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第二十九話 報復
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「知っている」
トビアスの言葉はマユタンが『能力解析』のスキルで得た情報に対するものだった。『万物拒絶』が進化によって強化されて、能力効果と物理ダメージを無効化する全身コーティングになることを、彼は知っていたということになる。
「前に進化した『能力解析』の使い手に会ったことがある。『能力解析』は強化されると、進化後の能力もわかるそうだ。進化後の力を知ってから、俺は能力が強化される日を待っていた。バカにされようが、こき使われようが、いつか報復できる日が来ると信じてな」
ロブレヒトを睨むと、トビアスは右手を突き上げた。
「報いを受けろ、ロブレヒト!」
トビアスの前と後ろに黒い膜が出現する。それを見たカイルが慌てて叫ぶ。
「誰か、奴に『発動阻止』を!」
カイルの声を聴き、少し離れた場所にいたユーリが、その場から『発動阻止』の白い光をトビアスに放った。光は黒い膜に吸収され、効果を発揮することなく消え去る。
「効かない……。それなら!」
『発動阻止』を無効化されたことを確認すると、ユーリは『無効波動』を発動させた。彼女を中心に空気の波が辺り一面に広がる。
本来は発動した能力を無効化する波も、トビアスが出した黒い膜に触れると、一瞬で消滅した。
黒い膜はトビアスの体を挟み、彼の体を黒く塗りつぶす。ピッタリと体にフィットする全身パックを施したような状態となったが、頭部だけはフルフェイスヘルメットの上からパックされた感じになる。何も知らない人が見れば、黒い銅像にしか見えないだろう。
トビアスの顔は見えなくなったが、彼が笑っているのは声でわかった。顔も膜で覆われているせいか、その声はこもって聴こえてくる。
「『硫酸降雨』」
アビリティ名をトビアスが口にすると、天井付近に灰色の雲が広がっていった。絨毯にシミが広がるように、じわじわと天井を覆い始める。
「早く、トビアスを強化素材に!」
「いや、しかし……またベースユニットのセットに失敗したら、今度はお前を失うかもしれない……」
カイルが強化を呼びかけるも、ロブレヒトは腰を抜かし、怯えるだけだった。
強化素材にするのは無理だと判断すると、カイルはトビアスに殴り掛かった。黒い膜で覆われたトビアスの体は、殴られるとガンッという金属に近い音を発した。攻撃した側であるカイルの手が腫れ、トビアスの笑い声が響く。
「カイル、物理ダメージも無効化すると聴いただろう? 無駄なことは、やめるんだな」
広がった灰色の雲から、ポツリ、ポツリと雨が降ってくる。次第に強まり始めた雨は、触れたものを溶かしていく。
「キャーーッ!」
「何なの!? この雨」
各所で悲鳴が上がり、設置された垂れ幕も破れていく。幸いにも、伊吹たちは地面から斜めに突き出た巨大な鉄壁が雨を遮り、体を溶かされることはなかった。その壁はウサウサが伊吹を対象に発動した『好意防壁』によるものだった。
雨を遮る手段を持たない者たちは、酸性度の高い雨によって皮膚がただれ、その痛みと突然の事態に混乱していた。中には『可逆治癒』のスキルで手当てする者や、来場者を入り口へと誘導するスタッフの姿もあった。
バトルフィールドでは、『球体錬成』で出した球体を傘代わりにするマリーナとシモンヌが、雨によって穴ぼこだらけになった揚げ物を見つめていた。
「せっかく作った揚げ物が……。誰よ、この雨を降らせてるのは!」
「マリーナ、アイツよ!」
シモンヌがトビアスを指すと、マリーナは壁に掛けられていた鎖付きの鉄球を『物体移動』で動かし、トビアスに向かって投げつけた。
鉄球はトビアスの背中に当たったが、黒い膜に何ら変化はなかった。
「何なのよ、あれ!?」
呆然とトビアスを見上げるマリーナを、シモンヌが肘でつつく。
「マリーナ、ここにいたらマズいわ。水が流れてきてる」
会場全体に降り注いだ雨は、階段状の観客席を下へと流れ、より低い位置にあるバトルフィールドに集まり始めていた。フィールドと観客席を繋ぐ階段部分を、酸性度の高い水が駆け下りてくる。
「ぐぬぬぬ!」
悔しさと怒りを堪えながら、マリーナは観客席を目指した。シモンヌも彼女についていったが、二人とも流れてくる水が靴に染み込み、焼けるような痛みに襲われていた。
一方、カイルはトビアスからの集中攻撃にさらされていた。全体に降り注ぐ雨とは別に、雲の中心部から高圧で噴射される水が、観客席の上を逃げ回る彼の後を追っていた。
何とか避けていたカイルだったが、雨に濡れた地面で足を滑らせ、避けきれずに左肩に直撃を食らう。
「うっ……」
体毛が溶けて、皮膚がむき出しになる。見たくない光景だったのか、ウサウサの『光耀遮蔽』がカイルの肩を光で覆う。その光も、カイルが『可逆治癒』で元の状態に戻すと消え去った。
「お前の狙いは、彼じゃなかったのか?」
カイルの視線の先には、腰を抜かしたままのロブレヒトがいた。酸の雨でただれた手を見て、うめき声をあげている。
「そうだとも、カイル。だが、順番がある。ここにいるロブレヒトのユニットは、俺とお前だけ。お前が死ねば、俺は強化素材にされない。俺は自由になる!」
ロブレヒトが進化対象の選択に失敗し、強化に対する躊躇いを抱いたことで、トビアスには余裕があった。そのため、ロブレヒトを殺すことでユニット契約が破棄され、『脳内変換』が適用されなくなる不自由さを避けたい気持ちが、先にカイルを狙わせていた。
それとて、新たな所有者を見つければ済む話ではあるが、どうせならロブレヒトのユニットを自分だけにし、素材にならない安全を確保した上で、彼を痛めつけてやりたいという願望があった。だが、カイルの性格を考慮に入れると、自分の判断が間違っているように思えた。
トビアスはカイルではなく、雨を受けて弱っているロブレヒトに向けて水を噴射した。
「ぐあぁ……」
水がロブレヒトを直撃する寸前で、それをカイルが体を張って受け止めた。溶かされたカイルの腹部を『光耀遮蔽』の光が覆う。
「その男が、そんなに大事か? 優遇されてる奴は違うな」
カイルは『可逆治癒』で元に戻そうとするが、絶え間なく酸性度の高い水を浴びせられては、回復が追いつかなかった。それを見かねて、ウサウサがカイルの前に『好意防壁』を展開するも、知り合いですらない彼の前に出たのは50cm程度の土壁だった。
「みんな、あたいの話を聴いてくれ」
鉄壁の下で縮こまっていたチガヤたちの視線がサーヤに向く。
「このまま、ここにいるのは危険だ」
「でもでも、壁から離れたら雨が当たって、皮膚が溶けてしまうのだ」
マユタンの懸念にサーヤは軽く頷いて話を続けた。
「だから、あたいに考えがある。まず、ワニックの『瞬間加速』をかけられたイブキが、入り口まで全力で走る。倍のスピードなら、あの攻撃も避けられるハズ。ウサウサは走るイブキに対して『好意防壁』を展開してくれ。この壁みたいに」
そう言って斜めに出された鉄壁を指す。
「壁の間隔は空くかもしんないけど、うまくいけば鉄のトンネルになる」
「それなら、他の人たちも使えるね」
雨を受けて苦しんでいる人を見ながらチガヤが言う。目の前の惨劇に、彼女は涙を浮かべていた。
「わかった、やろう」
伊吹がワニックとウサウサを見ると、二人は強く頷いた。
「行くぞ」
ワニックが伊吹の背に手を当て、『瞬間加速』を発動させる。4秒間2倍のスピードで行動可能になった伊吹は、鉄壁を出て入り口に向かって全速力で走りだした。
「ン?」
トビアスは走り去っていく伊吹を一瞬見ただけで、すぐに攻撃しているカイルに視線を戻した。逆に、ウサウサは離れていく伊吹を注視し、走りを妨げないタイミングで斜めに鉄壁を展開していった。
伊吹が入り口に辿りつく頃には、防雪柵のごとく鉄壁が入り口に向かって並んでいた。その鉄壁の下を通って、マユタン、シオリン、ブリオ、ウサウサ、チガヤ、ワニックが走ってくる。一番最後にサーヤが飛んでくるのが見える。加速が終わってスピード半減タイムに入った伊吹は、その様子を呼吸を整えながら見守った。
仲間たちの後には他の観客たちも続き、その流れを指揮するユーリの姿も見えた。彼女は鉄壁の下に入らないまま誘導し、その身を雨に打たれていた。酸性度の高い水に痛がりながらも、役目を果たしている彼女を見て、自分も何かしなくてはという想いに駆られる。
「何とか、みんなここまで来れたね。早く外に出よう」
チガヤに促されてユニットたちが外へと歩みだす中、伊吹はトビアスの攻撃を受け続けるカイルを見ていた。
外に出ていく観客たちと肩がぶつかる。
そんな伊吹に気付いたのか、ワニックは肩にポンッと手をのせた。その目は物憂げだったが、何も語らなかった。助けてやりたい気持ちはわかるが、打つ手がないと言いたげな気がした。
「ワニックの『水分蒸発』で何とかならない?」
ワニックが指をパチンッと鳴らすも、降り注ぐ雨に何ら変化はなかった。『水分蒸発』が純粋な水にしか反応しないのは伊吹もわかっていた。
「やはり、この雨には効果が無いようだ」
予想通りの結果に奥歯を噛みしめる。何か手はないのかと思っていると、伊吹の横をすり抜けていく人影があった。
それは茶色のマントを羽織った青年だった。チェストミールの護衛役として来ていた彼は、場内に入ると『物質転送』で鉄の盾を呼び寄せ、それで雨をしのぎながら、トビアスへと直進していった。
トビアスの前まで来ると、今度は剣を呼び寄せて切りかかった。ガキンッという硬い音がして、青年の剣が砕け散った。青年はトビアスから間合いを取ると、今度は周囲に炎の壁を展開した。彼が持つアビリティ『爆炎障壁』の炎だった。
その炎にトビアスは全身を包まれたが、降り注ぐ雨は止むことはなかった。使われ続けるアビリティは、彼が健在であることを意味している。青年が『爆炎障壁』の炎を消すと、何ら変わるところのない黒い膜で覆われたトビアスの姿が現れた。
カイルを狙って噴射されていた水が、その方向を青年へと変える。高圧の水流を盾で防ぐものの、その表面には白い煙が上がっていた。青年がトビアスから距離を取っても、雲からの水は彼の後を追った。
『万物拒絶』によって全身が覆われたことで動けないとはいえ、トビアスは雲の下なら何処でも攻撃できた。
青年は諦めがついたのか、盾を投げ捨てると、再び入り口へと駆け戻ってきた。
「ダメでしたか……」
彼を出迎えたのはチェストミールだった。
「力になれず、申し訳ありません」
「ジェホシュが謝ることではありません。何とか、彼を助けられれば、よかったのですが……」
「残念ながら、彼の防御力は最強と言っていいでしょう。まるで、恐ろしいほどの硬度を持つ金属が、体に張り付いているようでした。それも、『無効波動』の効果を持った金属です」
チェストミールは頭を抱えて唸った。
「ここにいても危険です。外に出ましょう」
「致し方ない」
マントの青年ジェホシュに肩を抱かれるようにして、落ち込むチェストミールは外に出て行った。そんな二人の姿を見ていると、強そうに見えた彼でもダメなのに、自分に何が出来るのだろうという気になってくる。
「カリスタ、どうなっている!?」
怒鳴り声がした方を見ると、そこにはヒューゴとカリスタがいた。ヒューゴの前だからか、それともイベントが滅茶苦茶になったからか、カリスタの表情は怯えきっていた。
「あの……進化したユニットが……あの……」
「能力効果と物理ダメージを無効化するスキルを持った者が、酸の雨を降らせてパニックになっています。その者の言動から察するに、目的は所有者への報復です」
カリスタの代わりに、注意事項を伝えていた飛行ユニットが説明する。
「能力も物理攻撃もダメだと? ユニットの所有者はどうしている? なぜ、強化素材にして消さない?」
「それが、怯えきって腰を抜かしているようでして……」
「クソだな。俺様が代わりに強化素材にしてやりたいが、『所持変更』はできそうか?」
「今は無理ですね。体の表面がコーティングされているので、星印に触れることはできません。そもそも、そのコーティングによる能力効果と物理ダメージの無効化スキルのようです」
ヒューゴは天を仰いだ後に、再び飛行ユニットに話しかけた。
「さっき、言動から察するにって言ったよな? 奴とは話ができるか?」
「はい、可能です。先ほど、攻撃している相手と話しているのを確認しています」
「なら、『脳内変換』が無効化されていない上に、音も届くってわけだな。もっとも、聴いてる側は言葉が変換されていても、向こうは変換されちゃいないのかもしれんがな」
「変換されていないとなると、相手の言葉を想像して喋ってることになりますが……」
「まぁ、そんなことはどうでもいい。音が届くってことは、空気を震わせる攻撃が有効だって話だろ? ヨアキム、お前の『拡声調整』で音量を最大にして、奴の鼓膜を破ることはできないか?」
ヨアキムと呼ばれた飛行ユニットは首を横に振った。
「私のスキルでは難しいですね」
「なら、音関連の能力者を集めてきてくれ。対策を練る」
「かしこまりました」
一礼するとヨアキムは外に出て飛び去って行った。
「カリスタ、お前は『可逆治癒』を使える者と、水関係の能力者を集めて来い。ヨナーシュ辺りに頼んでもいい。水関係の能力者は、酸を浴びた者を洗うのに使えそうな奴だ。俺様は中に入って、避難誘導の指揮を執る」
「は、はい……」
カリスタは慌てながらも外へと飛び出していった。ヒューゴは一人、逃げ出していく観客に逆らって前に進んでいった。
観客席に出たヒューゴは、マリーナとシモンヌを見つけると呼び寄せ、逃げ遅れている人の上に『球体錬成』で出した球体を飛ばすことを指示した。
マリーナが『物体移動』で幾人もの頭上に球体を移動させ、球体が消えるまでの傘代わりとすると、シモンヌは消えたらすぐに交換できるように球体を作り続けた。マリーナよりも軽ければ人も『物体移動』で移動できたが、それを使うと重量的な問題で複数の球体を飛ばすことが出来なかった。
「誰か、この子を助けて!」
ユーリを担いだヨハンナが、巨大エリンギと一緒に入り口へとやってくる。背負われているユーリは、酸の雨を受け続けた為にグッタリしていた。彼女が着ているフリル付きのエプロン風ドレスは、もはや引き千切られたかのようにボロボロになっている。
「私が手当します!」
メタボ気味の男性が手を挙げ、人ごみをかき分けてユーリに近づいていく。彼は昨日のバトルでユーリの傍にいた回復役だった。
「待っててくださいね、ユーリさん。今、私の『可逆治癒』で治しますから」
回復役の男が背負われてるユーリに手をかざし、『可逆治癒』を発動させると、彼女の傷がみるみる治っていった。
「……あれ?」
傷が治って目を開いたユーリが、ヨハンナの背から降りて立つ。さっきまでいた場所と違うことにユーリが戸惑っていると、ヨハンナが彼女に抱きついた。彼女の体が元に戻ったのが嬉しかったのだ。
その光景を間近で見ていた伊吹の胸には、こみ上げてくるものがあった。
「イブキ……」
一度は会場の外に出て行ったチガヤが戻ってくる。彼女の後ろには、ワニック以外のユニットたちが控えていた。
「僕も何かしたいんだ」
目の前に、職務を全うして傷ついた子がいる。その子を救った人たちがいる。逃げ遅れた人たちを救おうとしている人がいる。なのに、自分だけ何もせずにはいられなかった。
かといって、何が自分に出来るのかわからなかった。だから、自分に出来ることは何かを必死になって考えた。人を癒す力は自分にはない。雨を遮る能力もない。『快感誘導』をトビアスに使ったところで無効化される。
可能性を潰し始めたところで、ヒューゴが話していたことを思い出す。“音が届くってことは、空気を震わせる攻撃が有効”という言葉を。それなら、声で、言葉で、彼の何かを変えることができる気がした。
彼を改心させるようなことは出来ないまでも、せめてスキルの使用を一時的にでもやめさせられたらと思考を巡らす。自分だったら、何をされたら、あのスキルの使用をやめるだろう。“恐ろしいほどの硬度を持つ金属が、体に張り付いているような”状態になったつもりで想像し、伊吹はひとつの答えを導き出した。
トビアスの言葉はマユタンが『能力解析』のスキルで得た情報に対するものだった。『万物拒絶』が進化によって強化されて、能力効果と物理ダメージを無効化する全身コーティングになることを、彼は知っていたということになる。
「前に進化した『能力解析』の使い手に会ったことがある。『能力解析』は強化されると、進化後の能力もわかるそうだ。進化後の力を知ってから、俺は能力が強化される日を待っていた。バカにされようが、こき使われようが、いつか報復できる日が来ると信じてな」
ロブレヒトを睨むと、トビアスは右手を突き上げた。
「報いを受けろ、ロブレヒト!」
トビアスの前と後ろに黒い膜が出現する。それを見たカイルが慌てて叫ぶ。
「誰か、奴に『発動阻止』を!」
カイルの声を聴き、少し離れた場所にいたユーリが、その場から『発動阻止』の白い光をトビアスに放った。光は黒い膜に吸収され、効果を発揮することなく消え去る。
「効かない……。それなら!」
『発動阻止』を無効化されたことを確認すると、ユーリは『無効波動』を発動させた。彼女を中心に空気の波が辺り一面に広がる。
本来は発動した能力を無効化する波も、トビアスが出した黒い膜に触れると、一瞬で消滅した。
黒い膜はトビアスの体を挟み、彼の体を黒く塗りつぶす。ピッタリと体にフィットする全身パックを施したような状態となったが、頭部だけはフルフェイスヘルメットの上からパックされた感じになる。何も知らない人が見れば、黒い銅像にしか見えないだろう。
トビアスの顔は見えなくなったが、彼が笑っているのは声でわかった。顔も膜で覆われているせいか、その声はこもって聴こえてくる。
「『硫酸降雨』」
アビリティ名をトビアスが口にすると、天井付近に灰色の雲が広がっていった。絨毯にシミが広がるように、じわじわと天井を覆い始める。
「早く、トビアスを強化素材に!」
「いや、しかし……またベースユニットのセットに失敗したら、今度はお前を失うかもしれない……」
カイルが強化を呼びかけるも、ロブレヒトは腰を抜かし、怯えるだけだった。
強化素材にするのは無理だと判断すると、カイルはトビアスに殴り掛かった。黒い膜で覆われたトビアスの体は、殴られるとガンッという金属に近い音を発した。攻撃した側であるカイルの手が腫れ、トビアスの笑い声が響く。
「カイル、物理ダメージも無効化すると聴いただろう? 無駄なことは、やめるんだな」
広がった灰色の雲から、ポツリ、ポツリと雨が降ってくる。次第に強まり始めた雨は、触れたものを溶かしていく。
「キャーーッ!」
「何なの!? この雨」
各所で悲鳴が上がり、設置された垂れ幕も破れていく。幸いにも、伊吹たちは地面から斜めに突き出た巨大な鉄壁が雨を遮り、体を溶かされることはなかった。その壁はウサウサが伊吹を対象に発動した『好意防壁』によるものだった。
雨を遮る手段を持たない者たちは、酸性度の高い雨によって皮膚がただれ、その痛みと突然の事態に混乱していた。中には『可逆治癒』のスキルで手当てする者や、来場者を入り口へと誘導するスタッフの姿もあった。
バトルフィールドでは、『球体錬成』で出した球体を傘代わりにするマリーナとシモンヌが、雨によって穴ぼこだらけになった揚げ物を見つめていた。
「せっかく作った揚げ物が……。誰よ、この雨を降らせてるのは!」
「マリーナ、アイツよ!」
シモンヌがトビアスを指すと、マリーナは壁に掛けられていた鎖付きの鉄球を『物体移動』で動かし、トビアスに向かって投げつけた。
鉄球はトビアスの背中に当たったが、黒い膜に何ら変化はなかった。
「何なのよ、あれ!?」
呆然とトビアスを見上げるマリーナを、シモンヌが肘でつつく。
「マリーナ、ここにいたらマズいわ。水が流れてきてる」
会場全体に降り注いだ雨は、階段状の観客席を下へと流れ、より低い位置にあるバトルフィールドに集まり始めていた。フィールドと観客席を繋ぐ階段部分を、酸性度の高い水が駆け下りてくる。
「ぐぬぬぬ!」
悔しさと怒りを堪えながら、マリーナは観客席を目指した。シモンヌも彼女についていったが、二人とも流れてくる水が靴に染み込み、焼けるような痛みに襲われていた。
一方、カイルはトビアスからの集中攻撃にさらされていた。全体に降り注ぐ雨とは別に、雲の中心部から高圧で噴射される水が、観客席の上を逃げ回る彼の後を追っていた。
何とか避けていたカイルだったが、雨に濡れた地面で足を滑らせ、避けきれずに左肩に直撃を食らう。
「うっ……」
体毛が溶けて、皮膚がむき出しになる。見たくない光景だったのか、ウサウサの『光耀遮蔽』がカイルの肩を光で覆う。その光も、カイルが『可逆治癒』で元の状態に戻すと消え去った。
「お前の狙いは、彼じゃなかったのか?」
カイルの視線の先には、腰を抜かしたままのロブレヒトがいた。酸の雨でただれた手を見て、うめき声をあげている。
「そうだとも、カイル。だが、順番がある。ここにいるロブレヒトのユニットは、俺とお前だけ。お前が死ねば、俺は強化素材にされない。俺は自由になる!」
ロブレヒトが進化対象の選択に失敗し、強化に対する躊躇いを抱いたことで、トビアスには余裕があった。そのため、ロブレヒトを殺すことでユニット契約が破棄され、『脳内変換』が適用されなくなる不自由さを避けたい気持ちが、先にカイルを狙わせていた。
それとて、新たな所有者を見つければ済む話ではあるが、どうせならロブレヒトのユニットを自分だけにし、素材にならない安全を確保した上で、彼を痛めつけてやりたいという願望があった。だが、カイルの性格を考慮に入れると、自分の判断が間違っているように思えた。
トビアスはカイルではなく、雨を受けて弱っているロブレヒトに向けて水を噴射した。
「ぐあぁ……」
水がロブレヒトを直撃する寸前で、それをカイルが体を張って受け止めた。溶かされたカイルの腹部を『光耀遮蔽』の光が覆う。
「その男が、そんなに大事か? 優遇されてる奴は違うな」
カイルは『可逆治癒』で元に戻そうとするが、絶え間なく酸性度の高い水を浴びせられては、回復が追いつかなかった。それを見かねて、ウサウサがカイルの前に『好意防壁』を展開するも、知り合いですらない彼の前に出たのは50cm程度の土壁だった。
「みんな、あたいの話を聴いてくれ」
鉄壁の下で縮こまっていたチガヤたちの視線がサーヤに向く。
「このまま、ここにいるのは危険だ」
「でもでも、壁から離れたら雨が当たって、皮膚が溶けてしまうのだ」
マユタンの懸念にサーヤは軽く頷いて話を続けた。
「だから、あたいに考えがある。まず、ワニックの『瞬間加速』をかけられたイブキが、入り口まで全力で走る。倍のスピードなら、あの攻撃も避けられるハズ。ウサウサは走るイブキに対して『好意防壁』を展開してくれ。この壁みたいに」
そう言って斜めに出された鉄壁を指す。
「壁の間隔は空くかもしんないけど、うまくいけば鉄のトンネルになる」
「それなら、他の人たちも使えるね」
雨を受けて苦しんでいる人を見ながらチガヤが言う。目の前の惨劇に、彼女は涙を浮かべていた。
「わかった、やろう」
伊吹がワニックとウサウサを見ると、二人は強く頷いた。
「行くぞ」
ワニックが伊吹の背に手を当て、『瞬間加速』を発動させる。4秒間2倍のスピードで行動可能になった伊吹は、鉄壁を出て入り口に向かって全速力で走りだした。
「ン?」
トビアスは走り去っていく伊吹を一瞬見ただけで、すぐに攻撃しているカイルに視線を戻した。逆に、ウサウサは離れていく伊吹を注視し、走りを妨げないタイミングで斜めに鉄壁を展開していった。
伊吹が入り口に辿りつく頃には、防雪柵のごとく鉄壁が入り口に向かって並んでいた。その鉄壁の下を通って、マユタン、シオリン、ブリオ、ウサウサ、チガヤ、ワニックが走ってくる。一番最後にサーヤが飛んでくるのが見える。加速が終わってスピード半減タイムに入った伊吹は、その様子を呼吸を整えながら見守った。
仲間たちの後には他の観客たちも続き、その流れを指揮するユーリの姿も見えた。彼女は鉄壁の下に入らないまま誘導し、その身を雨に打たれていた。酸性度の高い水に痛がりながらも、役目を果たしている彼女を見て、自分も何かしなくてはという想いに駆られる。
「何とか、みんなここまで来れたね。早く外に出よう」
チガヤに促されてユニットたちが外へと歩みだす中、伊吹はトビアスの攻撃を受け続けるカイルを見ていた。
外に出ていく観客たちと肩がぶつかる。
そんな伊吹に気付いたのか、ワニックは肩にポンッと手をのせた。その目は物憂げだったが、何も語らなかった。助けてやりたい気持ちはわかるが、打つ手がないと言いたげな気がした。
「ワニックの『水分蒸発』で何とかならない?」
ワニックが指をパチンッと鳴らすも、降り注ぐ雨に何ら変化はなかった。『水分蒸発』が純粋な水にしか反応しないのは伊吹もわかっていた。
「やはり、この雨には効果が無いようだ」
予想通りの結果に奥歯を噛みしめる。何か手はないのかと思っていると、伊吹の横をすり抜けていく人影があった。
それは茶色のマントを羽織った青年だった。チェストミールの護衛役として来ていた彼は、場内に入ると『物質転送』で鉄の盾を呼び寄せ、それで雨をしのぎながら、トビアスへと直進していった。
トビアスの前まで来ると、今度は剣を呼び寄せて切りかかった。ガキンッという硬い音がして、青年の剣が砕け散った。青年はトビアスから間合いを取ると、今度は周囲に炎の壁を展開した。彼が持つアビリティ『爆炎障壁』の炎だった。
その炎にトビアスは全身を包まれたが、降り注ぐ雨は止むことはなかった。使われ続けるアビリティは、彼が健在であることを意味している。青年が『爆炎障壁』の炎を消すと、何ら変わるところのない黒い膜で覆われたトビアスの姿が現れた。
カイルを狙って噴射されていた水が、その方向を青年へと変える。高圧の水流を盾で防ぐものの、その表面には白い煙が上がっていた。青年がトビアスから距離を取っても、雲からの水は彼の後を追った。
『万物拒絶』によって全身が覆われたことで動けないとはいえ、トビアスは雲の下なら何処でも攻撃できた。
青年は諦めがついたのか、盾を投げ捨てると、再び入り口へと駆け戻ってきた。
「ダメでしたか……」
彼を出迎えたのはチェストミールだった。
「力になれず、申し訳ありません」
「ジェホシュが謝ることではありません。何とか、彼を助けられれば、よかったのですが……」
「残念ながら、彼の防御力は最強と言っていいでしょう。まるで、恐ろしいほどの硬度を持つ金属が、体に張り付いているようでした。それも、『無効波動』の効果を持った金属です」
チェストミールは頭を抱えて唸った。
「ここにいても危険です。外に出ましょう」
「致し方ない」
マントの青年ジェホシュに肩を抱かれるようにして、落ち込むチェストミールは外に出て行った。そんな二人の姿を見ていると、強そうに見えた彼でもダメなのに、自分に何が出来るのだろうという気になってくる。
「カリスタ、どうなっている!?」
怒鳴り声がした方を見ると、そこにはヒューゴとカリスタがいた。ヒューゴの前だからか、それともイベントが滅茶苦茶になったからか、カリスタの表情は怯えきっていた。
「あの……進化したユニットが……あの……」
「能力効果と物理ダメージを無効化するスキルを持った者が、酸の雨を降らせてパニックになっています。その者の言動から察するに、目的は所有者への報復です」
カリスタの代わりに、注意事項を伝えていた飛行ユニットが説明する。
「能力も物理攻撃もダメだと? ユニットの所有者はどうしている? なぜ、強化素材にして消さない?」
「それが、怯えきって腰を抜かしているようでして……」
「クソだな。俺様が代わりに強化素材にしてやりたいが、『所持変更』はできそうか?」
「今は無理ですね。体の表面がコーティングされているので、星印に触れることはできません。そもそも、そのコーティングによる能力効果と物理ダメージの無効化スキルのようです」
ヒューゴは天を仰いだ後に、再び飛行ユニットに話しかけた。
「さっき、言動から察するにって言ったよな? 奴とは話ができるか?」
「はい、可能です。先ほど、攻撃している相手と話しているのを確認しています」
「なら、『脳内変換』が無効化されていない上に、音も届くってわけだな。もっとも、聴いてる側は言葉が変換されていても、向こうは変換されちゃいないのかもしれんがな」
「変換されていないとなると、相手の言葉を想像して喋ってることになりますが……」
「まぁ、そんなことはどうでもいい。音が届くってことは、空気を震わせる攻撃が有効だって話だろ? ヨアキム、お前の『拡声調整』で音量を最大にして、奴の鼓膜を破ることはできないか?」
ヨアキムと呼ばれた飛行ユニットは首を横に振った。
「私のスキルでは難しいですね」
「なら、音関連の能力者を集めてきてくれ。対策を練る」
「かしこまりました」
一礼するとヨアキムは外に出て飛び去って行った。
「カリスタ、お前は『可逆治癒』を使える者と、水関係の能力者を集めて来い。ヨナーシュ辺りに頼んでもいい。水関係の能力者は、酸を浴びた者を洗うのに使えそうな奴だ。俺様は中に入って、避難誘導の指揮を執る」
「は、はい……」
カリスタは慌てながらも外へと飛び出していった。ヒューゴは一人、逃げ出していく観客に逆らって前に進んでいった。
観客席に出たヒューゴは、マリーナとシモンヌを見つけると呼び寄せ、逃げ遅れている人の上に『球体錬成』で出した球体を飛ばすことを指示した。
マリーナが『物体移動』で幾人もの頭上に球体を移動させ、球体が消えるまでの傘代わりとすると、シモンヌは消えたらすぐに交換できるように球体を作り続けた。マリーナよりも軽ければ人も『物体移動』で移動できたが、それを使うと重量的な問題で複数の球体を飛ばすことが出来なかった。
「誰か、この子を助けて!」
ユーリを担いだヨハンナが、巨大エリンギと一緒に入り口へとやってくる。背負われているユーリは、酸の雨を受け続けた為にグッタリしていた。彼女が着ているフリル付きのエプロン風ドレスは、もはや引き千切られたかのようにボロボロになっている。
「私が手当します!」
メタボ気味の男性が手を挙げ、人ごみをかき分けてユーリに近づいていく。彼は昨日のバトルでユーリの傍にいた回復役だった。
「待っててくださいね、ユーリさん。今、私の『可逆治癒』で治しますから」
回復役の男が背負われてるユーリに手をかざし、『可逆治癒』を発動させると、彼女の傷がみるみる治っていった。
「……あれ?」
傷が治って目を開いたユーリが、ヨハンナの背から降りて立つ。さっきまでいた場所と違うことにユーリが戸惑っていると、ヨハンナが彼女に抱きついた。彼女の体が元に戻ったのが嬉しかったのだ。
その光景を間近で見ていた伊吹の胸には、こみ上げてくるものがあった。
「イブキ……」
一度は会場の外に出て行ったチガヤが戻ってくる。彼女の後ろには、ワニック以外のユニットたちが控えていた。
「僕も何かしたいんだ」
目の前に、職務を全うして傷ついた子がいる。その子を救った人たちがいる。逃げ遅れた人たちを救おうとしている人がいる。なのに、自分だけ何もせずにはいられなかった。
かといって、何が自分に出来るのかわからなかった。だから、自分に出来ることは何かを必死になって考えた。人を癒す力は自分にはない。雨を遮る能力もない。『快感誘導』をトビアスに使ったところで無効化される。
可能性を潰し始めたところで、ヒューゴが話していたことを思い出す。“音が届くってことは、空気を震わせる攻撃が有効”という言葉を。それなら、声で、言葉で、彼の何かを変えることができる気がした。
彼を改心させるようなことは出来ないまでも、せめてスキルの使用を一時的にでもやめさせられたらと思考を巡らす。自分だったら、何をされたら、あのスキルの使用をやめるだろう。“恐ろしいほどの硬度を持つ金属が、体に張り付いているような”状態になったつもりで想像し、伊吹はひとつの答えを導き出した。
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