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空振りボーイとフェアリー
しおりを挟む「何でサボったのさ、集会」
友人の真麻の声が私を冷やかす。
面白かったよー、と間抜けな声で付け足す。
「別に、本読みたかったから」
「優等生、三島伊織が聞いて呆れるね」
「そんなことないよ、真麻も成績いいじゃん」
はぁーーと大きくため息を吐いたのは、中学からの友人の西島真麻 だ。
「そういえば、中学でも集会で告白されてたよねぇ」
「…………覚えてない」
「んなわけないでしょ!」
あっはっはと手を叩いて笑う真麻に私は窓の外を見てふて腐れている。
「あんときだよねぇ、フェアリーちゃんってあだ名ついたの。
なんだっけ…
伊織ちゃん!!!!
僕だけのフェアリーになってください!
だっけ!!! 」
「…………覚えてないってば」
開きっぱなしになった筆箱のチャックをジャッとしめてカバンに突っ込む。
真麻はケラケラと笑って続ける
「まぁそう怒るなってー。
その容姿なんだからモテても仕方ないよ」
「もっと可愛い子はたくさんいる」
「それでも伊織は可愛いよ、仕方ない。」
自分で言うのもなんだが、その、人より少し異性から好かれやすいらしい。
見た目がどうかはともかく、気分がいいものとは到底思えない。
中学時代ではあらぬ噂を流され、男絡みで上級生の女子から呼び出しを食らって殴られたことだってある。
流行っていた髪型にしようと、黒髪ぱっつんにすれば周りから、「清楚系ビッチ」だの中学生には無縁のような噂を流された。
そんな私は、男と無縁の高校デビューを果たすべく、男ウケの悪い女を演じ続けている。
それらしい呼び出しはその場で断るし、手紙は読まずに捨てる。
何より男絡みの女の嫉妬は酷く恐ろしい、
と思うのが私を一番こうさせている。
「で、あの告白どうすんの? 白川くんの。」
「あの人白川っていうの、知らなかった」
「嘘でしょ?」
さっきまでの茶化しから一転、あっけらかんとして私を見る真麻。
「ふつー忘れますぅ?
同じクラスのイケメン男子」
「真麻はああいうのがいいんだ」
「いや、もちっと背が高い方がいい」
あーでも馬鹿はお断りかな、と教室に入って早々集られている白川くんをみて言う。
どうやら大衆の前での告白が空ぶったのが堪えたらしく、苦笑いで席に座ったのが見えた。
担任が教室に入ったと同時にホームルームを始めた。
そのときには既に彼の名前を私は忘れていた。
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