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第14話 イベントへ⑤Lv50以下ギルド対抗戦

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『続いての対戦は狩りギルドVS魚群ギルド。狩りギルドから昨日も出場したこの男、あと1匹でもウルフを倒したらレベルが上がり50を超えるからという理由で狩りに行くことを禁止されたというシルバームーンさん。狩りを禁止されたあげく魔法の特訓をさせられていたシルバームーンさんです!!結果は、全然でしたが(笑)』

「実況詳しくね?」
「だな」

『次に魚群ギルドから水野さん。えー。彼に対しては特に知りません。では、準備は良いですか!?それでは、頑張ってください!』

3・2・1  START

 始まってすぐ魚人が居なくなった。土の中に潜ったのだ。魚人は最初は水の中だけしか潜れなかったのだが、数回のアップデートにより土の中も潜れるようになったのだ。

 静寂が流れる中、シルバームーンの足は地面に飲み込まれた。すぐに気づき避けたが魚人も負けてはいない。

 観客からしたら凄く地味な光景に見えるが白熱した試合に盛り上がりを見せていた。

「ちょこまかとウザってぇんだよ」

 イラつき始めたシルバームーンは少しでも地面が揺れると全力殴り始めた。
 試合が動き出し興奮する観客。
 
 そして、1発。

「おらぁ」
「ぐっ」
 
 攻撃が入った。
 手応えがあるところを殴り続けた。
 
 誰もがこれで決着がつくと思っていたが、勝者は水野だった。
 シルバームーンの攻撃が入っていたのは水野が手を離さなかったから。彼は少しずつシルバームーンを土の中に引きずり込んでいた。
 その後は魚人以外は見れない戦いが起きた。3分後、水野はぐったりとしたシルバームーンを抱えて土の中から出てきた。

『今回の勝者は魚群だー!!!!皆様お疲れ様でした。続いて3位決定戦と行きたいとこですが、シルバームーンさん大丈夫でしょうか』

「実況さん、シルフィさん、良かったら先に決勝戦しませんか?」
「私は大丈夫です…けど」

『えぇ、水野さん?あなたも顔面腫れ上がってますけど、大丈夫なんですか?』

 先程の戦いでタコ殴りにされた水野。

「大丈夫です。お2人がよろしければ先に」

『はい。では水野さんの案で行きます。それでは、あの鏡月さんを討ち取ったシルフィさんVS顔面腫れまくりの水野さんとの戦いです。頑張ってください』

3・2・1  START

「すみません。シルフィさん、よろしくお願いします」
「いえいえ。こちらこそ、よろしくお願いします」

 するとシルフィは空を飛んだ。
 水野は忘れていた。

(あ、シルフィさん。エルフだった)

 先程の鏡月VSシルフィだが、空を飛ばずに戦っていたのだ。
 その為、“エルフ”という空を飛べる種族だということを完全に忘れていた。
 地面を潜る魚人と空を飛ぶエルフ。どちらが有利かというとすぐに分かる。
 空から見ると水野の位置は一目瞭然。

風刃ウィンドカッター

 すると水野に向かって風の刃が襲ってきた。逃げても逃げても落ちてくる刃に逃げ場などなかった。
 決勝戦はすぐに終わった。

『ゆ、ゆ、優勝!!優勝は自由ギルド、シルフィ』

「あ、ありがとうございます。水野さんもありがとうございました」

『ここでね、優勝インタビューなんかもしたいんだけど、3位決定戦が残ってるから。行けますかー!?シルバームーンさん』

「大丈夫です」

 キレ気味のシルバームーン。…いや、彼はキレている。

「潰す…」

 小声で何か言ったが盛り上がる観客の声に誰も聞き取れなかった。

「よろしくな、獣人」
「殺す殺す殺す殺す」

 殺気立つシルバームーンに唖然とする鏡月。

『さぁさぁ、それでは最終対決。シルバームーンさんVS鏡月さんだー!!頑張ってくださいね。それでは』

「いやいや、ちょっと待って」

3

「殺す、絶対殺す」

2

「怖すぎるんだけど…」

1

START!!!!

「まぁ、やるしかないよね。我が名。鏡月の呼び掛………ぐぇ」

 鏡月が呪文を唱えているとお腹に全力パンチをしたシルバームーン。
 鏡月は吹っ飛び壁にめり込んだ。
 これが本当にLv50以下の戦いなのだろうか。

『決まったー!3位はシルバームーンさんだー。Lvも50に上がったー!!そして、地に落ちた強者、鏡月さん』

「なんか、実況、ひどくねぇか?」
「だな」

『本日のLv50以下のギルド対抗戦は1位自由ギルド、2位魚群ギルド、3位狩りギルド、4位社畜ギルドとなりました。そして、総合順位も変更となります。1位は変わらず自由ギルド。2位に魚群と狩りが並びました。明日の競技はギルド対抗リレーとなります。明日も頑張ってくださいね~』

「なぁ、ソードもキレたらあんな感じ?」
「…ならねぇよ。確かに獣人は血の気が多いやつ多めだけどあんなにはならねぇ」
「そうか。なら安心だ」

 そうして、Lv50以下ギルド対抗戦は幕を閉じた。


 

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