6 / 6
騎士団長
しおりを挟む
入ってきたのは、これまた背の高い美丈夫だった。
「え、あ、」
彼は僕が立ち上がると無言で踵を返し、部屋を出た。
・・・着いてこい、ってことかな。
スタスタ歩いていく彼において行かれないよう足を早める。
暫く歩いて着いたのは、他より少し大きい扉の部屋だった。
「失礼します」
感情のこもっていない声で彼は部屋を開く。
奥の机に座っていたのは、アーベルさんによく似た若い男性だった。
「やあ、君が郁君だね。怪我の方は大丈夫かな?」
「あっ、はい、大丈夫です」
優しげな声色で問われた。細められた目がキラキラして綺麗だな・・・
完璧な美男。
(もし、こんな人がベットの上でだけハードだったら・・・)
また妄想が捗りそうだったが、団長さんが話を続けたので一旦とめた。
「ところで、忌人が災いの象徴であることは知っているね?」
そういえば、アーベルさんが言っていたな。
僕はコクリと頷いた。
「そうか。・・・なら、現れた忌人は危険を避けるため処刑されるのも知っているよね?」
また僕はコクリと頷いた。
団長さんはでも、と言葉を続ける。
「君は特殊な事情により騎士団で保護することになった。ということで、君にはここの寮で過ごしてもらう。
何かあったらその時は然るべき対処をさせてもらうからね。」
今まで優しかった団長さんの目が射抜くような視線になる。
団長さんの威圧だけで部屋にはピリッとした空気が流れた。
普通の人は萎縮してしまうだろうが、なんせ僕だ。ハードな行為の妄想に拍車がかかっていた。
「・・・とはいえ、君もすることが無ければ退屈だろう。仕事はそこのエミールから伝えてもらって。」
二秒ほど経っていたのだろうか。ため息を付いた後団長さんはフッと空気を和らげて、部屋から連れてきてくれたあの美丈夫に視線を移した。
彼はエミールというのか。
「じゃあ、今日はもう部屋に戻って休んでおいで。」
団長さんがそう言うと後ろの扉が開けられて、エミールさんがスタスタ歩いていった。
早く着いていかなければ迷ってしまう。
部屋を出る前、団長に一礼だけしてエミールさんの後を着いていった。
「え、あ、」
彼は僕が立ち上がると無言で踵を返し、部屋を出た。
・・・着いてこい、ってことかな。
スタスタ歩いていく彼において行かれないよう足を早める。
暫く歩いて着いたのは、他より少し大きい扉の部屋だった。
「失礼します」
感情のこもっていない声で彼は部屋を開く。
奥の机に座っていたのは、アーベルさんによく似た若い男性だった。
「やあ、君が郁君だね。怪我の方は大丈夫かな?」
「あっ、はい、大丈夫です」
優しげな声色で問われた。細められた目がキラキラして綺麗だな・・・
完璧な美男。
(もし、こんな人がベットの上でだけハードだったら・・・)
また妄想が捗りそうだったが、団長さんが話を続けたので一旦とめた。
「ところで、忌人が災いの象徴であることは知っているね?」
そういえば、アーベルさんが言っていたな。
僕はコクリと頷いた。
「そうか。・・・なら、現れた忌人は危険を避けるため処刑されるのも知っているよね?」
また僕はコクリと頷いた。
団長さんはでも、と言葉を続ける。
「君は特殊な事情により騎士団で保護することになった。ということで、君にはここの寮で過ごしてもらう。
何かあったらその時は然るべき対処をさせてもらうからね。」
今まで優しかった団長さんの目が射抜くような視線になる。
団長さんの威圧だけで部屋にはピリッとした空気が流れた。
普通の人は萎縮してしまうだろうが、なんせ僕だ。ハードな行為の妄想に拍車がかかっていた。
「・・・とはいえ、君もすることが無ければ退屈だろう。仕事はそこのエミールから伝えてもらって。」
二秒ほど経っていたのだろうか。ため息を付いた後団長さんはフッと空気を和らげて、部屋から連れてきてくれたあの美丈夫に視線を移した。
彼はエミールというのか。
「じゃあ、今日はもう部屋に戻って休んでおいで。」
団長さんがそう言うと後ろの扉が開けられて、エミールさんがスタスタ歩いていった。
早く着いていかなければ迷ってしまう。
部屋を出る前、団長に一礼だけしてエミールさんの後を着いていった。
2
お気に入りに追加
129
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?
「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。
王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り
更新頻度=適当
俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
気づいて欲しいんだけど、バレたくはない!
甘蜜 蜜華
BL
僕は、平凡で、平穏な学園生活を送って........................居たかった、でも無理だよね。だって昔の仲間が目の前にいるんだよ?そりゃぁ喋りたくて、気づいてほしくてメール送りますよね??突然失踪した族の総長として!!
※作者は豆腐メンタルです。※作者は語彙力皆無なんだなァァ!※1ヶ月は開けないようにします。※R15は保険ですが、もしかしたらR18に変わるかもしれません。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
第12回BL小説大賞に参加中!
よろしくお願いします🙇♀️
転生したら弟がブラコン重傷者でした!!!
Lynne
BL
俺の名前は佐々木塁、元高校生だ。俺は、ある日学校に行く途中、トラックに轢かれて死んでしまった...。
pixivの方でも、作品投稿始めました!
名前やアイコンは変わりません
主にアルファポリスで投稿するため、更新はアルファポリスのほうが早いと思います!
奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。
拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ
親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。
え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか
※独自の世界線
運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました
十夜 篁
BL
初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。
そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。
「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!?
しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」
ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意!
「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」
まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…?
「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」
「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」
健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!?
そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。
《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる