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「冗談じゃないよ。正真正銘、平民で八百屋の看板娘」
「平民・・・で、八百屋・・・」
「人族の国アクアリス以外の国は、結婚に身分はまず関係ない。ヴォールング王国なんてハーレムを築くから身分なんてあっても無い様なものだし、キューオン王国はその部族によっては何かかしらあるかもしれないが、貴族はいない」
「え?そうなの?」
正直な所、ここに来た当初はこの森から出る事を考えていなかったから、この世界の事はさらっとしか学んでなかった。
――――どちらかと言うと、魔導書ばかり読んでたわ・・・・
同じ人族という事でアクアリス王国の事を初めに勉強しようとしたんだけど、あまりにも胸糞悪くなって途中でやめたのよ。
そして次に勉強しようとしたのが、ルリ達の兎人族。
キューオン王国の事はルリやスイからちらりとは聞いていた。兎人族の事も。
姉妹自身の事なんて、無理に言わせるのもって事で、何も聞かなかった。だから、詳しい家庭事情を聞いたのも、実は最近だったりする。
色んな獣人の集まりの中で、考え方が一番人族に近いのが兎人族。
元々、兎人族は暗部に適している種族だけれども、時代の流れと共に影の仕事を辞めまっとうな仕事を始める家が多い中、それだけを生業としている家もあるの。
それが、ルリとスイの実家でもあるスフィア家。
スフィア家の暗部としての歴史は長く、今も世界各国の貴族達に重宝されていた。
その家の直系として生まれたルリ達姉妹。
彼女等には兄弟がとても多く、上には十人の兄がおり彼女らは一番下なのだ。
先祖代々続くこの仕事に誇りを持つ彼ら一族は、何をやらせてもまともにできない姉妹をまるで存在しないかの様に扱ってきた。
私が姉妹と出会ったのは、誰もご飯を与えてくれないから、森に食料を採りに来て山犬に追われていた時。
その当時の彼女達は本当にやせ細っていて、神様達もかなり心配していたわ。
彼女らは何も言わなかったけど、どう見てもヤバい状況なんじゃないかと判断。神様達とも相談して一緒に住む事を提案したの。
父神様が、元々私付きの護衛が欲しかったみたいで、暗部の素質十分のスフィア家だったからスカウトしたみたい。
その時の姉妹ってば、驚きと歓喜と不安がいりまじった顔をしていた。だけど彼女らが信仰している神様が自分たちを必要だと言うのならと、頷いてくれた。
一応、家族に家を出ると言ったら「まだ生きていたの?」と言われたらしい。
きぃぃぃ!ムカつくっ!!
ルリやスイを出来損ないみたいに扱って!でも今じゃこんなに強くて頼りがいのある、神様達からのお墨付きを貰うくらい優秀な子に育った。
単に、あいつらの教え方が悪かっただけの癖に、彼女らを落ちこぼれ扱いしやがってっ!・・・と、数日怒りまくっていたわ・・・ふふふ・・・
兎人族は人族と同じで、女性の地位がとても低いみたいなのよ。
確かに日本にいた時も、女性にほぼ人権がないような国があったし、昔の日本もそうだった。
でも、私はそのほとんどを知らない。
知っていても、教科書の中かテレビの向こう側。だから私にとっては、遠い世界の中の話。
でも、ここにルリとスイがいて、同族に虐め蔑まれていた。
その事実は、私は見ていないけれどルリ達が体験してきた事実。
彼女らはもう、実家に帰る気はないって言ってたから、私とこの森に住むことで辛い未来が回避されたのかなっては思うわ。
悔しいのは、もっと早く彼女らと出会えてたらって、ね。
話はそれちゃったけど、すべての国が「格差万歳」で「貴族以外はゴミ」ではなかったというのが驚きだった。
私の勉強不足は否めないけど、ルリ達の事情を聞いてあれなのよ?
そうなれば脳内では「男尊女卑」の「貴賤上下」の差別が常識の世界だと思うわよね。
だから、結婚に身分が関係ないなんて全く思ってなかった。平民が王族と結婚なんて、小説やゲームの中だけの話だと思ってたし。
それなのに、アクアリス王国以外は一応男女平等が常識だなんて・・・
ルリ達の話を聞いて、どこが平等なのよって思うけどね。
「流石、異世界・・・・」
意外過ぎて思わずぽろりと言葉を零してしまい、ハッとしてレイを見た。
レイは何も聞かずに、ニコニコしている。
此処にいる時点で私が所謂、普通の人間じゃない事は把握しているだろうけど、詳しい事は聞いてこないし話していない。
世界樹がある時点で、この国の唯一神と関係があるだろう事はわかっているんだと思う。
・・・ってか、神様狙い!?私のバックにいる神様狙いで求婚!?
――――いや、それは無いだろうな・・・と、セルフ突っ込みを展開。
レイを見てればわかる。何というか、小さなレイの時も感じていたのよ。可愛らしい好意を。
だけど成長するにつれ、今度は大人的な好意が駄々洩れ・・・
それに、ルリとスイが何も言わないから、レイ自身の事は信用できるのだと思うわ。
レイの母親が平民出の皇后だと聞いて、少しだけ気持ちは楽になったけど、私は結婚してもいいと思うくらいレイが好きなのかがわからない。
確かに惹かれてはいるし、好意を前面に伝えてくる彼に、確実に気持ちは傾いている。
彼が傍にいてくれるだけで、安心するけれどドキドキもする。愛の言葉は気絶するくらい恥ずかしいけど、嬉しい。
でも、もし結婚するとなればお互いを縛り付ける、見えない鎖とも言われる「竜芯」を交換しなくてはいけない。
竜人同士であれば何の問題もない。同族だし寿命もそれほど違わないから。
でも異種族間での「竜芯」の交換は必須。なんせ寿命も違うし生態も違う。
竜人は『番』でなくても一人の人を愛し続ける。でも、人族はそうではない。
それらの問題を解決するための「竜芯」でもあるのだ。
ただ、異種族間でのその行為は、リスクが伴うかもしれないと言っていた。
お互い信頼し愛し合ってないと、無理なのだと。
つまり何が言いたいのかというと、今の私にはそこまでの覚悟がなのだ。
「平民・・・で、八百屋・・・」
「人族の国アクアリス以外の国は、結婚に身分はまず関係ない。ヴォールング王国なんてハーレムを築くから身分なんてあっても無い様なものだし、キューオン王国はその部族によっては何かかしらあるかもしれないが、貴族はいない」
「え?そうなの?」
正直な所、ここに来た当初はこの森から出る事を考えていなかったから、この世界の事はさらっとしか学んでなかった。
――――どちらかと言うと、魔導書ばかり読んでたわ・・・・
同じ人族という事でアクアリス王国の事を初めに勉強しようとしたんだけど、あまりにも胸糞悪くなって途中でやめたのよ。
そして次に勉強しようとしたのが、ルリ達の兎人族。
キューオン王国の事はルリやスイからちらりとは聞いていた。兎人族の事も。
姉妹自身の事なんて、無理に言わせるのもって事で、何も聞かなかった。だから、詳しい家庭事情を聞いたのも、実は最近だったりする。
色んな獣人の集まりの中で、考え方が一番人族に近いのが兎人族。
元々、兎人族は暗部に適している種族だけれども、時代の流れと共に影の仕事を辞めまっとうな仕事を始める家が多い中、それだけを生業としている家もあるの。
それが、ルリとスイの実家でもあるスフィア家。
スフィア家の暗部としての歴史は長く、今も世界各国の貴族達に重宝されていた。
その家の直系として生まれたルリ達姉妹。
彼女等には兄弟がとても多く、上には十人の兄がおり彼女らは一番下なのだ。
先祖代々続くこの仕事に誇りを持つ彼ら一族は、何をやらせてもまともにできない姉妹をまるで存在しないかの様に扱ってきた。
私が姉妹と出会ったのは、誰もご飯を与えてくれないから、森に食料を採りに来て山犬に追われていた時。
その当時の彼女達は本当にやせ細っていて、神様達もかなり心配していたわ。
彼女らは何も言わなかったけど、どう見てもヤバい状況なんじゃないかと判断。神様達とも相談して一緒に住む事を提案したの。
父神様が、元々私付きの護衛が欲しかったみたいで、暗部の素質十分のスフィア家だったからスカウトしたみたい。
その時の姉妹ってば、驚きと歓喜と不安がいりまじった顔をしていた。だけど彼女らが信仰している神様が自分たちを必要だと言うのならと、頷いてくれた。
一応、家族に家を出ると言ったら「まだ生きていたの?」と言われたらしい。
きぃぃぃ!ムカつくっ!!
ルリやスイを出来損ないみたいに扱って!でも今じゃこんなに強くて頼りがいのある、神様達からのお墨付きを貰うくらい優秀な子に育った。
単に、あいつらの教え方が悪かっただけの癖に、彼女らを落ちこぼれ扱いしやがってっ!・・・と、数日怒りまくっていたわ・・・ふふふ・・・
兎人族は人族と同じで、女性の地位がとても低いみたいなのよ。
確かに日本にいた時も、女性にほぼ人権がないような国があったし、昔の日本もそうだった。
でも、私はそのほとんどを知らない。
知っていても、教科書の中かテレビの向こう側。だから私にとっては、遠い世界の中の話。
でも、ここにルリとスイがいて、同族に虐め蔑まれていた。
その事実は、私は見ていないけれどルリ達が体験してきた事実。
彼女らはもう、実家に帰る気はないって言ってたから、私とこの森に住むことで辛い未来が回避されたのかなっては思うわ。
悔しいのは、もっと早く彼女らと出会えてたらって、ね。
話はそれちゃったけど、すべての国が「格差万歳」で「貴族以外はゴミ」ではなかったというのが驚きだった。
私の勉強不足は否めないけど、ルリ達の事情を聞いてあれなのよ?
そうなれば脳内では「男尊女卑」の「貴賤上下」の差別が常識の世界だと思うわよね。
だから、結婚に身分が関係ないなんて全く思ってなかった。平民が王族と結婚なんて、小説やゲームの中だけの話だと思ってたし。
それなのに、アクアリス王国以外は一応男女平等が常識だなんて・・・
ルリ達の話を聞いて、どこが平等なのよって思うけどね。
「流石、異世界・・・・」
意外過ぎて思わずぽろりと言葉を零してしまい、ハッとしてレイを見た。
レイは何も聞かずに、ニコニコしている。
此処にいる時点で私が所謂、普通の人間じゃない事は把握しているだろうけど、詳しい事は聞いてこないし話していない。
世界樹がある時点で、この国の唯一神と関係があるだろう事はわかっているんだと思う。
・・・ってか、神様狙い!?私のバックにいる神様狙いで求婚!?
――――いや、それは無いだろうな・・・と、セルフ突っ込みを展開。
レイを見てればわかる。何というか、小さなレイの時も感じていたのよ。可愛らしい好意を。
だけど成長するにつれ、今度は大人的な好意が駄々洩れ・・・
それに、ルリとスイが何も言わないから、レイ自身の事は信用できるのだと思うわ。
レイの母親が平民出の皇后だと聞いて、少しだけ気持ちは楽になったけど、私は結婚してもいいと思うくらいレイが好きなのかがわからない。
確かに惹かれてはいるし、好意を前面に伝えてくる彼に、確実に気持ちは傾いている。
彼が傍にいてくれるだけで、安心するけれどドキドキもする。愛の言葉は気絶するくらい恥ずかしいけど、嬉しい。
でも、もし結婚するとなればお互いを縛り付ける、見えない鎖とも言われる「竜芯」を交換しなくてはいけない。
竜人同士であれば何の問題もない。同族だし寿命もそれほど違わないから。
でも異種族間での「竜芯」の交換は必須。なんせ寿命も違うし生態も違う。
竜人は『番』でなくても一人の人を愛し続ける。でも、人族はそうではない。
それらの問題を解決するための「竜芯」でもあるのだ。
ただ、異種族間でのその行為は、リスクが伴うかもしれないと言っていた。
お互い信頼し愛し合ってないと、無理なのだと。
つまり何が言いたいのかというと、今の私にはそこまでの覚悟がなのだ。
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