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リージェ国解体後の領土選びは、結局帝国はどこも選ばなかった。
放棄したわけではなく、誰も選ばなかった土地を引き受ける事にしたのだ。
そうなったのもクロエの一言が切っ掛けだった。
「シェルーラ国はきっと、誰も選ばなかった国を引き受けるわね」
確かにそうだろうと、一様に頷く。なんせ実質、協力国の頂点に立つのがルナティアなのだから、誰も手を付けない領土を請け負う事は当然の流れ。
これも上に立つ者の資質なのだろう。愚かな王であれば意の一番に、旨みのある領土に唾を付けるのだろうが。
「ならば我らもそうしよう」
イサークの一言で誰も反対することなく、決まったのだ。
七日後、各領土の割り当てが送られてきた。鷹を使っている分、あっという間の伝達能力に無駄な時間が少なくなったことは、ルナティアに対し本当に感謝しかない。
割り当てとして決まったのは、シェルーラ国は王都を。フェルノア帝国は遺体捨て場となっていた農村に決まった。
いくら鉱山があっても、遺体の回収と極貧国の面倒を天秤に掛けても、鉱山には傾かなかったようだ。
そして同時に、リージェ国への侵攻する日程も決まった。
「とうとう決まったようだ」
イサークが地図とルナティアからの手紙を広げた。
「リージェ国には二十日後侵攻する。それまでに二隊に分けてサハド国へ行く」
サハド国はリージェ国の隣にあり、極貧国アルルと隣接している。
本来であれば帝国が受け持つ領土をサハド国が取れば、一気に領土を拡大できたはずなのだが、彼等が希望したのは王都のすぐ隣の土地だった。
後で知った事だが帝国以外の国々は、どうやら水面下で激しい攻防戦が繰り広げられていたらしい。
王都はルナティアに残し、その周辺地域を誰が取るか。
つまりは、誰もがルナティアの近くに居たがったのだ。
どのような戦いが繰り広げられていたかはわからないが、その激戦を制した国々の一つがサハド国なのだった。
侵攻部隊は、王都侵略部隊と地方侵略部隊とに、大きく二つに分けた。
フェルノア帝国はこの大陸の中で最強の軍隊を有しているが、リージェ国と隣接しているサハド国とジェノア国の二カ国と共同で攻める事にしている。
計画としてわかりやすく言うならば、リージェ国を魚と過程し、隣国が囲み網。小魚は他国が受け持ち、本命はルナティア達数カ国が銛で仕留める・・・そんな感じのイメージだ。
リージェ国を囲んでいる国々は、いつでも動けるくらいには準備は整っている。
後は協力国の到着と、連携を確認できればいつでも攻め込むことが出来る。
フェルノア帝国も既に兵士たちの選出も終わっており、第一団は二日後に出発する予定だ。
「第一団はダレン、第二団はベレニスに任せる」
イサークの言葉に、恭しく頭を下げる二人。
「承知しました」
「お任せください」
そしてダレンはジャスパー達に、更に厳しい表情を向けた。
「我々が不在中は、頼んだぞ」
「はい。必ずや両陛下をお守りします」
ジャスパー達もまた表情を引き締め、敬礼をする。
何故ここまで警戒をするのかというと、リージェ国がフェルノア帝国へ侵攻するのではと言う情報がルナティアからもたらされたからだ。
それがきっかり二十日後。つまりは、協力国がリージェ国を攻めるその日に、リージェ国が帝国に攻め入るという。
それが無ければイサークも協力国と行動を共にするつもりだったのだが、数日前にシェルーラ国に着いた父親でもあるエドリードが代わりに指揮を取ってくれることになった。
城にイサークが不在となれば敵に要らぬ警戒心を持たせてしまう。
それにわざわざリージェ国に日程を合わせたのも、相手国内が手薄な時に攻め込もうという魂胆。
被害は最小限に抑えたいルナティアの作戦だった。
ならば帝国はどうなるのか。サハド国に送る軍隊はエドリードが所有するもの。イサークが所有する軍は丸々残す事にしていた。
本来であれば皇帝が変わった時点で軍もそのまま引き継がれるのだが、リージェ国問題を解決するまではと別々に所有する事にしていたのだ。
そして、シェルーラ国からも暗部が貸し出される事になり、それは既にリージェ国に配置されている。
何か動きがあればすぐに知らせが来ることになっていた。
リージェ国が帝国に攻め入る日を二十日後に決めたのは、その前日にガルドが国王になるからだと予想している。
国王になっての初仕事が、帝国侵略。そして、真の狙いはクロエの略奪だろうとの事。
ガルドには側室や愛妾が星の数ほどいるが、正妻は迎えていなかった。
イサークは、その粘着性に執念を感じ思わずクロエの手を握った。
「ジャスパー、兵士たちの配置をもう一度確認するように」
「はっ」
「ユミルは城内の暗部に徹底した指示を。蜘蛛の子一匹たりとも見逃さないよう」
「御意」
「アランドはグラスと共に、協力国との連絡を今以上密に取るように」
「承知しました」
「仰せのままに」
イサークの命にそれぞれが動き出す。
そしてイサークはクロエを伴い、私室へと引き下がった。
「お仕事はいいのですか?」
二十日後の事で、みんなが忙しそうに動き回っているのを見ているクロエは、心配そうにイサークを見上げた。
「あぁ、今出来る事は既に万端だ。色んな事態を想定しているから、今はその最終確認の様なものだ」
「そうですか・・・・」
何処か不安そうな表情のクロエに、何時もの様に膝の上に抱き上げギュッと抱きしめた。
「大丈夫だから。クロエには指一本触れさせない」
どうやらクロエの感じている不安が、ガルドに関する事だと思っているイサーク。
だが、彼女が感じている不安はそこでは無かった。
「イサーク様、それに関しては私は何も不安ではありません」
「本当?」
「えぇ。だって、イサーク様が常にそばに居てくださるのでしょう?」
「・・・・そうだったね。では、何が不安?」
「全ての計画が上手くいくのか・・・考えても仕様がない事に不安になってしまうのです」
「それは・・・・誰もが思っていることだろう」
「皆の前ではこんな事言えませんもの・・・・」
そう言って甘える様に頬擦りしてくるクロエ。
その愛らしさにイサークは耐えられないとばかりに、顔中に口付ける。
「ここには俺達しかいない。だから存分に弱音を吐いてもいいぞ」
「ふふふ・・・では、イサーク様も弱音を吐いていくださいな。私限定で」
その言葉に「参ったな」と、こめかみに口付けた。
「俺は、ガルドの動向が心配なんだ」
「そうなのですか?私はお会いした事が無いので、どのような方なのか存じませんが・・・」
「俺も一度しか会っていないよ。外見は金髪碧眼の美男子で、あくどい事をしているようには見えない、物腰柔らかな男だ」
見えないからこそ、本性を想像し怖いと思う。
「ただ、彼等が時折見せる眼差しは残虐そのもので、危険だ」
「そうですか。ならば、やはりイサーク様から離れる事は出来ませんね」
この会話の内容から、何故そうも嬉しそうに微笑むのか。イサークは首を傾げた。
「今まではお互い忙しくて、常に一緒にいる事を望んでも無理がありましたでしょ?」
先日、いつでもどこでも一緒に・・・とは言っていたものの、理想には遙かに遠く及ばないのが現実だった。
「でも、しばらくはずっと一緒ですわね」
これからどんな有事が起きるかもわからないのに、彼女は幸せそうに微笑んだ。
だからといって、決して能天気でもなければ考え無しな訳でもない。
どんな辛い大変な事が起きても、その中から小さな幸せを見つけ、大きな喜びに変えていくのがクロエなのだ。
「・・・・そうだな。見方を変えれば、四六時中一緒にいられて幸せなことだな」
「はい」
そう言いながら微笑むクロエは本当に愛らしく、イサークの胸に燻る不安も一瞬で消え去るのだった。
放棄したわけではなく、誰も選ばなかった土地を引き受ける事にしたのだ。
そうなったのもクロエの一言が切っ掛けだった。
「シェルーラ国はきっと、誰も選ばなかった国を引き受けるわね」
確かにそうだろうと、一様に頷く。なんせ実質、協力国の頂点に立つのがルナティアなのだから、誰も手を付けない領土を請け負う事は当然の流れ。
これも上に立つ者の資質なのだろう。愚かな王であれば意の一番に、旨みのある領土に唾を付けるのだろうが。
「ならば我らもそうしよう」
イサークの一言で誰も反対することなく、決まったのだ。
七日後、各領土の割り当てが送られてきた。鷹を使っている分、あっという間の伝達能力に無駄な時間が少なくなったことは、ルナティアに対し本当に感謝しかない。
割り当てとして決まったのは、シェルーラ国は王都を。フェルノア帝国は遺体捨て場となっていた農村に決まった。
いくら鉱山があっても、遺体の回収と極貧国の面倒を天秤に掛けても、鉱山には傾かなかったようだ。
そして同時に、リージェ国への侵攻する日程も決まった。
「とうとう決まったようだ」
イサークが地図とルナティアからの手紙を広げた。
「リージェ国には二十日後侵攻する。それまでに二隊に分けてサハド国へ行く」
サハド国はリージェ国の隣にあり、極貧国アルルと隣接している。
本来であれば帝国が受け持つ領土をサハド国が取れば、一気に領土を拡大できたはずなのだが、彼等が希望したのは王都のすぐ隣の土地だった。
後で知った事だが帝国以外の国々は、どうやら水面下で激しい攻防戦が繰り広げられていたらしい。
王都はルナティアに残し、その周辺地域を誰が取るか。
つまりは、誰もがルナティアの近くに居たがったのだ。
どのような戦いが繰り広げられていたかはわからないが、その激戦を制した国々の一つがサハド国なのだった。
侵攻部隊は、王都侵略部隊と地方侵略部隊とに、大きく二つに分けた。
フェルノア帝国はこの大陸の中で最強の軍隊を有しているが、リージェ国と隣接しているサハド国とジェノア国の二カ国と共同で攻める事にしている。
計画としてわかりやすく言うならば、リージェ国を魚と過程し、隣国が囲み網。小魚は他国が受け持ち、本命はルナティア達数カ国が銛で仕留める・・・そんな感じのイメージだ。
リージェ国を囲んでいる国々は、いつでも動けるくらいには準備は整っている。
後は協力国の到着と、連携を確認できればいつでも攻め込むことが出来る。
フェルノア帝国も既に兵士たちの選出も終わっており、第一団は二日後に出発する予定だ。
「第一団はダレン、第二団はベレニスに任せる」
イサークの言葉に、恭しく頭を下げる二人。
「承知しました」
「お任せください」
そしてダレンはジャスパー達に、更に厳しい表情を向けた。
「我々が不在中は、頼んだぞ」
「はい。必ずや両陛下をお守りします」
ジャスパー達もまた表情を引き締め、敬礼をする。
何故ここまで警戒をするのかというと、リージェ国がフェルノア帝国へ侵攻するのではと言う情報がルナティアからもたらされたからだ。
それがきっかり二十日後。つまりは、協力国がリージェ国を攻めるその日に、リージェ国が帝国に攻め入るという。
それが無ければイサークも協力国と行動を共にするつもりだったのだが、数日前にシェルーラ国に着いた父親でもあるエドリードが代わりに指揮を取ってくれることになった。
城にイサークが不在となれば敵に要らぬ警戒心を持たせてしまう。
それにわざわざリージェ国に日程を合わせたのも、相手国内が手薄な時に攻め込もうという魂胆。
被害は最小限に抑えたいルナティアの作戦だった。
ならば帝国はどうなるのか。サハド国に送る軍隊はエドリードが所有するもの。イサークが所有する軍は丸々残す事にしていた。
本来であれば皇帝が変わった時点で軍もそのまま引き継がれるのだが、リージェ国問題を解決するまではと別々に所有する事にしていたのだ。
そして、シェルーラ国からも暗部が貸し出される事になり、それは既にリージェ国に配置されている。
何か動きがあればすぐに知らせが来ることになっていた。
リージェ国が帝国に攻め入る日を二十日後に決めたのは、その前日にガルドが国王になるからだと予想している。
国王になっての初仕事が、帝国侵略。そして、真の狙いはクロエの略奪だろうとの事。
ガルドには側室や愛妾が星の数ほどいるが、正妻は迎えていなかった。
イサークは、その粘着性に執念を感じ思わずクロエの手を握った。
「ジャスパー、兵士たちの配置をもう一度確認するように」
「はっ」
「ユミルは城内の暗部に徹底した指示を。蜘蛛の子一匹たりとも見逃さないよう」
「御意」
「アランドはグラスと共に、協力国との連絡を今以上密に取るように」
「承知しました」
「仰せのままに」
イサークの命にそれぞれが動き出す。
そしてイサークはクロエを伴い、私室へと引き下がった。
「お仕事はいいのですか?」
二十日後の事で、みんなが忙しそうに動き回っているのを見ているクロエは、心配そうにイサークを見上げた。
「あぁ、今出来る事は既に万端だ。色んな事態を想定しているから、今はその最終確認の様なものだ」
「そうですか・・・・」
何処か不安そうな表情のクロエに、何時もの様に膝の上に抱き上げギュッと抱きしめた。
「大丈夫だから。クロエには指一本触れさせない」
どうやらクロエの感じている不安が、ガルドに関する事だと思っているイサーク。
だが、彼女が感じている不安はそこでは無かった。
「イサーク様、それに関しては私は何も不安ではありません」
「本当?」
「えぇ。だって、イサーク様が常にそばに居てくださるのでしょう?」
「・・・・そうだったね。では、何が不安?」
「全ての計画が上手くいくのか・・・考えても仕様がない事に不安になってしまうのです」
「それは・・・・誰もが思っていることだろう」
「皆の前ではこんな事言えませんもの・・・・」
そう言って甘える様に頬擦りしてくるクロエ。
その愛らしさにイサークは耐えられないとばかりに、顔中に口付ける。
「ここには俺達しかいない。だから存分に弱音を吐いてもいいぞ」
「ふふふ・・・では、イサーク様も弱音を吐いていくださいな。私限定で」
その言葉に「参ったな」と、こめかみに口付けた。
「俺は、ガルドの動向が心配なんだ」
「そうなのですか?私はお会いした事が無いので、どのような方なのか存じませんが・・・」
「俺も一度しか会っていないよ。外見は金髪碧眼の美男子で、あくどい事をしているようには見えない、物腰柔らかな男だ」
見えないからこそ、本性を想像し怖いと思う。
「ただ、彼等が時折見せる眼差しは残虐そのもので、危険だ」
「そうですか。ならば、やはりイサーク様から離れる事は出来ませんね」
この会話の内容から、何故そうも嬉しそうに微笑むのか。イサークは首を傾げた。
「今まではお互い忙しくて、常に一緒にいる事を望んでも無理がありましたでしょ?」
先日、いつでもどこでも一緒に・・・とは言っていたものの、理想には遙かに遠く及ばないのが現実だった。
「でも、しばらくはずっと一緒ですわね」
これからどんな有事が起きるかもわからないのに、彼女は幸せそうに微笑んだ。
だからといって、決して能天気でもなければ考え無しな訳でもない。
どんな辛い大変な事が起きても、その中から小さな幸せを見つけ、大きな喜びに変えていくのがクロエなのだ。
「・・・・そうだな。見方を変えれば、四六時中一緒にいられて幸せなことだな」
「はい」
そう言いながら微笑むクロエは本当に愛らしく、イサークの胸に燻る不安も一瞬で消え去るのだった。
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