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後編

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***
学園入学式、桜舞い散る中、それは行われた。
入学試験の結果は
1位 ミルフィーユ・レモナンド
2位 ナルミア・レンモンディス
3位 カルシア・ゲルラッハ
4位 ラルドバル・エリート
5位 マルノルミ・ディスモンド




かなり下の方にドクサンプ・エル・マハグート
の名前がある。

真ん中位に第二王子の名前があるが、第三王子の名前は無い。
王妃の子である第三王子は隣国に留学に行っているからである。
そちらは、エリザベス・エリート公爵令嬢が婚約者として付き、転覆後の算段を取ってもらっている。

第三王子は、既にこの国を見放しており、共犯者としてしっかりと魔術契約の下、活動を始めている。

正直、前陛下派とかも私は理解できないのである。
あれらは両方駄目だと思う。


この学園は完全成績性である。
それだけは、素晴らしいと思う。
身分も何も関係なく平等にクラス配分された。

要は、あの毒まき散らし王子としばらく距離を置けるのだ。
既に王妃教育自体は終わっているのだけど、クーデターの準備を連絡する際に、違和感を持たれては困るので、それまでは普通にお茶会を定期的にし続けている。

その頃には既に、こっち側に付けられていた監視者もこっち側につかせた。

そして、その監視者を通じて、王宮で雇われている監視者を徐々にこちら側につかせていっている。

そこまですると宰相もさすがに気付き始めたのだが、
「私は、ミルフィーユ・レモナンド様の指揮下に入りたいです。お願いします。」
と泣きついてきたので、4家と相談の後、数か月以内に宰相家にディスモンド侯爵家の嫡子を養子にしてもらうことを条件に学園卒業後に執事としてならと、許可をした。

宰相は泣きながら、感謝してくれた。

あぁ、泥船って自覚したんだろうね。

他の貴族はまだ気づいていないが、現陛下ではなく、私自身につくと言い始めた貴族は出てきた。
条件を付けて、全て、卒業後と言って、取引をしている。

産業発展のチートは、当時10歳だった前世の知識ではかなりお粗末ではあったのだが、それから発展できるだけの、根性と技術と人手を持っているものは、それらからでも発展できた。

いくつかの貴族はそれで成功し、いくつかの貴族は失敗はしたものの、損害は私が補填したので、ほとんどなく、どちらの貴族からも賞賛された。
でも、利用価値が無い者と察しが悪いものはちょっと、遠ざけた。

正直、第二第三のお父様はフォロー出来ないわ。

そうやって、忙しくしている中、やはりと言えば、やはりである。
第一王子のドクサンプ殿下は、ピンク髪の令嬢ととても仲良くなって、授業にもほとんど出ないで、たまに中庭でパンパンパンパンしまくっているのを発見されたり、空き教室でパンパンパンパンやっているのを発見された。

そうすれば、当然、お腹が膨らんでくるわけで、卒業前にもかかわらず、こっそり隠れて、ピンク令嬢は出産したらしい。
が、それは、教会に送られたらしい。

でもって、それでもやめないお二人さん。
卒業時にも、少しお腹が大きくなっていたから、もう一人こさえていたらしいね。

ピンク令嬢はとても丈夫な人らしい。
まだ、子供だと私は認識する年齢なのに、よくやるわと思ってしまう。

そして迎えた卒業式。

案の定、設置していなかった場所にお立ち台が設置されて、王子とその側近たちがピンク令嬢を傍に置きつつ、
「ミルフィーユ・レモナンド、お前との婚約を破棄する!」
とのたまった。

「お前の所業は、とても、令嬢とは思えない悪辣な者!このヒロニア・ビッチモンド男爵令嬢をよくも長年イジメてくれたな。」
と宣った。

「イジメている暇は全くございませんよ。そして、破棄の件は了承いたしました。
あぁ、これで、悲願が達成されます。」
と言った。

そうだ、待ちに待った時なのだ。

不思議そうにするヒロニアさん。側近の皆々様も。
しかし、卒業生の6割は既に察しているし、残りの方々もなんとなく察している。

全く理解していないのは、お立ち台の第一王子ドクサンプ王子だけである。

「お前、なんなんだ!いつも、俺の言いなりになって、愛がほしかったのであろう。王妃の座が欲しいのではないのか?だから嫉妬して、俺の女を…
「ばかおっしゃい。」
私は遮る様に言った。

「初めてお会いした時から、私を殴る蹴る罵倒するを続けていたあなたに対して、好意を感じるわけがないでしょう?加えて、あなたの足場は湖面の薄氷よりも薄い。」
「な、な、な!!」
激怒した王子は私を殴ろうとした。

その時、王子の右腕が宙を舞った。

私の護衛が彼の右腕を切り飛ばしたのである。

それをきっかけに生徒を含め、会場から逃げ出した。

しかし、外から勝鬨があがった為、殆どの人間は硬直する。

逃げようとして開け広げられた大門のおかげで良く見える。
会場に向かってくるのは、血みどろの兵士たち。
先頭の兵が持っている槍突きの旗の先に突き刺さっているのは現陛下と前陛下の首。他にも今まで国の害虫となっていたもの。ドクサンプ王子の母親を筆頭としたものの首。

にっこり笑ってこちらに手を振るクロード・ディスモンド侯爵。
軽く手を振り返す。

「さぁ、断罪ですわ。」

泣き叫ぶ者、腰を抜かす者、お漏らしをする者。

***

それから、王子を含め、断罪イベントをしようとした第一王子派の足の腱を全員切り、地下牢に入れ、しばらく、彼らの両親の亡骸と対面させてあげた。
その間に、国名が変わったことを国民に知らしめた。

随分前から準備はしていたし、処刑した人間のその後の領地の扱いも宰相を通じて、既に行っていた。
ちなみに今までの宰相は既に引退なさって、既に隣国で平和に暮らしている。
現宰相はディスモンド侯爵家の子供である。

泣きわめく面々が次々に言う後ろ盾の者たち。

それらがすべて死体になっているだが、彼らは知らなかったようだ。抜けが無いか、微妙に確認は必要ではあるが。

まぁ、当然か。

私のお父様?すっかり反省して、領地で引退して、ほのぼのしているわ。引退して、私が卒業したら絶交を止めるって言ったら、喜んでそうしたしね。
お兄さまが爵位を受け継いだけど、その時にはお兄さまも自覚したらしく、私の下に就くって盟約してくれたから、お父様と一緒に領地に避難してもらっている。

彼らはうちの両親も後ろ盾と思い込んでいたようだが、おバカさんだなー。

私は彼らを鉱山送りにした。
足が動かない彼らの役割は、すべからく慰安の為である。

正直、国外とか教会送りとか迷惑をかけることになるとしか思えないんだよね。
しっかり、息絶えてもらわなくては。

***

そうして、私は女王となった。
血の女王と言われたけど、別にそれで構わない。

私の隣には帝国の第三王子。あっちは26歳で、私は16歳。だいぶ、年上だけど、彼はとても察しがいいし、私を邪魔しないので有難い。
それに、帝国とも友誼をつくれたので、とても上々。

国民は、政権交代についてあまり反応は無かった。
上が変わっただけでしょって感じで、普通に受け入れられた。

まぁ、そりゃそうだ。
念入りに準備は既に済んでいたのだから。

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