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君のことが、欲しいと思った。心から

3.今でもよく覚えている

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今でもよく覚えている。

「自分の会社は起業したてで、正直今冬の極みだ…どうすればまともな会社になるのか全くわからない」

と言った時の雨音の顔が。
鳩が豆鉄砲を喰らったような顔……という表現が、よく漫画で使われていたが、まさにそんな顔。

「はあ」

彼女の受け答えが変わる。
突然の僕の問いかけが、想定外だったのだろう。
僕は畳み掛けるように

「君ならどう解決する?」

と聞いてみた。
今考えると、なんて無謀な質問だったろう。
あまりにも抽象的で、答えらしい答えがない。
彼女は、天井を見上げながら「うーん……」と声を漏らす。
何かを考えるときの癖なのだろう。
僕は、じっと彼女の回答を待つ。
コーヒーの湯気は、いつの間にか出てない。

そうして返ってきた彼女の答えは
「だって別にそれができないからといって……とても困るわけではないですよね、誰かが死ぬほど」
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