37 / 91
モンスターファミリー
原田家ツアー参加者二名 *店長side
しおりを挟む
「というわけで、出発進行!」
「店長、声うるさいです」
「す……すまない……」
店を紀平に任せ、駐車場に停めてある司の車へと乗り込んだ俺たち。
目的地は勿論原田の家だ。目的は、言わずもがな原田救出だ。
本当なら他人の家の問題に、ましてや未奈人先輩に首を突っ込みたくないのだが先輩の性格を知っている俺としては帰るのを嫌がる原田が無下で仕方ない。
つまりはまあ、お節介だ。あとは原田がいると色々都合がいい。ちょっかいかけようとシフト入れてくるサボり魔が多いことも事実だ。
というわけで、そのサボり魔の一人、時川司の運転する車で向かうことにしたのだが。
「ところで、喉乾きませんか。コンビニ寄っていいです?あと、向こうの方ってトイレあるんですかね。あ、ハンバーガー…」
「時川、お前実はものすごく観光気分だろ」
車を走らせるなりあっちこっち目移りする時川は腹が減っているのだろうか。人の返事も待たずにコンビニ駐車場に停車する時川。
「……そんなことこないですよ。原田さんのことは気になってますけど」
眉を顰める俺に、特にムキになるわけでもなく変わらない調子で答える時川は珍しく口籠る。
なんとなく気になって「けど?」と続きを促せば、窓の外を見つめたまま時川はぽつりと呟いた。
「腹が減っては戦は出来ぬ、っていうじゃないですか」
「お前、戦争を仕掛けるつもりか……!」
「…………」
「そしてここでまさかのノーコメント……!」
時川が冗談を言うようなやつとは思わなかったし、じゃないにしてもなかなか物騒なやつめ。
そこまで原田が気になるのか?青春かこの野郎…と思いながら横目でやつを盗み見ればめっちゃ目がきらきらしてる。あ、違うこれただの好奇心だ。下世話な好奇心の目だ。
「ま……まあいい。ならば好きなだけ腹ごしらえをしてくるがいい!」
「って言った側から居ない!」ごほんと咳払いした矢先に車を降りコンビニへと向かう時川。
本当こいつマイペースというかなんなんだこいつは!
「時川、肉まんも頼む!」
道程は長い。
「店長、声うるさいです」
「す……すまない……」
店を紀平に任せ、駐車場に停めてある司の車へと乗り込んだ俺たち。
目的地は勿論原田の家だ。目的は、言わずもがな原田救出だ。
本当なら他人の家の問題に、ましてや未奈人先輩に首を突っ込みたくないのだが先輩の性格を知っている俺としては帰るのを嫌がる原田が無下で仕方ない。
つまりはまあ、お節介だ。あとは原田がいると色々都合がいい。ちょっかいかけようとシフト入れてくるサボり魔が多いことも事実だ。
というわけで、そのサボり魔の一人、時川司の運転する車で向かうことにしたのだが。
「ところで、喉乾きませんか。コンビニ寄っていいです?あと、向こうの方ってトイレあるんですかね。あ、ハンバーガー…」
「時川、お前実はものすごく観光気分だろ」
車を走らせるなりあっちこっち目移りする時川は腹が減っているのだろうか。人の返事も待たずにコンビニ駐車場に停車する時川。
「……そんなことこないですよ。原田さんのことは気になってますけど」
眉を顰める俺に、特にムキになるわけでもなく変わらない調子で答える時川は珍しく口籠る。
なんとなく気になって「けど?」と続きを促せば、窓の外を見つめたまま時川はぽつりと呟いた。
「腹が減っては戦は出来ぬ、っていうじゃないですか」
「お前、戦争を仕掛けるつもりか……!」
「…………」
「そしてここでまさかのノーコメント……!」
時川が冗談を言うようなやつとは思わなかったし、じゃないにしてもなかなか物騒なやつめ。
そこまで原田が気になるのか?青春かこの野郎…と思いながら横目でやつを盗み見ればめっちゃ目がきらきらしてる。あ、違うこれただの好奇心だ。下世話な好奇心の目だ。
「ま……まあいい。ならば好きなだけ腹ごしらえをしてくるがいい!」
「って言った側から居ない!」ごほんと咳払いした矢先に車を降りコンビニへと向かう時川。
本当こいつマイペースというかなんなんだこいつは!
「時川、肉まんも頼む!」
道程は長い。
13
お気に入りに追加
409
あなたにおすすめの小説
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
三十歳童貞で魔法使いになれるなら五十歳童貞は魔王になれる~実は創世神だそうです~
高槻桂
BL
水原敬介は今年で五十二歳を迎える会社員である。
心優しいが地味でモテた試しがなくなんとなくこの歳まで誰ともお付き合いしたこともなければ手の一つもまともに握ったことのないままきてしまった。
そんな敬介はある日、不思議な光に包まれた女性をかばってその光に飲まれて異世界に飛ばされてしまう。
その異世界で敬介は魔王だと言われてしまう。それは五十歳を過ぎても童貞だと魔王になるのだと言われて・・・?
黒猫獣人×おっさん魔王の恋物語!
義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。
アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。
捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!!
承諾してしまった真名に
「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。
【R-18】踊り狂えその身朽ちるまで
あっきコタロウ
恋愛
投稿小説&漫画「そしてふたりでワルツを(http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/630048599/)」のR-18外伝集。
連作のつもりだけどエロだから好きな所だけおつまみしてってください。
ニッチなものが含まれるのでまえがきにてシチュ明記。苦手な回は避けてどうぞ。
IF(7話)は本編からの派生。
最狂公爵閣下のお気に入り
白乃いちじく
ファンタジー
「お姉さんなんだから、我慢しなさい」
そんな母親の一言で、楽しかった誕生会が一転、暗雲に包まれる。
今日15才になる伯爵令嬢のセレスティナには、一つ年下の妹がいる。妹のジーナはとてもかわいい。蜂蜜色の髪に愛らしい顔立ち。何より甘え上手で、両親だけでなく皆から可愛がられる。
どうして自分だけ? セレスティナの心からそんな鬱屈した思いが吹き出した。
どうしていつもいつも、自分だけが我慢しなさいって、そう言われるのか……。お姉さんなんだから……それはまるで呪いの言葉のよう。私と妹のどこが違うの? 年なんか一つしか違わない。私だってジーナと同じお父様とお母様の子供なのに……。叱られるのはいつも自分だけ。お決まりの言葉は「お姉さんなんだから……」
お姉さんなんて、なりたくてなったわけじゃない!
そんな叫びに応えてくれたのは、銀髪の紳士、オルモード公爵様だった。
***登場人物初期設定年齢変更のお知らせ***
セレスティナ 12才(変更前)→15才(変更後) シャーロット 13才(変更前)→16才(変更後)
【R18】翡翠の鎖
環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。
※R18描写あり→*
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる