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しおりを挟む美弥子さん、綺麗な方。
華やかで、とても似ても似つかない。
それでも、慧一様は美弥子さんをお好きになったのです。
考えるだけで、私は泣き出してしまいます。
その時、スマホが鳴りました。
慧一様からメールが入り、すぐに部屋に来いとの事でした。
訝しげにお部屋まで行くと、慧一様はすぐに出てこられ、私を抱き締めキスをしてきました。
「そんなに不安そうな顔をするな。言っただろう?お前しかもう抱かないと。」
本当だったらいいのに・・・。
「お婆様が言っていたが、あの女に茶道と華道の事を聞かれたら、厳しく教えろ。まあ、続くとは思えないがな。」
トゲトゲしい言い方に、私は不思議に思います。
「なぜそんなにも厳しい事を仰るのですか?お義姉様の事がお好きではないのですか?」
慧一様はフッと鼻で笑い、私を抱く腕を強くします。
「あんな女、好きではないな。私が欲しいと思った条件に合っただけだ。お前は何も心配せずに、私に抱かれていれば良い。」
お好きではない?
昨日も今日も、慧一様は私しかお抱きにならないと仰っていたし、信じてもいいのでしょうか・・・。
~慧一視点~。
「美弥子さんは、また出掛けたのですか?全く、これだから若い人はなっていません。結婚して三月で遊び歩く様になるし、茶道も何もできないままなんて!しかも、買い物にも限度が有ります。我が家を破産させるつもりですか!慧一!貴方が言わないなら、私から言いますよ!」
夕食の食卓で、お婆様は激怒していた。
美弥子が、計画通り男遊びを始めたのだ。
しかも、以前手を切った男の家に入り浸っているのだ。
これならやはり・・・。
「分かりました。お婆様、帰って来たら私が言っておきます。やはり、外の女性では次期家元の妻は務まらないのでしょう。」
私の一言に、お婆様は頷く。
「そうですね。やはり、香織さんの様に落ち着いていて、茶道を嗜んでいないといけません。香織さんなら、慧一の嫁にふさわしいのかもしれませんね。」
家元は顔をしかめる。
「お母さん、嫁がいるのに何を言っているのですか。確かに香織なら、嫁にふさわしいかもしれませんが、まだ嫁は美弥子ですよ。」
家元も香織を認めている。
これなら、離婚しても香織との再婚は反対されないだろう。
その時襖が開き、美弥子が帰って来た。
私達を睨み付けて、鼻息も荒い。
「皆さん、言いたい事はそれだけですか。私が慧一さんにふさわしくないと、それなら最初から嫁にしなければ良かったのに!馬鹿にしてますね!」
言い終わると、襖を勢い良くバンッと閉め足音が遠ざかって行く。
「慧一さん、追いかけて。」
お義母さんが、私を追い立てるので仕方なく腰を上げる。
「はい。」
香織が心配そうな顔をしているので、軽く肩を叩いてやり食卓を出る。
今の話しを聞いていたら、美弥子の性格なら荒れているだろう。
美弥子の部屋に行くと、何かが壊れる音がしてくる。
私は笑った。
ここまでは上手く運んでいる。
「美弥子、入るぞ。」
襖を開けると、花瓶が割れ、テレビが床に落ちている。
「何しに来たのよ!嫁失格の私に、何の用なのよ!言いたい事を言いやがって!」
全く品が無い。
最初から分かっていたが、どうしたらこんなにも品の無い人間が生まれるのか?
「美弥子、そろそろ妊娠したんじゃないか?感情的になっているし、少し太った様だ。」
私の一言で、美弥子は顔色を青くさせる。
「な、何故そんな事言うのよ!あなたとはセックスしていないし、妊娠なんてするはず無いでしょう!」
「そうかな?避妊リングは、私と結婚する時に外したし、結婚一週間で他の男とセックスしている。今は一晩の男を除いて、三人の男と不倫している。」
私が話すと、美弥子は身体を震わせている。
「今日の午後、薬局で妊娠検査薬を買っている。その顔色だと本当に、妊娠したらしいな。」
「なんでそんな事知っているのよ!私を調べてるの!まさか探偵でも使っているんじゃないでしょうね!」
私は、腕を組み頷く。
「勿論探偵は使っているさ。私はお前の全てを知っている。今日何人の男と寝たのか、どんな関係なのか、全てを。」
「どうしてよ!どうして、私にそこまでするのよ!お見合いで会って、私を気に入ったから結婚したんでしょう!なのに、私には指一本触れもしないで、探偵まで雇って不倫の証拠を探しているなんて!」
「見合いで気に入ったんじゃない。私は、今の私にふさわしい人間と結婚しただけだ。」
美弥子は、私を睨み付けて今にも襲って来そうな表情をしている。
「お前は合格だ。明日、一緒に病院に行くぞ。妊娠していたら、子供を産め。そうしたら、あとは何をしても良い。離婚したいならしても良いし、慰謝料も出そう。だが、子供は置いていけ。」
その時美弥子は、フッと笑う。
「あなた、子供が欲しいのね。それで私と結婚したんだ!なら、子供の値段は高いわよ!私が良いという位じゃないと、渡さないから!」
「良いだろう。今は生活費として、月にカード払いが三百万だが、子供を産めば家族に知られない様に、月五百万用意しよう。それならば良いか?」
「ええ、いいわ。でも、そんなお金あなたにあるの?」
「私を侮ってもらっては困る。私が、月にいくら稼いでいるかお前には分からんだろうな。」
美弥子は考えている。
「分かったわ。でも、明日病院に行って妊娠していなかったら、お金は貰えないのよね?」
「当たり前だ。子供の為に、今迄金を使っても何も言わなかったんだからな。」
それだけ言うと、私は美弥子の部屋を出る。
良かった。
これ以上香織を心配させたくなかったのだ。
でも、すぐに安心して私に身を預ける様になるだろう。
美弥子と上手く離婚できたら、すぐに香織と再婚できる。
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