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20 ルナの秘密
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「ふぅ、お昼も美味かったなぁ」
あの後、俺は屋敷に帰ってまたいつもの様に昼食を食べ部屋に戻ってきた。
すると、案の定扉がノックされてメイがやって来る。
「ライラお嬢様、午後はどうなさいますか?」
「あ、それよりメイ、これプレゼント」
俺はウィリアムと一緒に買ったネックレスの包みをメイに渡した。
「え? プレゼント、ですか?」
「うん。日頃メイにはお世話になりっぱなしだからさ」
「そ、そんな……あ、ありがとうございます!」
メイは驚いた表情の後ににっこりと嬉しそうに微笑んだ。
「その、女の子にプレゼントとか選んだ事あんまなかったから、気に入ってくれるか分かんないけど……」
一応俺は保険でそう言っておく。
「開けてもよろしいですか?」
「う、うん。どうぞ」
それからメイはゆっくり丁寧に包みを開けた。
「わぁ……綺麗なネックレス!
ありがとうございますライラお嬢様」
メイはネックレスをマジマジと見つめては嬉しそうに微笑んでいる。
どうやら気に入ってもらえた様でホッとする。
「あ、それともう一つ」
それから俺は少し大きめの包みをメイに渡した。
「え!? 2つも良いんですか!?」
メイはまたもや目を丸くして驚いていた。
「うん。というか、このプレゼントは単に俺がメイに着て欲しいなと思って」
俺はそう言いながら何だか恥ずかしくなってきて顔が赤くなる。
メイは包みから中の服を取り出して洋服をまじまじと見つめた。
「わぁ、可愛いです。
でも、私には可愛すぎるかも……」
「そんな事ないって、絶対似合うと思う!」
というか、俺が来て欲しいだけなんだけど。
「でも、業務中は着れないですし……」
まあ、それもそうだろう。
しかも、ゲームだから仕方ないが、メイがこれまで休んでる所を見た事がない。
つまり、休みがないのである。
現実ならなんてブラックなんだろうとも思うが。
「それなら、俺の前でだけ着て見てくんない?」
俺がそうお願いすると、メイはうーん、と少し悩みだす。
「……折角ライラお嬢様が買ってくださったのですから、そうですね……。
分かりました。着替えさせて頂きますね。
ライラお嬢様、シャワールームをお借りしてもよろしいですか?」
「え? ああ、そうだな」
「ありがとうございます」
そう言ってメイは服を持ってシャワールームの方へ行きカーテンを閉めた。
そこから、モゾモゾと服を着替える音が聞こえてくる。
……あれ? 俺サラッと着替えてなんて言っちゃったけど、同じ部屋でお着替えって、なんかシチュエーションがエロくないか!?
ヤバい、意識し出したらドキドキしてきた。
だって今カーテン1枚越しでメイが着替えてるんだぞ!?
いや、覗きなんて駄目な事は分かってるけど!
でも待てよ? 俺は今ライラなんだから、軽く覗いたとしても「やだもーライラお嬢様ったら!」みたいなノリでイケるのでは!?
いや、でも女子同士でも流石に引かれるか!?
(おいおい、男ならこんなチャンス逃しちゃ勿体ねーぜ?
しかも俺は今女なんだから、笑って誤魔化せるって)
そう俺の中の悪魔が囁く。
(何言ってるんだ! 例え女同士でも覗きは良くないだろ!?
メイにも不審がられるぞ!)
更に俺の中の天使が叫ぶ。
(いーじゃん別に。メイとは後3週間もしないでバイバイなんだし)
(それでもお世話になった子にそんな事しちゃ駄目だろ!)
ヤバい、頭がこんがらがってきた。
どうしよう、どうすればいいんだ!?
俺が心の中で葛藤している間に、シャッとカーテンの開く音がした。
そちらを見ると、俺が買ってきたリボンにセーラーの様な襟の付いた白いワンピースを着ているメイがそこに立っていた。
「あの……どうでしょうか?
やっぱり私には似合わないのでは……?」
照れてるのか顔を赤くしながらメイが問い掛けてくる。
「いやいや、めっちゃ可愛い!
すげー似合ってる!」
「ほ、本当ですか?」
メイはどうやら自信が無いようだが、控えめに言ってもめちゃくちゃ可愛い。
大袈裟に言うなら橋本○奈レベル級に超絶可愛い。
「メイは本当可愛いな。いつも俺の為に色々とありがとうな」
俺がメイを褒めつつ日頃の感謝を言うと、メイはポッと顔を赤らめる。
「う、嬉しいです!
ありがとうございます!」
「うん、喜んでもらえて良かった」
メイにも喜んでもらえて、しかも可愛い服まで着せられるなんて、プレゼントするのも良いものだなと本気で思う。
……そういえば、俺はメイの事何も分からないし、ちょっとくらい質問しても良いだろうか?
「なあメイ」
「はい、何でしょうか?」
「メイって、何でメイドをしてるんだ?」
「え? ……それは」
俺の質問に、メイは少し表情を曇らせた。
「その、メイドに憧れて、というか」
メイは何故か歯切れが悪くそう答える。
「メイ?」
俺はそんなメイが心配になった。
「わ、私、本当は……!
い、いえ、やっぱり何でもないです!
し、失礼します!」
「あ! メイ!」
すると、メイはワンピース姿のままメイド服を持ってタッタッタッと走って行ってしまった。
「どうしたんだ?
俺、何かまずい事でも訊いちゃったのか?」
俺は訳が分からず考えてみるが、やはり何の事なのか分からない。
「……メイの事、知りたかっただけなんだけどな」
いや、でも俺は現実世界に戻るんだから、メイの事を知ったところで後3週間もしたらさよならなんだ。
あんまり仲良くなり過ぎると別れが辛くなるし、これ以上メイの事を訊くのは良くないのかもしれない。
「まあプレゼントと日頃の感謝を伝えれたし、それだけで良しとするか」
そんな事を考えている最中、またもやコンコンと扉がノックされた。
おかしいな。メイは今出て行ったばかりだけど、忘れ物でもしたのだろうか?
扉の方を注目して見てみると、ルナが部屋に入って来た。
「え? ルナ?」
「ご機嫌よう、ライラお姉様」
そう言えばこの前来たばかりなのに、今度はどうしたのだろうか?
すると、ルナはこれまでに見た事の無い険しい表情でこちらを睨んできた。
「ルナ?
どうしたの?」
俺は訳が分からずに問い掛けると、ルナはゆっくりと口を開いた。
「ライラお姉様。
どうして最近は私の挑発にのってくれないのかしら?」
「え? 挑発?」
一体、何の事だろうか?
俺は心底分からないと言った表情でルナに訊き返すと、ルナは呆れた様に溜め息を吐いた。
「昔のライラお姉様なら、私が他の男性と親しげにしてたり、メイドに私を叱る様に言えばすぐに私の事を虐めてくれたのに」
「え? ……あ」
メイドに叱る様にって、あの時のルナのお付きのメイドが俺にそう言ってきた時の事だろうか。
だとするなら、あれはメイドがルナを気に食わなくて俺に虐めさせようとしたのではなく、ライラの株を落とす為に虐めさせようとしたのか。
頭では理解出来ても、しかし俺はそれでも信じられなかった。
だって、ルナがこんな事言うだなんて。
ずっとゲームをしていた主人公、いわば自分の分身とも呼べる存在が、裏でこんな事をしていただなんて、信じられる訳がない。
「……ルナ?
お前本当にルナなのか?」
俺は驚きでお嬢様言葉で話す事も忘れてルナに問い掛ける。
「何を言ってるんですかライラお姉様。
私は可愛い妹のルナですよ?
私はライラお姉様よりも可愛くて、愛されているんです。
だから、ライラお姉様の好きになった男性は、私がいただきたいんです。
それなのに、ライラお姉様はウィリアムさんが好きなのかと思えば、ジャックやアラン王子やルイ君とも仲良くなってるし、私以上にライラお姉様がチヤホヤされるなんて納得いきません」
ルナは淡々と、それでいて怒りを静かに滲ませながらそう語る。
しかし、俺は目の前にいるルナの言動が未だに信じられなかった。
まるで頭を思いっきり叩かれた様な衝撃が走る。
「ル、ナ?」
「だからライラお姉様には、もう一度悪役令嬢に戻ってもらいますね」
ルナは可愛らしくにっこりと笑った後、俺の側に寄って来たかと思うと、おもむろにナイフ取り出した。
「!?
何してんだ!? 危ないだろっ!」
俺はそのナイフを奪い取ろうとするが、ルナは俺に取られるより先に自分の腕を切った。
そこから、鮮やかな赤い血が流れてルナと俺のドレスにかかった。
「な!?
だ、大丈夫か!?」
すぐ様ナイフを取り上げてルナの腕の傷を確認しようとした瞬間。
「きゃあああっ!!」
甲高い声を上げてルナが叫んだ。
「え?」
俺は一瞬訳が分からず固まっていると、バタバタとけたたましい足音が廊下から聞こえて来た。
「一体今の悲鳴は何事ですか!?
どうされました!?」
すると、何人かの使用人達がこぞって俺とルナの元へ駆け寄って来た。
「!?
ルナお嬢様、その怪我は一体!?」
使用人の1人に問われてルナは瞳に涙を浮かべて肩を震わせながら俺の方を見てきた。
「わ、私、ライラお姉様に呼び出されて、来たらいきなりナイフで切りかかられまして……」
「な!?
ライラお嬢様、本当ですか!?」
「ち、違うっ! これはルナが……」
使用人に問われて俺は急いで無実を潔白しようとするが、そこでルナから取り上げたナイフを俺自身が持っている事に気付く。
「ではそのナイフは一体何なのですか!!」
「こ、これは……」
してやられた。
俺は敏腕弁護士なんかじゃないんだ、こんなのどう無実を証明すればいいんだよ。
たまらず俺はルナの方を見ると、ルナは下を俯きながら小さくほくそ笑んでいた。
「ルナお嬢様、急いで手当て致しますのでこちらへ!」
「ライラお嬢様が部屋から出ない様に誰か見張るんだ!
もし不審な動きをしたら即刻取り押さえろ」
こうして、俺は無実の罪を着せられてしまった。
あの後、俺は屋敷に帰ってまたいつもの様に昼食を食べ部屋に戻ってきた。
すると、案の定扉がノックされてメイがやって来る。
「ライラお嬢様、午後はどうなさいますか?」
「あ、それよりメイ、これプレゼント」
俺はウィリアムと一緒に買ったネックレスの包みをメイに渡した。
「え? プレゼント、ですか?」
「うん。日頃メイにはお世話になりっぱなしだからさ」
「そ、そんな……あ、ありがとうございます!」
メイは驚いた表情の後ににっこりと嬉しそうに微笑んだ。
「その、女の子にプレゼントとか選んだ事あんまなかったから、気に入ってくれるか分かんないけど……」
一応俺は保険でそう言っておく。
「開けてもよろしいですか?」
「う、うん。どうぞ」
それからメイはゆっくり丁寧に包みを開けた。
「わぁ……綺麗なネックレス!
ありがとうございますライラお嬢様」
メイはネックレスをマジマジと見つめては嬉しそうに微笑んでいる。
どうやら気に入ってもらえた様でホッとする。
「あ、それともう一つ」
それから俺は少し大きめの包みをメイに渡した。
「え!? 2つも良いんですか!?」
メイはまたもや目を丸くして驚いていた。
「うん。というか、このプレゼントは単に俺がメイに着て欲しいなと思って」
俺はそう言いながら何だか恥ずかしくなってきて顔が赤くなる。
メイは包みから中の服を取り出して洋服をまじまじと見つめた。
「わぁ、可愛いです。
でも、私には可愛すぎるかも……」
「そんな事ないって、絶対似合うと思う!」
というか、俺が来て欲しいだけなんだけど。
「でも、業務中は着れないですし……」
まあ、それもそうだろう。
しかも、ゲームだから仕方ないが、メイがこれまで休んでる所を見た事がない。
つまり、休みがないのである。
現実ならなんてブラックなんだろうとも思うが。
「それなら、俺の前でだけ着て見てくんない?」
俺がそうお願いすると、メイはうーん、と少し悩みだす。
「……折角ライラお嬢様が買ってくださったのですから、そうですね……。
分かりました。着替えさせて頂きますね。
ライラお嬢様、シャワールームをお借りしてもよろしいですか?」
「え? ああ、そうだな」
「ありがとうございます」
そう言ってメイは服を持ってシャワールームの方へ行きカーテンを閉めた。
そこから、モゾモゾと服を着替える音が聞こえてくる。
……あれ? 俺サラッと着替えてなんて言っちゃったけど、同じ部屋でお着替えって、なんかシチュエーションがエロくないか!?
ヤバい、意識し出したらドキドキしてきた。
だって今カーテン1枚越しでメイが着替えてるんだぞ!?
いや、覗きなんて駄目な事は分かってるけど!
でも待てよ? 俺は今ライラなんだから、軽く覗いたとしても「やだもーライラお嬢様ったら!」みたいなノリでイケるのでは!?
いや、でも女子同士でも流石に引かれるか!?
(おいおい、男ならこんなチャンス逃しちゃ勿体ねーぜ?
しかも俺は今女なんだから、笑って誤魔化せるって)
そう俺の中の悪魔が囁く。
(何言ってるんだ! 例え女同士でも覗きは良くないだろ!?
メイにも不審がられるぞ!)
更に俺の中の天使が叫ぶ。
(いーじゃん別に。メイとは後3週間もしないでバイバイなんだし)
(それでもお世話になった子にそんな事しちゃ駄目だろ!)
ヤバい、頭がこんがらがってきた。
どうしよう、どうすればいいんだ!?
俺が心の中で葛藤している間に、シャッとカーテンの開く音がした。
そちらを見ると、俺が買ってきたリボンにセーラーの様な襟の付いた白いワンピースを着ているメイがそこに立っていた。
「あの……どうでしょうか?
やっぱり私には似合わないのでは……?」
照れてるのか顔を赤くしながらメイが問い掛けてくる。
「いやいや、めっちゃ可愛い!
すげー似合ってる!」
「ほ、本当ですか?」
メイはどうやら自信が無いようだが、控えめに言ってもめちゃくちゃ可愛い。
大袈裟に言うなら橋本○奈レベル級に超絶可愛い。
「メイは本当可愛いな。いつも俺の為に色々とありがとうな」
俺がメイを褒めつつ日頃の感謝を言うと、メイはポッと顔を赤らめる。
「う、嬉しいです!
ありがとうございます!」
「うん、喜んでもらえて良かった」
メイにも喜んでもらえて、しかも可愛い服まで着せられるなんて、プレゼントするのも良いものだなと本気で思う。
……そういえば、俺はメイの事何も分からないし、ちょっとくらい質問しても良いだろうか?
「なあメイ」
「はい、何でしょうか?」
「メイって、何でメイドをしてるんだ?」
「え? ……それは」
俺の質問に、メイは少し表情を曇らせた。
「その、メイドに憧れて、というか」
メイは何故か歯切れが悪くそう答える。
「メイ?」
俺はそんなメイが心配になった。
「わ、私、本当は……!
い、いえ、やっぱり何でもないです!
し、失礼します!」
「あ! メイ!」
すると、メイはワンピース姿のままメイド服を持ってタッタッタッと走って行ってしまった。
「どうしたんだ?
俺、何かまずい事でも訊いちゃったのか?」
俺は訳が分からず考えてみるが、やはり何の事なのか分からない。
「……メイの事、知りたかっただけなんだけどな」
いや、でも俺は現実世界に戻るんだから、メイの事を知ったところで後3週間もしたらさよならなんだ。
あんまり仲良くなり過ぎると別れが辛くなるし、これ以上メイの事を訊くのは良くないのかもしれない。
「まあプレゼントと日頃の感謝を伝えれたし、それだけで良しとするか」
そんな事を考えている最中、またもやコンコンと扉がノックされた。
おかしいな。メイは今出て行ったばかりだけど、忘れ物でもしたのだろうか?
扉の方を注目して見てみると、ルナが部屋に入って来た。
「え? ルナ?」
「ご機嫌よう、ライラお姉様」
そう言えばこの前来たばかりなのに、今度はどうしたのだろうか?
すると、ルナはこれまでに見た事の無い険しい表情でこちらを睨んできた。
「ルナ?
どうしたの?」
俺は訳が分からずに問い掛けると、ルナはゆっくりと口を開いた。
「ライラお姉様。
どうして最近は私の挑発にのってくれないのかしら?」
「え? 挑発?」
一体、何の事だろうか?
俺は心底分からないと言った表情でルナに訊き返すと、ルナは呆れた様に溜め息を吐いた。
「昔のライラお姉様なら、私が他の男性と親しげにしてたり、メイドに私を叱る様に言えばすぐに私の事を虐めてくれたのに」
「え? ……あ」
メイドに叱る様にって、あの時のルナのお付きのメイドが俺にそう言ってきた時の事だろうか。
だとするなら、あれはメイドがルナを気に食わなくて俺に虐めさせようとしたのではなく、ライラの株を落とす為に虐めさせようとしたのか。
頭では理解出来ても、しかし俺はそれでも信じられなかった。
だって、ルナがこんな事言うだなんて。
ずっとゲームをしていた主人公、いわば自分の分身とも呼べる存在が、裏でこんな事をしていただなんて、信じられる訳がない。
「……ルナ?
お前本当にルナなのか?」
俺は驚きでお嬢様言葉で話す事も忘れてルナに問い掛ける。
「何を言ってるんですかライラお姉様。
私は可愛い妹のルナですよ?
私はライラお姉様よりも可愛くて、愛されているんです。
だから、ライラお姉様の好きになった男性は、私がいただきたいんです。
それなのに、ライラお姉様はウィリアムさんが好きなのかと思えば、ジャックやアラン王子やルイ君とも仲良くなってるし、私以上にライラお姉様がチヤホヤされるなんて納得いきません」
ルナは淡々と、それでいて怒りを静かに滲ませながらそう語る。
しかし、俺は目の前にいるルナの言動が未だに信じられなかった。
まるで頭を思いっきり叩かれた様な衝撃が走る。
「ル、ナ?」
「だからライラお姉様には、もう一度悪役令嬢に戻ってもらいますね」
ルナは可愛らしくにっこりと笑った後、俺の側に寄って来たかと思うと、おもむろにナイフ取り出した。
「!?
何してんだ!? 危ないだろっ!」
俺はそのナイフを奪い取ろうとするが、ルナは俺に取られるより先に自分の腕を切った。
そこから、鮮やかな赤い血が流れてルナと俺のドレスにかかった。
「な!?
だ、大丈夫か!?」
すぐ様ナイフを取り上げてルナの腕の傷を確認しようとした瞬間。
「きゃあああっ!!」
甲高い声を上げてルナが叫んだ。
「え?」
俺は一瞬訳が分からず固まっていると、バタバタとけたたましい足音が廊下から聞こえて来た。
「一体今の悲鳴は何事ですか!?
どうされました!?」
すると、何人かの使用人達がこぞって俺とルナの元へ駆け寄って来た。
「!?
ルナお嬢様、その怪我は一体!?」
使用人の1人に問われてルナは瞳に涙を浮かべて肩を震わせながら俺の方を見てきた。
「わ、私、ライラお姉様に呼び出されて、来たらいきなりナイフで切りかかられまして……」
「な!?
ライラお嬢様、本当ですか!?」
「ち、違うっ! これはルナが……」
使用人に問われて俺は急いで無実を潔白しようとするが、そこでルナから取り上げたナイフを俺自身が持っている事に気付く。
「ではそのナイフは一体何なのですか!!」
「こ、これは……」
してやられた。
俺は敏腕弁護士なんかじゃないんだ、こんなのどう無実を証明すればいいんだよ。
たまらず俺はルナの方を見ると、ルナは下を俯きながら小さくほくそ笑んでいた。
「ルナお嬢様、急いで手当て致しますのでこちらへ!」
「ライラお嬢様が部屋から出ない様に誰か見張るんだ!
もし不審な動きをしたら即刻取り押さえろ」
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