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一章
45 王宮へのお仕置き2
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「宰相様、こんな時間にどうされましたか?」
「な、なんでもない。王に可及の用事ができたのだ。問題ないから下がってなさい」
宰相は素直に言うことを聞き、たまにすれ違う騎士にも救いの声を上げず、真っ直ぐに王のいる寝室へと向かっている。
時間稼ぎとか考えているようならお仕置きすることも考えたけど、場所はスライムの把握している部屋と同じ所へと進んでいる。
「おまえ達、これから王様と緊急の話がある。聞かれては困る話のため、この階層の人払いを頼む。それが終わったら下の階に控えているように」
「か、かしこまりました宰相様」
宰相は寝室を守っていた二人の屈強な騎士を遠ざけるように指示を出すと、ゴクリと生唾を飲み込みながら扉をノックした。
「入れ」
「王様、宰相のダズモンドでございます」
扉を開けて部屋に入ると、ベットの上で腰を起こした王様が宰相をじろりと睨む。
「何やら城下が騒がしいようだが、例の作戦が無事に完了したということか? 何もこんな夜更けに報告に来なくてもよかったのだぞ」
宰相しか見えていない王様は、宰相が口封じのための作戦が成功した報告だと思っているようだ。宰相の汗が止まらない状況をよく見てもらいたいのだが、部屋は暗くていくつか灯っている程度の明かりではそこまでわからないのだろう。
「ほ、報告いたします。作戦は失敗に終わりました」
「そうかそうか。もう遅い今日のところは休め……は、はあああ!?」
「そして……王宮が闇ギルドに依頼したことも、この者達に知られてしまい現在進行形で脅されております」
薄暗い部屋から浮かび上がるように現れるカメレオンフロッグ。僕とスライム、そしてユリイカは今後のことを考えて身バレする訳にはいかないのでそのままインビジブルを継続中だ。
「なっ!? カメレオンフロッグだと!」
これでもカメレオンフロッグは中級者殺しと呼ばれるそこそこに有名なモンスター。熟練の冒険者でも奇襲を受けると足元をすくわれると言われている危険モンスターらしい。体もそれなりに大きいし部屋の中では目立つ。もちろん、魔王軍四天王にブラックメタルスライムといるこのメンバーの中では最弱なのだけども。
「申し訳ございません」
「う、裏切ったのか宰相!」
「ち、違います。私も脅されているのです」
突然のことに内輪揉めを始める王様と宰相。騎士を遠ざけているとはいえあまり長居するわけにもいかない。そろそろ話を進めさせてもらおう。
「しかし、モンスターが……いったいどういうことなのだ」
当たり前だけど一般的にモンスターは人の多くいる場所に現れたりしないし、宰相を脅して王様のいる寝室に突撃などしない。
モンスターも馬鹿ではないので自分が生き残るために、狙うのはテリトリーに入った少数の冒険者や旅人だ。わざわざ王都に来て闇ギルドを崩壊させたり王宮の闇を暴いたりはしない。
では、どうするか。
リタには悪いけど、ここは困った時は神獣様のせいにしてしまおうと思っている。
神殿と敵対しようとした王宮を相手どるのに神殿が認めた神獣様というのは悪くない選択肢になるはず。
「我はルミナス村の守り神、ホーリータラテクトである。このカメレオンフロッグを通してお前達が企てた罪を全て把握している」
と、ここで打ち合わせ通りにカメレオンフロッグが前足をタンっと床を叩き脅してみせる。
「し、神獣だと!?」
「ひ、ひぃー」
これには宰相も驚いたようで王様と二人揃って床に座りこんでしまう。
「おまえ達は罪のないルミナス村の少女を殺そうとしたな?」
「そ、それは、宰相の作戦で……」
「そ、そんな王様! それは酷すぎます!」
「見苦しい。我は全てを把握していると言ったはずだ」
タンっ!
「も、申し訳ございません。ど、どうか命だけは、命だけは助けてください」
「ひぃぃぃー」
二人に近づくカメレオンフロッグはその長い舌で王様と宰相をベロベロに舐め回していく。粘度の高い液体でびちょ濡れにされていくおじさん二人。
こういったいつでも殺せるんだぞ的な演出も大事。二人ともさぞ絶望していることだろう。
「二度とルミナス村には手を出すな。おまえ達のことはこれからも監視していく。次はないと思え」
タンっ!
「は、はい」
「わ、わかりました」
見たこともない神獣様の声だけでこうもビビり散らかすものなのかと思わなくもないけど、見えないらこそ恐ろしいということもある。
「それから、もう一つ」
「は、はひぃ」
「勇者の血を王家に残すことは必要なことだ」
「へっ?」
王宮と裏で繋がりながら勇者をレティから離すことは僕としても賛成なので、ここで敢えて協力体制を組ませてもらう。と言っても、こちらから一方的に命令する感じになるけどね。
それでも、王様としては勇者の血を取りこめるのならば協力は惜しまないはず。
「勇者アシュレイとテレシア姫の婚姻を我も後押ししよう」
「ま、誠にございますか」
「準備が整ったら改めて連絡する。お前らの近くには我の手先が常にいると思え。もしも変な動きをしようものなら……」
タンっ!
「は、ははぁー」
「お、お許しを」
これぐらいでいいか。スライムは定期的にインビジブルを掛けたのを派遣してローテーションだな。
「な、なんでもない。王に可及の用事ができたのだ。問題ないから下がってなさい」
宰相は素直に言うことを聞き、たまにすれ違う騎士にも救いの声を上げず、真っ直ぐに王のいる寝室へと向かっている。
時間稼ぎとか考えているようならお仕置きすることも考えたけど、場所はスライムの把握している部屋と同じ所へと進んでいる。
「おまえ達、これから王様と緊急の話がある。聞かれては困る話のため、この階層の人払いを頼む。それが終わったら下の階に控えているように」
「か、かしこまりました宰相様」
宰相は寝室を守っていた二人の屈強な騎士を遠ざけるように指示を出すと、ゴクリと生唾を飲み込みながら扉をノックした。
「入れ」
「王様、宰相のダズモンドでございます」
扉を開けて部屋に入ると、ベットの上で腰を起こした王様が宰相をじろりと睨む。
「何やら城下が騒がしいようだが、例の作戦が無事に完了したということか? 何もこんな夜更けに報告に来なくてもよかったのだぞ」
宰相しか見えていない王様は、宰相が口封じのための作戦が成功した報告だと思っているようだ。宰相の汗が止まらない状況をよく見てもらいたいのだが、部屋は暗くていくつか灯っている程度の明かりではそこまでわからないのだろう。
「ほ、報告いたします。作戦は失敗に終わりました」
「そうかそうか。もう遅い今日のところは休め……は、はあああ!?」
「そして……王宮が闇ギルドに依頼したことも、この者達に知られてしまい現在進行形で脅されております」
薄暗い部屋から浮かび上がるように現れるカメレオンフロッグ。僕とスライム、そしてユリイカは今後のことを考えて身バレする訳にはいかないのでそのままインビジブルを継続中だ。
「なっ!? カメレオンフロッグだと!」
これでもカメレオンフロッグは中級者殺しと呼ばれるそこそこに有名なモンスター。熟練の冒険者でも奇襲を受けると足元をすくわれると言われている危険モンスターらしい。体もそれなりに大きいし部屋の中では目立つ。もちろん、魔王軍四天王にブラックメタルスライムといるこのメンバーの中では最弱なのだけども。
「申し訳ございません」
「う、裏切ったのか宰相!」
「ち、違います。私も脅されているのです」
突然のことに内輪揉めを始める王様と宰相。騎士を遠ざけているとはいえあまり長居するわけにもいかない。そろそろ話を進めさせてもらおう。
「しかし、モンスターが……いったいどういうことなのだ」
当たり前だけど一般的にモンスターは人の多くいる場所に現れたりしないし、宰相を脅して王様のいる寝室に突撃などしない。
モンスターも馬鹿ではないので自分が生き残るために、狙うのはテリトリーに入った少数の冒険者や旅人だ。わざわざ王都に来て闇ギルドを崩壊させたり王宮の闇を暴いたりはしない。
では、どうするか。
リタには悪いけど、ここは困った時は神獣様のせいにしてしまおうと思っている。
神殿と敵対しようとした王宮を相手どるのに神殿が認めた神獣様というのは悪くない選択肢になるはず。
「我はルミナス村の守り神、ホーリータラテクトである。このカメレオンフロッグを通してお前達が企てた罪を全て把握している」
と、ここで打ち合わせ通りにカメレオンフロッグが前足をタンっと床を叩き脅してみせる。
「し、神獣だと!?」
「ひ、ひぃー」
これには宰相も驚いたようで王様と二人揃って床に座りこんでしまう。
「おまえ達は罪のないルミナス村の少女を殺そうとしたな?」
「そ、それは、宰相の作戦で……」
「そ、そんな王様! それは酷すぎます!」
「見苦しい。我は全てを把握していると言ったはずだ」
タンっ!
「も、申し訳ございません。ど、どうか命だけは、命だけは助けてください」
「ひぃぃぃー」
二人に近づくカメレオンフロッグはその長い舌で王様と宰相をベロベロに舐め回していく。粘度の高い液体でびちょ濡れにされていくおじさん二人。
こういったいつでも殺せるんだぞ的な演出も大事。二人ともさぞ絶望していることだろう。
「二度とルミナス村には手を出すな。おまえ達のことはこれからも監視していく。次はないと思え」
タンっ!
「は、はい」
「わ、わかりました」
見たこともない神獣様の声だけでこうもビビり散らかすものなのかと思わなくもないけど、見えないらこそ恐ろしいということもある。
「それから、もう一つ」
「は、はひぃ」
「勇者の血を王家に残すことは必要なことだ」
「へっ?」
王宮と裏で繋がりながら勇者をレティから離すことは僕としても賛成なので、ここで敢えて協力体制を組ませてもらう。と言っても、こちらから一方的に命令する感じになるけどね。
それでも、王様としては勇者の血を取りこめるのならば協力は惜しまないはず。
「勇者アシュレイとテレシア姫の婚姻を我も後押ししよう」
「ま、誠にございますか」
「準備が整ったら改めて連絡する。お前らの近くには我の手先が常にいると思え。もしも変な動きをしようものなら……」
タンっ!
「は、ははぁー」
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