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4 ツンデレ幼馴染
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まず最悪の事態を回避するべく、俺はなるべく周りに敵を作らない様に気をつける事にした。
結局ライラの追放や処刑というのは、ライラの我が儘やルナに対する当たりの強さのせいであり、それをしなければ俺は最悪殺されるという事はなくなるだろう……。
多分。
そうなると、先ずはこれ以上嫌われない様に、そして今最悪状態の好感度をあげる様にしなければ。
となると、さっきのマウント王子に対する態度はまずかったのかも。
まず一国の王子に好かれれば処刑は免れるだろう。最低限媚びを売っておけば良かった。
しかもルナが俺の事を庇っていたから、ルナから見た俺の好感度も下がってしまっただろう。
なるべく男女ともに嫌われない様にしなければ。
「攻略対象外だからどうでも良いと思っちまったが、媚びは売らなきゃならんのか、くそ面倒いな」
俺は溜め息を吐いた。
こんな所でまさか命が脅かされる状況になるなんて。
これなら学校でまだモブのクラスメイトの方がマシじゃねーか。
「はあ、この悪役令嬢の良いところは今のとこ顔が可愛いだけだしな」
俺がそうこう悩んでいると、またいつもの如くモブメイドがやって来た。
「ライラお嬢様、お隣のジャック様がいらしております」
おっと、早速2人目の攻略キャラである。
ツンデレ幼馴染タイプのジャックだ。
俺が広間へ行くと、ジャックと、それから今ちょうど同じタイミングで来たルナと出会う。
「よぉ、ルナに、ライラ」
「ご機嫌ようジャック、どうしたの?」
そうルナが先に挨拶する。
いかん、俺もちゃんと挨拶しておかなければ。
なるべく好感度は下げない様にしなければならない。
「ご機嫌よう、ジャック」
「ああ、いや、まあ用つーか、大した用でもないんだけどさ……」
そう言いながら、ジャックはルナにクッキーの缶を渡す。
「その、たまたま家にあって、お前クッキー好きだったよな?」
「勿論好きよ」
ジャックは顔を赤らめてこう言った。
「なら良かった……。
べ、別にお前の為に買った訳じゃねーからな!
勘違いすんなよ!」
「うふふ、ありがとう!」
うわー。ちゃんとツンデレしてるー。
まるでテンプレートなまでの見本を披露してくれた。
これがツインテ美少女だったら推せたのに、相手はイケメンである。畜生。
しかもこれ、完全に俺は途中から無視である。
もうルナの事好きすぎて俺なんて眼中にも入っていない。
つまり、攻略出来ない。
こいつは諦めよう。
「あ、そうそう、ライラにも一応これやるよ」
そう俺はジャックから如何にも安そうなキャンディを貰う。
「これも家にあった奴だから、勘違いすんなよ?」
「ありがとう……」
勘違いする訳がない。
本当にたまたま家にあったであろうキャンディに何が悲しくてときめかなければならんのか。
おい、ルナとの差が酷すぎないか?
俺もクッキーの方が良かったぞ。
しかし、まだ物を貰えるだけ、嫌われている訳ではなさそうだ。
「折角ならお茶していかない?」
ルナがジャックに笑顔で提案する。
「え?
別に邪魔にならないなら、付き合ってやっても良いけど」
お前は本当にテンプレの様なツンデレだな。
「あ、その前に、ライラ、少し話がある」
「へ?」
そう言われて、何故かジャックに俺が呼び出された。
何でだ?
俺の好感度は今低いはずなのに、何故2人きりで話す事になってんだ。
すると、ジャックの目つきが先程より鋭くなった。
「お前、またルナの事虐めてねぇだろうな?」
あ、俺嫌われてる奴ですね、これ。
「いや別に虐めてねぇ……ないですわ」
「あっそ、もしルナが泣く様な事があったら、タダじゃすまねーから」
ジャックはそれだけ言い残し、スタスタとルナの方へ戻っていった。
「……こっわ」
普通にイケメンに睨まれて凄まれたら普通に怖い。
最早攻略どころの騒ぎではない。
好感度が0どころか、マイナスに振り切っている。
「はあ、何でこんな逆境からのスタートなんだよ……」
そもそも今後俺が攻略出来るキャラがいるのか?
俺は心が折れそうになる。
「いや、でもジャックは昔からの幼馴染という設定だが、他のキャラはまだ知り合ったばかりとか、これから知り合う予定の奴だし、もう他のキャラにかけよう、うん」
こうして俺も2人の所へと戻った。
「その、ライラお姉様とは何を話したのですか?」
ルナが不思議そうにジャックに尋ねる。
「別に何でもねーよ」
そうジャックは少しぶっきらぼうに答えた。
そりゃあまあ、ルナに聞かれたくないから2人で話してるのに、そんな簡単に教える訳ないだろ、と俺は内心突っ込む。
やはりルナは天然らしい。
ここからはもうお察しの通り、ジャックとルナの2人で会話が盛り上がる。
俺は横にいるだけで蚊帳の外である。
悲しい。
かと言って、ゲームの本編の様に2人の間に割って入って邪魔でもしようものなら、バッドエンドまっしぐらである。
それは絶対に避けなければならない。
俺はチラリと横にいるルナを見やる。
色白の金髪ロングで、性格はどことなく月野さんに似ている。
しかも胸がちゃんとある。俺と違って。
何でだよ。ここで正規ヒロインとの格差作らなくったっていいだろう。
俺がそうルナを観察していると、目の前から何やら視線を感じた。
ジャックである。めちゃくちゃ睨んでくる。
俺、なんかしたっけ……?
あ、もしかしてルナの事を見る目が少しエロかっただろうか?
いかんいかん、俺は今ルナの姉なのだから、自重しなくては。
俺はルナを盗み見るのを取り敢えずやめた。
一方ジャックは内心ライラの事を警戒していた。
(こいつ、さっきからチラチラとルナの事見てやがる……。
虐めるタイミングをうかがってるのか?
俺の目の黒いうちには、お前の好き勝手はさせないぞ!)
こうして、お茶会は表向きには滞りなく終わり、ジャックは帰っていった。
俺はまた部屋に戻る。
「はあ、しかしまあ、マナー的な奴が全然分からん」
はっきり言って、周りを見ながら何とか切り抜けているけれど、いつボロが出てもおかしくない。
しかし最低限のマナーを覚えておかないと、この世界では大分浮きそうである。
「最悪、そのせいで好感度が落ちかねないし……」
俺がそう悩んでいると、コンコンとまた扉がノックされた。
案の定いつものモブメイドである。
「ランチの準備が出来ました」
「あ、ありがとう……。
そうだ!」
「ひっ!」
俺が急に大きな声を出したせいか、メイドがまた萎縮しているが、もうそこは気にしないでおこう。
俺はメイドの目の前に立つ。
「あ、あの、何でしょうか?
私、何かしてしまったでしょうか?」
そうメイドはあたふたと慌てているが、それも無視して俺は頭を下げる。
「お願いだ!
俺にマナーを教えてくれ!」
「へ?
え? 何事ですか!?
顔をあげてくださいませ!」
メイドは慌ててそう呼びかける。
俺はそっと顔を上げて、メイドの目を見ながらお願いした。
「困ってるんだ、頼れるのはお前くらいしかいなくて……。
駄目か?」
「い、いいえ!
駄目ではありませんが!
でも私なんかがライラお嬢様にマナーを教えるなんて、そんな立場ではありませんので!」
メイドは両手と首をブンブンと横に振る。
「そうか、そうだよな……。
ごめん、やっぱ忘れてくれ」
俺は落胆しながらメイドにそう伝える。
「あ、ライラお嬢様……。
あの、えと、表立っては教えられませんが、か、隠れてなら、いいですよ?」
そうメイドは辿々しく提案してくれた。
「本当か!?」
俺は嬉しくてパッと満面の笑みを浮かべる。
「は、はい……」
俺に圧倒されたのか、メイドは小さく返事をする。
何はともあれ、これでマナー面はどうにかなりそうである。
「じゃあこれからよろしくな!
あ、ランチだったな、じゃあまた後で!
よろしくな!」
俺はそれから広間の方へと向かった。
一方メイドは驚きのあまり心臓がバクバクと脈打っていた。
「ライラお嬢様、まるで別人みたい……」
メイドはライラの満面の笑みを思い出し、頬を赤く染める。
「わ、私、マナーなんて教えられるかしら?
べ、勉強しなきゃ!」
それからメイドはあわあわと書斎へ向かい、マナー本を読み漁っていた。
結局ライラの追放や処刑というのは、ライラの我が儘やルナに対する当たりの強さのせいであり、それをしなければ俺は最悪殺されるという事はなくなるだろう……。
多分。
そうなると、先ずはこれ以上嫌われない様に、そして今最悪状態の好感度をあげる様にしなければ。
となると、さっきのマウント王子に対する態度はまずかったのかも。
まず一国の王子に好かれれば処刑は免れるだろう。最低限媚びを売っておけば良かった。
しかもルナが俺の事を庇っていたから、ルナから見た俺の好感度も下がってしまっただろう。
なるべく男女ともに嫌われない様にしなければ。
「攻略対象外だからどうでも良いと思っちまったが、媚びは売らなきゃならんのか、くそ面倒いな」
俺は溜め息を吐いた。
こんな所でまさか命が脅かされる状況になるなんて。
これなら学校でまだモブのクラスメイトの方がマシじゃねーか。
「はあ、この悪役令嬢の良いところは今のとこ顔が可愛いだけだしな」
俺がそうこう悩んでいると、またいつもの如くモブメイドがやって来た。
「ライラお嬢様、お隣のジャック様がいらしております」
おっと、早速2人目の攻略キャラである。
ツンデレ幼馴染タイプのジャックだ。
俺が広間へ行くと、ジャックと、それから今ちょうど同じタイミングで来たルナと出会う。
「よぉ、ルナに、ライラ」
「ご機嫌ようジャック、どうしたの?」
そうルナが先に挨拶する。
いかん、俺もちゃんと挨拶しておかなければ。
なるべく好感度は下げない様にしなければならない。
「ご機嫌よう、ジャック」
「ああ、いや、まあ用つーか、大した用でもないんだけどさ……」
そう言いながら、ジャックはルナにクッキーの缶を渡す。
「その、たまたま家にあって、お前クッキー好きだったよな?」
「勿論好きよ」
ジャックは顔を赤らめてこう言った。
「なら良かった……。
べ、別にお前の為に買った訳じゃねーからな!
勘違いすんなよ!」
「うふふ、ありがとう!」
うわー。ちゃんとツンデレしてるー。
まるでテンプレートなまでの見本を披露してくれた。
これがツインテ美少女だったら推せたのに、相手はイケメンである。畜生。
しかもこれ、完全に俺は途中から無視である。
もうルナの事好きすぎて俺なんて眼中にも入っていない。
つまり、攻略出来ない。
こいつは諦めよう。
「あ、そうそう、ライラにも一応これやるよ」
そう俺はジャックから如何にも安そうなキャンディを貰う。
「これも家にあった奴だから、勘違いすんなよ?」
「ありがとう……」
勘違いする訳がない。
本当にたまたま家にあったであろうキャンディに何が悲しくてときめかなければならんのか。
おい、ルナとの差が酷すぎないか?
俺もクッキーの方が良かったぞ。
しかし、まだ物を貰えるだけ、嫌われている訳ではなさそうだ。
「折角ならお茶していかない?」
ルナがジャックに笑顔で提案する。
「え?
別に邪魔にならないなら、付き合ってやっても良いけど」
お前は本当にテンプレの様なツンデレだな。
「あ、その前に、ライラ、少し話がある」
「へ?」
そう言われて、何故かジャックに俺が呼び出された。
何でだ?
俺の好感度は今低いはずなのに、何故2人きりで話す事になってんだ。
すると、ジャックの目つきが先程より鋭くなった。
「お前、またルナの事虐めてねぇだろうな?」
あ、俺嫌われてる奴ですね、これ。
「いや別に虐めてねぇ……ないですわ」
「あっそ、もしルナが泣く様な事があったら、タダじゃすまねーから」
ジャックはそれだけ言い残し、スタスタとルナの方へ戻っていった。
「……こっわ」
普通にイケメンに睨まれて凄まれたら普通に怖い。
最早攻略どころの騒ぎではない。
好感度が0どころか、マイナスに振り切っている。
「はあ、何でこんな逆境からのスタートなんだよ……」
そもそも今後俺が攻略出来るキャラがいるのか?
俺は心が折れそうになる。
「いや、でもジャックは昔からの幼馴染という設定だが、他のキャラはまだ知り合ったばかりとか、これから知り合う予定の奴だし、もう他のキャラにかけよう、うん」
こうして俺も2人の所へと戻った。
「その、ライラお姉様とは何を話したのですか?」
ルナが不思議そうにジャックに尋ねる。
「別に何でもねーよ」
そうジャックは少しぶっきらぼうに答えた。
そりゃあまあ、ルナに聞かれたくないから2人で話してるのに、そんな簡単に教える訳ないだろ、と俺は内心突っ込む。
やはりルナは天然らしい。
ここからはもうお察しの通り、ジャックとルナの2人で会話が盛り上がる。
俺は横にいるだけで蚊帳の外である。
悲しい。
かと言って、ゲームの本編の様に2人の間に割って入って邪魔でもしようものなら、バッドエンドまっしぐらである。
それは絶対に避けなければならない。
俺はチラリと横にいるルナを見やる。
色白の金髪ロングで、性格はどことなく月野さんに似ている。
しかも胸がちゃんとある。俺と違って。
何でだよ。ここで正規ヒロインとの格差作らなくったっていいだろう。
俺がそうルナを観察していると、目の前から何やら視線を感じた。
ジャックである。めちゃくちゃ睨んでくる。
俺、なんかしたっけ……?
あ、もしかしてルナの事を見る目が少しエロかっただろうか?
いかんいかん、俺は今ルナの姉なのだから、自重しなくては。
俺はルナを盗み見るのを取り敢えずやめた。
一方ジャックは内心ライラの事を警戒していた。
(こいつ、さっきからチラチラとルナの事見てやがる……。
虐めるタイミングをうかがってるのか?
俺の目の黒いうちには、お前の好き勝手はさせないぞ!)
こうして、お茶会は表向きには滞りなく終わり、ジャックは帰っていった。
俺はまた部屋に戻る。
「はあ、しかしまあ、マナー的な奴が全然分からん」
はっきり言って、周りを見ながら何とか切り抜けているけれど、いつボロが出てもおかしくない。
しかし最低限のマナーを覚えておかないと、この世界では大分浮きそうである。
「最悪、そのせいで好感度が落ちかねないし……」
俺がそう悩んでいると、コンコンとまた扉がノックされた。
案の定いつものモブメイドである。
「ランチの準備が出来ました」
「あ、ありがとう……。
そうだ!」
「ひっ!」
俺が急に大きな声を出したせいか、メイドがまた萎縮しているが、もうそこは気にしないでおこう。
俺はメイドの目の前に立つ。
「あ、あの、何でしょうか?
私、何かしてしまったでしょうか?」
そうメイドはあたふたと慌てているが、それも無視して俺は頭を下げる。
「お願いだ!
俺にマナーを教えてくれ!」
「へ?
え? 何事ですか!?
顔をあげてくださいませ!」
メイドは慌ててそう呼びかける。
俺はそっと顔を上げて、メイドの目を見ながらお願いした。
「困ってるんだ、頼れるのはお前くらいしかいなくて……。
駄目か?」
「い、いいえ!
駄目ではありませんが!
でも私なんかがライラお嬢様にマナーを教えるなんて、そんな立場ではありませんので!」
メイドは両手と首をブンブンと横に振る。
「そうか、そうだよな……。
ごめん、やっぱ忘れてくれ」
俺は落胆しながらメイドにそう伝える。
「あ、ライラお嬢様……。
あの、えと、表立っては教えられませんが、か、隠れてなら、いいですよ?」
そうメイドは辿々しく提案してくれた。
「本当か!?」
俺は嬉しくてパッと満面の笑みを浮かべる。
「は、はい……」
俺に圧倒されたのか、メイドは小さく返事をする。
何はともあれ、これでマナー面はどうにかなりそうである。
「じゃあこれからよろしくな!
あ、ランチだったな、じゃあまた後で!
よろしくな!」
俺はそれから広間の方へと向かった。
一方メイドは驚きのあまり心臓がバクバクと脈打っていた。
「ライラお嬢様、まるで別人みたい……」
メイドはライラの満面の笑みを思い出し、頬を赤く染める。
「わ、私、マナーなんて教えられるかしら?
べ、勉強しなきゃ!」
それからメイドはあわあわと書斎へ向かい、マナー本を読み漁っていた。
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