5 / 85
Fight 1 僕の時間をあげた分、対価は支払ってよね、お姉さん?
5.こんなところで何してるのかな?
しおりを挟む
ふと、明日のことを考えると気が重くなり、深くため息をついた。
「ん?どうした?」
河西君はこういうスマートに心配するところがいいな、と思う。
「さっきアポようやく取れたんだけどさ……」
「良かったじゃん!」
「で、明日外出になるんよ」
「リモートはできない会社なのか?」
「社長がIT音痴」
「……どんまい」
最近は社会情勢の兼ね合いで、リモートでのアポも行っている人も多い。
が、私の手元にきたリストの人たちは皆なぜかIT音痴の企業が多く、漏れなく外出アポとなった……。
「……もらわないと……だよね……マネージャーに」
「規則だしな。外出を報告するの」
ちらと、横にある自販機を見る。
「どれ飲んだら、怒りに身を任せずに冷静にあの人と話せると思う?コーヒー?栄養ドリンク?マムシドリンク買った方がいいかな……」
「いや、直接話そうとしなくても、メールでいいじゃん」
「メールを書く時ですら震える」
怒りで、な。
「どこぞの恋愛の歌詞か」
「と、とにかく、冷静になるには、何を飲めばいいかな……」
私は立ち上がり、自販機の前に立った。
食堂の入り口が死角になった。
「あ、河西君も何か飲む?」
「おごりか?」
「おう、いつも話聞いてもらってるからね」
「それだったら今度食事にでも……」
「食事?……ああ、みんなで?慰労会、いいね~」
「いや……、そういうわけじゃないんだけど……」
「で、何がいい?」
そこで、河西君が黙った。
……飲み物、悩んでるのかな?
「ん~やっぱり、あのクソ上司に立ち向かうなら……これ……」
「おい……」
「でも、やっぱりオーソドックスにコーヒーかな、ねえ、河西君もコーヒー?」
「おい、高井さん」
「クソ生意気な上司と戦うには、エネルギー補給しないといけないから、糖分とミルクは多めでしょ?」
「おい!」
「何?決まった?」
河西君の方を振り返ったはずだ。
確かに、河西君の声がしたのだから。
間違いないだろう。
それなのに……。
「……仕事もしないで、こんなところで何してるのかな?」
今の今、話題になっていた人間……加藤涼介が、何故ここにいるのだろう。
鬼だから神出鬼没なのか。
そうに違いない。
「ん?どうした?」
河西君はこういうスマートに心配するところがいいな、と思う。
「さっきアポようやく取れたんだけどさ……」
「良かったじゃん!」
「で、明日外出になるんよ」
「リモートはできない会社なのか?」
「社長がIT音痴」
「……どんまい」
最近は社会情勢の兼ね合いで、リモートでのアポも行っている人も多い。
が、私の手元にきたリストの人たちは皆なぜかIT音痴の企業が多く、漏れなく外出アポとなった……。
「……もらわないと……だよね……マネージャーに」
「規則だしな。外出を報告するの」
ちらと、横にある自販機を見る。
「どれ飲んだら、怒りに身を任せずに冷静にあの人と話せると思う?コーヒー?栄養ドリンク?マムシドリンク買った方がいいかな……」
「いや、直接話そうとしなくても、メールでいいじゃん」
「メールを書く時ですら震える」
怒りで、な。
「どこぞの恋愛の歌詞か」
「と、とにかく、冷静になるには、何を飲めばいいかな……」
私は立ち上がり、自販機の前に立った。
食堂の入り口が死角になった。
「あ、河西君も何か飲む?」
「おごりか?」
「おう、いつも話聞いてもらってるからね」
「それだったら今度食事にでも……」
「食事?……ああ、みんなで?慰労会、いいね~」
「いや……、そういうわけじゃないんだけど……」
「で、何がいい?」
そこで、河西君が黙った。
……飲み物、悩んでるのかな?
「ん~やっぱり、あのクソ上司に立ち向かうなら……これ……」
「おい……」
「でも、やっぱりオーソドックスにコーヒーかな、ねえ、河西君もコーヒー?」
「おい、高井さん」
「クソ生意気な上司と戦うには、エネルギー補給しないといけないから、糖分とミルクは多めでしょ?」
「おい!」
「何?決まった?」
河西君の方を振り返ったはずだ。
確かに、河西君の声がしたのだから。
間違いないだろう。
それなのに……。
「……仕事もしないで、こんなところで何してるのかな?」
今の今、話題になっていた人間……加藤涼介が、何故ここにいるのだろう。
鬼だから神出鬼没なのか。
そうに違いない。
11
お気に入りに追加
192
あなたにおすすめの小説
嫁にするなら訳あり地味子に限る!
登夢
恋愛
ブランド好きの独身エリートの主人公にはほろ苦い恋愛の経験があった。ふとしたことがきっかけで地味な女子社員を部下にまわしてもらったが、地味子に惹かれた主人公は交際を申し込む。悲しい失恋をしたことのある地味子は躊躇するが、公私を分けてデートを休日に限る約束をして交際を受け入れる。主人公は一日一日を大切にしたいという地味子とデートをかさねてゆく。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
冷血弁護士と契約結婚したら、極上の溺愛を注がれています
朱音ゆうひ
恋愛
恋人に浮気された果絵は、弁護士・颯斗に契約結婚を持ちかけられる。
颯斗は美男子で超ハイスペックだが、冷血弁護士と呼ばれている。
結婚してみると超一方的な溺愛が始まり……
「俺は君のことを愛すが、愛されなくても構わない」
冷血サイコパス弁護士x健気ワーキング大人女子が契約結婚を元に両片想いになり、最終的に両想いになるストーリーです。
別サイトにも投稿しています(https://www.berrys-cafe.jp/book/n1726839)
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編
タニマリ
恋愛
野獣のような男と付き合い始めてから早5年。そんな彼からプロポーズをされ同棲生活を始めた。
私の仕事が忙しくて結婚式と入籍は保留になっていたのだが……
予定にはなかった大問題が起こってしまった。
本作品はシリーズの第二弾の作品ですが、この作品だけでもお読み頂けます。
15分あれば読めると思います。
この作品の続編あります♪
『ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる