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第1章
ハイレベル・ダンジョン
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コツコツ‥
洞窟のなかに2人の足音がこだます。2人はたいまつの明りで照らされながら、
無言で洞窟の奥深くに進んでいく。ときどき洞窟の上の方から水のしずくが
滴る音を聞きながらセイヤと一緒に洞窟系のダンジョン、
クリス・ハイレベルダンジョンの中を早足で歩いていく。なぜ今こんな
ところにいるのかというと‥もちろん、Lvが一気に30倍アップしたからである。
1時間前‥
「これから‥どこ行く?」
セイヤが聞いてくる。
「セイヤの残りのHPはどのくらいか?俺は7割ほど残っているけど」
「6割は残っている」
「じゃあ、いまからいっそのことミドルダンジョンじゃなくて‥ハイダンジョン行くか?」
ハイレベルダンジョン‥いままでそんなダンジョンがあることは知っていたが、
詳しくは聞いたことはない。
「ちょっと調べてみる‥」
セイヤはウィンドウを開くと<検索>のアイコンをクリックする。そして
どこかのオフィスの事務員のような慣れた手つきで素早く
“クリス・ハイレベル・ダンジョン”と打つと検索ボタンを押す。
あたりは暗いので明るく光るセイヤのウィンドウが良く見える。
「え~と‥推奨攻撃Lv23以上らしい。あと‥洞窟のダンジョンで、
ラスボス≪ケバケーブ≫とかいう奴を倒すと<洞窟の街>への
道が開けるらしい。詳しいことは書いてない」
「‥このまま行こうぜ!」
「‥もちろん!」
断る理由はなかった。むしろ、Lv30にもなってなぜ行かないのか不思議なくらいだ。
推奨レベルよりも7も高いなら、ハイレベルというよりもローレベルダンジョンだ。
「地図によると、ここから北にさらに3kmのところに洞窟の入口があるって」
早足で歩くこと1時間、モンスターを見つけてはモグから得た大量の「石」
を筋力Lv30でぶつけてはアイテムを拾い‥を数10回繰り返して
洞窟の入口にたどり着いた。入口の右に小さな看板がある。
「迷子に注意」
「そんだけ広いってことか‥まあ、そんなに気にすることもないだろう」
洞窟の中を歩くこと30分。まだモンスターはなにも出現していない。
ということは、恐らく後から結構な強さのモンスターが出現するのかも知れない。
いや、ただレベルが高いプレイヤーにはモンスターは出現しないような
設定になっていることもあり得るが、さすがにそれはないだろう。
たまたまセイヤのストレージの中に<完成間近の粗末なたいまつ>が
5本ほどあったのでそれ持って進んでいく。粗末なたいまつと言っても、
1本につき30分はもつ。だから6時間は洞窟に潜っていられることになる。
「あ、あれドアか?」
確かに前方に濃い紫の重そうなドアがある。そしてその左右には煌々と輝く
たいまつが壁にかけてある。奥にはいきなりラスボスが出てきそうな
雰囲気。まあ、いきなりラスボスというのも悪くない。
「どうする?開けちゃう?」
セイヤが興奮を隠しきれずに言う。
「いや、ここは一回回復ポーションで回復する方がいいと思う。
確かストレージに予備が10個くらいあったような‥」
ストレージを開き、「回復」のアイコンをタップすると、1番上の方に
<2級回復ポーション>が2つ。‥こんなの入れた覚えがないのだが
多分1時間前の戦闘?でゲットしたものだろう。
「はい」
「ああ、ありがとう。ってこれ‥」
「ああ、2級のやつ。普通に買うと10000ドルはするけど多分さっきの
湖のところでゲットしたんだと思う」
「ふっ」
「そんなに嬉しいか?」
「いや、それを分けてくれる優しさに感動したよ。いつもなら
自分だけ回復するくせに。まあ、今回は感謝してありがたく
もらっておくよ」
「なっ!」
「“なっ”て‥事実だろ?」
「ンにゃろ~~~」
口げんかすること10分経過。
「さっさと‥入ろうぜ!」
「ああ」
目の前には改めてみると紫がかった石に、竜が火を吹いているところが
細かいところまで彫られている重苦しいドア。そのちょうど中心部分を
セイヤと一緒に押していく。1秒ほど2人で全力で押すと、
バコ!
ちょうど手をあてていた部分が円になって奥に押し込まれる。
普通にドアだと思って押したのだが、どうやら普通のドアではなさそうだ。
ゴゴゴゴ‥
ドアが上下に半分に割れ、ゆっくりと開いていく。
ドアが全部開き終わる。中を見たいのだが、薄暗くて詳しくは確認できない。
しかし部屋のあちらこちらにはきらきらと薄く輝く紫水晶やアクアマリン
があり、この部屋を豪華にしている。
「えらい‥この部屋凄いな‥」
セイヤが奇妙そうに言う。
「ああ。俺もいままでこんなのがあることは知らなかった。
多分ネットにも載ってなかったかも」
「そ‥それは凄いな!俺たちが一番先に来たってことか?」
「恐らく。この世界は広すぎてまだ探検されてないところがまだ半分は
あるっていう噂もあるし」
「て言うか‥なんでこんな豪華な飾り付けなのか?」
「知らん。まあ、一つ言うとしたら‥宝石の中にいるに値するモンスターが
いるってことかな?」
多分俺の推測はあっているだろう。いや、ただここが洞窟だから、という
理由だけなのかもしれないが。
・・・・今なんか前方10m先ぐらいで赤い点が点滅した気がするのだが。
しかも2つ。
洞窟のなかに2人の足音がこだます。2人はたいまつの明りで照らされながら、
無言で洞窟の奥深くに進んでいく。ときどき洞窟の上の方から水のしずくが
滴る音を聞きながらセイヤと一緒に洞窟系のダンジョン、
クリス・ハイレベルダンジョンの中を早足で歩いていく。なぜ今こんな
ところにいるのかというと‥もちろん、Lvが一気に30倍アップしたからである。
1時間前‥
「これから‥どこ行く?」
セイヤが聞いてくる。
「セイヤの残りのHPはどのくらいか?俺は7割ほど残っているけど」
「6割は残っている」
「じゃあ、いまからいっそのことミドルダンジョンじゃなくて‥ハイダンジョン行くか?」
ハイレベルダンジョン‥いままでそんなダンジョンがあることは知っていたが、
詳しくは聞いたことはない。
「ちょっと調べてみる‥」
セイヤはウィンドウを開くと<検索>のアイコンをクリックする。そして
どこかのオフィスの事務員のような慣れた手つきで素早く
“クリス・ハイレベル・ダンジョン”と打つと検索ボタンを押す。
あたりは暗いので明るく光るセイヤのウィンドウが良く見える。
「え~と‥推奨攻撃Lv23以上らしい。あと‥洞窟のダンジョンで、
ラスボス≪ケバケーブ≫とかいう奴を倒すと<洞窟の街>への
道が開けるらしい。詳しいことは書いてない」
「‥このまま行こうぜ!」
「‥もちろん!」
断る理由はなかった。むしろ、Lv30にもなってなぜ行かないのか不思議なくらいだ。
推奨レベルよりも7も高いなら、ハイレベルというよりもローレベルダンジョンだ。
「地図によると、ここから北にさらに3kmのところに洞窟の入口があるって」
早足で歩くこと1時間、モンスターを見つけてはモグから得た大量の「石」
を筋力Lv30でぶつけてはアイテムを拾い‥を数10回繰り返して
洞窟の入口にたどり着いた。入口の右に小さな看板がある。
「迷子に注意」
「そんだけ広いってことか‥まあ、そんなに気にすることもないだろう」
洞窟の中を歩くこと30分。まだモンスターはなにも出現していない。
ということは、恐らく後から結構な強さのモンスターが出現するのかも知れない。
いや、ただレベルが高いプレイヤーにはモンスターは出現しないような
設定になっていることもあり得るが、さすがにそれはないだろう。
たまたまセイヤのストレージの中に<完成間近の粗末なたいまつ>が
5本ほどあったのでそれ持って進んでいく。粗末なたいまつと言っても、
1本につき30分はもつ。だから6時間は洞窟に潜っていられることになる。
「あ、あれドアか?」
確かに前方に濃い紫の重そうなドアがある。そしてその左右には煌々と輝く
たいまつが壁にかけてある。奥にはいきなりラスボスが出てきそうな
雰囲気。まあ、いきなりラスボスというのも悪くない。
「どうする?開けちゃう?」
セイヤが興奮を隠しきれずに言う。
「いや、ここは一回回復ポーションで回復する方がいいと思う。
確かストレージに予備が10個くらいあったような‥」
ストレージを開き、「回復」のアイコンをタップすると、1番上の方に
<2級回復ポーション>が2つ。‥こんなの入れた覚えがないのだが
多分1時間前の戦闘?でゲットしたものだろう。
「はい」
「ああ、ありがとう。ってこれ‥」
「ああ、2級のやつ。普通に買うと10000ドルはするけど多分さっきの
湖のところでゲットしたんだと思う」
「ふっ」
「そんなに嬉しいか?」
「いや、それを分けてくれる優しさに感動したよ。いつもなら
自分だけ回復するくせに。まあ、今回は感謝してありがたく
もらっておくよ」
「なっ!」
「“なっ”て‥事実だろ?」
「ンにゃろ~~~」
口げんかすること10分経過。
「さっさと‥入ろうぜ!」
「ああ」
目の前には改めてみると紫がかった石に、竜が火を吹いているところが
細かいところまで彫られている重苦しいドア。そのちょうど中心部分を
セイヤと一緒に押していく。1秒ほど2人で全力で押すと、
バコ!
ちょうど手をあてていた部分が円になって奥に押し込まれる。
普通にドアだと思って押したのだが、どうやら普通のドアではなさそうだ。
ゴゴゴゴ‥
ドアが上下に半分に割れ、ゆっくりと開いていく。
ドアが全部開き終わる。中を見たいのだが、薄暗くて詳しくは確認できない。
しかし部屋のあちらこちらにはきらきらと薄く輝く紫水晶やアクアマリン
があり、この部屋を豪華にしている。
「えらい‥この部屋凄いな‥」
セイヤが奇妙そうに言う。
「ああ。俺もいままでこんなのがあることは知らなかった。
多分ネットにも載ってなかったかも」
「そ‥それは凄いな!俺たちが一番先に来たってことか?」
「恐らく。この世界は広すぎてまだ探検されてないところがまだ半分は
あるっていう噂もあるし」
「て言うか‥なんでこんな豪華な飾り付けなのか?」
「知らん。まあ、一つ言うとしたら‥宝石の中にいるに値するモンスターが
いるってことかな?」
多分俺の推測はあっているだろう。いや、ただここが洞窟だから、という
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・・・・今なんか前方10m先ぐらいで赤い点が点滅した気がするのだが。
しかも2つ。
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