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クラブへ行く途中

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金曜日の夜。

エッチなお姉さんに辱められる妄想をしながら、僕は電車に乗っていた。

僕の名前は有野 侑。ドMなことを除けば普通の男子高校生だ。

今日は稼いだバイト代でお気に入りのクラブに行く。

夜の夜景を見下ろしながら、クラブでのあんなこと、こんなことを考えてドキドキしていた。

高校生なのにクラブへ行けるのかって?

大丈夫。僕高3で18才だから。




ドMに目覚めたきっかけは、僕が13歳のときに父さんが新たな母親と再婚したことだった。

もともと僕には父親しかいなかったんだ。母さんは僕を産んだあと、行方不明になったんだって。

理解されにくいこの社会の中、今まで男手ひとつで育ててくれたこと、本当に感謝している。

とまあ、それはおいといて。

とにかく、新しい母親・・・継母が本当に屑だったんだ。

父さんの稼いだお金はパチンコやらアクセサリーばっかに使って家事は全部僕にやらせるし。

父さんが仕事で全然帰ってこれなかったから家事はなれていたとはいえ、あんまりだった。

継母は、父さんが必死に稼いだお金で遊んで、子供が作った料理を食べていたんだ。



とまあ、これでも十分ひどいけど、一年経ったら更に調子に乗り出してね。

僕に暴力を振るうようになったんだ。

つねったり叩いたりは序の口で、殴ったり髪を引っ張ったりしたんだ。

昔の僕は怖がりで、気も弱かった。だから継母が怖くて怖くて仕方なかった。

それでも僕は父さんに迷惑をかけたくなくて、一人我慢していた。

でもあるとき、痛みに快感を感じるようになったんだ。



その日は継母がイライラしていた。

ストレス発散とばかりに僕に当たり散らかし、僕のお腹めがけて拳を振りかぶった。

僕は次に来る衝撃に身を固めた。

しかし、いつまでたっても思っていたような衝撃はこなかった。

代わりにきたのは、痛みに対する快楽。

体に電流が走ったようだった。それは背中からゾクゾクと伝わっていき、やがて僕の思考を支配した。

(~~ッ///)

いたい・・・きもちいい・・・

感じたことのない快感。知らなっかた感覚。

(もっと、もっと欲しいっ・・・!)

僕はこの瞬間、痛みの快楽の虜になってしまった。



急に赤面して息を荒げだした僕に、継母は怪訝な目を向ける。

やがて継母の目線は僕の頭から下の方へと流れていき、大きくなった僕のそこに止まった。

途端に向けられる軽蔑の眼差し。僕はその目線すら快楽として捉えてしまった。

継母はそんな僕の髪を鷲掴み、床に放り投げると僕の至るところを蹴り出した。

痛みと快楽でごちゃごちゃになる僕に継母は、侮辱の言葉を浴びせ続けた。

僕を見下ろし、ずっとみてくる。

軽蔑の色を浮かべた瞳で。

背筋がゾクゾクしてたまらなっかった。

痛い痛い痛い・・・気持ちいっ、気持ちいいっ











気がつくと、僕は独りボロボロになって床に転がっていた。

父さんが長期出張だから、継母も調子に乗ったのだろう。

父さんにバレないようにといつも継母が殴らない顔や手首にまで、痣ができていた。全身が鈍い痛みを訴えている。

それでも、継母に侮辱され、蹴られていたときは確かに興奮していた。

感じたことのないあの快楽を思い出し、僕は戸惑いながらも惚けていた。

そして落ちるように意識を失い、再び目覚めたのは病院のベットの上だった。

目を開けるやいないなや、病室でカルテを書いていた看護師さんがすっとんでいき、しばらくしてお医者さんが入ってきた。

お医者さんと話をしていると、しばらくして汗だくの父さんが病室の扉を勢いよく開ける。

父さんは泣きながら放ったらかしにして傷つけてしまったことを謝り、継母と離婚したこと、継母を訴えたことを話してくれた。

父さんが僕を大切に想っていてくれて嬉しかった。

でも、僕が頭の中心でずっと考えていたのは、どうしたらあの快楽をもう一度味わえるか、ということだった。












あのあと、自分がマゾだと気づいたんだよね。

それからは先生にわざと怒られてみたり、先輩に叩かれる妄想をしたりしたんだよなぁ。

今、もし過去と同じように毎日継母に虐められても、全て快感にかわるだろう。

僕はもはや、ふつう傷つくことが快感へと変わるようになっていて、傷つくことがなくなっていた。

______________

懐かしいことを思い出しているうちに、もうクラブのある駅についていた。

人の少ない駅の改札を通り、看板だらけの町に入る。

お気に入りのクラブまで、胸を弾ませて歩いた。


・・・

・・・


しばらく歩いていると、路地裏に入る猫を見つけた。

普段は気にもとめないけれど、なんだか無性に気になって気づけば猫の後を追っていた。

入り組んだ路地。ふと、足元に違和感を感じた。

「え・・・」

足を見ると、なんと足がコンクリートのはずの地面に埋まっていっていた。

「っ!」

それに気付くやいなや、まばゆい光が僕をつつんだ。






















気が付くと、僕はさっきとは違う路地裏で座り込んでいた。

猫もいないし、足も地面に埋まっていない。

あっけにとられている僕はしばらく座り込んでいた。

しばらくして、女の人が路地を曲がってきた。

すると、女の人は僕を見るなり大声で叫んだ。

「黒髪!黒髪よ!穢らわしい忌み人がいるわ!!」
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