アダルトな大人

田原摩耶

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サディスティック・サディズム

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「いやだ、離せって、離せよ……いッ!」

 いきなり胸ぐらを掴まれたかと思えば今度は乱暴に床に引き摺り落とされる。
 まともに受け身が取れず尻餅をついた俺は一体なんなんだと目の前の野郎を見上げる。
 まるで押し倒されたような嫌なアングルに血の気が引くのを感じたとき、伸びてきた手に着ていた服をたくし上げられる。

「やだ、おいっやめろっ! やめ、ぁ、脱がせんなって、やだ、四川…っ」

 外気に晒される腹部に身震いした俺は慌てて捲り上がった服を整えようとするが、呆気なく服の中に侵入した四川の手に胸元をまさぐられ全身が緊張する。

「触んなってば、やだ、しせ……ッ」

 一瞬殴られるのかと身構えたが、入り込んでくる四川の手は吟味するように人の体に触れるばかりで。先程のやり取りを思い出した俺は全身の血の気が引いていくのを感じた。
 やばい、こいつまじでヤるつもりかよ。

「四川じゃねえだろ? ……お前の方が新入りなんだから俺のことは四川先輩って呼べ。あと敬語な」

 てめえ調子にのんじゃねえとぶん殴りかかりたいところだが実際自分よりもでかい男に押し倒され、あまつさえ脱がされそうになってみると反抗心は萎えるもので。
 目が据わった四川に見下ろされれば恐怖に凍り付いた。

「っ……わかった、わかったから……ッ!」

 あまりにも理不尽且つ傲慢な四川の要求に対し、俺は白旗をあげた。

「おねが、ぃ……や…っやめ……て、くださ……ッ」

 そして懇願。
 なにが情けないって同年代であろうイケメン相手に力負けし、懇願する自分の声が震えてしまっていることが。
 プライドはある。あるが、わけのわからない理由で貞操の危機になるようなことは避けたい。
 そうテンパる中でも色々打算した結果、そんなプライドを放ってこいつに媚びうるのがこの危機を忌避する最善の方法だった。
 しかし、肝心の四川はこちらを見下ろしたまま微動だにしない。
 別に「お前の言うことなんか聞くかよバーカ!」とか言ってほしいわけではないが、なんとなく、嫌な予感がした。

「しせ……ん……?」

 先程までの横暴な態度が嘘みたいに静止した四川に逆に不安になってきた俺は恐る恐る四川を見上げた。
 その瞬間だった。
 髪を掴まれたと思ったら気付いたときには深く唇を塞がれていた。
 今まで短髪にするのが嫌で伸ばしたまま放置してた髪が今ここでこのような弊害を産むなんて。俺が坊主ならば、この男にこうして安易に捕まることなどなかったのかもしれない。なんて、思ったところで後の祭りだ。

「んんぅッ!」

 一度ならぬ二度までも人のセカンドキスをうばうこの男に、怒りやらなんやらで俺はもう頭がパンクしそうになっていた。
 必死に顔を逸らそうとするが、顎を掴まれてがっちりと固定されればどうしようもない。血で濡れた舌で舌ごと絡め取られ、性器かなにかのようにじゅぶじゅぶと舌を愛撫されるのだ。
 つか、なんで今の流れでキスだよ。俺ちゃんと言ったじゃん!おかしいだろ!
 酸素を奪われ若干泣きそうになったとき、体を弄っていたやつの手に平らな胸を撫でられる。

「ふっ、ぅう……ッんっ、むぅ……ッ!」

 思いっきりシャツの裾を捲られたかと思えば、直接肌を撫でる四川の手に胸を揉まれ、息を飲む。
 身動ぎをし、やつの体の下から抜け出そうとするが上からのキスと胸を弄るこの手のせいで集中力が乱され思考力が低下する。

「ぅ、んんッ、ふ……ぅう……ッ」

 突起の輪郭をなぞるように指先で乳輪を撫でられれば全身の血液は胸元へと集中し、先っぽが固くなるのがわかった。
 擽ったさから逃げるよう胸元を仰け反らせるがただ相手に胸を突き出すような形になってしまい、それがかえってこの男を喜ばせる結果となったらしい。
 乳輪をなぞっていた四川の指はそのままつんと勃った乳首を引っ張り、伸びた側面を指の腹で撫でられるのだ。

「んんぅ……ッ! ぅ、んん……っ!」

 背筋に嫌なものが走る。毛穴という毛穴からぶわりと汗が滲み、爪先から胸元へと這い上がってくる奇妙な感覚に下腹部がじわりと熱くなる。やばい、なんだ、なんだこれ。
 熱くて、むず痒くて、もどかしい。それ以上に女みたいに胸を弄られるのが恥ずかしくて背中を丸めて四川の手から逃げようとしたとき、唇が離れる。
 そして。

「……気が変わった」

 そう一言。
 ディルドを床へと放り投げた。

「な、に……言って……ッ」
「それ返して終わろうと思ったけど、それだけじゃ物足りねえだろ。お前も」
「……へ?」

 そして俺が逃げないよう俺の腹部に腰を下ろした四川は自分のベルトを掴む。器用に片手でその厳ついバックルを外したやつは、そのままベルトを引き抜いた。
 その時点でもう嫌な予感は感じていた。

「や、ちょ、な、にして……っ」
「ヤダとか、ナニとか、わかんねえふりしてぶってんじゃねえよ。……分かってるくせによぉ」

 頭上で束ねられた両手首をベルトでがっちりと拘束され血の気が引いた。
 そして、そんな俺にやつはトドメを刺してくる。

「……せっかくだし最後までしてやるよ」
「なんでだよ、ちゃんと謝っただろ……っ」

 あまりにも理不尽かつ理解不能な四川の言葉に狼狽える。
「なんでだって?」と口角を上げるやつに、次の瞬間髪を掴まれ無理矢理顔を上げさせられた。

「んなの、ボッキしたからに決まってんだろうが」
「は……っ?」

 顔のすぐ横。膝立ちになった四川の下腹部を押し付けられ、全身が凍り付く。テント張った下半身。どこからどう見ても疑う余地のない勃起である。つか、どこで。てか、でかくないですか。とかんなことはどうでもいい。

「……っ、や、やっぱホモじゃねえかっ!変態野郎!」
「だからホモじゃねえって言ってんだろうが、いい加減覚えとけ!」
「変態も否定しろよ! ……っぐ、この……っ汚いもの近付けんな、この……っ!」
「はッ……つーかさあ、お前、自分の状況わかってんのかよ。今すぐ慣らさないでそのケツにぶち込んで血まみれにしてやってもいいんだぜこっちはよ」
「っ、な……」
「口には気をつけろよ、原田」

 うっかり想像し、指先から体温が抜け落ちる。
 ローションがあったからこそこのディルドも耐えられたものなのに、それが無しで挿入されてみろ。この世の終わりだ。
 青ざめる俺を見ては四川はにやにやと笑いながらパンツの前を寛げ、下着ごとずり下ろすようにして自らの性器を露出させた。瞬間、勢いよく飛び出し、血管を浮かばせたグロテスクなそれに息を飲む。
 他人の性器をこんなに間近で見ることがあっただろうか。臍にくっつきそうなくらいバキバキに勃起したそれは少し擦っただけでも暴発しそうなくらいはち切れんばかりに主張していて。つうか、とどのつまりクソでかい。
 イケメンのくせに巨根とかなんの嫌がらせだよ全国の童貞に謝って去勢してほしい。
 しかしそんな俺の怒りも虚しく、顔を背けた先、ぷにっと肉質のあるそれが唇に触れる。それがなんなのか想像したくもない。厭でも絡みついてくるような雄の匂いに、じわりと汗が滲む。

「な……に、っ」
「しゃぶれよ」
「……は?」
「口でイカせてくれたら今日のところは挿入は止めてやる」

 赤く露出した亀頭でくにくにと唇を撫でる四川はやっぱり偉そうに言いやがった。
 意味がわからない。いや相手が言っているその意味は辛うじて理解出来たがなぜ俺がこいつのを、しかも命令されて大人しくしゃぶらなければならないのかはまったくもって理解不能だ。

「……んだよそれ、なんで俺がそんなこと……ッ!」
「ならいいや、じゃあ勝手にお前のケツハメさせて貰うから」
「んな……ッ」
「因みに俺ゴムもローションも使わねえ主義だから中出しで腹壊してもローション無しで慣らさないで挿れて中裂けても我慢しろよ」

「それに俺の。お前みてーのと違ってデカいらしいから、もしかしたらすっげえ痛いかもしんねーな」ごめんな、と皮肉めいた笑いを浮かべるこいつにもう、俺は怒髪天だった。確かにやつのはデカイが、俺だって、俺だって平均より小さくはない……はずだ!(AV調べ)
 ムカついた。ケツの危機とかそんなの知らねえ。むかつきにむかついて目の前のやつご自慢の息子さんのそのご尊顔に唾を吐けば見事命中。

「別に、お前なんかデカくねえよ」

「自惚れんじゃねえ、粗チン野郎が」吐いた唾を被った亀頭はどろりと濡れる。思いっきり睨めば、やつの表情が凍り付く。そして、びき、と音を立てその額には青筋が浮かんだ。

「……へえ?」

 薄く笑みを浮かべた四川の顔に先ほどの余裕はなく、ただ全身から滲み出す怒りだけが手に取るようにわかった。
 そこで、ハッとした。ああ、やってしまった。と。

 正直に言おう。誠に遺憾だが、悔しいが、残念ながらこいつは粗チンでもないし平均よりもでかい方だろう(AV調べ)。要するに負け惜しみだ。
 昔からよく『文句言うときだけは口が達者だな』とエリートの兄には蔑まれ、反抗期の妹には『おい糞、底辺が生意気な口聞いてんじゃねえよ。根性叩き直してやろうか』と殴りかかられるくらいは口の悪さには定評があった。
 しかしまあ俺もこの年だし心機一転しておしとやかで物腰柔らかな好青年を目指していた。目指したつもりだが、やはりそう簡単には治らないようだ。煽ったところで勝てるはずないとわかってても、ついやってしまったと後悔したところで全部遅い。

「っぐ」

 垂らした前髪を掴まれ、無理矢理顔を上げさせられる。
 目の前には先ほどの勃起ちんこ。
 あれ、四川さんなんかさっきより大きくなってませんかというか髪が抜けるのでもう少し優しくお願いします痛い痛い痛い待ってまじでそれ顔に塗りつけるのやめてくれ。

「……おい、口を開けろ。こんくらいの粗チンなら簡単に咥えられんだろ?」

「なあ、原田」と低く囁くねっとりとした四川の声にぞくりと背筋が震える。頬から唇へと亀頭、その先端から滲む先走りを塗りつけるように動かされ、心臓が爆発しそうなくらい早鐘を打ち始める。
 んなこと、するかよ。
 その一心で硬くぎゅっと唇を噛み、顔を逸らそうとしたときだ。伸びてきた手に鼻の頭を摘ままれた。
 鼻までも塞がれ、呼吸を邪魔された俺は息苦しさに耐えきれずに思わず口を開いた。そして自分の失態に気付く。
 もしかしてこれはよく強姦もののフェラ強要である鼻を塞いで無理矢理開口からの無理矢理捩じ込むという──…。

「んぶッ」

 と思考した矢先、開きかけた口を割り開くように固い肉棒を捩じ込まれる。やべ、待て、まじなんだ、これ!死ぬ死ぬ死ぬ!と狼狽える暇もなくそのまま喉奥まで一気に貫かれ、体が、喉が震えた。

「ん゛ぅ、ぐ、んんん……っ!」

 必死に舌で押し出そうとするが、後頭部に回されたやつの手は更に喉奥まで挿入しようと腰を押し付けてきやがるのだ。結果、ただ性器に舌を纏わりつかせることしかできないどころか、四川はそれを気持ち良さそうに目を細め、更に腰を前後させ、喉全体を刺激してきた。

「んぐ、ぅ゛えッ」

 口いっぱいに広がる野郎の匂いに具合が悪くなる。それなのに、上顎から喉ちんこ付近までを太いそれで擦られれば唾液が止まらず、息苦しさのあまり縮小する器官に更に四川のぶつが反応するのだ。

「……おいおいおい、どうしたんだよそんな苦しそうな顔して。こんな粗チン突っ込まれたくらいでまさか根ぇ上げねえよな」
「ふ、ぐぅ……っんんぶっ!!」
「――舌を使って今すぐイカせろ。歯ぁ立てたら潰す」

 後頭部を掴み、ぐりぐりと自分の腰に押し付ける四川はそう笑う。
 どこのAVだよ、と突っ込みたくなったがこの台詞が使われるAVが強姦・凌辱ものばかりだということに気付いた俺は改めて自分の置かれた立場を理解し、青ざめた。



 身から出たサビ。口は災の元。なんたらかんたら。
 よく言ったものだと思う。
 余計なことを言ったせいでこんなことになってるのだから救いようがない。




「っふ、んぅ……っ」

 捩じ込まれた勃起性器の全体を絞り上げるように口輪筋を締め、頭ごと上下させ、刺激する。
 その度に口の中ではじゅぽじゅぽと耳を塞ぎたくなるような濡れた音ともに、性器の先端から滲む先走りと口の中に溜まった唾液が混ざり合っては泡立つのだ。そのとき口いっぱいに広がる独特の青臭い味に吐き気を覚えずにはいられない。
 何度かえずいたがやはり口のなかのものを締め付けてしまうだけでその度にその刺激で膨張する性器に喉を圧迫されまたえずく。まさに悪循環。

「は……っ、お前口ん中あったけー。……クソ生意気なこと言ってた割には、まあ、なかなか名器じゃねえかよ」
「っ、ぐ、ぶ……っ」
「おい、先っぽばっかじゃなくて根本まで舐めろよ。楽してんじゃねえぞ」
「っ、んむ、ぅぅう……っ!」

 くそ、腹立つのに、口の中パンパンに詰まったそれを飲み込むのが精一杯で言葉を発することも困難で。
 口いっぱいに頬張ったそれを尿道口から滲む先走りごと吸い上げれば、やつは小さく身動ぎをさせる。小さく漏れる吐息混ざりの呻き声、それとともに口の中のそれも微かに震えた。

「ッハ、下手くそなりに……まあ、頑張ってる方じゃねえの……ッ!」

 嘘つけ、だいぶ気持ちいいだろうが!
 口の中、ドクドクと脈打つそれから溢れる先走りは明らかに量が増してる。根本から絡めるように舌を這わせれば、それだけで四川の腰が震えるのがわかった。
 そのまま裏スジの太い血管をなぞるようにゆっくりと滑らせれば、確かに口の中の性器の打つ脈が速くなる。
 ふふん、どうだAVを見よう見真似でパクった舌遣いは!
 とにかくこの状況を打破するためにさっさと四川をイカせることが先決である。
 口の中全体を性器に見立て、ストロークで締め付けながら先っぽをからカリの凹凸を舌でくすぐれば、「は」と短く四川は息を吐いた。
 確実に浅くなる呼吸。やつの余裕ぶっこいていた面から笑みが消え、睨むような視線とともに痙攣するやつの下腹部に顔を寄せたまま俺はさっさとイけさっさとイけと念じつつ、先っぽ、その尿道口を吸い上げた。そのとき。

「んぐっ」

 伸びてきた両手に頭を固定される。そして、一気に喉奥まで咥えさせられた状態であろうことか四川の野郎は腰を動かしてきやがったのだ。

「っん゛んーッ、ふっ、ぅぐッ、ぅう゛ッ!」

 唇、そしてその舌の上を滑るように何度も出し入れさせられる大きさのある肉棒に喉奥を突かれる度、目の前は白ばみ、顎が外れそうになる。呼吸などする暇なかった。まるでオナホよろしく好き勝手口の中を蹂躙され、あまりの息苦しさに視界が滲む。

「っ、おぉ……やべ、すっげ……絞まるわこの喉マンコ……っ!」
「ぅ、う゛ッ、ぐ、ぅ……ッ!」
「っ、ははっ! だらしねえ顔だな。……っ、もっと可愛い顔出来ねえのかよ……っ!」

 喉を塞ぐように刺激され、まともに酸素を取り入れることが出来るわけなんてない。
 なにがなんだかわからずもがきながらもただされるがままになる俺に、四川は固定していた頭部から片手を離した。
 拘束は緩まったわけではない、相変わらず片手で頭を押さえつけられたまま腰を打ち付けられ、口の中を犯される。
 こんな状態で、かわいい顔などできるか。つか、俺にそんなものを求めるな。そう、顔をあげた俺はそのまま硬直した。

「っふ、んぐ……ッ!」

 四川の手には悪趣味なカバーの携帯端末が握られており、内蔵されたカメラのレンズがちんこをしゃぶる人の顔に向けられていた。
 なにを、と、問いかける暇もなかった。
 全身の血の気が引き、動きを止める俺の後頭部をぐっと自分の下腹部へと押さえ付けた四川は、そのまま俺の顔へと腰を打ち付ける。
 容赦ないピストン。その都度ぬるぬるとした硬い性器が口の中を行き来し、いままさにこの状況がやつの携帯に録画されていると思ったらなんかもう舌ごとちんこ噛みきってやりたいくらいだった。しかし硬くてでかくて歯を立て噛み合わせることすら出来ないという事実がひたすら悲しい。
 結果、俺の細やかな抵抗も虚しくこの暴力に等しい行為は録画されながらも続けられる。

「っ、こっち見ろよ、原田」
「っ、んぶ、ぅ……ぐ……ッ! っふ、ぐ……っ!」
「なあ、見ろって……せっかく撮ってやってんだから目線くらい向けろよ……っ!」

 甘えるような声で人の喉犯すこのクソ野郎は人の髪に指を絡めるように頭を撫でる。その感触が、やけに甘ったるい声が場違いで余計ゾクゾクして、絶対に見てやるものかと目を伏せる。悲しきかな、今の俺にはそれしかできなかった。
 けれども、そんな俺の意思なんて無視して口の中の喉奥を犯す性器のドクドクと脈打つ鼓動は加速し、今にも破裂しそうなくらいガチガチに硬くなったそれはどうみても射精寸前のもので。
 そして、次第に四川の言葉数も減っていく。
 浅い呼吸と、濡れた音が響く更衣室内。それは突然やってくる。

「っクソ……ッ!!」

 舌打ち混じり、呻いた四川はそのまま俺の頭部を抱き寄せれば、喉ちんこを掠めて喉奥へと挿入する。やばい、と思った次の瞬間、案の定、口の中のブツから大量の精液が放出された。

「ん゛ん゛ぅ~~ッ!!」

 喉の奥、勃起したそれからは想像していたよりも熱い液体が放出され、喉へと直接大量の精液が注ぎ込まれる。それを吐き出すことすら許されなかった。
 口から鼻へと突き抜ける不快な味に、ごぷりと音を立て口の隙間から溢れる粘着質な液体はそのまま口許から顎先まで汚した。
 そして、

「ぅおえッ」

 満足したのか、四川のものが引き抜かれると同時に口に残った粘ついたそれらを吐き出そうとしたときだ。
 バンッ!と音を立て男子更衣室の扉が開いた。
 扉を向いたまま硬直する俺。
 そして、扉の先には袋に入った新品エプロンを持ったあの笹山とかいう赤いエクステのスタッフ。
 それから、ちんこ手にしたままの四川。
 更に嘔吐を止めることができず、だーっと開いた口から精液を垂れ流す俺。
 沈黙が走る更衣室内、青ざめる笹山の手からぼとりとエプロンが落ちた。

 …………終わった。
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