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第四章 借金の肩代わりに母親を奪われるとは、情けない!
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ハロルド様が母さんを説得する間、僕は近くを散歩をして待つことにした。果たして母さんはハロルド様の説得に応じるだろうか。僕に対するあの態度を見る限り、ハロルド様も手を焼きそうな気がするけどなあ…
そう。母さんは意志が強くて、信念を曲げない女性なのだ。僕は小さい頃から一度決めたことはやり遂げなさいと何度も言われてきた。優柔不断で弱気だった僕は随分と怒られたものだ。悪く言えば頑固者なのだけど…
「母さん…」
僕はぽつりと呟いていた。そう、母さんはそんな性格をしているから、きっとハロルド様の説得にも応じない。
そしたらどうなる?魔王の手先に狙われてしまうのだろうか。そしたら母さんはどうする?きっと母さんは、僕に迷惑をかけまいとするだろう。きっと、舌を噛み切ってでも…
「そんなの嫌だ!」
思わず少し大きな声を出してしまった。周りには人っ子一人いないから問題ないけど。
やっぱり、母さんには安全な場所で僕の帰りを待っていて欲しい。母さんに何かあったら僕は…
「おっと、湖畔じゃないか」
そんなことを考えて散歩を続けたら、遠くの湖畔にまで着いてしまった。家に戻らないと。
…とにかく、今はハロルド様の交渉術を信じることにしよう。母さんは頑固者だけど、ハロルド様の説得なら応じる可能性もきっとある。
そう思い直して、僕は湖畔を後にした。
※
「勇者殿、遅かったではないか」
「あ、すみません」
家に着くと、玄関先にハロルド様と母さんが立っていた。どうやらもう話し合いは終わったみたいで、僕を探していたようだ。2人には悪いことをしたな。
ハロルド様は相変わらず余裕のある雰囲気だ。母さんは怒って…いない。ずいぶんと大人しくなっている。僕と話していた時の態度とは大違いだ。
「エルド、あのね…母さん、やっぱり王宮に匿ってもらうことにするわ」
「えっ!?」
母さんの唐突な言葉に、僕は思わず驚きの声を上げてしまった。確かに僕はこうなることを望んでいた。だけど、さっきまであんなに怒鳴って拒絶していた母さんが…いったいどういう風の吹き回しだろう。
「ハロルド様のお話を聞いて考え直したわ…その、さっきは大声で怒鳴ってごめんね…」
「い、いや…気にしてないよ」
ハロルド様の交渉術が一枚上手だったのだろうか。それにしても、あの母さんを説得するなんて…いったいどんな手を使ったのだろう。
「ふふふ。勇者殿、そういうことだ。これで心置きなく旅を続けられるな」
「は、はい」
「心配せずとも、母君は我々の命に代えても守ってみせる」
そう言いながら、ハロルド様はさりげなく、母さんの肩に手を置く。すると母さんの身体がぴくりと小さく反応した。顔も心なしか紅潮している気がする。
僕の胸中になんとも言いようのない不安が襲う。ハロルド様を信じて大丈夫なのだろうか。誠実な方だから大丈夫なはずだ…いや、でも僕はハロルド様のせいで恐ろしい目に遭った…
「エルド、私は大丈夫だから…旅に集中してちょうだい」
そんな僕の不安をかき消してくれたのは、他ならぬ母さんだった。そうだ…母さんを、ハロルド様を信じよう。
「どうやら話はまとまったようだな。さあ、勇者エルドよ。地下通路を通り、未知なる土地へと足を踏み入れるが良い!」
「…はっ!」
僕にできることは冒険を続けることだ。邪念を捨てるんだ。母さんとハロルド様を信じるんだ。そうだ。きっと、きっと大丈夫だ…
そう。母さんは意志が強くて、信念を曲げない女性なのだ。僕は小さい頃から一度決めたことはやり遂げなさいと何度も言われてきた。優柔不断で弱気だった僕は随分と怒られたものだ。悪く言えば頑固者なのだけど…
「母さん…」
僕はぽつりと呟いていた。そう、母さんはそんな性格をしているから、きっとハロルド様の説得にも応じない。
そしたらどうなる?魔王の手先に狙われてしまうのだろうか。そしたら母さんはどうする?きっと母さんは、僕に迷惑をかけまいとするだろう。きっと、舌を噛み切ってでも…
「そんなの嫌だ!」
思わず少し大きな声を出してしまった。周りには人っ子一人いないから問題ないけど。
やっぱり、母さんには安全な場所で僕の帰りを待っていて欲しい。母さんに何かあったら僕は…
「おっと、湖畔じゃないか」
そんなことを考えて散歩を続けたら、遠くの湖畔にまで着いてしまった。家に戻らないと。
…とにかく、今はハロルド様の交渉術を信じることにしよう。母さんは頑固者だけど、ハロルド様の説得なら応じる可能性もきっとある。
そう思い直して、僕は湖畔を後にした。
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「勇者殿、遅かったではないか」
「あ、すみません」
家に着くと、玄関先にハロルド様と母さんが立っていた。どうやらもう話し合いは終わったみたいで、僕を探していたようだ。2人には悪いことをしたな。
ハロルド様は相変わらず余裕のある雰囲気だ。母さんは怒って…いない。ずいぶんと大人しくなっている。僕と話していた時の態度とは大違いだ。
「エルド、あのね…母さん、やっぱり王宮に匿ってもらうことにするわ」
「えっ!?」
母さんの唐突な言葉に、僕は思わず驚きの声を上げてしまった。確かに僕はこうなることを望んでいた。だけど、さっきまであんなに怒鳴って拒絶していた母さんが…いったいどういう風の吹き回しだろう。
「ハロルド様のお話を聞いて考え直したわ…その、さっきは大声で怒鳴ってごめんね…」
「い、いや…気にしてないよ」
ハロルド様の交渉術が一枚上手だったのだろうか。それにしても、あの母さんを説得するなんて…いったいどんな手を使ったのだろう。
「ふふふ。勇者殿、そういうことだ。これで心置きなく旅を続けられるな」
「は、はい」
「心配せずとも、母君は我々の命に代えても守ってみせる」
そう言いながら、ハロルド様はさりげなく、母さんの肩に手を置く。すると母さんの身体がぴくりと小さく反応した。顔も心なしか紅潮している気がする。
僕の胸中になんとも言いようのない不安が襲う。ハロルド様を信じて大丈夫なのだろうか。誠実な方だから大丈夫なはずだ…いや、でも僕はハロルド様のせいで恐ろしい目に遭った…
「エルド、私は大丈夫だから…旅に集中してちょうだい」
そんな僕の不安をかき消してくれたのは、他ならぬ母さんだった。そうだ…母さんを、ハロルド様を信じよう。
「どうやら話はまとまったようだな。さあ、勇者エルドよ。地下通路を通り、未知なる土地へと足を踏み入れるが良い!」
「…はっ!」
僕にできることは冒険を続けることだ。邪念を捨てるんだ。母さんとハロルド様を信じるんだ。そうだ。きっと、きっと大丈夫だ…
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