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114話「カズミの淫紋」▲(視点・ヒロヤ→カズミ)

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 明日の準備も終え、ハンナさんの夕食を済ませてみんなで温泉へ。

(女性陣はみんな女湯で楽しそうなんだよなぁ……)

 板一枚隔てた隣で楽しそうな声がする。俺はというと……

「坊主んとこのパーティーは女……それも別嬪さんばかりで羨ましいんだよチクショーメー!」

 今朝、ギルドでリズに絡んだ冒険者達に『良い意味で』絡まれてる。

「まさかお前がS級ダンジョンに挑んでいる『神速の』ヒロヤだとは思ってなかったんだよ」

 なにそれ。俺、そんな二つ名ついてんの?

「で、あんな可愛い格好した別嬪さんが、リーダーのリズとはねぇ……」
「お前ら冒険者連中は知らねぇだろうけど、ヒロヤんパーティーの女に手は出すなよ?……コイツに斬られるぜ?」

 桶に湯を掬いに来た常連の兵士が手で袈裟斬りのゼスチャーをする。

「……まさか……あのリーダー……坊主のもんなのか?」

 リズを食事に誘ってた冒険者が俺を見る。

「リズさんどころか、あの綺麗どころ全員ヒロヤのもんだからよ。諦めな」

 桶の湯を身体にぶっかけ、豪快に湯船に浸かる兵士。

「マジか……男の夢じゃねぇか……」

 俺の周りの冒険者連中の目が嫉妬に……と思ったけど、尊敬の眼差し?

「オレらも……早く強くなろうぜ……」
「そうだな。頑張ってたくさん依頼をこなそうか」
「おれ……明日オーガーを狩って……飲み屋のあの娘に告白するんだ……」

 おい、誰だフラグ立てたやつ!

「名を挙げたいのは分かるけど……絶対無理しちゃいけない。『無謀の先は落命しか無いのが冒険者稼業』ってのは俺の父さんの口癖だからね」
「「「「おおー!」」」」
「『双剣の』シンジさんの言葉、胸に刻みました!」
「深いねぇ……実に深い!」
「野郎ども!取り敢えず、風呂でたら娼館に行くぞ!明日の討伐依頼の前に英気を養うんだ!」
「「「おー!」」」

 なんか盛り上がってるので、苦笑しつつ俺は温泉を出た。



「あら?この子って……」
「さっきお風呂で可愛い娘達が話してた……ヒロヤくん?」

 コーヒー牛乳をグビリと一口飲んだところで、風呂上がりの女性二人に声を掛けられた。
 一人はエルフで、もう一人は猫耳の獣人。

「強いんだってねぇ……剣もアレも♡」

 獣人の女性が俺にウインクする。

「まだこんな小さいのに。あの女の子達をメロメロにしてるんだって?」

 エルフの女性が舌なめずりする。

「あたい達、今からお仕事に行くんだけど……よかったらまた今度顔を出してよ♡」
「えっと……」
「兵舎脇の娼館だよ♡来てくれたらサービスするから。よろしくね♡」
「あ、はい」

 女性二人は投げキッスを寄越して、温泉場を出て行った。

「娼館かぁ……」

 興味はある。生前も『そういうところ』は行ったことなかったしな。

「娼館がどうしたの?」

 背後のカズミの声に思わず背筋が伸びる。

「いや、なんでもないよ!」
「……さっきお風呂で一緒だったエルフと獣人の女の方ですね。わたしたちの話に興味深げに耳を立ててましたから」
「なにぃ!あのアマ共、アタイのヒロヤを誘惑してやがったのかい!」

 ドロシーの推察に、リズが温泉場の出口を睨みつける。

「ヒロヤ兄ちゃんを誘惑……許さない……」
「れなより先に……娼館のお姉さんに手を出しちゃうんだ……」
「出さない出さない!出そうとも思ってないよ!」
「そうですよ。ヒロヤさんは皆さんのこと大切に思ってらっしゃるんですから」

 ハンナさんだけが俺の味方だ。

「……まぁいいわ。娼館のお姉さん達は、将来のお得意様になる予定だし。さ、帰ろうよ!」

 カズミがまとめてくれてホッとした。……変な事考えるもんじゃないな。反省。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 少し身体が熱っぽいので、レナが借りている部屋の窓を開け放つ。冬の冷たい外気が、火照った顔にひんやりと気持ちいい。
 身体が熱っぽいのは、レナから貰った『疑似淫紋』ステッカーを下腹部に貼ったせい。

(明日から暫くはヒロヤと離れちゃうんだよね……)

 恐らくは一週間ほど。一緒に行きたいけど、その間に新居が完成するので、引っ越しもしなきゃだし、ゼット商会のサーシャさんが来るんだから色々と取引の準備もしたい。

(こちらの取引商品のリストアップと、それぞれどれだけ商品として用意できるか、それにこちらの増産体制も考えなきゃ……)

 やる事は山積みだ。でも……

(今夜、淫紋シールを貼ったのは……『賭け』でもあるんだよね……)

 この世界に来て、これだけ長くヒロヤと離れる事は初めて。一週間とはいえ『ずっと一緒にいよう』と約束を交わした同士。少なくとも私は凄く寂しい。
 きっとヒロヤも同じ様に思ってくれていると信じてる。寂しさを埋めるために、私を抱きに来てくれると信じて……淫紋シールをこの身に貼り付けた。

(ずっと……不安はあるんだよね……)

 以前も思ってたんだけど、リズやドロシーの性的魅力が詰まった身体を好きに抱けて、その上、マルティナの極上の身体まで手に入れたヒロヤが……私のこの未成熟な身体に魅力を感じてくれるかどうか。それがとても不安。

(ヒロヤは、私の事が一番って言ってくれてるし信じてるけど……)

 女として、もっと求められたい。という気持ちが強い。

(生前の身体だったら……自信あるんだけどな……)

 でもこの『疑似淫紋』、効果の高さに驚く。とにかく身体が火照って、さっきから下腹部は熱く、ずっとおまんこが切ない。
 淫紋は、最初に射精した相手に定着させられるのだけど、この『疑似淫紋』は、最初に淫紋に触れた相手に効果を発揮する。しかし、それまでのこの湧き上がる情欲は凄まじい。目の前にヒロヤ以外のおちんちんがあったとしても……むしゃぶりついてしまいそうで怖い。

(ドロシー、この情欲に堪えたのね……)

 オットーが居るところで欲情し、そこでヤツに犯されそうになったのをなんとか抗ったそうだ。

(これ……下手したら……抗えない……よ……)

 間違いなく門外不出のアイテムだ。
 黒いベビードールの上から、未成熟ではあるが硬く尖った乳首にそっと触れる。

「あっ……」

 ほんの数ヶ月前まではくすぐったいだけだった乳首への愛撫が、今はじれったくも切ない快感を与えてくる。

(生前は、ここ弱かったのよね……)

 浩哉の背中に押し付けるだけで、声が出そうなくらいの快感を伝えてくれた私の乳首。自慰オナニーでも、ここを触るだけで達しイッた事もある。

(早く、ヒロヤにここを触られるだけで……達しイキたいなぁ……)

 そう願いながら、私は乳首への愛撫を続けた。



「ここに居たんだ……」

 扉が開き、窓辺で外を向きながら乳首を愛撫する私の耳に、愛しい声が聞こえた。

「あぁ……ヒロヤ……来てくれた……」

 振り返った私を見て、少し驚いた顔をするヒロヤ。恐らくは蕩け切った顔をしているのだろう。

「明日からさ……しばらく離れ離れになっちゃうのが寂しくて……ほら、こっちへ来てからそんなに長く離れた事なかったし……」
「あぁ……」

 同じだった。ヒロヤも同じ気持ちだったんだ。
 無意識に流れ出す涙。

「え?ど、どうしたの?」

 ヒロヤが慌てて駆け寄ってきて、肩を抱いてくれる。

「ヒロヤ……同じだよ……私も……寂しい……」
「……ごめんね……」
「ううん、嬉しいんだ……ヒロヤも同じ気持ちだったのが……」
「そっか……」

 私の涙を指で拭い、そっと唇を重ねるヒロヤ。

「ん……♡」
「だから、今夜は……カズミの事抱きたい」
「あぁぁぁぁ♡」

 私はヒロヤにキスを返して、少し離れる。

「どうしたの?」

 そう言って私を見つめるヒロヤ。私はそっとベビードールを捲りあげ、少しショーツをずらして、下腹部に淡く輝く淫紋を見せつける。

「カズミ……それ……」

 少し驚いたふうにそれを見るヒロヤ。

「レナに作ってもらったんだ……シールだよ?本物みたいな永続性は無いけど……ヒロヤが触れてくれると……数時間だけ定着するんだ……でもね……」

 後ろに後退り、ベッドの脇まで移動する。

「欲情が凄いんだ……早く触れてくれないと……他のおちんちんに堕ちちゃうよ?」

 そこまで言ったところでヒロヤが私に飛びついてきて抱き締めた。そのままベッドに倒れ込む。

「嘘だよ……私がヒロヤ以外に堕ちる事なんて……絶対にないから……ね?」

 何も言わずに、私の唇を塞ぐヒロヤ。

「んむっ♡ふぅん♡」

 そして、ヒロヤが淡く輝く淫紋に触れた時。

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅんっ♡」

 唇をキスで塞がれたまま、下腹部の淫紋から伝わる激しい快感の波に飲まれて……私はアクメを迎えた。
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