魔法学院の最底辺

かる

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戦いの予兆

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俺は煌々とした街の中の路地裏へと入った。そして壁に寄りかかり、壁の少し穴の開いているところに金を入れた。

「少し調べごとをしてほしい。」

「随分と大金じゃないか。何についてだ?」

俺はその日あったことを省きつつ話した。女の容貌や口調などといったことだ。

「了解した、1週間後にまたここに来てくれ。」

「わかった。」

俺はその後兄弟と夕飯を食べてから寝た。

****************************************************

「今日は勇者系統と魔王系統のクラス分けについて発表する。」

楓先生が出席番号順に一人ずつクラスを言っていった。

「何か質問のあるやつはいるか?いないなら魔王系統は102号室、勇者系統はここに残って、空いている席を詰めるように前に座ってくれ。」

俺は魔王系統でアンケートを出しているため稜と別れて、102号室へと向かった。

「私が魔王系統の授業を持つ、ザリオ・ロックだよろしく。」

「慧さん慧さん、あの先生どこの国の方でしょうかね?」

隣の席にいたおさげの眼鏡をかけた女子が話しかけてきた。

「さぁ、魔王系統の国から来たといっても数が多すぎるしな。ところで君は?」

「失礼いたしました。私、『麻倉 花音』って言うんです。これから授業一緒に頑張りましょうね!」

「あぁ、よろしく頼むよ花音。それにしてもなんで俺の名前を知っているんだ?」

「慧さんと言ったら言ったら有名人じゃないですか。外交科から初めての風紀委員だって。」

「そうなのか……。」

外交科に対する偏見は根深いようだ。

それから授業をザリオ先生が続けていたが、魔王系統の初歩的な話から始まった。

「魔王系統の特徴だが相手を弱体化させる弱体魔法が支援魔法に多い。ブラックアウトやヒプノシスといった呪文だな。ほかにもドレインなど治癒魔法の一つだが相手に付加効果を与える呪文といったのが多いのも特徴だ。」

すると、花音が手をあげて先生に質問をした。

「では先生、勇者系統はどのような呪文が多いのですか?」

「いい質問だな、魔王系統と対をなす勇者系統は強化魔法が多いな。マジックウィンドなどの魔法を無効化する呪文がある。」

「それでは魔王系統が勇者系統に勝つことは不可能ではないですか?」

「それは魔導士の力量が問われるところだな。強大な力の差がついていれば魔王系統のブラックアウトなど全く効かないし、マジックウィンドの上から強大な魔法でたたけばマジックウィンドなど粉々に粉砕される。」

「わかりました。ありがとうございました。」

その後授業が終わって俺は花音に質問をした。

「最近何か変わったことってあるのか?」

「結構いい噂は聞かないね。STARSでも結構揉め事とかあるらしいからね。まぁ噂だけどね。」

「揉め事?」

「日本が勇者と魔王、どちらの国側につくかって迫られているらしいよ。まぁSTARSを2人も抱えている国となればどちらにつくかで戦局はかなり変わるからね。」

「なるほどな、ありがとう。」

「どういたしまして。」

****************************************************

「今週の定例会議だが先に魔法祭について話しておくべきことを伝えておく。」

「あと一か月もあるのに随分と早いですね。現に主となって動くのは魔法祭実行委員と生徒会では?」

「話が変わった。魔法祭にSTARSが見に来る。」

全員の顔つきが一気に険しくなった。その後桃が立って、先輩に質問をした。

「どうしていきなりジキルロット魔法学院に来ることになったんでしょうか?」

「日本における魔法の習熟度の確認だそうだ。」

「そうですか。」

桃は納得いってない顔をしながら席に座った。全員が気づいているがこれは建前だな。

「委員長、個々の全員気づいているんじゃないですか?」

委員長は1度大きく「ハァ」とため息をついてから話し出した。

「正しくは日本で使えそうな生徒のヘッドハンティングのようなものだ。今のうちに優秀な学生を捕まえて戦力にしようという算段だろう。」

「STARSから何人が来るんですか?」

「実際に来るのはドイツから1人、フランスから1人だ。しかし魔法祭の試合を録画して全員に配ってほしいという要望があった。」

例の超大国は動かないのか……。

「配るんですか?」

「国からの指示だ。」

いくらで売ったのだろうか。防衛費3年分とかか?

現在、魔法とは武力であり技術の発展には必要不可欠な存在だ。ましてや魔導士ともなれば国家機密レベルの存在だ。たかが学生の魔法祭とは言ってもだ。

「これで質問は終わりか?では今後の方針について話す。俺たちは魔法祭のときのドームの警戒などを担当する。」

姉さんが大きく立ち上がって机に手をつき委員長に質問をした。

「では私たちは魔法祭に出れないということでしょうか!?」

「出れないということはない。当然生徒会や魔法祭実行委員も手伝ってくれるから多いわけではないしな。しかしシフトとかぶっていた場合誰かと交換することも考えよう。」

「うーん、なるほど……。ありがとうございました。」

「では、魔法祭についての話し合いはこれで終わりでいいか?次に最近の治安についてだ。」

すると奥田先輩が立って書類をもとに話し始めた。

「最近このあたりの住宅街で魔法を使用したという通報がありました。」

そしてスクリーンに何枚かの写真を写しだした。

「これが事件があったと思われる場所ですね。」

「住民に被害などは?」

「若干名が窓ガラスで切ったなどといった連絡だったそうです。大きな爆発音とともに窓ガラスが割れたという報告もしていました。」

「こういうのって警察がするんではないのですか?」

「と言いたいが魔法を使えるとなると話が変わってくるのだ。必ずしも警察が犯人よりも魔法において優れているということはない。」

確かに、体術においてならば量で攻めれば犯人を取り押さえることが出来るであろう。しかし魔法ともなれば話は別だ。人数が集まったところで勝てるわけではないのだ。

「魔法祭に向けてテロなど起こされたら中止の可能性も全然出てくるしな。」

「今回のがテロである可能性は?」

俺が奥田先輩に質問をすると

「テロではないな。明らかに何かを狙っている。現にマジックウィンドの痕跡も残っていたらしい。戦いの最中であった可能性が高いな。」

「なるほど。」
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