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16年前、王家とエメリアス公爵家で密約が交わされた。
それは、王家にとっては望むべき婚約。
エメリアス公爵家にとっては、然程重要視しない婚約。
王家とエメリアス家との関係は、表面上は王家の方が優位に見えたが、実際はエメリアス家の方が俄然優位の物であった。
それは、金銭面でも人脈面でも産業面でも。
なぜ、エメリアス家が王家より優位な理由。
それは、スキル『先見の明』。
王家は、常にエメリアス家と関わりを持ちつつ、重要視した理由はまさにそれである。
王家はエメリアス家に占いをして、国政やら外交やらの重要なところを常に占ってもらっていた。
占いの度に多額の金銭が動くが、同時に多額の利益を生む占い。
そのおかげでドートル王家は780年間ずっと平和に、そして、豊かに続いていた。
王家にはルールがあった。
①絶対、何があってもエメリアス家と婚姻してはならない。
②子息を6人以上作ってはいけない。
③浮気をしてはいけない。
④大衆の面前で他者を貶めてはいけない。
780年間ずっと守り続けていたルールであった。
しかし、なぜ、それを王家側から破ったのか?
それは、先代の陛下のせいだった。
先の陛下は、極力エメリアス家と関わりを持たないように動き、占いを毛嫌いし、王家の力を強めようとした。
しかし、大儲けできるとかなりの資財をつぎ込んだ公共事業は災害で流れ、見つけた鉱山はすぐに枯れ果て、最後のあがきで民衆に反感を買い、亡くなってしまった。
やり方も結構あくどかったこともあり、開墾していた土地を無理矢理接収。なのに税金は通常要求とか。人足を無理矢理徴収。賃金無しとか。
臣下も好臣でさえも反対したことを敢えてやったので、本当は反乱の兆し有りと分かっていた場所で誰もがそこにいけば、死ぬと分かっていたのだが、止めることはなく、結果、亡くなったのだ。
次代となった当時16歳の現王は後ろ盾もほとんど無く、しかし、唯一の成人の王族だった為、必死に立て直しを行った。民衆も新たな王には期待しており、王もまたそれに答えて行った。
20歳で遅れながら王妃を迎え入れ、25歳まで一人も子供が生まれることが無かったために側妃が3人召し抱えられた。
しかし、王が28になっても子供は生まれることはなかった。
頼ったのは、先代の王が絶対頼るなと言ったエメリアス公爵家。
しかし、王は、先代の王の言うことを聞いて、損しかしなかったことを知っている。
殺されたことを知っている。
12年間占いに頼らずに、普通に王家を存続させ、子孫繁栄以外の意味での評価が高かったこともあり、王は、約束を破ることにした。
かなりの資財を対価に占ってもらったところ
「2つの侯爵家の令嬢を14歳と16歳の令嬢を使用人として3人とも召し上げてください。そして、王族は必ずその息女に絶対手を出さないでください。8年経てば、3人の息女を実家に帰してあげてください。そうすれば、王家は子沢山になり、これからも反映することでしょう。」
と占われた。
2つの侯爵家からはかなり反感を買いはしたけれど、14歳の双子の姉妹と16歳の令嬢を使用人として召し上げることにした。
その結果、半年で避妊の薬を王妃と側妃に盛っている使用人が発見され、犯人が伯爵令嬢であった為に、発見が遅れたことが判明。
2つの侯爵家は、事件を解決した成果を対価に3人の息女を側妃にするように嘆願した。
王は渋ったが、既に14歳の息女と恋仲になっており、まだ手は出してはいなかったものの、出したいと常々考えていたため、侯爵の願いを受理してしまった。
結果、翌年、王妃が王子を出産。側妃3人も王女一人王子二人を出産。そして、まだ未成年の15歳の双子姉妹も双子の王子をそれぞれ出産。17歳になった侯爵令嬢も王女を出産した。
王子7人。王女2人。
まさに王が望んだ結果となった。
しかし、多少約束を破っても望んだ結果が得られたことで王は、考えた。
『大昔の約束事に囚われないでさっさと有用なスキル所持の血族を我が王族に入れてしまえば、あんなに対価を支払うこと無く結果が得られる』
と。
そして、偶然にもエメリアス公爵家のご婦人のお腹には双子かと思えるくらい大きな赤ちゃんがいるという情報が入っていた。
王は、先代の王のことが嫌いでは無かった。
彼は必死に占いの力に頼ると痛い目にあうと常々何度も何度も子供の時からずっと言われ続けていた。
だからこそ、占いに頼らずに国を運営する交渉や勉強を小さい時から頑張っていた。
しかし、一度頼った占いで、十分以上の結果が得られ、王の頭は少し約束事に関して緩く考えるようになった。
だから、エメリアス家に息女が一人生まれたと聞いた時、沢山の金銭を集めて、こっそりお願いに行った。
『第一王子とエメリアス家の息女との婚約の打診』である。
しかし、エメリアス家はそれを断った。
「これ以上、エメリアス家の立場をあげるべきではない。いずれ、王太子となる第一王子との婚姻は反対する。」
と。
王は
「確かにそれもそうだ。」
と思った。
しかし、王族と血縁関係になった欲しい王は、諦めなかった。
エメリアス家は何度も断ったし、長年の王家の約束事も持ち出した。
①絶対、何があってもエメリアス家と婚姻してはならない。
②子息を6人以上作ってはいけない。
③浮気をしてはいけない。
④大衆の面前で他者を貶めてはいけない。
これは、王家にとって、絶対の約束事。
初代の王が子孫にこれだけは絶対守れと常々言い続けていた約束事。
その子孫もこの4か条は必ず守る様にし続けた約束事。
ただでさえ、現王は、前回の占いの約束事を破ったのだ。
どんな報いを受けるか分からないとエメリアス家は説得をした。
しかし、それでも王は諦めず、結果、第6王子とエメリアス家の息女の婚姻は以下の契約を持ってなされた。
①浮気をしないこと。
②大衆の面前でエメリアス家の息女を貶めないこと。
破った場合、第6王子は王族籍を剥奪の上、平民落ちにさせること。
破らなければ、第6王子を次期公爵にすると言うこと。
王は諸手を挙げてこの契約にサインをした。
魔法誓約を伴う契約。
破れば、双方の命を損なう契約を受理した。
王は、決してそんな日が来るとは夢にも思わなかったのだ。
***
「マリアローズ・エメリアス!君との婚約を破棄する!」
16歳の成人に伴い、生ぬるい学園の外に出るための卒業式の日。
まさか、第6王子が無実の罪でエメリアス公爵家の令嬢を大勢の生徒や保護者がいる中で、断罪ごっこをするなんて、欠片たりとも考えなかった。
縋りつくエメリアス公爵令嬢を足蹴にし、貴族子息がやるとは思えない幼稚な罵倒を繰り返し、泣いて悲しむ少女を打ち据えようとした。
最後の打撃だけは一部の生徒の従者のおかげで回避できたが、王が到着した時、もう、どうしようもないほど、この婚約は崩れていた。
王は、考える。
子供の教育を間違ったことを。
あの出産ラッシュの後、初めの7年は無事に緩やかに平和だった。
最終的に王子は14人。王女は8人の大所帯。
何があっても王家の血が絶えることはないとそう思っていたある日。
王妃が血を吐いて死んでしまった。
原因は食事に毒が入っていたからであった。
犯人は自害をしたため、殺害指示を出した本当の犯人は分からず仕舞いだった。
翌年3人の側妃が不慮の事故で死んだ。
しかし、やはりしっかり調べれば、他殺の線が濃厚だった。
調査を続けて行った結果、犯人が分かったのだが、やはり捕らえる直前に自害した為、また、本当の犯人は分からなかった。
しかし、王子たち王女達が犯人追及の為に小さいながらに王には内緒で調査し、本当の犯人が判明。
殺害指示者、それは、第6側妃であった侯爵令嬢だった。
彼女は本当の意味で王に惚れ、愛し、なのに、彼は初めの姫を生んで以降、彼女の離宮に近づくことが無かった。
次々に王族を生む王妃や側妃を妬み、恨み、彼女は殺し続けたのだ。
少なくとも彼女は8年は我慢をした。
しかし、王はずっと彼女のことを顧みることは無かった。
実は彼女は殺害現場に彼女の痕跡が残る様にわざと彼女の愛華であるアザミの花を置く様に指示していた。
しかし、王は一向に気付かなかった。
気付いたのは、第7皇子。
憎い双子姉妹の王子。
彼女は自分が王に犯人と気付かれたことと気付いた最初の人間が王以外であった為、自爆とも思える事件を起こさせた。
結果、本人と共に、第3王子、第7皇子、第8皇子、第一王女、第4王女、そして、双子姉妹の内、姉の方が死亡した。
残った双子姉妹の妹も気が狂って、半年もたたずに自殺してしまった。
妻がすべて死亡すると言う大惨事。
しかも、その事件が切っ掛けで貴族全体で色んな意味合いで抗争が起き、王はそれの対処でてんてこ舞い。
目の前で兄弟や母親が死んだのを直接目にしてしまった王子や王女のフォローはほとんどなされることがなかった。
王は勝手に乳母がどうにかしてくれると思い込んでいた。
しかし、妻達が死ぬ直前に何らかの理由で乳母が死んでいたことに気付いたのは、婚約破棄騒動が起きた後のことだった。
そうなのだ、よく考えれば、当然のことだった。
乳母というある意味防波堤があれば、暗殺は困難。
妻や子が殺害されるのに問題がある。
一番に排除されたのは妻よりも乳母だったのだ。
臣下も第一王子から第5王子までは頑張って教育したらしく、5人の王子は立派に育っている。
しかし、6人目ともなるとそうはいかない。
ただでさえ、子息子女の人数が多いのだ。
フォローするにも限りがあった。
そして、第6王子はわがまま放題で育ち、婚約者を蔑ろにし、王が一番想定したくない契約にぶち当たることになったのだ。
魔法契約。
それは、王であってもエメリアス公爵自身であっても覆せない契約。
王子は契約のことをまるで知らなかった。
王族籍さえ抜いても、元王族特権で伯爵の位を貰って、のんびり王弟として過ごせると信じていた。
好きなあの、奇抜で明るく優しい男爵令嬢と夫婦になれると信じて疑わなかった。
まさか、まさか、父である国王が廃嫡の上、平民落ちにするとは思いもしなかった。
第6王子は王に懇願した。
しかし、第6王子を許せば、国王である父が死ぬ契約がされているとは思いもしなかった。
第6王子は涙ながらに王都の最後の抱擁をし、王城から放り出されたのであった。
城下の人は第6王子の我儘をずっと苦々しく思っていた。
だから、城下の人は平民になった王子を誰も助けることは無かった。
約束していた筈のあの少女も迎えに来てくれることは無かった。
絶望の中、青銀の髪の青年がにこやかに第6王子に手を差し伸べてきた。
あぁ、それが、王子にとって、最低最悪の魔の手とも知らずに。
***
グロ注意!胸糞注意!カニバリズム注意!人肉注意!レイプ注意!!輪姦注意!NTR注意!
TS注意!BL注意!肉便器注意!バッドエンド注意。
苦手な人はブラウザバック推奨!
***
3日の間水以外の何も食べていなかった第6王子は、温かな食事、丁寧に世話してくれる使用人たちに酔いしれた。
甲斐甲斐しく世話をされ、指の一本一本まで丁寧に洗われ、清潔なシーツに寝かされた日。
優しい言葉をかけてくれる青銀色の髪の美青年。
何から何まで彼の心身共に絆されてしまっていた。
無償の信頼を会ったばかりの青年に抱いてしまっていた。
次の日も青年は彼に優しくしてくれた。
1週間後、青年は彼を別宅に案内してくれた。
その頃には彼は青年に対して、淡い恋心にも似た想いを抱くほどであった。
それなのに、それなのに、目の前の光景は恐ろしく、そして、信じられないものだった。
そう、そこには愛して自分が婚約者にしようとしていた件の男爵令嬢がいた。
いたと言うのも微妙なものだった。
既に人としてのアレソレは失っているようだった。
獣のように吠え、既に無い手足を付け根だけ残して、腰を振っていた。
体全体に男の欲望の残滓を隠すことなくかけられ、黄色だか白だか茶色だか分からない色にまみれていた。
しかも、今も浅ましくその腰を振り、鎖につながれながらも恍惚の表情で獣の様な喘ぎ声を出していた。
6人もの見知らぬ男性が彼女にまたがり、何度も抱いているのが分かるその有様。
そして、恐らく、その状況を作ったのが、隣でとても晴れやかな笑顔のこの淡い恋心を抱いていた青年がやったことだと気付いてしまったから。
一度、助かった喜びの後に堕ちたその現実は、普通に堕ちる現実よりもなお一層深く悲しいものだった。
愛した女性は他の男の子を孕み、自分が食べていたものは愛した女性の手足だったこと。
自分自身もあの青年に犯されて、散らされる筈の無い純血を散らされたこと。
そして、更に見知らぬ汚い男たちに散々罵倒され、犯され、10か月後、愛した女性が産んだ子を目の前で殺され、それを食べさせられたこと。
気が狂う直前に正気を戻させる薬を処方され、精神崩壊出来ずに苦しみ続け、監禁生活から1年と半年たった頃に自分の元婚約者に会うことになった。
元婚約者はとてもいい笑顔で綺麗なカーテシーをした。
元婚約者は心底幸せそうな顔をして、自分に子供が出来たことを報告してきた。
相手は唯一、卒業式の断罪イベントで彼女を庇った他家の従者。
伯爵家に養子になり、その後、彼女のもとに婿入りしたらしい。
今とっても幸せだからと言って、少女のように微笑む元婚約者は、彼にとんでもないことを言った。
彼女の後ろには三角帽を頭からかぶった明らかに普通の医者ではない者たち。
しかもその手にあるのは魔法の杖と金属製の鎖。そして、のこぎり。
5体満足だった彼は、手足を切り落とされ、その上で金属製の鎖につながれ、性転換の手術…魔術を受けさせられた。
肘から先と膝から先が無くなり、4つ足の獣のようにされた彼は、その後毎日、元婚約者の血族たちに孕むまで犯され続けた。
正気のまま何度も何度も。
何度叫んでも、助けを呼んでも誰も助けに来ない。
既に正気を失ってはいるものの生き続けている愛した男爵令嬢の目の前で何度も何度も白濁を注ぎ込まれた。
3年。
あの、断罪イベントから3年がたった。
あの地下には、鎖で繋がれ、双子が入っているとも思える程膨らんだお腹を持った彼が居た。
目は虚ろ。
でも、快楽にすぐに反応する元第6王子が。
元第6王子はその後、沢山の子供を産んだ。
王族の特徴を多分に含んだ金髪碧眼の美形の子供を。
エメリアス公爵家は、王族に対して既に忠心を失っていた。
再三やった警告を散々無視し、唯一の姫を大勢の前で貶めた王族を憎く感じていた。
恐らく、初代はエメリアス公爵家の血筋ならではの性格を知っていたのだろう。
家族を堕としめたものに対して、徹底的に復讐するその気質を。
そうでなければ、王家のあの約束事の第1項にエメリアス家の文言を出すはずがない。
エメリアス家は、第6王子が産んだ子を使い、王家を呪った。
子供は全部で12人。
元々王家の血族は呪術にも優れたし、隠密にも優れた暗部向きのスキルを所持して生まれるものが多かった。
エメリアス家は子供を暗部向けに育て、そして、王家直系の血族が苦しみの果てに死ぬように仕組み、16年の年を経て、それを達成した。
王は民衆の怒りを買って断頭台で処刑された。あるものは無実の罪で処刑され、あるものは、私刑にあって殺された。
あるものは隣国に逃げる途中で殺された。
皆が皆、何から恨まれて誰に殺されたのか分からずに死んだ。
残ったエメリアス家自体もその身を魔族に堕として、王国を瘴気に包んで死んだ。
残ったのは、誰も住めなくなった魔物の闊歩する大地だけ。
そうして、800年近く続いた王国は、その国があった大地ごと幕を閉じたのだった。
それは、王家にとっては望むべき婚約。
エメリアス公爵家にとっては、然程重要視しない婚約。
王家とエメリアス家との関係は、表面上は王家の方が優位に見えたが、実際はエメリアス家の方が俄然優位の物であった。
それは、金銭面でも人脈面でも産業面でも。
なぜ、エメリアス家が王家より優位な理由。
それは、スキル『先見の明』。
王家は、常にエメリアス家と関わりを持ちつつ、重要視した理由はまさにそれである。
王家はエメリアス家に占いをして、国政やら外交やらの重要なところを常に占ってもらっていた。
占いの度に多額の金銭が動くが、同時に多額の利益を生む占い。
そのおかげでドートル王家は780年間ずっと平和に、そして、豊かに続いていた。
王家にはルールがあった。
①絶対、何があってもエメリアス家と婚姻してはならない。
②子息を6人以上作ってはいけない。
③浮気をしてはいけない。
④大衆の面前で他者を貶めてはいけない。
780年間ずっと守り続けていたルールであった。
しかし、なぜ、それを王家側から破ったのか?
それは、先代の陛下のせいだった。
先の陛下は、極力エメリアス家と関わりを持たないように動き、占いを毛嫌いし、王家の力を強めようとした。
しかし、大儲けできるとかなりの資財をつぎ込んだ公共事業は災害で流れ、見つけた鉱山はすぐに枯れ果て、最後のあがきで民衆に反感を買い、亡くなってしまった。
やり方も結構あくどかったこともあり、開墾していた土地を無理矢理接収。なのに税金は通常要求とか。人足を無理矢理徴収。賃金無しとか。
臣下も好臣でさえも反対したことを敢えてやったので、本当は反乱の兆し有りと分かっていた場所で誰もがそこにいけば、死ぬと分かっていたのだが、止めることはなく、結果、亡くなったのだ。
次代となった当時16歳の現王は後ろ盾もほとんど無く、しかし、唯一の成人の王族だった為、必死に立て直しを行った。民衆も新たな王には期待しており、王もまたそれに答えて行った。
20歳で遅れながら王妃を迎え入れ、25歳まで一人も子供が生まれることが無かったために側妃が3人召し抱えられた。
しかし、王が28になっても子供は生まれることはなかった。
頼ったのは、先代の王が絶対頼るなと言ったエメリアス公爵家。
しかし、王は、先代の王の言うことを聞いて、損しかしなかったことを知っている。
殺されたことを知っている。
12年間占いに頼らずに、普通に王家を存続させ、子孫繁栄以外の意味での評価が高かったこともあり、王は、約束を破ることにした。
かなりの資財を対価に占ってもらったところ
「2つの侯爵家の令嬢を14歳と16歳の令嬢を使用人として3人とも召し上げてください。そして、王族は必ずその息女に絶対手を出さないでください。8年経てば、3人の息女を実家に帰してあげてください。そうすれば、王家は子沢山になり、これからも反映することでしょう。」
と占われた。
2つの侯爵家からはかなり反感を買いはしたけれど、14歳の双子の姉妹と16歳の令嬢を使用人として召し上げることにした。
その結果、半年で避妊の薬を王妃と側妃に盛っている使用人が発見され、犯人が伯爵令嬢であった為に、発見が遅れたことが判明。
2つの侯爵家は、事件を解決した成果を対価に3人の息女を側妃にするように嘆願した。
王は渋ったが、既に14歳の息女と恋仲になっており、まだ手は出してはいなかったものの、出したいと常々考えていたため、侯爵の願いを受理してしまった。
結果、翌年、王妃が王子を出産。側妃3人も王女一人王子二人を出産。そして、まだ未成年の15歳の双子姉妹も双子の王子をそれぞれ出産。17歳になった侯爵令嬢も王女を出産した。
王子7人。王女2人。
まさに王が望んだ結果となった。
しかし、多少約束を破っても望んだ結果が得られたことで王は、考えた。
『大昔の約束事に囚われないでさっさと有用なスキル所持の血族を我が王族に入れてしまえば、あんなに対価を支払うこと無く結果が得られる』
と。
そして、偶然にもエメリアス公爵家のご婦人のお腹には双子かと思えるくらい大きな赤ちゃんがいるという情報が入っていた。
王は、先代の王のことが嫌いでは無かった。
彼は必死に占いの力に頼ると痛い目にあうと常々何度も何度も子供の時からずっと言われ続けていた。
だからこそ、占いに頼らずに国を運営する交渉や勉強を小さい時から頑張っていた。
しかし、一度頼った占いで、十分以上の結果が得られ、王の頭は少し約束事に関して緩く考えるようになった。
だから、エメリアス家に息女が一人生まれたと聞いた時、沢山の金銭を集めて、こっそりお願いに行った。
『第一王子とエメリアス家の息女との婚約の打診』である。
しかし、エメリアス家はそれを断った。
「これ以上、エメリアス家の立場をあげるべきではない。いずれ、王太子となる第一王子との婚姻は反対する。」
と。
王は
「確かにそれもそうだ。」
と思った。
しかし、王族と血縁関係になった欲しい王は、諦めなかった。
エメリアス家は何度も断ったし、長年の王家の約束事も持ち出した。
①絶対、何があってもエメリアス家と婚姻してはならない。
②子息を6人以上作ってはいけない。
③浮気をしてはいけない。
④大衆の面前で他者を貶めてはいけない。
これは、王家にとって、絶対の約束事。
初代の王が子孫にこれだけは絶対守れと常々言い続けていた約束事。
その子孫もこの4か条は必ず守る様にし続けた約束事。
ただでさえ、現王は、前回の占いの約束事を破ったのだ。
どんな報いを受けるか分からないとエメリアス家は説得をした。
しかし、それでも王は諦めず、結果、第6王子とエメリアス家の息女の婚姻は以下の契約を持ってなされた。
①浮気をしないこと。
②大衆の面前でエメリアス家の息女を貶めないこと。
破った場合、第6王子は王族籍を剥奪の上、平民落ちにさせること。
破らなければ、第6王子を次期公爵にすると言うこと。
王は諸手を挙げてこの契約にサインをした。
魔法誓約を伴う契約。
破れば、双方の命を損なう契約を受理した。
王は、決してそんな日が来るとは夢にも思わなかったのだ。
***
「マリアローズ・エメリアス!君との婚約を破棄する!」
16歳の成人に伴い、生ぬるい学園の外に出るための卒業式の日。
まさか、第6王子が無実の罪でエメリアス公爵家の令嬢を大勢の生徒や保護者がいる中で、断罪ごっこをするなんて、欠片たりとも考えなかった。
縋りつくエメリアス公爵令嬢を足蹴にし、貴族子息がやるとは思えない幼稚な罵倒を繰り返し、泣いて悲しむ少女を打ち据えようとした。
最後の打撃だけは一部の生徒の従者のおかげで回避できたが、王が到着した時、もう、どうしようもないほど、この婚約は崩れていた。
王は、考える。
子供の教育を間違ったことを。
あの出産ラッシュの後、初めの7年は無事に緩やかに平和だった。
最終的に王子は14人。王女は8人の大所帯。
何があっても王家の血が絶えることはないとそう思っていたある日。
王妃が血を吐いて死んでしまった。
原因は食事に毒が入っていたからであった。
犯人は自害をしたため、殺害指示を出した本当の犯人は分からず仕舞いだった。
翌年3人の側妃が不慮の事故で死んだ。
しかし、やはりしっかり調べれば、他殺の線が濃厚だった。
調査を続けて行った結果、犯人が分かったのだが、やはり捕らえる直前に自害した為、また、本当の犯人は分からなかった。
しかし、王子たち王女達が犯人追及の為に小さいながらに王には内緒で調査し、本当の犯人が判明。
殺害指示者、それは、第6側妃であった侯爵令嬢だった。
彼女は本当の意味で王に惚れ、愛し、なのに、彼は初めの姫を生んで以降、彼女の離宮に近づくことが無かった。
次々に王族を生む王妃や側妃を妬み、恨み、彼女は殺し続けたのだ。
少なくとも彼女は8年は我慢をした。
しかし、王はずっと彼女のことを顧みることは無かった。
実は彼女は殺害現場に彼女の痕跡が残る様にわざと彼女の愛華であるアザミの花を置く様に指示していた。
しかし、王は一向に気付かなかった。
気付いたのは、第7皇子。
憎い双子姉妹の王子。
彼女は自分が王に犯人と気付かれたことと気付いた最初の人間が王以外であった為、自爆とも思える事件を起こさせた。
結果、本人と共に、第3王子、第7皇子、第8皇子、第一王女、第4王女、そして、双子姉妹の内、姉の方が死亡した。
残った双子姉妹の妹も気が狂って、半年もたたずに自殺してしまった。
妻がすべて死亡すると言う大惨事。
しかも、その事件が切っ掛けで貴族全体で色んな意味合いで抗争が起き、王はそれの対処でてんてこ舞い。
目の前で兄弟や母親が死んだのを直接目にしてしまった王子や王女のフォローはほとんどなされることがなかった。
王は勝手に乳母がどうにかしてくれると思い込んでいた。
しかし、妻達が死ぬ直前に何らかの理由で乳母が死んでいたことに気付いたのは、婚約破棄騒動が起きた後のことだった。
そうなのだ、よく考えれば、当然のことだった。
乳母というある意味防波堤があれば、暗殺は困難。
妻や子が殺害されるのに問題がある。
一番に排除されたのは妻よりも乳母だったのだ。
臣下も第一王子から第5王子までは頑張って教育したらしく、5人の王子は立派に育っている。
しかし、6人目ともなるとそうはいかない。
ただでさえ、子息子女の人数が多いのだ。
フォローするにも限りがあった。
そして、第6王子はわがまま放題で育ち、婚約者を蔑ろにし、王が一番想定したくない契約にぶち当たることになったのだ。
魔法契約。
それは、王であってもエメリアス公爵自身であっても覆せない契約。
王子は契約のことをまるで知らなかった。
王族籍さえ抜いても、元王族特権で伯爵の位を貰って、のんびり王弟として過ごせると信じていた。
好きなあの、奇抜で明るく優しい男爵令嬢と夫婦になれると信じて疑わなかった。
まさか、まさか、父である国王が廃嫡の上、平民落ちにするとは思いもしなかった。
第6王子は王に懇願した。
しかし、第6王子を許せば、国王である父が死ぬ契約がされているとは思いもしなかった。
第6王子は涙ながらに王都の最後の抱擁をし、王城から放り出されたのであった。
城下の人は第6王子の我儘をずっと苦々しく思っていた。
だから、城下の人は平民になった王子を誰も助けることは無かった。
約束していた筈のあの少女も迎えに来てくれることは無かった。
絶望の中、青銀の髪の青年がにこやかに第6王子に手を差し伸べてきた。
あぁ、それが、王子にとって、最低最悪の魔の手とも知らずに。
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グロ注意!胸糞注意!カニバリズム注意!人肉注意!レイプ注意!!輪姦注意!NTR注意!
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***
3日の間水以外の何も食べていなかった第6王子は、温かな食事、丁寧に世話してくれる使用人たちに酔いしれた。
甲斐甲斐しく世話をされ、指の一本一本まで丁寧に洗われ、清潔なシーツに寝かされた日。
優しい言葉をかけてくれる青銀色の髪の美青年。
何から何まで彼の心身共に絆されてしまっていた。
無償の信頼を会ったばかりの青年に抱いてしまっていた。
次の日も青年は彼に優しくしてくれた。
1週間後、青年は彼を別宅に案内してくれた。
その頃には彼は青年に対して、淡い恋心にも似た想いを抱くほどであった。
それなのに、それなのに、目の前の光景は恐ろしく、そして、信じられないものだった。
そう、そこには愛して自分が婚約者にしようとしていた件の男爵令嬢がいた。
いたと言うのも微妙なものだった。
既に人としてのアレソレは失っているようだった。
獣のように吠え、既に無い手足を付け根だけ残して、腰を振っていた。
体全体に男の欲望の残滓を隠すことなくかけられ、黄色だか白だか茶色だか分からない色にまみれていた。
しかも、今も浅ましくその腰を振り、鎖につながれながらも恍惚の表情で獣の様な喘ぎ声を出していた。
6人もの見知らぬ男性が彼女にまたがり、何度も抱いているのが分かるその有様。
そして、恐らく、その状況を作ったのが、隣でとても晴れやかな笑顔のこの淡い恋心を抱いていた青年がやったことだと気付いてしまったから。
一度、助かった喜びの後に堕ちたその現実は、普通に堕ちる現実よりもなお一層深く悲しいものだった。
愛した女性は他の男の子を孕み、自分が食べていたものは愛した女性の手足だったこと。
自分自身もあの青年に犯されて、散らされる筈の無い純血を散らされたこと。
そして、更に見知らぬ汚い男たちに散々罵倒され、犯され、10か月後、愛した女性が産んだ子を目の前で殺され、それを食べさせられたこと。
気が狂う直前に正気を戻させる薬を処方され、精神崩壊出来ずに苦しみ続け、監禁生活から1年と半年たった頃に自分の元婚約者に会うことになった。
元婚約者はとてもいい笑顔で綺麗なカーテシーをした。
元婚約者は心底幸せそうな顔をして、自分に子供が出来たことを報告してきた。
相手は唯一、卒業式の断罪イベントで彼女を庇った他家の従者。
伯爵家に養子になり、その後、彼女のもとに婿入りしたらしい。
今とっても幸せだからと言って、少女のように微笑む元婚約者は、彼にとんでもないことを言った。
彼女の後ろには三角帽を頭からかぶった明らかに普通の医者ではない者たち。
しかもその手にあるのは魔法の杖と金属製の鎖。そして、のこぎり。
5体満足だった彼は、手足を切り落とされ、その上で金属製の鎖につながれ、性転換の手術…魔術を受けさせられた。
肘から先と膝から先が無くなり、4つ足の獣のようにされた彼は、その後毎日、元婚約者の血族たちに孕むまで犯され続けた。
正気のまま何度も何度も。
何度叫んでも、助けを呼んでも誰も助けに来ない。
既に正気を失ってはいるものの生き続けている愛した男爵令嬢の目の前で何度も何度も白濁を注ぎ込まれた。
3年。
あの、断罪イベントから3年がたった。
あの地下には、鎖で繋がれ、双子が入っているとも思える程膨らんだお腹を持った彼が居た。
目は虚ろ。
でも、快楽にすぐに反応する元第6王子が。
元第6王子はその後、沢山の子供を産んだ。
王族の特徴を多分に含んだ金髪碧眼の美形の子供を。
エメリアス公爵家は、王族に対して既に忠心を失っていた。
再三やった警告を散々無視し、唯一の姫を大勢の前で貶めた王族を憎く感じていた。
恐らく、初代はエメリアス公爵家の血筋ならではの性格を知っていたのだろう。
家族を堕としめたものに対して、徹底的に復讐するその気質を。
そうでなければ、王家のあの約束事の第1項にエメリアス家の文言を出すはずがない。
エメリアス家は、第6王子が産んだ子を使い、王家を呪った。
子供は全部で12人。
元々王家の血族は呪術にも優れたし、隠密にも優れた暗部向きのスキルを所持して生まれるものが多かった。
エメリアス家は子供を暗部向けに育て、そして、王家直系の血族が苦しみの果てに死ぬように仕組み、16年の年を経て、それを達成した。
王は民衆の怒りを買って断頭台で処刑された。あるものは無実の罪で処刑され、あるものは、私刑にあって殺された。
あるものは隣国に逃げる途中で殺された。
皆が皆、何から恨まれて誰に殺されたのか分からずに死んだ。
残ったエメリアス家自体もその身を魔族に堕として、王国を瘴気に包んで死んだ。
残ったのは、誰も住めなくなった魔物の闊歩する大地だけ。
そうして、800年近く続いた王国は、その国があった大地ごと幕を閉じたのだった。
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