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騎士団長

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入ってきたのは、これまた背の高い美丈夫だった。

「え、あ、」

彼は僕が立ち上がると無言で踵を返し、部屋を出た。

・・・着いてこい、ってことかな。

スタスタ歩いていく彼において行かれないよう足を早める。

暫く歩いて着いたのは、他より少し大きい扉の部屋だった。


「失礼します」

感情のこもっていない声で彼は部屋を開く。

奥の机に座っていたのは、アーベルさんによく似た若い男性だった。

「やあ、君が郁君だね。怪我の方は大丈夫かな?」

「あっ、はい、大丈夫です」

優しげな声色で問われた。細められた目がキラキラして綺麗だな・・・

完璧な美男。





























(もし、こんな人がベットの上でだけハードだったら・・・)

また妄想が捗りそうだったが、団長さんが話を続けたので一旦とめた。

「ところで、忌人が災いの象徴であることは知っているね?」

そういえば、アーベルさんが言っていたな。

僕はコクリと頷いた。

「そうか。・・・なら、現れた忌人は危険を避けるため処刑されるのも知っているよね?」

また僕はコクリと頷いた。

団長さんはでも、と言葉を続ける。

「君は特殊な事情により騎士団で保護することになった。ということで、君にはここの寮で過ごしてもらう。
 何かあったらその時は然るべき対処をさせてもらうからね。」

今まで優しかった団長さんの目が射抜くような視線になる。

団長さんの威圧だけで部屋にはピリッとした空気が流れた。

普通の人は萎縮してしまうだろうが、なんせ僕だ。ハードな行為の妄想に拍車がかかっていた。



「・・・とはいえ、君もすることが無ければ退屈だろう。仕事はそこのエミールから伝えてもらって。」

二秒ほど経っていたのだろうか。ため息を付いた後団長さんはフッと空気を和らげて、部屋から連れてきてくれたあの美丈夫に視線を移した。

彼はエミールというのか。

「じゃあ、今日はもう部屋に戻って休んでおいで。」

団長さんがそう言うと後ろの扉が開けられて、エミールさんがスタスタ歩いていった。

早く着いていかなければ迷ってしまう。

部屋を出る前、団長に一礼だけしてエミールさんの後を着いていった。

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