上に店長の熱を感じたかった。

「はっ、ぁ…んむ……っ」

 咥内で響く水音に顔が熱くなる。
 ふわふわとした頭ではなにも考えることが出来なくて、もっと、と店長を求めるように舌を絡めた時。

「っ、んぁ」

 胸を触られ、腰が震える。
 悲しいことにどうしても感じやすくなってるようだ。キスに夢中になってる矢先、神経がそちらにも集まるのが自分でもわかった。
 それでも、奥深く舌を挿入され付け根を擽られれば頭が麻痺しそうになって。

「んっ、ぅ、んんっ」

 熱を持った下腹部。舌を絡めながら乳首をなぞられれば、店長に跨ったまま腰が揺れた。
 擽ったくて、逃げるように身を捩るがどこもかしこも繋がった今動くことが出来なくて。

「っふ、んぅ…ッ」

 頭の奥がジンジンと痺れる。
 体内、挿入された店長のものを締め付けてしまっているのが自分でもわかった。
 ろくに触られてもいないのに、いつの間にか勃起したそれは先走りでどろどろになっていて。
 指先で突いて弄ぶ店長に一々反応する自分の下半身になんだかもう居た堪れなくなったが、それ以上に、性器に触れてもらえないのが堪らなく歯痒い。
 だからだろう。勝手に腰が動き、店長に擦りつけるように動いてしまう。

「…ッは」

 中の店長を感じたくて、自分から腰を上下させれば店長は小さく息を吐く。その口元に、笑みが浮かんだ。
 愉しそうに目を細め、俺の下半身に目を向けた店長は角度を変え、更に深く唇を重ねてきた。

「っ、ん、っぅ、ふ……」

 次第に、舌の動きが大胆になってくる。
 絡み付く舌先に根本から先っぽまで摩擦されればされるほど、唾液が溢れそうになった。
 体が、顔が、腹の中が、店長に触れられた場所が蕩けそうなくらい熱くなる。
 なぞられただけでツンと勃起した乳首を乳輪ごと揉まれ、堪らず胸を仰け反らせる。
 もっと、と強請るように店長に擦り寄れば、捏ねるように指の腹で全体を揉みくちゃにされ、動く腰は止まらなくなって。

「っふ、ぁッ、んぁあ……ッ」

 次第に激しさを増すディープキスに怖気付き、咄嗟に引っ込めようとすれば奥へと侵入してきた舌先に絡め取られてしまう。
 舌先を吸われながら、尖った尖端を爪先で刺激される。
 それだけで、反り返った性器から滴る先走りは店長の服まで汚していく。

 指先で乳首を刺激する度に体の奥から競り上がってくるなにかに次第に腰の揺れも大きくなり、無意識の内に中のそれを自分の体へ擦りつけるように腰を上下させていて。
 体の中、大きくなる店長のものに嬉しさを覚えている自分がいた。

 気持ちよくなることで頭がいっぱいいっぱいだった。
 体裁とか、そんなもの考える余裕がなくて、夢中になって店長を感じようと腰を擦り付けていた、その瞬間。
 腰を固定され、下から大きく突き上げられる。

「ふ、ぁ、っああああッ」

 あまりの快感に絡み合っていた舌が離れ、そして、俺はとうとう店長に触ってももらえないまま射精した。




「すみません、俺、俺……っ!」

 夢中になってたとはいえ、なんてことをしてしまったのだろうか。
 事後。
 冷めていく頭の中、俺は店長のスーツを汚す自分から吐出されたブツを見て青褪める。

「別にこれくらい気にしなくてもいい」
「えっ?!いいんですか?!でっ、でも、なんか高そうですけど……」
「恋人がしでかしたことだ。このくらいのこと、可愛い方だろ」

 言いながら、スーツを脱ぐ店長。
 嘘だ、あの金にがめつい店長が笑って流すなんて。
 絶対給引きで脅してくると思っていただけに耳を疑わずにはいられなくて。

「ほ、ほんとうに……?」
「ああ。……その代わり、今日は閉店まで付き合ってもらうぞ」
「え」
「ん?クリーニング代払ってくれるのか?」

 笑顔で尋ねてくる店長に、慌てて俺は「の、残ります!」と挙手する。
 下手に恩を着せてしまい後から脅されるという可能性を考えれば、なにか店長のためにしたかった。

「なら、掃除の方は頼むぞ」
「はいっ」
「それと…」
「?」
「いや、なんでもない」

 そう言って、店長に首筋を触られる。
 何事かと店長を見るが、店長は笑うばかりで。

 結局、店長と一旦別れた俺は取り敢えず乾いた喉を潤すために休憩室へ向かった。
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