魔法学院の最底辺

かる

文字の大きさ
上 下
12 / 28

実験と流水と

しおりを挟む
俺たちの今日のブロックはこれで終わった。どうしても第1回戦は人数が多いため1日では終わらない。俺はそのためこれから魔力を練るなどいろいろとやることがある。

「桃、少しこれから付き合ってもらっていいか?」

「付きあっ!?はい!もちろんです!」

俺は桃を連れ校内の練習場へと連れて行った。

「悪いがもう一度叫びながら呪文を唱えてくれないか?」

「えっ!?お兄様それはどういう……。」

「桃が声に出した時明らかに魔力が上昇していた。呪文の詠唱と威力の相関を確認したい。後はそのデータを取らせてほしい。」

「うぅぅん……、わかりました。」

「ありがとう。では俺は機材の準備を始める。」

魔力とは目に見えるものではないがエネルギーによって作られているものだ。えねえるぎーとは様々なものに変換っされることによって俺たちのところで存在をしている。熱になっていたり電気となっていたり運動という存在になって見えたりとさまざまである。そのなかでも魔力というのは空気中に存在こそはしているが目にすることはできない。だから人間は魔力をある単位として置き換え基準点を置き『マジックグラフィー』と呼ばれる機材を用いて計測をする。

「まず普通にルーンで書きながら呪文を発動してみてくれ。」

「はい。」

桃はファイアーボールの呪文を書き、発動させた。

「魔力値はいたって普通だな。」

当然素人が見ればこの数値は高いと思うかもしれないが優等生な桃を基準にしてみると普通である。

「次は大きな声を出しつつ呪文を唱えてみてくれ。」

「はい………ファイアーボール!」

出た呪文はたいして変わってないように見える。

「ただの見間違いだったのか……?」

俺の頭をこのような考えが一瞬よぎったが、すぐに霧散した。

「なっ!?」

着弾した瞬間ファイアーボールは轟音とともに火柱をあげたのだった。

「1.5倍ほどになったのか?」

マジックグラフィーを見るとファイアーボールの中心に至っては魔力の濃度がおよそ2倍ほども差があることが分かった。

「いやでもこんな簡単なこと、だれも気付かなかったんだ………?」

いや……気づかなかったのではない、故意的にその情報が抹消されていたと考えるほうが普通ではないだろうか。

「このことを知ってしまったようだな。竜虎 慧」

いつの間にか練習場のドアの前に一人の男が立っていた。

「誰だお前は。」

俺は桃の前に立ち手でかばうようにしながら質問をした。

「これは失敬、とは言っても朝あいさつしたばかりなんだがね。」

「朝は風紀委員の荷物検査のほうで開会式には出席していない。」

「そうだったのか。では改めて……『私』の名前はゲオルク・ヴァッサーだ。STARSの一人だ。」

「どうして俺の名前を知っているんだ?」

「天秤の藤堂から聞いただけだよ。それにしても第1回戦の試合を見たけどすごいな。実に興味深い。君はドイツに来ないかね?」

「それは遠慮しておきます。俺は日本から出るつもりはないですから。」

「いや、君は来なければならない。そうしなければこの情報とともに闇に葬り去られてもらうよ。そこにいる妹さんとともにね。」

「STARSってのは随分と戦争を危惧してるみたいだな。それともお前がこれを個人で行っているだけか?」

「そんなことは君にはどうでもいいことではないのか?とは言ったが答えてあげよう。『僕』個人で行っているだけだよ。」

なんだ?この違和感は……。

「へぇ、じゃあこれは発表をさせてもらう。」

「ダメだ。そんなこと『俺』が阻止する。」

違和感の正体が分かった。

「随分と一人称が安定しないようだな。」

「あぁ、他のやつらが出たがりでな。お前と話したくてしょうがないらしい。」

多重人格か?それにしてもさっきのやつより体が大きい。明らかにこれはおかしい。

「別の人格に切り替わるとき、その人間の体形や顔までが変化するらしいな。俺はその中の一人だが。」

「随分と適当な人間だな、どれが本当のお前だかわかったもんじゃない。」

「全てが本物だ。『私』であり、『俺』であり、『僕』である。」

そういうと男は顔つきが変わり。とてつもない殺気を放ってきた。

「おや、この程度では倒れないのか?随分と修羅場をくぐってきているようだな。」

「お兄様……。」

桃が泣きそうに怖がりながら俺の裾を引っ張ってくる。いつぶりだろうなここまで怖がる桃を見たのは。

「大丈夫だ。お兄ちゃんがついてる。」

昔はよく言った言葉だ。しかし成長するにつれ桃はいつしかお兄ちゃんと呼ばなくなってしまったがな。

「お前、STARSだろうがなんだろうが知らないが、俺の妹に危害を加えようってなら、本気でつぶすぞ。」

「できるものならな!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。 しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。 タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。 数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。 すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう! 手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。 そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。 無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。 和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜

猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。 ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。 そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。 それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。 ただし、スキルは選べず運のみが頼り。 しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。 それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・ そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。

処理中です...