スキルガチャで異世界を冒険しよう

つちねこ

文字の大きさ
上 下
67 / 151

66 新しい仲間?

しおりを挟む
 何やら考え込むような様子のビビアンさん。

「どうかされましたか?」

「わかってる範囲だけど、アダマンタイトはかなり深い場所にしか鉱脈がないの。最近は需要がなかったからルートが封鎖されたままだし……」

「アンナの崩落がきっかけで封鎖された場所にゃ?」

「そう、あの場所よ。だから、アダマンタイトを採掘するのは難しいかもしれないわ。また崩落したら危険だし」

「そんな……。あの、在庫はあったりしますか?」

「いいえ、在庫もないの」

 せっかくここまで来たというのにそれは悲しすぎる。

「場所だけでも教えてもらえないでしょうか。何かあったとしても自己責任で構いませんから」

 そうビビアンさんに告げたのはアルベロだ。

 どれだけ危険な場所かはわからないけど、アルベロやルイーズの身のこなしなら平気な気がしないでもない。

 あっ、僕は無理だからね。いくらランクが上がったといえ戦力外だ。俊敏のステータスはそこまで上がっていない。

 ビビアンさんはキャットアイさんを見てどうしたものかと迷っている様子だったけど、猫さんが助け船を出してくれた。

「ビビアン、自分からも頼むにゃ」

「でも」

「ニールには貸しがあるにゃ。お墓参りが終わったら自分も採掘にいくつもりにゃ」

「キャットアイさん! いいんですか?」

「これで貸しはなくなるにゃ」

「ありがとうございます」

 正直いって、このお屋敷に滞在させてもらえるだけで貸しが消えていてもおかしくない。

「その代わり、採掘するメンバーは選ばせてもらうにゃ。自分とニールとアンナの三人にゃ」

「どうして! アダマンタイトが必要なのは私なの。私も行くわ」

「却下にゃ。あの地下は思っている以上に危険な場所にゃ。体が小さくて俊敏な猫人族じゃないと無理にゃ」

「じゃあ、ニールはなんで」

「採掘のスピードを上げるためと、もしも崩落があった場合の保険にゃ。それにニール一人ぐらいなら自分が面倒みれるにゃ」

「……どういうこと?」

「猫人族は力はないから採掘は苦手にゃ」

「そうじゃないわ。崩落があった場合の保険ってどういう意味なの?」

「ニールのスキルが必要にゃ」

「!?」

「キャットアイさん、僕のスキル知ってたんですか?」

「まだ予測の範ちゅうだけど、だいたいどんなスキルかはわかってるつもりにゃ」

「やっぱり、ニールのことを調べていたのね」

「えっ、どういうこと?」

「ギルドマスターからの依頼、いえ、王様からの依頼ということね?」

「そうにゃ。ニールのことを調べて報告することが任務にゃ。もしも使えるスキルや能力が発現したら報告するようにとのことにゃ」

「じゃあ、僕のスキルのことは……」

「まだ言ってないにゃ。伝えているのは、テイマー能力の発現とテイムしたホワイトドラゴンの危険性についてぐらいにゃ」

 ホワイトドラゴンの危険性? ルリカラのどこが危険なのだろうか。こんなにかわいいのに。ほっぺをふにふにさせるとリラックスして頭を預けてくるかわいい子なんだよ。

「そのドラゴンのブレスはとても危険な可能性があるにゃ」

「まあ、そうね」

「そうなの? い、いや、確かに、人によっては危険か」

「それで、なんでニールのスキルのことを黙っててくれたのかしら?」

「言ったはずにゃ。まだ予測の範ちゅうにゃ。プロは不正確な情報を伝えたりはしないものにゃ」

「じゃあ、今回の採掘で知った情報を伝えるつもりね?」

「そうかも知れないし、そうじゃないかも知れないにゃ」

「どういうこと? 別に私はどうしてもアダマンタイトが必要なわけではない。ニールのことを話されるぐらいなら私たちは王都へ帰るわ。いえ、王都ももう危険ね、違う国へ移動するべきかもしれないわね」

 そう言ってアルベロはルイーズと頷き合っている。何か二人で決めていたことでもあったのだろうか。すぐに立ち上がって、荷物を取りにいこうとする。

「待つにゃ。もし、王都を出るなら自分も連れていってほしいにゃ。そうしてくれるならニールの秘密は守るにゃ」

「それは、どういうことー?」
「そんなことしたら、冒険者ギルドから仕事をもらえなくなるわよ」

「そこはやりようにゃ。嘘をつかずに契約を満了させればいいだけにゃ」

「そこまでして、連れていってほしい理由は何?」

「ニールに興味を持ったにゃ。三人の楽しそうな姿をみてたら、また自分もパーティでやりたいと思ったにゃ。それに、まだ隠してるスキルがいくつかあると思うにゃ。理由はこれぐらいじゃだめにゃ? それに、二人より自分の方がニールのことを守れると思うにゃ」

 インベントリのことをどこまで知っているかわからないけど、プジョーブーツを渡したことから装備関係のことを予想しているのだろう。つまりガチャスキルのことだろう。

「信用できるとでも?」

「信用できないなら、そのドラゴンのブレスを受けてもいいにゃ」

 ブレスか。猫さんの本気を感じる。プジョーブーツをあげたのが完全に後押ししてしまっただろうか。でも、お世話になっているのも事実で、いや、見張っていたからこそいろいろ助けてもくれたのか。

「僕は信じていいと思うよ。キャットアイさんには何度も助けてもらってるし、今回もね」

「それはそうだけど、ニールのことを調べていたのよ?」

「うん。でも仲間になってくれるなら、こんなに心強い人もいないでしょ」

 働くのが嫌いな昼寝至上主義の猫さんだけど、こう見えてAランクの猛者なのだ。そんな人が一緒のパーティを組みたいと言って、断る理由はないと思う。

「仮よ。あくまでも仮参加。私とルイーズが許可出すまで仮だから」

「それで構わないにゃ」

「ニールも話していいことと、まだ隠しておくべきことは決めておくわよ」

「うん、わかった」

 でも、ルリカラのブレスを拒まないということは、もう信用してもいいと思うんだよね。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)

屯神 焔
ファンタジー
 魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』  この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。  そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。  それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。  しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。  正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。  そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。  スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。  迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。  父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。  一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。  そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。  毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。  そんなある日。  『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』  「・・・・・・え?」  祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。  「祠が消えた?」  彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。  「ま、いっか。」  この日から、彼の生活は一変する。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

念動力ON!〜スキル授与の列に並び直したらスキル2個貰えた〜

ばふぉりん
ファンタジー
 こんなスキルあったらなぁ〜?  あれ?このスキルって・・・えい〜できた  スキル授与の列で一つのスキルをもらったけど、列はまだ長いのでさいしょのすきるで後方の列に並び直したらそのまま・・・もう一個もらっちゃったよ。  いいの?

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...