36 / 44
36
しおりを挟む
私達の住まいはレイの住むお城になった。まぁ、元々そう言われてたけど。
まさかレイの隣の部屋になるとは思わなかったけど・・・・
ルリとスイの部屋も、私の部屋の隣でドアで繋がっている。
当然、その反対側の扉はレイの部屋に繋がっていた。
「ねえ、ルリ・・・この部屋って・・・・」
「そうですね。竜妃の部屋ですね」
ですよねー・・・レイはなんだかんだと言いながら、外堀から埋めにかかっている。
あまりの手際の良さに感心しつつも、私の気持ちの根底には嬉しさが渦巻いているのだから、飽きれてしまう。
嬉しいくせに、なんで素直に頷けないのか・・・・
「まぁ、エリ様に必要なのは陛下と腹を割って話す事ではないかと思いますよ」
グダグダ悩む私に、今まで何も言わなかったルリ達。
でも、ここでアドバイスしてくるという事は・・・後悔する前に腹を括れって事なのかもしれない。
数少ない事例からしても、多分レイに「番」が現れる可能性が高い。
そうなってからでは遅いのだと。
何を気にして何に意地を張っているのかと、多分そう言いたいのだろう。
「そうね・・・レイの時間が空き次第、話してみるわ」
城に戻ってからレイはすぐに仕事に戻っていった。
レイのお父様が執務を代わってくれていたし、転送で仕事が回ってきていたから溜まっていることは無い。
けれど、これまでの事情説明とこれからの事を話し合わなくてはいけなくて、名残惜しそうにしながらも部屋を出て行ったのだ。
豪華でだだっ広い部屋での荷解きは、あっという間に終わってしまった。
正直、観光に来ただけなのだから、大した荷物は持ってきていない。しかも、無限収納バッグに入れてきているから、ほぼ手ぶら。
侍女の方にお茶を入れてもらった後は、取り敢えず三人にしてもらって、私らは私らでこの後どうするかを話しているうちに先程の話になったのだ。
「観光もいいですけど、多分、ゆっくりできなさそうですね」
スイの嫌な予感を感じさせるような言葉に「やめてよー!」と笑っていたが、実際笑えない事が起きるとは、その時は当然わかるはずもない。
午前に帝国に入り、お昼はレイの側近達と顔合わせの為の昼食会、夜はレイのご両親に夕食に招待されている。
「観光に来たはずなのに・・・なんだか、違う気がする・・・」
確かに恋人として側近に紹介されるのは、わかる。でも、恋人というよりも、それ以上の存在として扱われている気がしてならない。
多分私が「神の愛し子」であることも関係しているんだと思うけど。
レイの側近は三人。
アルト・ブラウ。彼は伯爵令息で髪も瞳も青い、竜に変化すればブルードラゴンになるらしい。
ノルン・ロードゥ。彼も伯爵令息で髪瞳共に赤い、レッドドラゴンに。
ブライアン・ゲール。彼は侯爵令息で髪瞳共に黄色の、イエロードラゴンに変化できるようだ。
そして今回の一連の問題の起因となった使用人の主でもあるのが、ゲール侯爵家。
この件に関しては、当然ゲール侯爵家でも大きな問題となり、使用人全ての身辺調査と、侯爵家に使える者としての意識を徹底したという。
侯爵家からは何らかの罰をと求められたが、事件の徹底的な解明と使用人達の再教育をすることで、それを罰としたのだ。
使用人達の再教育に関しては、ゲール侯爵家だけではなく、側近でもある二つの伯爵家にも徹底させた。
とまぁ、そんな話でほぼ終わった昼食会。
レイは忙しくて、傍に居れない事を謝罪しながらも時間が取れ次第会いに来てくれることを約束してくれた。
そして夜は、本当はレイのご両親との夕食会だったのだが、お父様はレイ同様忙しいらしく、わざわざ謝罪だけを言いに顔を出し、そのまま出て行ってしまった。
「ごめんなさいね、慌ただしくて」
お母様は愛らしい顔を困ったように顰め、溜息を吐いた。
でも、夕食会はほぼ女子会の様で、とても楽しかった。男性陣がいるとどうしても気を使ってしまうし。
私の事も呼び捨てにしてもらえるくらいは、仲良くなれたと思う。
お母様は竜人族の恋愛事情や、その人間性なんかを本ではわからない事を沢山教えてくれた。
「竜人族は情に深い事は間違いないんだけど、残念な事にすべてがそうではないのよ」
まぁ、そうだろうなと思ってたわ。人間だってそうだもの。・・・あぁ、私が住んでた世界のね。
「やはり「番」に憧れている者もいて、恋人ができても「竜芯」の交換を拒否する者もいるの。
そう言う場合は、大概破局して別の人と結ばれたりしているわね。いくら片方だけが好きでも、想いが実らないとわかっていて縋り付くのもねぇ」
まぁ、好意を抱いた相手に対して情が深いが現実主義でもあり、サバサバしているというのがお母様の見解。
恋愛感情以外は、意外とあっさりしている種族なのかもしれない。
ただ例外もあり、それが「番」なのだという。
まさかレイの隣の部屋になるとは思わなかったけど・・・・
ルリとスイの部屋も、私の部屋の隣でドアで繋がっている。
当然、その反対側の扉はレイの部屋に繋がっていた。
「ねえ、ルリ・・・この部屋って・・・・」
「そうですね。竜妃の部屋ですね」
ですよねー・・・レイはなんだかんだと言いながら、外堀から埋めにかかっている。
あまりの手際の良さに感心しつつも、私の気持ちの根底には嬉しさが渦巻いているのだから、飽きれてしまう。
嬉しいくせに、なんで素直に頷けないのか・・・・
「まぁ、エリ様に必要なのは陛下と腹を割って話す事ではないかと思いますよ」
グダグダ悩む私に、今まで何も言わなかったルリ達。
でも、ここでアドバイスしてくるという事は・・・後悔する前に腹を括れって事なのかもしれない。
数少ない事例からしても、多分レイに「番」が現れる可能性が高い。
そうなってからでは遅いのだと。
何を気にして何に意地を張っているのかと、多分そう言いたいのだろう。
「そうね・・・レイの時間が空き次第、話してみるわ」
城に戻ってからレイはすぐに仕事に戻っていった。
レイのお父様が執務を代わってくれていたし、転送で仕事が回ってきていたから溜まっていることは無い。
けれど、これまでの事情説明とこれからの事を話し合わなくてはいけなくて、名残惜しそうにしながらも部屋を出て行ったのだ。
豪華でだだっ広い部屋での荷解きは、あっという間に終わってしまった。
正直、観光に来ただけなのだから、大した荷物は持ってきていない。しかも、無限収納バッグに入れてきているから、ほぼ手ぶら。
侍女の方にお茶を入れてもらった後は、取り敢えず三人にしてもらって、私らは私らでこの後どうするかを話しているうちに先程の話になったのだ。
「観光もいいですけど、多分、ゆっくりできなさそうですね」
スイの嫌な予感を感じさせるような言葉に「やめてよー!」と笑っていたが、実際笑えない事が起きるとは、その時は当然わかるはずもない。
午前に帝国に入り、お昼はレイの側近達と顔合わせの為の昼食会、夜はレイのご両親に夕食に招待されている。
「観光に来たはずなのに・・・なんだか、違う気がする・・・」
確かに恋人として側近に紹介されるのは、わかる。でも、恋人というよりも、それ以上の存在として扱われている気がしてならない。
多分私が「神の愛し子」であることも関係しているんだと思うけど。
レイの側近は三人。
アルト・ブラウ。彼は伯爵令息で髪も瞳も青い、竜に変化すればブルードラゴンになるらしい。
ノルン・ロードゥ。彼も伯爵令息で髪瞳共に赤い、レッドドラゴンに。
ブライアン・ゲール。彼は侯爵令息で髪瞳共に黄色の、イエロードラゴンに変化できるようだ。
そして今回の一連の問題の起因となった使用人の主でもあるのが、ゲール侯爵家。
この件に関しては、当然ゲール侯爵家でも大きな問題となり、使用人全ての身辺調査と、侯爵家に使える者としての意識を徹底したという。
侯爵家からは何らかの罰をと求められたが、事件の徹底的な解明と使用人達の再教育をすることで、それを罰としたのだ。
使用人達の再教育に関しては、ゲール侯爵家だけではなく、側近でもある二つの伯爵家にも徹底させた。
とまぁ、そんな話でほぼ終わった昼食会。
レイは忙しくて、傍に居れない事を謝罪しながらも時間が取れ次第会いに来てくれることを約束してくれた。
そして夜は、本当はレイのご両親との夕食会だったのだが、お父様はレイ同様忙しいらしく、わざわざ謝罪だけを言いに顔を出し、そのまま出て行ってしまった。
「ごめんなさいね、慌ただしくて」
お母様は愛らしい顔を困ったように顰め、溜息を吐いた。
でも、夕食会はほぼ女子会の様で、とても楽しかった。男性陣がいるとどうしても気を使ってしまうし。
私の事も呼び捨てにしてもらえるくらいは、仲良くなれたと思う。
お母様は竜人族の恋愛事情や、その人間性なんかを本ではわからない事を沢山教えてくれた。
「竜人族は情に深い事は間違いないんだけど、残念な事にすべてがそうではないのよ」
まぁ、そうだろうなと思ってたわ。人間だってそうだもの。・・・あぁ、私が住んでた世界のね。
「やはり「番」に憧れている者もいて、恋人ができても「竜芯」の交換を拒否する者もいるの。
そう言う場合は、大概破局して別の人と結ばれたりしているわね。いくら片方だけが好きでも、想いが実らないとわかっていて縋り付くのもねぇ」
まぁ、好意を抱いた相手に対して情が深いが現実主義でもあり、サバサバしているというのがお母様の見解。
恋愛感情以外は、意外とあっさりしている種族なのかもしれない。
ただ例外もあり、それが「番」なのだという。
6
お気に入りに追加
346
あなたにおすすめの小説
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。
ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。
ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。
竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。
*魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。
*お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。
*本編は完結しています。
番外編は不定期になります。
次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。
番に奪われる前に、僕だけの君にしてもかまわない?
五珠 izumi
恋愛
僕とアリアは家が隣どうしの所謂幼なじみだ。いつか彼女と結婚したいと思っていた。しかし、年頃になった彼女に『番』が現れてしまって…。
このお話は『義弟の婚約者が私の婚約者の番でした』という作品の中に出てくる、義弟の前世のお話です。
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
【完結】番が見つかった恋人に今日も溺愛されてますっ…何故っ!?
ハリエニシダ・レン
恋愛
大好きな恋人に番が見つかった。
当然のごとく別れて、彼は私の事など綺麗さっぱり忘れて番といちゃいちゃ幸せに暮らし始める……
と思っていたのに…!??
狼獣人×ウサギ獣人。
※安心のR15仕様。
-----
主人公サイドは切なくないのですが、番サイドがちょっと切なくなりました。予定外!
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
婚約破棄されて幽閉された毒王子に嫁ぐことになりました。
氷雨そら
恋愛
聖女としての力を王国のために全て捧げたミシェルは、王太子から婚約破棄を言い渡される。
そして、告げられる第一王子との婚約。
いつも祈りを捧げていた祭壇の奥。立ち入りを禁止されていたその場所に、長い階段は存在した。
その奥には、豪華な部屋と生気を感じられない黒い瞳の第一王子。そして、毒の香り。
力のほとんどを失ったお人好しで世間知らずな聖女と、呪われた力のせいで幽閉されている第一王子が出会い、幸せを見つけていく物語。
前半重め。もちろん溺愛。最終的にはハッピーエンドの予定です。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる