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70 メンテナンス効果
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カルメロさんのお屋敷に到着して、しばらくするとインベントリの中に書かれているツルハシの文字はオレンジ色から白い文字へと変わっていた。
一時間が経過した合図という意味だろう。つまり、メンテナンスが無事完了したことを知らせている。
「メンテナンスが終わったようなのでツルハシを出してみますね」
「楽しみにゃ」
メンテナンス。文字通りとらえるなら維持や
保守、保全を意味するワードだ。その通りなのだとしたら、出てくるツルハシはドワーフのおじさんがメンテナンスしてくれたような切れ味の鋭い状態となっているはず。
「どうですかね」
見た目としてはとてもきれいに見える。新品とまではいかないものの、持ち手も小綺麗になっている気がするし、ツルハシの尖った部分はその鋭さを増したようにも思える。
「丁寧にメンテナンスされているにゃ」
「ほえー、これは、すごいですニール様」
猫さんたちには好評のようだ。
元のツルハシをちゃんと見ていなかったものの、メンテナンス効果はそれなりに機能しているとみてよさそうだ。
「何してるのー?」
そこへ、採掘場から戻ってきたルイーズたちがやってきた。もちろん、アルベロとルリカラも一緒だ。
ルリカラは採掘場で少し汚れたのか、白いもふもふが若干薄汚れている。しかしながらそんなのは関係ないとばかりに僕の頭の上に満足そうに着地してみせた。
「きれいきれいしなきゃだめでしょ」
すぐにアルベロが清浄の魔法を掛けてくれたので、ルリカラと一緒に僕の服も体もきれいになった。清浄、とてもいい魔法だ。なんで僕には使えないのだろう。
無属性魔法の光玉も暗い採掘場においては必須の魔法だ。この二つが使えるアルベロがうらやましい。
ちなみにキャットアイさんとカルメロさんも光玉までは使用できるが、清浄の魔法は使えない。
それなりに使用者がいるのは知っているけど清浄まで使える人はやっぱりレアな気がする。
「このツルハシをメンテナンスしてたんだ」
「メンテナンス?」
「実はね、インベントリのレベルが上がって、容量が倍に増えたんだ」
「容量が倍!? つ、つまり、お肉が倍になるのー!」
やはり、お肉倍が気になるよね。僕もそうだったからわかるよ、ルイーズ。
「それよりも、メンテナンスって?」
「あ、うん。このツルハシをメンテナンスしたんだけど、見ての通りきれいになって鋭さも増して出てきたんだ」
「インベントリで武具のメンテナンスができるってこと……なの?」
「少し時間がかかるけどね」
「じゃあ、これをメンテナンスしてみて」
「あー、私のショートソード! またこういう扱いを受けるのねー」
試してみるのに疾風のレイピアを使うのはちょっとこわい。僕の短槍でもいいんだけど、まだ新品。やはり試すならルイーズのショートソード一択となるだろう。
「私の弓はメンテナンスが行き届いているから、これぐらいしかないんだもの。それに、
いっぱいスケルトンやグールを倒したばかりだし。はい、お願い」
やはりスケルトンやグールがいたんだね。僕たちの方は出なかったからどうなのかと思っていたんだ。
「じゃあ、メンテナンスしてみるね」
●ショートソード
→メンテナンス
「うん、メンテナンスできるみたいだね」
●ショートソード
→メンテナンス(二時間)
メンテナンスを実施しますか?
→YES
→NO
時間の表示がツルハシよりも倍かかるようだ。それでも二時間でメンテナンスできるなら全然ありだろう。
もちろん、ドワーフのおじさんの手にかかれば二十分程度で終わるものだけど、旅先で休憩中にメンテナンスが完了してしまうというのはかなりありがたい。
「すぐに完了するの?」
「夕飯を食べる頃には終わっていると思う」
「それなりに時間はかかるのね。でも、ちゃんとメンテナンス出来ていたら便利だわ」
「ねぇー、ニール。じゃあ、私のこれもメンテナンスお願い」
ルイーズから手渡されたのは皮の鎧。ここで脱がないでもらいたい。
「いいの?」
「うん。これかなり年季入ってるし、しばらくメンテしてなかったから」
「うん、了解。……あ、あれ?」
メンテナス可能である。色もオレンジを通り越して赤に近い。メンテナンス時間が更に掛かりそうな状態であることは確認できるけど、そこから先にタップしようとしても進めない。
「どうしたのー?」
「うーん、多分だけど先にショートソードのメンテナンスをしてるから出来ないっぽいね」
「そっかー。二つ同時には出来ないんだねー」
メンテナス機能についてはまた不明確な点はあるものの、それなりの効果や時間、そして複数メンテナンスは出来ないということがわかった。
「それで、そっちの採掘はどうだったの?」
「無事に成功したよ。インベントリがレベルアップしたし、明日も問題なく大丈夫だと思う。あっ、これが採掘したミスリル鉱石ね」
「おっきいわね」
「すごーい!」
「でしょ。いくらぐらいの価値があるのかな」
「カルメロが採掘した一番大きなミスリル鉱石が白金貨五枚で取引されたにゃ」
白金貨五枚、つまり五百万相当ということか。それよりも更に大きなこのミスリル鉱石は……いや、考えるのはやめておこう。深く考えてしまったら僕は冒険者をやめてしまいそうだ。
今はお金では手に入れることのできない多くのことを経験したい。せっかく剣と魔法の世界にいるのだからね。
一時間が経過した合図という意味だろう。つまり、メンテナンスが無事完了したことを知らせている。
「メンテナンスが終わったようなのでツルハシを出してみますね」
「楽しみにゃ」
メンテナンス。文字通りとらえるなら維持や
保守、保全を意味するワードだ。その通りなのだとしたら、出てくるツルハシはドワーフのおじさんがメンテナンスしてくれたような切れ味の鋭い状態となっているはず。
「どうですかね」
見た目としてはとてもきれいに見える。新品とまではいかないものの、持ち手も小綺麗になっている気がするし、ツルハシの尖った部分はその鋭さを増したようにも思える。
「丁寧にメンテナンスされているにゃ」
「ほえー、これは、すごいですニール様」
猫さんたちには好評のようだ。
元のツルハシをちゃんと見ていなかったものの、メンテナンス効果はそれなりに機能しているとみてよさそうだ。
「何してるのー?」
そこへ、採掘場から戻ってきたルイーズたちがやってきた。もちろん、アルベロとルリカラも一緒だ。
ルリカラは採掘場で少し汚れたのか、白いもふもふが若干薄汚れている。しかしながらそんなのは関係ないとばかりに僕の頭の上に満足そうに着地してみせた。
「きれいきれいしなきゃだめでしょ」
すぐにアルベロが清浄の魔法を掛けてくれたので、ルリカラと一緒に僕の服も体もきれいになった。清浄、とてもいい魔法だ。なんで僕には使えないのだろう。
無属性魔法の光玉も暗い採掘場においては必須の魔法だ。この二つが使えるアルベロがうらやましい。
ちなみにキャットアイさんとカルメロさんも光玉までは使用できるが、清浄の魔法は使えない。
それなりに使用者がいるのは知っているけど清浄まで使える人はやっぱりレアな気がする。
「このツルハシをメンテナンスしてたんだ」
「メンテナンス?」
「実はね、インベントリのレベルが上がって、容量が倍に増えたんだ」
「容量が倍!? つ、つまり、お肉が倍になるのー!」
やはり、お肉倍が気になるよね。僕もそうだったからわかるよ、ルイーズ。
「それよりも、メンテナンスって?」
「あ、うん。このツルハシをメンテナンスしたんだけど、見ての通りきれいになって鋭さも増して出てきたんだ」
「インベントリで武具のメンテナンスができるってこと……なの?」
「少し時間がかかるけどね」
「じゃあ、これをメンテナンスしてみて」
「あー、私のショートソード! またこういう扱いを受けるのねー」
試してみるのに疾風のレイピアを使うのはちょっとこわい。僕の短槍でもいいんだけど、まだ新品。やはり試すならルイーズのショートソード一択となるだろう。
「私の弓はメンテナンスが行き届いているから、これぐらいしかないんだもの。それに、
いっぱいスケルトンやグールを倒したばかりだし。はい、お願い」
やはりスケルトンやグールがいたんだね。僕たちの方は出なかったからどうなのかと思っていたんだ。
「じゃあ、メンテナンスしてみるね」
●ショートソード
→メンテナンス
「うん、メンテナンスできるみたいだね」
●ショートソード
→メンテナンス(二時間)
メンテナンスを実施しますか?
→YES
→NO
時間の表示がツルハシよりも倍かかるようだ。それでも二時間でメンテナンスできるなら全然ありだろう。
もちろん、ドワーフのおじさんの手にかかれば二十分程度で終わるものだけど、旅先で休憩中にメンテナンスが完了してしまうというのはかなりありがたい。
「すぐに完了するの?」
「夕飯を食べる頃には終わっていると思う」
「それなりに時間はかかるのね。でも、ちゃんとメンテナンス出来ていたら便利だわ」
「ねぇー、ニール。じゃあ、私のこれもメンテナンスお願い」
ルイーズから手渡されたのは皮の鎧。ここで脱がないでもらいたい。
「いいの?」
「うん。これかなり年季入ってるし、しばらくメンテしてなかったから」
「うん、了解。……あ、あれ?」
メンテナス可能である。色もオレンジを通り越して赤に近い。メンテナンス時間が更に掛かりそうな状態であることは確認できるけど、そこから先にタップしようとしても進めない。
「どうしたのー?」
「うーん、多分だけど先にショートソードのメンテナンスをしてるから出来ないっぽいね」
「そっかー。二つ同時には出来ないんだねー」
メンテナス機能についてはまた不明確な点はあるものの、それなりの効果や時間、そして複数メンテナンスは出来ないということがわかった。
「それで、そっちの採掘はどうだったの?」
「無事に成功したよ。インベントリがレベルアップしたし、明日も問題なく大丈夫だと思う。あっ、これが採掘したミスリル鉱石ね」
「おっきいわね」
「すごーい!」
「でしょ。いくらぐらいの価値があるのかな」
「カルメロが採掘した一番大きなミスリル鉱石が白金貨五枚で取引されたにゃ」
白金貨五枚、つまり五百万相当ということか。それよりも更に大きなこのミスリル鉱石は……いや、考えるのはやめておこう。深く考えてしまったら僕は冒険者をやめてしまいそうだ。
今はお金では手に入れることのできない多くのことを経験したい。せっかく剣と魔法の世界にいるのだからね。
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