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144 大討伐
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魔力を薄く伸ばしていき、この先の池周辺を調べていくと、僕を待ち構えるかのように多くのドランクモンキーが木の上にいるのがわかった。
「結構な数がいるね……」
突然現れた脅威に対して、すぐに違う縄張り同士がチームを組むとは中々に賢い魔物と言っていい。
僕の知っているケルベロスという魔物はランクAにも関わらず会話不能だったからね。
「さて、どうしたものか」
無理につき合わずに違う場所に行ってもいい。ただ、連携を組んだままの状態を放っておくのも悪手な気がする。さらに徒党を組んで数が増えても困る。
それならば、この状況を利用して罠を張るというのもありかもしれない。
この先の水場にマギカ草があるのかはまだわからないけど、その場所で戦闘はしたくない。こちらにはマヌルー玉もあるのだから呼び寄せればいい。
罠を設置する場所はマギカ草が自生していないと思われる池と池の間だ。ここを戦闘場所にしようと思う。
「さあ、やってやろうじゃないか。本日の目標である四十頭をあっという間に達成してみせようじゃないか」
まずは、ドランクモンキーをかく乱するべく、マヌルグの木をどんどん倒していきながら近づいていく。
敵がどんな存在なのかわからない者にとって、遠くから木をなぎ倒しながら近づいてくる虐殺者はきっと恐怖でしかないだろう。
これは、仲間を集めたドランクモンキー達が一斉に飛びかかってこないようにするためでもある。びびって様子を見てくれれば、手前にいるドランクモンキーから片付けていく。
「よしっ、見つけた」
ウッキキキキィー!
仲間に合図を送るかのような叫び声なのだろう。僕に向かってではなく、後を向きながら叫んでいる。
すぐに二頭のドランクモンキーが飛びかかってくるが、斬れ味鋭いマジカルソードの前に成すすべもない。一振り、反転してまた一振り。
魔力は消費するものの、ここはスピード重視で倒していく。奥から仲間がやってくる気配はまだない。
予想通りの腰が引けたドランクモンキーはそこまで前掛かりにはなっていない。幾つか姿は見えるものの動きはない。
ここでいったん引く。警戒させてしまっているので、ちゃんとご褒美もおいていく。
マヌルーの粉を撒きながら、罠を張っている場所まで下がっていく。ドランクモンキーはマヌルー成分には抗えない。粉の香りを追うように罠の前まで来てしまうはず。
これは決して逆らうことのできない本能に訴えかけるものなのだ。よくわからないけど。
というわけで、罠を設置して場所に到着。
僕はそのまま罠を通り過ぎるように進み、追ってくるドランクモンキーを待ち構える。
そして、すぐに姿を表したのは五頭のドランクモンキー。その口の周りはマヌルーの粉だらけになっている。
僕が撒いたマヌルーの粉二夢中にご様子。もっと寄越せと言わんばかりにいきりたっている。
「ほーれー」
僕の投げたマヌルー玉は落とし穴の真上にぽとりと落ちる。
警戒はしているはずなのに、本能では抗えない行動。ドランクモンキーはマヌルー成分に首ったけ。しかも口の周りを粉だらけにしてキマりまくっているドランクモンキーはわかっていても飛び込んでしまう。
落とし穴の上の薄い表面は五頭のドランクモンキーが乗ると、その重みに耐えることもなく沈むように落ちていく。
ウッキキィィィィー!
とても楽しそうに落ちていく。まあ、求めていたマヌルー玉を手に入れられたのだから自らが落下していることよりも喜びの方が勝っているのだろう。
ちなみに落とし穴の深さは約二十メートル。落下の衝撃で討伐は完了することだろう。
続いて現れた十頭近くいるドランクモンキーも別の落とし穴の上にマヌルー玉を投げると半分はもつれるように落ちていった。
「さすがに全部は無理だったか」
マヌルー玉を他の罠の方へ投げ込みつつ、こちらに向かってくるドランクモンキーを相手する。
と言っても、ドランクモンキーは僕の右手しか見ていない。匂いなのか、それとも右手で投げたからなのか。ならば、その期待に答えてあげよう。
「ほーれー」
マヌルー玉を見せてから、そのまま宙に投げる。もちろん、ドランクモンキーの視線はマヌルー玉を追いかけるのでそのまま斬る。また、斬る、斬る。
おいっ、簡単すぎるぞドランクモンキー。どうした知能! どこへいった賢さ!
「まあ、いい。次が来る前に落とし穴の蓋をしよう」
しかしながら、さすがに学んだのか。それとも落とし穴に落ちる瞬間を見ていたのか。
次に現れた総勢二十討伐近くのドランクモンキーは僕がいくらマヌルー玉を投げても動かない。
何とか耐えている。何歩か前に出そうになるものの、隣の仲間が抑えている。
なるほど、チームプレイで乗り切ろうというつもりか。
「ほーれー、ほーれー、ほーれー」
マヌルー玉はたっぷりある。かぶりつけば終わりだ。ほら、早く食べてしまえ。
もはや、落とし穴は関係なく餌付けのごとくドランクモンキーの足下に投げ続けること数十個。
めちゃくちゃ耐えてるじゃないか。
「結構な数がいるね……」
突然現れた脅威に対して、すぐに違う縄張り同士がチームを組むとは中々に賢い魔物と言っていい。
僕の知っているケルベロスという魔物はランクAにも関わらず会話不能だったからね。
「さて、どうしたものか」
無理につき合わずに違う場所に行ってもいい。ただ、連携を組んだままの状態を放っておくのも悪手な気がする。さらに徒党を組んで数が増えても困る。
それならば、この状況を利用して罠を張るというのもありかもしれない。
この先の水場にマギカ草があるのかはまだわからないけど、その場所で戦闘はしたくない。こちらにはマヌルー玉もあるのだから呼び寄せればいい。
罠を設置する場所はマギカ草が自生していないと思われる池と池の間だ。ここを戦闘場所にしようと思う。
「さあ、やってやろうじゃないか。本日の目標である四十頭をあっという間に達成してみせようじゃないか」
まずは、ドランクモンキーをかく乱するべく、マヌルグの木をどんどん倒していきながら近づいていく。
敵がどんな存在なのかわからない者にとって、遠くから木をなぎ倒しながら近づいてくる虐殺者はきっと恐怖でしかないだろう。
これは、仲間を集めたドランクモンキー達が一斉に飛びかかってこないようにするためでもある。びびって様子を見てくれれば、手前にいるドランクモンキーから片付けていく。
「よしっ、見つけた」
ウッキキキキィー!
仲間に合図を送るかのような叫び声なのだろう。僕に向かってではなく、後を向きながら叫んでいる。
すぐに二頭のドランクモンキーが飛びかかってくるが、斬れ味鋭いマジカルソードの前に成すすべもない。一振り、反転してまた一振り。
魔力は消費するものの、ここはスピード重視で倒していく。奥から仲間がやってくる気配はまだない。
予想通りの腰が引けたドランクモンキーはそこまで前掛かりにはなっていない。幾つか姿は見えるものの動きはない。
ここでいったん引く。警戒させてしまっているので、ちゃんとご褒美もおいていく。
マヌルーの粉を撒きながら、罠を張っている場所まで下がっていく。ドランクモンキーはマヌルー成分には抗えない。粉の香りを追うように罠の前まで来てしまうはず。
これは決して逆らうことのできない本能に訴えかけるものなのだ。よくわからないけど。
というわけで、罠を設置して場所に到着。
僕はそのまま罠を通り過ぎるように進み、追ってくるドランクモンキーを待ち構える。
そして、すぐに姿を表したのは五頭のドランクモンキー。その口の周りはマヌルーの粉だらけになっている。
僕が撒いたマヌルーの粉二夢中にご様子。もっと寄越せと言わんばかりにいきりたっている。
「ほーれー」
僕の投げたマヌルー玉は落とし穴の真上にぽとりと落ちる。
警戒はしているはずなのに、本能では抗えない行動。ドランクモンキーはマヌルー成分に首ったけ。しかも口の周りを粉だらけにしてキマりまくっているドランクモンキーはわかっていても飛び込んでしまう。
落とし穴の上の薄い表面は五頭のドランクモンキーが乗ると、その重みに耐えることもなく沈むように落ちていく。
ウッキキィィィィー!
とても楽しそうに落ちていく。まあ、求めていたマヌルー玉を手に入れられたのだから自らが落下していることよりも喜びの方が勝っているのだろう。
ちなみに落とし穴の深さは約二十メートル。落下の衝撃で討伐は完了することだろう。
続いて現れた十頭近くいるドランクモンキーも別の落とし穴の上にマヌルー玉を投げると半分はもつれるように落ちていった。
「さすがに全部は無理だったか」
マヌルー玉を他の罠の方へ投げ込みつつ、こちらに向かってくるドランクモンキーを相手する。
と言っても、ドランクモンキーは僕の右手しか見ていない。匂いなのか、それとも右手で投げたからなのか。ならば、その期待に答えてあげよう。
「ほーれー」
マヌルー玉を見せてから、そのまま宙に投げる。もちろん、ドランクモンキーの視線はマヌルー玉を追いかけるのでそのまま斬る。また、斬る、斬る。
おいっ、簡単すぎるぞドランクモンキー。どうした知能! どこへいった賢さ!
「まあ、いい。次が来る前に落とし穴の蓋をしよう」
しかしながら、さすがに学んだのか。それとも落とし穴に落ちる瞬間を見ていたのか。
次に現れた総勢二十討伐近くのドランクモンキーは僕がいくらマヌルー玉を投げても動かない。
何とか耐えている。何歩か前に出そうになるものの、隣の仲間が抑えている。
なるほど、チームプレイで乗り切ろうというつもりか。
「ほーれー、ほーれー、ほーれー」
マヌルー玉はたっぷりある。かぶりつけば終わりだ。ほら、早く食べてしまえ。
もはや、落とし穴は関係なく餌付けのごとくドランクモンキーの足下に投げ続けること数十個。
めちゃくちゃ耐えてるじゃないか。
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