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第1章 入学
第5話 入学式
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入り口が狭い体育館。
みんな走って血が上っているのか、うわぁぁぁぁ…と大声を上げながら一生懸命入ろうとする。
普通の入学式に見る光景ではないな…。
そう思いながらも、俺もつられて大声を出していた。
そして、ようやく体育館の入り口に入ることができ、一安心。
「よ、よかった!20秒前に入れた…!これで退学にはならない…。」
「涼ちゃんとまだいられるのね!良かった!」
息を切らしながら俺たちは安堵の息を漏らす。しかし、やはり絵里は天然なのだろうか…?恋しちゃうぞ?
一つ問題なのが、体育館に入っていく生徒が入った瞬間にはしる速度を下ろしてゆっくり歩いてしまうということだ。
自分のことで精一杯になっているのは分かるのだが、まだ後ろがいることを忘れないでほしいと思う。
しかし、そんな俺も着いた途端立ち止まってしまい、後ろの人に迷惑をかけてしまったのだ。申し訳ないなぁ…。
「おい、気をつけろ!」
大声で怒鳴られたが、行った瞬間にどっかへ行ってしまったので、良かった。
そして。
「終了ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
の合図が出たのであった。
その瞬間。
入り口がドン!!!という音を立てて閉まる。入れなかった人がいなければ良いと願うばかりなのだが、体育館に入って歩いている俺にはそのことを確認することができない。
「入り口にいるもの、今すぐダッシュで来て椅子に座りなさい!!!」
恵梨香先生の言葉が響く。
あの先生、もしかしてものすごく偉い人なのかな…?
俺は急いで適当に空いている椅子に腰を下ろし息を整えた。
いったいどのくらいの人が入れなかったのだろうか…心配になるばかりである。
「ただ今集計が終わりました。体育館内に入れなかったクラスを発表します。U、V 、W 、X 、Y 、Zの6クラス、計300人です。そのクラスの親御さんは直ちにお子さんとお帰りください。お疲れ様でした。」
恵梨香先生が冷たい声で放送を流す。
先生の表情はあまりに残酷で冷徹だった。
1150人中300人が居なくなる…。
親も生徒1人につき1人入学式に参加して良いとあったため、1150名クラス順に並んでいたのだが、その右6クラス分の300人が一気に体育館から出て行った。その様子を見ていると泣いている人や、怒りまくりで顔が赤くなっている人もいる。そりゃ、たかが走る競争で退学になるなんてあんまりだからだろう。退学になってしまった人のことを思い悲しむ俺と、退学にならなくてよかったと思う自分がいることに複雑な気持ちが芽生えた。すると、退出している親御さんの1人が立ち止まり、恵梨香先生に向かって叫び出す。
「たかが走る競争ごときで退学させるなんてあんまりです!!!普通の入学式に走らせるなんておかしすぎますよ!退学をどうにか取り消してください!!!」
よく言った。親御さん。
そう心の中でおれはその親御さんに拍手を送っていた。それに対し恵梨香先生は、
「何を言っているんですか?これは入れなかったお子さんが悪いのですよ?たかが…とおしゃいましたが、これはこの学校の伝統行事なんですよ。普通の高校ならばこんなにたくさんの生徒は合格せず、せいぜい320名と言ったところでしょうが、これは受験者を全員合格にした代償なんです。それに、クラス決めは成績順に決めてあるので、入れなかった生徒たちが退学しても私たちには何ら問題はございません。失礼ですが、お早めにお引き取りください。」
先生の長ぁ~い説明により、まだ言い足りなさそうな親御さんは悔しい気持ちを押し込め、一礼をして出て行った。この緊張感は半端ないな…。
先生は成績順にくらすが決められていると言っていた。残り17クラス中15番目の俺たちはどうなってしまうんだ…。テストとかでヘマをしたらやばい気がした。
「それでは、入学式を始めます。」
そして、ようやく入学式が始まったのであった。
みんな走って血が上っているのか、うわぁぁぁぁ…と大声を上げながら一生懸命入ろうとする。
普通の入学式に見る光景ではないな…。
そう思いながらも、俺もつられて大声を出していた。
そして、ようやく体育館の入り口に入ることができ、一安心。
「よ、よかった!20秒前に入れた…!これで退学にはならない…。」
「涼ちゃんとまだいられるのね!良かった!」
息を切らしながら俺たちは安堵の息を漏らす。しかし、やはり絵里は天然なのだろうか…?恋しちゃうぞ?
一つ問題なのが、体育館に入っていく生徒が入った瞬間にはしる速度を下ろしてゆっくり歩いてしまうということだ。
自分のことで精一杯になっているのは分かるのだが、まだ後ろがいることを忘れないでほしいと思う。
しかし、そんな俺も着いた途端立ち止まってしまい、後ろの人に迷惑をかけてしまったのだ。申し訳ないなぁ…。
「おい、気をつけろ!」
大声で怒鳴られたが、行った瞬間にどっかへ行ってしまったので、良かった。
そして。
「終了ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
の合図が出たのであった。
その瞬間。
入り口がドン!!!という音を立てて閉まる。入れなかった人がいなければ良いと願うばかりなのだが、体育館に入って歩いている俺にはそのことを確認することができない。
「入り口にいるもの、今すぐダッシュで来て椅子に座りなさい!!!」
恵梨香先生の言葉が響く。
あの先生、もしかしてものすごく偉い人なのかな…?
俺は急いで適当に空いている椅子に腰を下ろし息を整えた。
いったいどのくらいの人が入れなかったのだろうか…心配になるばかりである。
「ただ今集計が終わりました。体育館内に入れなかったクラスを発表します。U、V 、W 、X 、Y 、Zの6クラス、計300人です。そのクラスの親御さんは直ちにお子さんとお帰りください。お疲れ様でした。」
恵梨香先生が冷たい声で放送を流す。
先生の表情はあまりに残酷で冷徹だった。
1150人中300人が居なくなる…。
親も生徒1人につき1人入学式に参加して良いとあったため、1150名クラス順に並んでいたのだが、その右6クラス分の300人が一気に体育館から出て行った。その様子を見ていると泣いている人や、怒りまくりで顔が赤くなっている人もいる。そりゃ、たかが走る競争で退学になるなんてあんまりだからだろう。退学になってしまった人のことを思い悲しむ俺と、退学にならなくてよかったと思う自分がいることに複雑な気持ちが芽生えた。すると、退出している親御さんの1人が立ち止まり、恵梨香先生に向かって叫び出す。
「たかが走る競争ごときで退学させるなんてあんまりです!!!普通の入学式に走らせるなんておかしすぎますよ!退学をどうにか取り消してください!!!」
よく言った。親御さん。
そう心の中でおれはその親御さんに拍手を送っていた。それに対し恵梨香先生は、
「何を言っているんですか?これは入れなかったお子さんが悪いのですよ?たかが…とおしゃいましたが、これはこの学校の伝統行事なんですよ。普通の高校ならばこんなにたくさんの生徒は合格せず、せいぜい320名と言ったところでしょうが、これは受験者を全員合格にした代償なんです。それに、クラス決めは成績順に決めてあるので、入れなかった生徒たちが退学しても私たちには何ら問題はございません。失礼ですが、お早めにお引き取りください。」
先生の長ぁ~い説明により、まだ言い足りなさそうな親御さんは悔しい気持ちを押し込め、一礼をして出て行った。この緊張感は半端ないな…。
先生は成績順にくらすが決められていると言っていた。残り17クラス中15番目の俺たちはどうなってしまうんだ…。テストとかでヘマをしたらやばい気がした。
「それでは、入学式を始めます。」
そして、ようやく入学式が始まったのであった。
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