20 / 29
第二十一話
しおりを挟む
「てめぇ、噓いってんじゃねぇ! 元締めが警察官なわけねぇだろう! おれたちをなめてんのかあああああああ!」
ドカンと鈍い音がして、ぱっと瞼が持ち上がる。
はっ……。まずい、意識が飛んでた。
刑事課のドワーフ、堕としのゴローの声が脳髄にまで響いて、ぼくは背筋をぴんと伸ばした。
違法魔法薬の所持で捕まったオークの取り調べは拘留期間が延長されて事件の捜査をなんとか続行している。
詳細は知らないが、どうやら「テチチ」と呼ばれる密売人がソフィの元締めらしく、独自ルールと合言葉を介して売買をおこなっているらしい。
さらに驚くことに、オークはきょうの朝になって身内(警察局)に元締めがいるという供述をし始めた。しかしながらそのあとの供述調書の作成はすすまず、まだ口をわるつもりはないようだ。
噂では重大犯罪局の超優秀エージェントが日夜働いて、元締めの特定を急いでいるらしい。
超イケメンで、魔弾銃の腕前は凄腕らしく、惚れ惚れする一発で標的を仕留めるというエリートみたいで皆が彼に期待しているとレインが教えてくれた。
まあ、ぼくには一切合切関係ないということは明白ということ。
いくら仕事ができて超絶イケメンでも、ぼくにはリルくんというキュルルン癒し系がいるのだ。
そんな凄腕敏腕エージェントなんて一切興味ない。
それよりもだ。
今週からずーと大量の書類整理で多忙を極めている。どのくらい忙しいかというと、リルくんとの平日コースすらお願いすることができないくらいやばい。
先週はギル主催の合コンもあったし、蜂蜜の日からリルくんとキャッキャウフフしていない。
完全にリルくん不足に陥ってしまっている。自分の頭が、身体が、心が、リルくんを本能的に欲している。
リルくんに会いたくて、リルくんが枯渇して、通勤途中にそっくりな人を目撃してしまい、禁断症状がでてしまうくらいにだ。
「しょーじきに元締めをはけっつってんだろおおおおおお!」
ゴキッと折れる音が響いて、ぶるりとぼくの肌が震えてた。
……はっ、いけない。
よく考えると、もう十日もリルくんと会っていないのだ。三日に一回会っていたのに、このままではリルくんが他のお客さんにとられてしまうことだってありうる。
ちなみに明日は一日中交通安全フェアの雑用係があるし、今日はなんたってアーサーくんとのしゃぶしゃぶだ。
しゃぶしゃぶという食べものがわからなくて、東乃国エリアの食べものをネットで調べた。すぐにノーパンシャブシャブという風俗店がでてきて、その内容にびっくりして獣化してしまいそうになった。
床が鏡張りで、店員がノーパンでお肉を配って、茹でて野菜と食べるらしい。なんてハレンチなんだ。そんなところに誘うなんてやっぱり騎士団はイカれてる。
しかも待ち合わせ場所も歓楽街のど真ん中で、脱法ハーブや違法薬物の関係者がいたり、受け渡しであったりと噂のところだ。
味は絶品らしくロクログの星は4.7だったけど、本当に健全な店なのかもあやしい。
しかも騎士団員らしく、魔獣討伐の遠征帰りなのはしょうがないけど、集合時間は遅めだ。近くにはラブホ街が立ち並んで、いかがわしい風俗店も多い。不安だ。
……うう。アーサーくんにはわるいけど、これはデートじゃない。食事して帰る会食と思おう。
それでも浮気している感じで罪悪感すら感じてずうんと心が重い。
ドカンと鈍い音がして、ぱっと瞼が持ち上がる。
はっ……。まずい、意識が飛んでた。
刑事課のドワーフ、堕としのゴローの声が脳髄にまで響いて、ぼくは背筋をぴんと伸ばした。
違法魔法薬の所持で捕まったオークの取り調べは拘留期間が延長されて事件の捜査をなんとか続行している。
詳細は知らないが、どうやら「テチチ」と呼ばれる密売人がソフィの元締めらしく、独自ルールと合言葉を介して売買をおこなっているらしい。
さらに驚くことに、オークはきょうの朝になって身内(警察局)に元締めがいるという供述をし始めた。しかしながらそのあとの供述調書の作成はすすまず、まだ口をわるつもりはないようだ。
噂では重大犯罪局の超優秀エージェントが日夜働いて、元締めの特定を急いでいるらしい。
超イケメンで、魔弾銃の腕前は凄腕らしく、惚れ惚れする一発で標的を仕留めるというエリートみたいで皆が彼に期待しているとレインが教えてくれた。
まあ、ぼくには一切合切関係ないということは明白ということ。
いくら仕事ができて超絶イケメンでも、ぼくにはリルくんというキュルルン癒し系がいるのだ。
そんな凄腕敏腕エージェントなんて一切興味ない。
それよりもだ。
今週からずーと大量の書類整理で多忙を極めている。どのくらい忙しいかというと、リルくんとの平日コースすらお願いすることができないくらいやばい。
先週はギル主催の合コンもあったし、蜂蜜の日からリルくんとキャッキャウフフしていない。
完全にリルくん不足に陥ってしまっている。自分の頭が、身体が、心が、リルくんを本能的に欲している。
リルくんに会いたくて、リルくんが枯渇して、通勤途中にそっくりな人を目撃してしまい、禁断症状がでてしまうくらいにだ。
「しょーじきに元締めをはけっつってんだろおおおおおお!」
ゴキッと折れる音が響いて、ぶるりとぼくの肌が震えてた。
……はっ、いけない。
よく考えると、もう十日もリルくんと会っていないのだ。三日に一回会っていたのに、このままではリルくんが他のお客さんにとられてしまうことだってありうる。
ちなみに明日は一日中交通安全フェアの雑用係があるし、今日はなんたってアーサーくんとのしゃぶしゃぶだ。
しゃぶしゃぶという食べものがわからなくて、東乃国エリアの食べものをネットで調べた。すぐにノーパンシャブシャブという風俗店がでてきて、その内容にびっくりして獣化してしまいそうになった。
床が鏡張りで、店員がノーパンでお肉を配って、茹でて野菜と食べるらしい。なんてハレンチなんだ。そんなところに誘うなんてやっぱり騎士団はイカれてる。
しかも待ち合わせ場所も歓楽街のど真ん中で、脱法ハーブや違法薬物の関係者がいたり、受け渡しであったりと噂のところだ。
味は絶品らしくロクログの星は4.7だったけど、本当に健全な店なのかもあやしい。
しかも騎士団員らしく、魔獣討伐の遠征帰りなのはしょうがないけど、集合時間は遅めだ。近くにはラブホ街が立ち並んで、いかがわしい風俗店も多い。不安だ。
……うう。アーサーくんにはわるいけど、これはデートじゃない。食事して帰る会食と思おう。
それでも浮気している感じで罪悪感すら感じてずうんと心が重い。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
獅子王と後宮の白虎
三国華子
BL
#2020男子後宮BL 参加作品
間違えて獅子王のハーレムに入ってしまった白虎のお話です。
オメガバースです。
受けがゴリマッチョから細マッチョに変化します。
ムーンライトノベルズ様にて先行公開しております。
君の番として映りたい【オメガバース】
さか【傘路さか】
BL
全9話/オメガバース/休業中の俳優アルファ×ライター業で性別を隠すオメガ/受視点/
『水曜日の最初の上映回。左右から見たら中央あたり、前後で見たら後ろあたり。同じ座席にあのアルファは座っている』
ライター業をしている山吹は、家の近くのミニシアターで上映料が安い曜日に、最初の上映を観る習慣がある。ある時から、同じ人物が同じ回を、同じような席で見ている事に気がつく。
その人物は、俳優業をしている村雨だった。
山吹は昔から村雨のファンであり、だからこそ声を掛けるつもりはなかった。
だが、とある日。村雨の忘れ物を届けたことをきっかけに、休業中である彼と気晴らしに外出をする習慣がはじまってしまう。
※小説の文章をコピーして無断で使用したり、登場人物名を版権キャラクターに置き換えた二次創作小説への転用は一部分であってもお断りします。
無断使用を発見した場合には、警告をおこなった上で、悪質な場合は法的措置をとる場合があります。
自サイト:
https://sakkkkkkkkk.lsv.jp/
誤字脱字報告フォーム:
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=fcdb8998a698847f
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
見習い薬師は臆病者を抱いて眠る
XCX
BL
見習い薬師であるティオは、同期である兵士のソルダートに叶わぬ恋心を抱いていた。だが、生きて戻れる保証のない、未知未踏の深淵の森への探索隊の一員に選ばれたティオは、玉砕を知りつつも想いを告げる。
傷心のまま探索に出発した彼は、森の中で一人はぐれてしまう。身を守る術を持たないティオは——。
人嫌いな子持ち狐獣人×見習い薬師。
要らないオメガは従者を望む
雪紫
BL
伯爵家次男、オメガのリオ・アイリーンは発情期の度に従者であるシルヴェスター・ダニングに抱かれている。
アルファの従者×オメガの主の話。
他サイトでも掲載しています。
[BL]王の独占、騎士の憂鬱
ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕
騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて…
王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい
遅咲きの番は孤独な獅子の心を甘く溶かす
葉月めいこ
BL
辺境の片田舎にある育った村を離れ、王都へやって来たリトは、これまで知らなかった獣人という存在に魅せられる。
自分の住む国が獣人の国であることも知らなかったほど世情に疎いリト。
獣人には本能で惹き合う番(つがい)という伴侶がいると知る。
番を深く愛する獣人は人族よりもずっと愛情深く優しい存在だ。
国王陛下の生誕祭か近づいた頃、リトは王族獣人は生まれながらにして番が決まっているのだと初めて知った。
しかし二十年前に当時、王太子であった陛下に番が存在する証し〝番紋(つがいもん)〟が現れたと国中にお触れが出されるものの、いまもまだ名乗り出る者がいない。
陛下の番は獣人否定派の血縁ではないかと想像する国民は多い。
そんな中、友好国の王女との婚姻話が持ち上がっており、獣人の番への愛情深さを知る民は誰しも心を曇らせている。
国や国王の存在を身近に感じ始めていたリトはある日、王宮の騎士に追われているとおぼしき人物と出会う。
黄金色の瞳が美しい青年で、ローブで身を隠し姿形ははっきりとわからないものの、優しい黄金色にすっかり魅了されてしまった。
またいつか会えたらと約束してからそわそわとするほどに。
二度の邂逅をしてリトはますます彼に心惹かれるが、自身が国王陛下の番である事実を知ってしまう。
青年への未練、まったく知らない場所に身を置く不安を抱え、リトは王宮を訊ねることとなった。
自分という存在、国が抱える負の部分、国王陛下の孤独を知り、リトは自分の未来を選び取っていく。
スパダリ獅子獣人×雑草根性な純真青年
僕はもう貴方を独りぼっちにはしない。貴方を世界で一番幸せな王様にしてみせる
本編全30話
番外編4話
個人サイトそのほかにも掲載されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる