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一章
42 闇ギルド壊滅
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そろそろスライムにかけたダークネスインビジブルの魔法の効果が切れる頃。再びかけ直さないとならない。
「ダークネスインビジブル!」
スライムにカメレオンフロッグを紹介しつつ、情報共有をしていたら、どうやら今夜、神殿にいるA級犯罪者の三名を口封じのために殺害するために向かうらしい。
仲間よりもお金で動く組織という時点で救いようもない。
「どうもっすー。お噂はかねがね聞いてるでやんす」
「よろしくねー」
スライムとカメレオンフロッグを見ているととりあえず仲良くやってくれそうな気はする。スライムはリタとも上手くやっているし問題ないだろう。
「で、闇ギルドのメンバー数は?」
「百人ぐらいだよー。大聖堂へ襲撃するのに全員集合させてるみたい」
大聖堂には勇者がいるんだよね。なら、襲撃前に終わらしてしまった方がいいか。
「よし、じゃあ出発する場所を狙って叩こう。カメレオンフロッグは念のため一階のバーを見張って逃走者がいないか見ておいてくれ」
「了解っすー」
「スライムは奴らの後ろから、僕が地下水路の入口で迎え撃つ」
「わかったよー」
さて、百人が相手となるとそれなりに準備が必要になる。弱い僕でも戦えるぐらいの用意はしておかなければならない。
それからしばらくして、夜が更ける頃になると闇ギルドには大勢の犯罪者たちが集まってきていた。号令を掛けているのがリーダーのマーロウだろう。
「よぉーし、おめぇら! 相手は神殿の奴らだ。まともにやりあえとは言わねぇ。今回はスピード重視で行くぞ。任務失敗しやがったセプター達を殺せっ!」
「おうよっ!」
「奴らを殺せば大金が入る! しばらく遊んで暮らせる金だ。今回は戻ってきた奴全員で山分けだ! 突っ走るぜ!」
「マジかよ!」
「すっげーな、やる気出るぜー」
「闇に紛れろ。邪魔する奴は全て殺せ。任務は絶対だ。行くぞ!」
「おうっ!」
闇ギルドに集まったメンバーは百人。全員が地下水路を抜けて大聖堂へと向かう道を進んでいく。その後ろにはインビジブルで姿も気配も消しているスライムがもう逃げ道を塞いでいる。
水路に出る入口にやってきた者はダークネスインビジブルで姿を消して待ち構えている僕が倒していく。
音の大きな魔法攻撃をしてしまうと後ろからやってくる人に要らぬ準備をさせてしまう。なので、ここは暗黒魔法でも刺突に特化した魔法を使うとしよう。
ダークネススピア。暗黒魔法で生み出された槍の武器で血を吸い取ることで鋭さが増していく。今回のような場面にはうってつけだろう。
やってくる闇ギルドのメンバーを一人づつ確実に刺していく。
「お、おいっ、どうしたんだ。な、何が起きて、うぐぁぁあ」
半日かけて、この地下水路の入口付近は闇の魔力が揺らめくぐらいにまで充満させている。インビジブルを使った僕は完全に奴らからは認知されていないので一方的に攻撃することができる。
そして力のない僕が効率よく倒すには狙うのは首。しかもなるべく声を発せさせずに倒したい。レティの敵討ちとはいえ、正面から百人を相手にできるほど僕はまだ強くない。
「ごぶぁっ……」
無理をせずに一撃離脱してすぐに身を潜める。
このスペースに入ってきた奴を順番に一突きにしていく。濃厚な暗黒属性の魔力で視界は数歩先が見えないほどに悪い。敵が警戒してゆっくり進んでくれることでさらにやりやすくなった。
「とはいえ、さすがにそろそろ気がつかれるかな」
続いてやってきたのは額に傷のある男。スライムからの報告によるとこいつが闇ギルドのリーダー、マーロウだろう。浅黒い肌も情報と一致する。
「そこに誰かいるのか!?」
注意深く周辺を探るマーロウ。何かしらの気配を感じているのはさすがだと言いたいが、それは水路を走るドブネズミだ。
何かしらの異変は感じていても僕の姿までは捉えられていない。
「お、お前らバラバラに動くなっ! これじゃぁ同士討ちになっちまう」
こんな場所で襲撃されるとは思っていなかったのだろう。ようやく自分たちが攻撃を受けていることを理解したらしい。
仲間同士の同士討ちがあちらこちらではじまっているので僕としても嬉しい誤算と言うやつだ。
「お前がマーロウか?」
「だ、誰だ。卑怯だぞ、姿を現せ! 俺たちが何をしたって言うんだ」
「何をした? 卑怯だと? お前は勇者の前で無防備な僕の妹を殺そうと指示をしたんだろ」
話をしながら、腹部にダークネススピアを突き刺す。
「ぐはっ、ち、違う。お、俺じゃなくて宰相の野郎の命令で……」
簡単に口を滑らしてくれる。
「誰のせいでもいい。誰を敵に回したのか理解して死ねばいい。お前らでも死ぬ理由ぐらいはあった方がいいだろ?」
「や、やめてくだ……ひいぃー」
その場から逃げようとする後ろから首を飛ばすように一閃。
もう少し手応えのある相手かと思ったが、人の世界のAランク程度であれば準備さえしておけば問題ないということか。ここまで血を吸ってきたダークネススピアが仕事を早めてくれる。
闇ギルドのトップクラスがAとして勇者は何をランクになるのだろうか?
まあ、いい。残りの奴らを倒していくか。
そう思って行動しようとしたところ、何やら奥の方からざわざわと叫び声やら焦りのどよめきが聞こえてくる。あっちはまだ僕の魔力が行き渡ってないエリアなのに何で?
スライム? じゃないよね。
「この魔力、この気品溢れる暗黒属性の香り! 間違いなくゼイオン様のもの。どこですか? ゼイオン様どこにいるのですか?」
この声は……ユリイカか。
騒がしいのは前方でユリイカが僕のことを探しながら無双しているからだったようだ。
「そこをどけー! 邪魔をする者は全てまるっとぶっ倒す!」
何故ここにユリイカがいるんだ。魔族ってそんな簡単に王都に入れちゃうんですか? 元魔王と魔王軍四天王が王都にいるとか街の人が知ったら卒倒するからね。
『スライム、ユリイカに見つからないように動くな』
『はーい』
僕もスライムもインビジブルを掛けているからユリイカといえど、そう簡単に見つけることはできないはず。
もしここで見つかってしまったら僕が魔王ゼイオンだとバレてしまう可能性がある。
でも、半日かけて振り絞った濃密な暗黒属性の魔力が僕とスライムを隠してくれる。その濃密な魔力のせいでユリイカを呼び寄せてしまったんだけど。運がいいのか悪いのか。とはいえユリイカが闇ギルドのメンバーを倒しまくっているので結果オーライと言えなくもない。
「どこですかー? 全員倒せば出てきてくれますか?」
出てくるわけないだろ。倒してくれるのはありがたいので、終わったら何処か別の場所にでも探しに行ってもらいたい。
「弱いけど人数が多くてめんどい……。もう一気に倒すか」
ちょっと待て、何をしようとしているんだこのアホは。こんな狭い場所で爆炎魔法をぶっ放すつもりなのか。
「求めるは炎、それは力にして猛る灼熱の紅」
『スライム、脱出しろ! すぐに地上に逃げるんだ』
急いで少しでも広い場所へ逃げるしかない。とにかく爆炎が少しでも届かない場所へ行かなければ全てを焼かれてしまう。
「全てを灰に帰す紅の炎となって破壊せよ! インフェルノフレア!」
灼熱の炎が燃え広がれる場所を探すように地下水路の空気を奪っていく。こんな場所で爆炎魔法を使うとかどうかしている。
「みーつけた」
僕が生きていられたのはたまたま飛び込んだ水路に水が残っていたからで、何も無ければ焼け死んでいたに違いない。
ユリイカのことだ。魔王ゼイオンであればこれぐらいの爆炎魔法でも大丈夫だろうとか思って放ったのだろう。
「ダークネスインビジブル!」
スライムにカメレオンフロッグを紹介しつつ、情報共有をしていたら、どうやら今夜、神殿にいるA級犯罪者の三名を口封じのために殺害するために向かうらしい。
仲間よりもお金で動く組織という時点で救いようもない。
「どうもっすー。お噂はかねがね聞いてるでやんす」
「よろしくねー」
スライムとカメレオンフロッグを見ているととりあえず仲良くやってくれそうな気はする。スライムはリタとも上手くやっているし問題ないだろう。
「で、闇ギルドのメンバー数は?」
「百人ぐらいだよー。大聖堂へ襲撃するのに全員集合させてるみたい」
大聖堂には勇者がいるんだよね。なら、襲撃前に終わらしてしまった方がいいか。
「よし、じゃあ出発する場所を狙って叩こう。カメレオンフロッグは念のため一階のバーを見張って逃走者がいないか見ておいてくれ」
「了解っすー」
「スライムは奴らの後ろから、僕が地下水路の入口で迎え撃つ」
「わかったよー」
さて、百人が相手となるとそれなりに準備が必要になる。弱い僕でも戦えるぐらいの用意はしておかなければならない。
それからしばらくして、夜が更ける頃になると闇ギルドには大勢の犯罪者たちが集まってきていた。号令を掛けているのがリーダーのマーロウだろう。
「よぉーし、おめぇら! 相手は神殿の奴らだ。まともにやりあえとは言わねぇ。今回はスピード重視で行くぞ。任務失敗しやがったセプター達を殺せっ!」
「おうよっ!」
「奴らを殺せば大金が入る! しばらく遊んで暮らせる金だ。今回は戻ってきた奴全員で山分けだ! 突っ走るぜ!」
「マジかよ!」
「すっげーな、やる気出るぜー」
「闇に紛れろ。邪魔する奴は全て殺せ。任務は絶対だ。行くぞ!」
「おうっ!」
闇ギルドに集まったメンバーは百人。全員が地下水路を抜けて大聖堂へと向かう道を進んでいく。その後ろにはインビジブルで姿も気配も消しているスライムがもう逃げ道を塞いでいる。
水路に出る入口にやってきた者はダークネスインビジブルで姿を消して待ち構えている僕が倒していく。
音の大きな魔法攻撃をしてしまうと後ろからやってくる人に要らぬ準備をさせてしまう。なので、ここは暗黒魔法でも刺突に特化した魔法を使うとしよう。
ダークネススピア。暗黒魔法で生み出された槍の武器で血を吸い取ることで鋭さが増していく。今回のような場面にはうってつけだろう。
やってくる闇ギルドのメンバーを一人づつ確実に刺していく。
「お、おいっ、どうしたんだ。な、何が起きて、うぐぁぁあ」
半日かけて、この地下水路の入口付近は闇の魔力が揺らめくぐらいにまで充満させている。インビジブルを使った僕は完全に奴らからは認知されていないので一方的に攻撃することができる。
そして力のない僕が効率よく倒すには狙うのは首。しかもなるべく声を発せさせずに倒したい。レティの敵討ちとはいえ、正面から百人を相手にできるほど僕はまだ強くない。
「ごぶぁっ……」
無理をせずに一撃離脱してすぐに身を潜める。
このスペースに入ってきた奴を順番に一突きにしていく。濃厚な暗黒属性の魔力で視界は数歩先が見えないほどに悪い。敵が警戒してゆっくり進んでくれることでさらにやりやすくなった。
「とはいえ、さすがにそろそろ気がつかれるかな」
続いてやってきたのは額に傷のある男。スライムからの報告によるとこいつが闇ギルドのリーダー、マーロウだろう。浅黒い肌も情報と一致する。
「そこに誰かいるのか!?」
注意深く周辺を探るマーロウ。何かしらの気配を感じているのはさすがだと言いたいが、それは水路を走るドブネズミだ。
何かしらの異変は感じていても僕の姿までは捉えられていない。
「お、お前らバラバラに動くなっ! これじゃぁ同士討ちになっちまう」
こんな場所で襲撃されるとは思っていなかったのだろう。ようやく自分たちが攻撃を受けていることを理解したらしい。
仲間同士の同士討ちがあちらこちらではじまっているので僕としても嬉しい誤算と言うやつだ。
「お前がマーロウか?」
「だ、誰だ。卑怯だぞ、姿を現せ! 俺たちが何をしたって言うんだ」
「何をした? 卑怯だと? お前は勇者の前で無防備な僕の妹を殺そうと指示をしたんだろ」
話をしながら、腹部にダークネススピアを突き刺す。
「ぐはっ、ち、違う。お、俺じゃなくて宰相の野郎の命令で……」
簡単に口を滑らしてくれる。
「誰のせいでもいい。誰を敵に回したのか理解して死ねばいい。お前らでも死ぬ理由ぐらいはあった方がいいだろ?」
「や、やめてくだ……ひいぃー」
その場から逃げようとする後ろから首を飛ばすように一閃。
もう少し手応えのある相手かと思ったが、人の世界のAランク程度であれば準備さえしておけば問題ないということか。ここまで血を吸ってきたダークネススピアが仕事を早めてくれる。
闇ギルドのトップクラスがAとして勇者は何をランクになるのだろうか?
まあ、いい。残りの奴らを倒していくか。
そう思って行動しようとしたところ、何やら奥の方からざわざわと叫び声やら焦りのどよめきが聞こえてくる。あっちはまだ僕の魔力が行き渡ってないエリアなのに何で?
スライム? じゃないよね。
「この魔力、この気品溢れる暗黒属性の香り! 間違いなくゼイオン様のもの。どこですか? ゼイオン様どこにいるのですか?」
この声は……ユリイカか。
騒がしいのは前方でユリイカが僕のことを探しながら無双しているからだったようだ。
「そこをどけー! 邪魔をする者は全てまるっとぶっ倒す!」
何故ここにユリイカがいるんだ。魔族ってそんな簡単に王都に入れちゃうんですか? 元魔王と魔王軍四天王が王都にいるとか街の人が知ったら卒倒するからね。
『スライム、ユリイカに見つからないように動くな』
『はーい』
僕もスライムもインビジブルを掛けているからユリイカといえど、そう簡単に見つけることはできないはず。
もしここで見つかってしまったら僕が魔王ゼイオンだとバレてしまう可能性がある。
でも、半日かけて振り絞った濃密な暗黒属性の魔力が僕とスライムを隠してくれる。その濃密な魔力のせいでユリイカを呼び寄せてしまったんだけど。運がいいのか悪いのか。とはいえユリイカが闇ギルドのメンバーを倒しまくっているので結果オーライと言えなくもない。
「どこですかー? 全員倒せば出てきてくれますか?」
出てくるわけないだろ。倒してくれるのはありがたいので、終わったら何処か別の場所にでも探しに行ってもらいたい。
「弱いけど人数が多くてめんどい……。もう一気に倒すか」
ちょっと待て、何をしようとしているんだこのアホは。こんな狭い場所で爆炎魔法をぶっ放すつもりなのか。
「求めるは炎、それは力にして猛る灼熱の紅」
『スライム、脱出しろ! すぐに地上に逃げるんだ』
急いで少しでも広い場所へ逃げるしかない。とにかく爆炎が少しでも届かない場所へ行かなければ全てを焼かれてしまう。
「全てを灰に帰す紅の炎となって破壊せよ! インフェルノフレア!」
灼熱の炎が燃え広がれる場所を探すように地下水路の空気を奪っていく。こんな場所で爆炎魔法を使うとかどうかしている。
「みーつけた」
僕が生きていられたのはたまたま飛び込んだ水路に水が残っていたからで、何も無ければ焼け死んでいたに違いない。
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