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6.二人が結ばれしまった夜

二度と、あの幼馴染とのカップリングをプッシュさせない

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 そうして、お邪魔虫をどうにか追い払ったエドヴィン王子は、返し忘れたペチコートをクローゼットの奥の奥に押し込めてから、リーゼがすやすや眠っているベッドに潜った。
 
「んっ……」

 リーゼは、そのままエドヴィン王子の胸に顔を埋めて、すやすやと夢の中。

「ま、まずい……」

 先ほどまで、この華奢な体の中に入っていたエドヴィン王子。
 念願の快楽を手に入れてしまうと、欲望の炎は簡単に燃え上がる。
 完全に全裸姿のまま、リーゼの太ももがあそこに触れてしまったことで、あっという間に準備が出来上がってしまった。
 このまま、目覚めてさえくれれば、もう1回できるのに……と、エドヴィン王子は思いつつも、シーツに濡れた破瓜の血を見てエドヴィン王子は必死に理性を取り戻す。

「流石に1回目からあれでは、ただの獣じゃないか……」

 雄としての本能は、リーゼをこれでもかと抱き続けたいと言っているが、エドヴィン王子自体はリーゼそのものを本当に大事にしたいと思っている。
 リーゼが求めてくれるなら、遠慮せずにできる。でも、そうじゃないのなら、リーゼに嫌われる確率だってある。
 色欲魔な幼馴染は

「体さえ繋いじゃえばこっちのものよ」

 などとふざけたことを言っていたが……そしてエドヴィン王子自身は現時点でそれが事実であったことを実感しているが……あくまでも、リーゼの心の方が重要だ。
 目覚めたら、自分との交わりがどうだったか確認したい。
 できれば、朝食の前にもう1回デキないかも、聞いてみたい。
 だが、その前に大きな壁がある。

「このメガネで、彼女は俺を俺として認識するのか……」

 エドヴィン王子とて、自分の身分を騙していたことに、罪悪感がなかったわけではない。それどころか、罪悪感しかないからこそ、今日の今日まで自分だと打ち明けられずにいたのだ。
 彼女の視力が悪いことにつけこんだことは、責められても仕方がないかもしれない。けれどそうまでしてでも、リーゼが欲しかった。
 だから、色欲魔女の言うことを大人しく聞き、リーゼに体から好きになってもらうという作戦を選んだのだ。
 初めての割にはしっかり自分とリーゼは馴染んでいた、と思う。
 何度もリーゼの方から「もっと」と、求められた。
 だからきっと、大丈夫。
 こんな関係になった以上、失礼極まりないエロ幼馴染と自分のカップリングを推すことをやめてくれるだろう。
 そして、エドヴィン王子本人として愛してくれるだろう。
 そうでないと困る。
 そんなことを考えながら、エドヴィン王子はリーゼの髪の毛を撫でた。

「あ、いけない。ニーナから言われていたな……」

 頼れるのは、リーゼのことを誰よりも知っている優秀すぎるメイドだけ。
 ニーナは、エドヴィン王子に蜜愛文庫の一冊を渡しながら、こうアドバイスしたのだ。

「リーゼ様は、あの蜜愛文庫に出てくる男性だったら抱かれてもいいと、おっしゃってました」
「どう言う意味だ?」
「この本のヒーローポジションがタイプ、ということです。リーゼ様を口説く時の参考にお使いください」

 それを聞いた時は複雑極まりなかったエドヴィン王子だったが、もう今更後には引けない。
 ここまでしたのだ。
 リーゼの全てを手にいれる。
 そして二度と、あの幼馴染とのカップリングをプッシュさせない。
 そんな思いで、ニーナに押し付けられた蜜愛文庫の中のヒーローのセリフを頭に叩き込んだ。
 まさかその努力が、一瞬にして水の泡になることなど思わず。
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