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55 ギルドからの報奨金1

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 僕の体調が元に戻ったのは翌日のことだった。やっぱり討伐クエストもなかったので、二人は浜辺のお掃除を手伝ったり、海鮮料理を満喫していたらしい。

 ご飯を食べに行く時だけ、ルリカラも二人についていくので部屋の中では一人になる。

「そういえば、ルリカラが来てから一人で寝ることがなくなったなー」

 召喚前は飼い猫のミャーコがよく布団に入ってきたので一緒に寝ていた。そういう意味では小さな動物と寝るのは慣れている。

「ミャーコ、元気にしてるかな」

 ミャーコは茶トラの猫で、庭に迷い込んできた所を保護された。

 病院に連れて行ったところ、二歳ぐらいとのことだった。僕が小学校の時からの付き合いだから、なんだかんだ十年近い付き合いになる。

 僕以外にも母親には懐いていたので特段心配はしていない。僕がいなくなっても、それなりに猫生活を満喫していることだろう。

 僕のことは両親も心配はしているだろうけど、連絡をとる手段もなければ、そもそも帰る方法がわからないのだからどうしようもない。

「ルリカラも僕に何かあった時を考えると、ルイーズやアルベロともっと親密になってもらいたいところだよね」

 僕に何かあったらとか自分で考えたくもないけど、普通に暮らしていても召喚されるようなこともある。この異世界ならもっと危険なことが多いのだ。

 異世界に来て間もないけど、すでに何度か危ない目に合っている。どれも僕一人だったら間違いなく命を落としているのは間違いない。

 そういうことなので、少しずつでも強くなれるように研鑽を積んでいきたい。せめて、二人の足手まといにならないぐらいまで成長できればうれしい。

 一応、今日のギルド訪問で僕のランクはDに上がる予定。こんな短期間でルイーズと同じランクになれたのは奇跡と言っていいだろう。

 シーデーモン、ありがとう。僕が倒したわけではないけど。それならアルベロやキャットアイさんにお礼を言った方がいいのかな。

 あんな無茶は今後はしないように気をつけたいけど、結果としては大満足な結果と言っていい。

 かなり遠くに感じていたルイーズのランクまで一気に辿り着いてしまったのだから。とはいっても、疾風のレイピアを持ったルイーズはCランクに足を踏み入れてると思うけどね。

「さて、そろそろ出ようか」

 二人と一匹とは冒険者ギルドで待ち合わせをしている。僕の体調がよくなったからということで、ギルド長から直接、報奨金とお礼をいただけるとのこと。

 アルベロが事前に話し合いをしていたので、ある程度はわかっているんだけど、バブルラグーンは隣とはいえ外部から来た冒険者ということもあってギルドマスターからプラスのご褒美が含まれているそうだ。

 宿の外を出ると、マーマンとの戦いで使用された木の柵が解体され山積みとなっていたり、大量に使用された槍のメンテナンスで多くの職人さんが仕事をしていた。

 屋台の数はまだ少ないものの、オープンしていて、様々な海鮮料理が並んでいた。バブルクラブ狩りが本格的にスタートすれば、またすぐに活気を取り戻すことだろう。

 ギルドに到着して扉を開けると、僕を見つけたルリカラがすぐに飛んできて頭の上にやってきた。

「ニール、こっち、こっちー」

 ルイーズが手を振りながら呼んでいる。

 どうやらキャットアイさんもいるようだ。

「お待たせしました」

 僕がキャットアイさんに声を掛けると、特に気にした様子もなく机に突っ伏したままお昼寝モードなご様子。

「構わないにゃ」

 一応は起きているようだ。

「あっ、みなさんお揃いですね。ではギルドマスターの部屋までご案内いたしますね」

 そこに現れたのはシーデーモンとの戦いを評定してくれたギルド職員さんだ。確かエイビスさんと言ったかな。

「よろしくお願いします」

「ニールさんが元気になってよかったです」

 僕のせいでこの集まりが遅れてしまったことに改めて気づかされる。

 ルイーズとアルベロはパーティメンバーだからいいとしても、Aランクのキャットアイさんを待たせてしまったというのはやはり謝罪するべきかもしれない。

「キャットアイさん、王都に戻るのを遅らせてしまって申し訳ございません」

「特に予定もなかったにゃ。まだバブルラグーンの魚を満喫してにゃいし、もう少しゆっくりするつもりにゃ」

「それならよかったです」

「たいしたこともしてにゃいのに報奨金が貰えてラッキーにゃ」

 なるほど、本当にそう思っているのかわからないものの、あまり働きたくない猫さんであることは知っているので喜んでいるのならありがたい。

「ギルドマスター、お連れいたしました」

「はい。どうぞ」

 ギルドマスターの部屋は二階の奥にあって、部屋の中はそこまで広くない。

 部屋というより執務室といった方がわかりやすいかもしれない。簡易的な応接セットはあるものの、目立つのはやはり大きな机だ。そこは大量の紙でほぼ埋まっている。

「あー、ごめんなさいね。後片付けの書類が大量にありまして……。バブルラグーン支部ギルドマスターのスレインです。本日はご足労いただきありがとうございます」

 まあ、あれだけの魔物が押し寄せてくるとかそうないと思うので、後処理はさらに大変なのだろう。あまり寝ていないのか、顔色はあまりよくなさそうに見える。
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