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7話「学校生活」
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「ヒロヤー!そろそろ起きないと遅刻するわよ!」
階下から母さんの怒鳴り声が聴こえる。
(……もう少し……あとちょっとだけ……昨日1日で色々あって疲れてるんだよ……)
覚醒しかかった意識がまた沈んでいく。
「ヒロヤくん、何時まで寝てんのよ。早く学校行くわよ」
……レナの声?
と同時に身体の上に重量物が。
「ングッ!」
衝撃で目を覚ますと、眼前にカズミの笑顔。
「あ、起きちゃった。せっかくヒロヤの寝顔堪能してたのに」
慌てて半身を起こすと
「やっと起きた。早く支度しないと!」
布団の上から俺に跨りニヒッと笑うレナ。
「おはよう!すぐ!すぐに支度するから!」
布団とレナから這い出し、起き上がる。
「ヒロヤ坊ちゃん、ようやく起きましたか?」
ベッドサイドにメイドさんが洗面器とタオルを持って立っている。
「ささ、早くお支度を」
テーブルに洗面器を置く。ステラさんだったっけ?何人か居るメイドさん達のメイド長だ。
俺はベッドを飛び降り、慌てて洗面器で顔を洗う。
「カズミさん、レナさん、ヒロヤ坊ちゃんを起こしていただきありがとうございます。ささ、下で待ちましょうね」
そういってステラさんがコップと歯ブラシを俺に渡す。
この人の差し金か……まぁ可愛い女の子ふたりに起こされるのは大歓迎だけど、だらしないところを見られて少し自己嫌悪。
支度を終えて、ふたりの待つ玄関に向かってると、コウイチが横を走り抜けて先に玄関へ行った。
「「おはようございます」」
「お、おう、おはよう」
カズミとレナに挨拶され、顔を赤くして答えるコウイチ。さては女の子に免疫ないなあいつ。
「じゃ、じゃあな!遅刻すんなよ」
コウイチはそう言って玄関を飛び出していった。
「ヒロヤ!早く!」
カズミが呼ぶ。俺は手にしたリュックを背中に背負い、玄関に走った。
「お兄さんは上等部にいってるのね」
レナが俺の左隣で言った。
「上等部?」
カズミが右隣からレナに聞く。
俺を真ん中に、三人手を繋いでの登校。なんですかこのご褒美。生前に善行を積み重ねて良かった。
「普通この村での教育は6年なんだけど、さらに3年の上等教育を受ける人も居るの。成績優秀だったり、剣術や魔術に秀でた人達がね」
「へぇ。お兄さん優秀なんだ」
「そうなのかな。まぁ剣術は気合い入ってるみたいだけど」
いつも俺をバカにしてるみたいで、どうも気に入らない兄だからどうでもいいや。
「田舎の村とはいえ、結構教育熱心なんだねここは」
兄の話題はさておき、確かに田舎の村にしては教育に力が入ってる印象がある。
「あなたのお父様が領主になってからよ」
俺の言葉にレナが答える。
「実際、人も増えてるし村の規模も大きくなってるわ。駆け出し冒険者にちょうどいいダンジョンや魔物の生息する森も周辺にあるから、そういう点を活かした村の活性化に努めてるみたい」
「へぇ。冒険者上がりだって聞いたけど優秀なんだね俺の父さん」
「そりゃそうよ。なんせ十数年前に魔王に打ち勝った勇者パーティーの剣士なんだから」
「「!」」
俺とカズミは流石に驚いた。
「そして、お母様もそのパーティーのひとりよ?」
「……凄い。ヒロヤ、あなたサラブレッドだったのね」
どうも俺のチートはその『生まれ』だったらしい。
「まぁ、たまたまよ。たまたま元の世界のあなたの両親がこっちの世界では英雄だったってだけね」
「やっぱりレナも色々と父さん達に力を貸してくれたの?女神様として……」
「それが、勇者パーティーが優秀過ぎて、れなの出る幕は殆どなし。あの魔王という厄災に関してはほぼノータッチ。楽だったわぁ」
「「……」」
「だからあなた達の世界で色々と楽しめたんだよね♪」
「「おい」」
カズミとふたりでツッコんどいた。
「おはよう!」
「おはよう!」
教室に入ると、みんなが挨拶してくれる。
「おはよう」
俺達三人も笑顔で返す。
「お!領主様の息子が嫁と愛人まで連れてるぞ。ハーレム気取りか?」
同級生にしてはガッシリした体格の男の子とその取り巻き数人がからかってくる。いや、からかいというより少し悪意を感じるな。
俺は1歩前に出た。が、俺の右腕をグイッと引っ張ってカズミが制する。
「おはよう!だってヒロヤくん格好良いんだもん。なに?羨ましいの?」
ちょ!レナなに煽ってんの?
「そんな事ねぇよ!……おい、行こうぜ?」
流石に可愛い女の子相手に絡むわけにもいかなかったか、彼は取り巻きを連れて教室の隅に行った。
「彼がこの学年の番長みたいな子なのかな?」
カズミがそっと呟く。
「ジャンっていうんだけどね。この村の冒険者ギルド出張所のギルドマスターの息子」
レナが耳打ちする。「生意気でやな奴よ」と付け加えて。
「ヒロヤ、相手にしちゃだめよ」
三人で席に向かいながらカズミが言った。
昨日は気が付かなかったが、レナの席は俺のすぐ後ろ。で、右隣がカズミ。三人の席は教室の奥の窓側。窓から外を見ると、彼方に大きな森と山が見える。そしてなにやら建築中の……石壁……?
「あの森が通称『小鬼の森』。ゴブリン達が生息する森よ」
後ろの席でレナが教えてくれる。
「ゴブリンが居るの?……この村まで来たりしない?」
席を立って、俺の横に来て窓の外を眺めるカズミ。
「大丈夫よ。魔王が居なくなって、この世界の『魔瘴気』が薄くなってるから無闇に活性化はしてないから。領主様は村を石壁で囲みたいみたいだけど……予算が厳しいんじゃないかな」
レナも席を立って窓の外を眺める。
「だから村を活性化させようって考えてるのもあるかもね。人が増えて、ここを訪れる冒険者が増えれば、経済的にも豊かになるしね」
「そっか」
今は中心部だけ見れば『町』といってもいい規模らしい。
「『小鬼の森』か。いつか俺も挑んでみたいな」
「『俺達』ね。三人で挑むんだよ」
カズミが笑う。
「ゴブリンの1匹2匹ぐらいなら、今のヒロヤくんでも大丈夫だろうけど、数居たらまだまだだね」
レナが言う。
「……ゴブリンに捕まってあんな事やこんな事されるの死んでも嫌だしね……苗床にされちゃうとか……」
おいカズミさん異世界ものラノベ読みすぎ。しかもR18内容じゃねそれ。あと6歳の女の子はそんな事言わない。と、心の中で忙しくツッコむ。
「だから一緒に強くなろ?」
レナさんツッコまないの?ふたりは可愛い少女なのに、考えがどうにも年不相応なんだよ。まぁ俺も多分そうなんだろうけど。
そんなちょいエロい妄想してるところへ、教室に先生が入ってきた。さて、頑張ろう。
初めての授業は主に地理。この国『ロ厶ーナ王国』は『ユーグリア大陸』の北部に位置し、人間を中心とした国家。
南部に大森林があり、そこにはエルフや獣人達が集落ごとに生活している。
大陸西部の山岳地帯にはドワーフ国家『バッシュ』があり、亜人唯一の国家。
大陸の東部には『ウェルニア帝国』があり、東海岸までを領土としていたが、近年支配力を失い、領内の都市は都市国家として独立、自治運営されている。直轄地は帝国中央に位置する首都とその周辺の五都市のみとなっているらしい。
「さて、このウェルニア帝国領内なのですが……」
マリア先生の説明が続く。
「亜人への差別と偏見が根強く残ってます。残念な事に奴隷制度も今なお続いていて、訪れるのは非常に注意が必要な場所です。それは独立しているとはいえ、周辺の各都市国家でも同じ事が言えます」
クラス内に数人居るハーフエルフや獣人の子供達がブルッと震える。
算数や文字の読み書きと授業が続き、俺達一年生は午前中で学校終わり。しばらくは午前中授業が続くみたい。
「お腹空いた~!」
「空いたね!帰ってお昼食べようっと!」
「じゃあまた明日ね~」
「ねぇねぇ!この後お昼から遊ぼうよ!」
口々に話しながらみんなそれぞれ家に帰って行く。
「お疲れ様!私達はこれからどうする?」
カズミがリュックを持って席を立つ。
「俺はお昼食べた後にカズミん家で剣術だろうな」
「そうね。お父さん、お昼食べに帰ってきてからヒロヤに稽古をつけてまた仕事に戻るって言ってた」
守護騎士という仕事だから、兵士を連れてのパトロールや村周辺の警戒が主な仕事だそうだ。
「れなん家の治療院がある村の中心も賑やかになったから。冒険者たちが無法しないように目を光らせてたわ」
レナの治療院周辺がこの村の中心だ。宿、飲食店、商店等が立ち並んでいるいわゆる『繁華街』だ。もちろん冒険者ギルドの出張所もあり、彼らを見込んだ商店も多い。
「ヒロヤが家に来てくれるのは嬉しいけど……稽古してる間何してようかな」
三人で帰宅途中、カズミがぼそっと呟いた。
「じゃあさ、れなもカズミん家行っていい?ちょっとずつ魔術の練習する?」
レナが俺の左側からカズミの右側に回り込んでギュッと腕を組む。
「いいの!やるやる!レナありがとう!」
カズミがレナに抱きついて喜ぶ。うん。可愛い女の子同士のイチャイチャはなんて崇高なんだろう。
「が、学校では生活魔術の訓練から始めると思うんだけど、基本は実戦魔術と同じだから予習にもなるし……」
レナがトロンとした表情で言う。あ、この女神様、恋愛ものオタクだったわ。まさか百合属性まであるんじゃないだろうな。
まぁ、放課後はまた三人。稽古頑張る目標が出来たから良いか。
階下から母さんの怒鳴り声が聴こえる。
(……もう少し……あとちょっとだけ……昨日1日で色々あって疲れてるんだよ……)
覚醒しかかった意識がまた沈んでいく。
「ヒロヤくん、何時まで寝てんのよ。早く学校行くわよ」
……レナの声?
と同時に身体の上に重量物が。
「ングッ!」
衝撃で目を覚ますと、眼前にカズミの笑顔。
「あ、起きちゃった。せっかくヒロヤの寝顔堪能してたのに」
慌てて半身を起こすと
「やっと起きた。早く支度しないと!」
布団の上から俺に跨りニヒッと笑うレナ。
「おはよう!すぐ!すぐに支度するから!」
布団とレナから這い出し、起き上がる。
「ヒロヤ坊ちゃん、ようやく起きましたか?」
ベッドサイドにメイドさんが洗面器とタオルを持って立っている。
「ささ、早くお支度を」
テーブルに洗面器を置く。ステラさんだったっけ?何人か居るメイドさん達のメイド長だ。
俺はベッドを飛び降り、慌てて洗面器で顔を洗う。
「カズミさん、レナさん、ヒロヤ坊ちゃんを起こしていただきありがとうございます。ささ、下で待ちましょうね」
そういってステラさんがコップと歯ブラシを俺に渡す。
この人の差し金か……まぁ可愛い女の子ふたりに起こされるのは大歓迎だけど、だらしないところを見られて少し自己嫌悪。
支度を終えて、ふたりの待つ玄関に向かってると、コウイチが横を走り抜けて先に玄関へ行った。
「「おはようございます」」
「お、おう、おはよう」
カズミとレナに挨拶され、顔を赤くして答えるコウイチ。さては女の子に免疫ないなあいつ。
「じゃ、じゃあな!遅刻すんなよ」
コウイチはそう言って玄関を飛び出していった。
「ヒロヤ!早く!」
カズミが呼ぶ。俺は手にしたリュックを背中に背負い、玄関に走った。
「お兄さんは上等部にいってるのね」
レナが俺の左隣で言った。
「上等部?」
カズミが右隣からレナに聞く。
俺を真ん中に、三人手を繋いでの登校。なんですかこのご褒美。生前に善行を積み重ねて良かった。
「普通この村での教育は6年なんだけど、さらに3年の上等教育を受ける人も居るの。成績優秀だったり、剣術や魔術に秀でた人達がね」
「へぇ。お兄さん優秀なんだ」
「そうなのかな。まぁ剣術は気合い入ってるみたいだけど」
いつも俺をバカにしてるみたいで、どうも気に入らない兄だからどうでもいいや。
「田舎の村とはいえ、結構教育熱心なんだねここは」
兄の話題はさておき、確かに田舎の村にしては教育に力が入ってる印象がある。
「あなたのお父様が領主になってからよ」
俺の言葉にレナが答える。
「実際、人も増えてるし村の規模も大きくなってるわ。駆け出し冒険者にちょうどいいダンジョンや魔物の生息する森も周辺にあるから、そういう点を活かした村の活性化に努めてるみたい」
「へぇ。冒険者上がりだって聞いたけど優秀なんだね俺の父さん」
「そりゃそうよ。なんせ十数年前に魔王に打ち勝った勇者パーティーの剣士なんだから」
「「!」」
俺とカズミは流石に驚いた。
「そして、お母様もそのパーティーのひとりよ?」
「……凄い。ヒロヤ、あなたサラブレッドだったのね」
どうも俺のチートはその『生まれ』だったらしい。
「まぁ、たまたまよ。たまたま元の世界のあなたの両親がこっちの世界では英雄だったってだけね」
「やっぱりレナも色々と父さん達に力を貸してくれたの?女神様として……」
「それが、勇者パーティーが優秀過ぎて、れなの出る幕は殆どなし。あの魔王という厄災に関してはほぼノータッチ。楽だったわぁ」
「「……」」
「だからあなた達の世界で色々と楽しめたんだよね♪」
「「おい」」
カズミとふたりでツッコんどいた。
「おはよう!」
「おはよう!」
教室に入ると、みんなが挨拶してくれる。
「おはよう」
俺達三人も笑顔で返す。
「お!領主様の息子が嫁と愛人まで連れてるぞ。ハーレム気取りか?」
同級生にしてはガッシリした体格の男の子とその取り巻き数人がからかってくる。いや、からかいというより少し悪意を感じるな。
俺は1歩前に出た。が、俺の右腕をグイッと引っ張ってカズミが制する。
「おはよう!だってヒロヤくん格好良いんだもん。なに?羨ましいの?」
ちょ!レナなに煽ってんの?
「そんな事ねぇよ!……おい、行こうぜ?」
流石に可愛い女の子相手に絡むわけにもいかなかったか、彼は取り巻きを連れて教室の隅に行った。
「彼がこの学年の番長みたいな子なのかな?」
カズミがそっと呟く。
「ジャンっていうんだけどね。この村の冒険者ギルド出張所のギルドマスターの息子」
レナが耳打ちする。「生意気でやな奴よ」と付け加えて。
「ヒロヤ、相手にしちゃだめよ」
三人で席に向かいながらカズミが言った。
昨日は気が付かなかったが、レナの席は俺のすぐ後ろ。で、右隣がカズミ。三人の席は教室の奥の窓側。窓から外を見ると、彼方に大きな森と山が見える。そしてなにやら建築中の……石壁……?
「あの森が通称『小鬼の森』。ゴブリン達が生息する森よ」
後ろの席でレナが教えてくれる。
「ゴブリンが居るの?……この村まで来たりしない?」
席を立って、俺の横に来て窓の外を眺めるカズミ。
「大丈夫よ。魔王が居なくなって、この世界の『魔瘴気』が薄くなってるから無闇に活性化はしてないから。領主様は村を石壁で囲みたいみたいだけど……予算が厳しいんじゃないかな」
レナも席を立って窓の外を眺める。
「だから村を活性化させようって考えてるのもあるかもね。人が増えて、ここを訪れる冒険者が増えれば、経済的にも豊かになるしね」
「そっか」
今は中心部だけ見れば『町』といってもいい規模らしい。
「『小鬼の森』か。いつか俺も挑んでみたいな」
「『俺達』ね。三人で挑むんだよ」
カズミが笑う。
「ゴブリンの1匹2匹ぐらいなら、今のヒロヤくんでも大丈夫だろうけど、数居たらまだまだだね」
レナが言う。
「……ゴブリンに捕まってあんな事やこんな事されるの死んでも嫌だしね……苗床にされちゃうとか……」
おいカズミさん異世界ものラノベ読みすぎ。しかもR18内容じゃねそれ。あと6歳の女の子はそんな事言わない。と、心の中で忙しくツッコむ。
「だから一緒に強くなろ?」
レナさんツッコまないの?ふたりは可愛い少女なのに、考えがどうにも年不相応なんだよ。まぁ俺も多分そうなんだろうけど。
そんなちょいエロい妄想してるところへ、教室に先生が入ってきた。さて、頑張ろう。
初めての授業は主に地理。この国『ロ厶ーナ王国』は『ユーグリア大陸』の北部に位置し、人間を中心とした国家。
南部に大森林があり、そこにはエルフや獣人達が集落ごとに生活している。
大陸西部の山岳地帯にはドワーフ国家『バッシュ』があり、亜人唯一の国家。
大陸の東部には『ウェルニア帝国』があり、東海岸までを領土としていたが、近年支配力を失い、領内の都市は都市国家として独立、自治運営されている。直轄地は帝国中央に位置する首都とその周辺の五都市のみとなっているらしい。
「さて、このウェルニア帝国領内なのですが……」
マリア先生の説明が続く。
「亜人への差別と偏見が根強く残ってます。残念な事に奴隷制度も今なお続いていて、訪れるのは非常に注意が必要な場所です。それは独立しているとはいえ、周辺の各都市国家でも同じ事が言えます」
クラス内に数人居るハーフエルフや獣人の子供達がブルッと震える。
算数や文字の読み書きと授業が続き、俺達一年生は午前中で学校終わり。しばらくは午前中授業が続くみたい。
「お腹空いた~!」
「空いたね!帰ってお昼食べようっと!」
「じゃあまた明日ね~」
「ねぇねぇ!この後お昼から遊ぼうよ!」
口々に話しながらみんなそれぞれ家に帰って行く。
「お疲れ様!私達はこれからどうする?」
カズミがリュックを持って席を立つ。
「俺はお昼食べた後にカズミん家で剣術だろうな」
「そうね。お父さん、お昼食べに帰ってきてからヒロヤに稽古をつけてまた仕事に戻るって言ってた」
守護騎士という仕事だから、兵士を連れてのパトロールや村周辺の警戒が主な仕事だそうだ。
「れなん家の治療院がある村の中心も賑やかになったから。冒険者たちが無法しないように目を光らせてたわ」
レナの治療院周辺がこの村の中心だ。宿、飲食店、商店等が立ち並んでいるいわゆる『繁華街』だ。もちろん冒険者ギルドの出張所もあり、彼らを見込んだ商店も多い。
「ヒロヤが家に来てくれるのは嬉しいけど……稽古してる間何してようかな」
三人で帰宅途中、カズミがぼそっと呟いた。
「じゃあさ、れなもカズミん家行っていい?ちょっとずつ魔術の練習する?」
レナが俺の左側からカズミの右側に回り込んでギュッと腕を組む。
「いいの!やるやる!レナありがとう!」
カズミがレナに抱きついて喜ぶ。うん。可愛い女の子同士のイチャイチャはなんて崇高なんだろう。
「が、学校では生活魔術の訓練から始めると思うんだけど、基本は実戦魔術と同じだから予習にもなるし……」
レナがトロンとした表情で言う。あ、この女神様、恋愛ものオタクだったわ。まさか百合属性まであるんじゃないだろうな。
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