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最終章 最終決戦だヒャッハーな件

準備はいいか、ヤローども!

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 ソロンさんを王都の冒険者ギルドまで送った俺たちは、その足で城の前までやって来ていた。城唯一の入り口は跳ね橋が上がっていて入ることはできそうにない。と、思ったのだが――

「降りてますわね、橋」
「だなー」

 しかも「いつでもおいでませ」と言わんばかりに、門も開いている。

「明らかに罠といった感じだけれど……」

 甲斐先生が皆の心を代弁した。国境やら王都の入り口を厳重に封鎖して置いて、城だけコレってどうなんだ? 来て欲しいなら来て欲しいって素直に態度で表せよ!! 一周回ったツンデレか!? まったく可愛さなんて感じないが。

「念のために何人か外に残すか? 戦いに向いてない面子もいるしな」

 罠を警戒する流の兄貴がそんな提案を一つ。確かに生産職組なんかは戦えないことはないが、戦闘に向いているわけでもない。特に今回は恐らく対人戦が主になるだろうから、出来れば戦い慣れている奴らで固めるのが望ましい。

「そう言う流は残るのか?」
「俺は行く。コレがあるからな」

 と、手に持ったどデカイ鍛治用ハンマーを指差す流。……それ当たったら相手、普通に死んじゃわないですか? いいのか?

「そん時はそん時だな。こんな世界に来といて、何時までも綺麗な手のままって訳にもいかんだろ。特に俺は武器を作る職人だしな」
「うを、兄貴かっこいー」
「お前がそれ言うと皮肉にしか聞こえないんだが、神山」
「なんでだ?」

 意味がわからない。「お前な……」と何かを言いかけて、「いい、やっぱり何でもない」とか、言動がおかしいぞ?

 他にも意外な人物が立候補した。

「はいはーい、私も行きまーす!」

 佐伯である。つか、お前、装飾師だろ!? 戦闘で何の役に立つと?

「針と糸の扱いならまっかせて!」
「いや、だから針と糸で何をすると――」

 言いかける俺の目前にサッと差し出された、やたらでっかい針。腕くらいある。……ナニニツカウツモリナンデスカ、この針。

「この針と糸で、兵士さんたちを無傷で縛り上げたり……トカ?」
「…………針、いらなくね?」
「護身用ってことで!」

 誤魔化したな、こいつ。

「だってー、樹(いつき)も行くらしいし」

 え、そうなん? とか言いつつ『樹』て誰やねんと内心ツッコミを入れる俺。答えはすぐに出た。

「いや、みゆきち。戦闘にバフは付き物っしょ?」

 なんだ湯田の名前か。名前で呼び合うとか幼馴染やべぇ。どこのラノベだ?

「樹がオーケーなら私だってアリだよね、神山くん?」
「アリです、アリだから! 針の先をコッチ向けんな!」

 というわけで佐伯と湯田が突入メンバー入り。まあ最低限、自分の身が守れるなら問題ないか……。ただ、積極的にメンバー入りを狙う面子もいれば、そうでない面子もいた。

「あたしはパス。スナイパーは屋内より野外待機のがイイでしょ?」
「私もパスね。占星術師なんて戦闘力皆無だもの。みんなの無事を祈っておく」

 浅田の姐さんと、長谷部がリタイア宣言。他にも突入を渋ったのは、やはりというべきか女子が多い。護衛名目で居残りを希望する野郎どもも割といた。下心が透けて見えるぞお前ら。

 というわけで最終的には――

 俺、シータ、早乙女、石田、新名、甲斐先生、北山、流、佐伯、湯田の十人が突撃メンバーになったのだった。回復役が新名と甲斐先生くらいしか居ないけど大丈夫なん? いや、まあ友瀬が山のように回復薬をシータに渡してたからいいのか? しっかし、見事な脳筋パーティーである。……俺も含めて。




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