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第六話

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「たっく、魔防法でツガイになった同僚がいるが、碌なもんじゃねぇぞ。好き好き大好きつって婚約者がいたのに、勝手に婚約破棄して誠意をみせたと思ったとたん、ツガイになったら記憶なくなったから月一回の性交渉でやらせろっていったらどうする? つうかそいつも好きだからいいんだとかかいがいしく従いそうだしな。見てるこっちは歯がゆくてしょうがねぇ。いい加減、きっぱりと忘れればいいのにって思うがそうもいかねぇ。だ、か、ら、ツガイになるなら相手は慎重に選べっていったのにどうしてデリヘルなんかに手を出すんだよ」

「……そもそもぼくにはアルファの知り合いがいないんです。それと恋人なんて生まれてこの方いたことがなく、一切の不自由を感じたことがなかったので……」

「あ~しゃらくせぇな。まあ、ようは選ばなければいいんだ」

 さっきといっていることがちがう。
 すぐに前言撤回するくせに、やけに自信満々な口調でたしなめてくるがここで反抗はしないでおく。
 デリヘルにどっぷりハマっている同僚の背中を押すよりは心配してくれているということだ。

「そんな、ツガイ相手ですよ……。ツガイ相手はしっかりと選びたいし、妥協もしたくありません……」

 それだから○十年童貞処女なのは黙っておく。
 しかも毎月、極上の重種アルファが配膳されるならばなおさらだ。
 しっかり選んで、しっかりお試しもしてみたい(絶対にむりだけど)

「だー皆迄いうな。大体なに高望みしなきゃならねぇんだよ。現実をみろ。おれみたいなベータだっているだろ。妥協すれば下のアルファでもくるだろ。とにかく、そろそろその店からは手をひけ。そして恋人をつくれ。いいか?」

「…………いやです」

「だあほ! あっちはあんたのこと客だとしか思ってねぇんだよ。ずっとぬるま湯に浸かっているひまはねぇんだ」

「でも……、出会いはないですし……」

「わかった。それ以上認知の歪みをさらに歪めて拗らせるな。この際、合コンはどうだ?」

「ご、ごうこん……」

 ひさしぶりに耳にしたワードだ。一生関わりないと思っていた。
 果たしてこのぼくにできるのだろうか。

「なにごとも一歩が大事だ。浮かれポンチみたいなやつだ。合コンのさしすせそをマスターすればそれでイケル! そうと決まればセッティングはオレにまかせろ。おれはダンゴムシみたいなオメガは一匹調達してやるから、おまえの知り合いでオメガをもう一人調達しろ」

「そ、そんな……。勝手だ……」

「容姿ほどほどの雰囲気ふわっふわのオメガでいいよ。交通課ならわんさかいるだろ」

 悲しいかな、思い当たる人物はいる。
 チワワのキュルキュル系美人。

「で、でもみんな予定というものがあるじゃないか……」

「そこは無問題だ。安心しろ。ダンゴムシの週末なんて百も承知なぐらい真っ白だ。とにかく手堅いアルファを見つけてやる。騎士団とかどうだ?」

 親指を立てて、傲然とした笑みをむけられるてごくりと咽喉が上下した。
 今週末はリルくんも休みだ。料理をして、まったりお風呂タイムでイチャイチャする予定もない……。
 それはさすがに口にはださないけど。

「……とにかく、そのサブスクなんちゃらはやめとけ!」

 至極まっとうなご指摘。
 ぼくは合コンという強制合同コンパに参加することとなった。
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