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一章
37 私の決意
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■■■レティ視点
今日、私に新しい目標ができた。
私のお兄ちゃんと暮らす十年プランは、三十年プランへと軌道修正することになる。
それは聖女になること。
きっとそれは難しくて大変なことなんだと思う。それでもその頂を目指したい。ミルフィーヌ姉さまのように。
聖女になるとその身を神に捧げることになるとかで結婚することはできない。少なくとも引退しないと絶対に無理。そういう意味ではミルフィーヌ姉さまはお兄ちゃんの虫除けにはうってつけだったのです。
私から見ても見惚れてしまうぐらい美しい聖女様。そんな人がお兄ちゃんの近くにいれば余程の自信家でもない限りアプローチなどできないはず。
今はまだそこまで目立っていないけど、お兄ちゃんはモテる。格好良いし、優しいし、何でもできるし、とても頼りになる。それに最近はルミナス産野菜の売上も伸びているのでお金にもゆとりが出てくるのは目に見えている。
はっきりいって超優良物件と言っていい。
しかも、お兄ちゃんがテイムした神獣のリタさんがもの凄い勢いで稼いでくるので本当にお金目当てでも狙われかねない。
それはさておき、今日私に聖光魔法を扱える才能があることがわかった。つまり、私自身が聖女になれる可能性があるということ。未来が開けた感じがした。私が求めていたものが明確に目の前に現れたのです。
自分に魔力が備わっていることは理解していたけど、まさかミルフィーヌ姉さまと同じ聖光魔法が扱えるとは思ってもみなかった。
ミルフィーヌ姉さまはお兄ちゃんと結婚できないし、私も聖女になれば堂々と一生お兄ちゃんと暮らすことができる。
この計画が上手くいけばお兄ちゃんを囲いこめる。
あとはお兄ちゃんに近寄ってくる虫を私とミルフィーヌ姉さまで撃退するのみ。
こうなったら何としてでも私は聖女様になりたい。いや、なってみせる!
ルーミィちゃんには負けないんだから!
「随分と気合が入ってるのね。それで本当にクイックキュアが使えたの?」
「はい、ミルフィーヌ姉さま。私のクイックキュアでトマクの実はとっても元気です」
「レティちゃん、クイックキュアは人の傷を治すのもので、普通は作物には使わないのよ」
「そうなんですね。でも、すっごく元気になりました」
「そ、そう。クイックキュアが作物に良い影響を与えるなんて知らなかったわ」
「では、早速やってみせますね。再生の光よ、闇を祓い清めよ。クイックキュア!」
目の前で萎れていた雑草が元気に立ち上がってきた。クイックキュアの成功です。
驚いた顔のミルフィーヌ姉さまは初めてみます。
「草が元気になるのね……。私もやってみるわね。クイックキュア! クイックキュア! クイックキュア!」
すごい。聖女様にもなると詠唱を破棄しても魔法の力は凄まじい。私の魔法で元気になった雑草とは比べものにならない成長で伸びていき次第に全ての栄養が奪われてしまったかのように萎れていった。
「あ、あれっ、枯れちゃいましたね」
「魔力を込めすぎてしまったようですね。むむむ、これは結構難しいかもしれません」
私が成功しているのは魔力が少ないから、与える影響が小さいからだそうです。
でも、実際に生きている作物の成長をお手伝いするのであればこれぐらい細かく小さな魔力で作物の様子を見ながら面倒をみていった方がいい。お兄ちゃんが一つ一つ丁寧にお世話をしていたのがよくわかる。
でも、簡単に枯らすことが出来るのであれば雑草対策としてはこれもまた一つの手法ということになるのかもしれない。
「あっ、やっとできました。調節が相当難しいですけど、これはよい練習になるかもしれませんね」
「他にも魔法を教えてください。私、ミルフィーヌ姉さまのような聖女様になりたいんです」
何でも知っているお兄ちゃんだけど聖光魔法についてはそこまで詳しくないようで、他の種類についてはミルフィーヌ姉さまに聞くようにと言われてしまいました。
「本気なの? 聖女を目指すということは歌って踊れて楽器を奏で、恋愛も諦めなければならないのよ」
「知っています。それでも私なりたいんです」
ミルフィーヌ姉さまは私がお兄ちゃんのことを好きだということを知っています。なので、私の考えていることも全てお見通しなのだと思います。だからだと思います。少し考えるようにしてから言いました。
「覚悟を決めたのなら私はレティちゃんの背中を押します。それでレン君にこのことは?」
「まだです」
「では、今夜話しましょう。私も一緒に説得しますから」
「ありがとうございます、ミルフィーヌ姉さま」
お兄ちゃんはどう思うだろうか。反対するのかな。でも私の計画のためには絶対に説得しなければならない。
それに村から聖女候補が出ることはルミナス村にとってもいいことだと思う。祝福された村、神獣様が誕生した村、次は新しい聖女が誕生した村とかってなれば更に人を呼べる観光地になれると思うの。
私だって村のために役に立たないとね。
今日、私に新しい目標ができた。
私のお兄ちゃんと暮らす十年プランは、三十年プランへと軌道修正することになる。
それは聖女になること。
きっとそれは難しくて大変なことなんだと思う。それでもその頂を目指したい。ミルフィーヌ姉さまのように。
聖女になるとその身を神に捧げることになるとかで結婚することはできない。少なくとも引退しないと絶対に無理。そういう意味ではミルフィーヌ姉さまはお兄ちゃんの虫除けにはうってつけだったのです。
私から見ても見惚れてしまうぐらい美しい聖女様。そんな人がお兄ちゃんの近くにいれば余程の自信家でもない限りアプローチなどできないはず。
今はまだそこまで目立っていないけど、お兄ちゃんはモテる。格好良いし、優しいし、何でもできるし、とても頼りになる。それに最近はルミナス産野菜の売上も伸びているのでお金にもゆとりが出てくるのは目に見えている。
はっきりいって超優良物件と言っていい。
しかも、お兄ちゃんがテイムした神獣のリタさんがもの凄い勢いで稼いでくるので本当にお金目当てでも狙われかねない。
それはさておき、今日私に聖光魔法を扱える才能があることがわかった。つまり、私自身が聖女になれる可能性があるということ。未来が開けた感じがした。私が求めていたものが明確に目の前に現れたのです。
自分に魔力が備わっていることは理解していたけど、まさかミルフィーヌ姉さまと同じ聖光魔法が扱えるとは思ってもみなかった。
ミルフィーヌ姉さまはお兄ちゃんと結婚できないし、私も聖女になれば堂々と一生お兄ちゃんと暮らすことができる。
この計画が上手くいけばお兄ちゃんを囲いこめる。
あとはお兄ちゃんに近寄ってくる虫を私とミルフィーヌ姉さまで撃退するのみ。
こうなったら何としてでも私は聖女様になりたい。いや、なってみせる!
ルーミィちゃんには負けないんだから!
「随分と気合が入ってるのね。それで本当にクイックキュアが使えたの?」
「はい、ミルフィーヌ姉さま。私のクイックキュアでトマクの実はとっても元気です」
「レティちゃん、クイックキュアは人の傷を治すのもので、普通は作物には使わないのよ」
「そうなんですね。でも、すっごく元気になりました」
「そ、そう。クイックキュアが作物に良い影響を与えるなんて知らなかったわ」
「では、早速やってみせますね。再生の光よ、闇を祓い清めよ。クイックキュア!」
目の前で萎れていた雑草が元気に立ち上がってきた。クイックキュアの成功です。
驚いた顔のミルフィーヌ姉さまは初めてみます。
「草が元気になるのね……。私もやってみるわね。クイックキュア! クイックキュア! クイックキュア!」
すごい。聖女様にもなると詠唱を破棄しても魔法の力は凄まじい。私の魔法で元気になった雑草とは比べものにならない成長で伸びていき次第に全ての栄養が奪われてしまったかのように萎れていった。
「あ、あれっ、枯れちゃいましたね」
「魔力を込めすぎてしまったようですね。むむむ、これは結構難しいかもしれません」
私が成功しているのは魔力が少ないから、与える影響が小さいからだそうです。
でも、実際に生きている作物の成長をお手伝いするのであればこれぐらい細かく小さな魔力で作物の様子を見ながら面倒をみていった方がいい。お兄ちゃんが一つ一つ丁寧にお世話をしていたのがよくわかる。
でも、簡単に枯らすことが出来るのであれば雑草対策としてはこれもまた一つの手法ということになるのかもしれない。
「あっ、やっとできました。調節が相当難しいですけど、これはよい練習になるかもしれませんね」
「他にも魔法を教えてください。私、ミルフィーヌ姉さまのような聖女様になりたいんです」
何でも知っているお兄ちゃんだけど聖光魔法についてはそこまで詳しくないようで、他の種類についてはミルフィーヌ姉さまに聞くようにと言われてしまいました。
「本気なの? 聖女を目指すということは歌って踊れて楽器を奏で、恋愛も諦めなければならないのよ」
「知っています。それでも私なりたいんです」
ミルフィーヌ姉さまは私がお兄ちゃんのことを好きだということを知っています。なので、私の考えていることも全てお見通しなのだと思います。だからだと思います。少し考えるようにしてから言いました。
「覚悟を決めたのなら私はレティちゃんの背中を押します。それでレン君にこのことは?」
「まだです」
「では、今夜話しましょう。私も一緒に説得しますから」
「ありがとうございます、ミルフィーヌ姉さま」
お兄ちゃんはどう思うだろうか。反対するのかな。でも私の計画のためには絶対に説得しなければならない。
それに村から聖女候補が出ることはルミナス村にとってもいいことだと思う。祝福された村、神獣様が誕生した村、次は新しい聖女が誕生した村とかってなれば更に人を呼べる観光地になれると思うの。
私だって村のために役に立たないとね。
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