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ギルドからの評点
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緊張から解き放たれたことで、どうにも力が抜けてしまった。さて、そこそこの距離があるけど僕はちゃんと泳げるだろうか。
まあ、このままここにいてもしょうがないし泳ぐしかない。
キャットアイさんの後を追うように海に飛び込むと、本当にマーマンたちが離れていく姿が見えた。
僕一人だったら喜々として襲い掛かってきたというのに、Aランク冒険者の威圧スキルはすごい。
「変わった泳ぎ方をするにゃ」
「そうなんですかね」
「顔を出して泳ぐのはこれが一番だと思っていたにゃ。でも、そのジャイアントトードのような泳ぎ方も悪くなさそうにゃ」
僕の平泳ぎはジャイアントトード泳ぎなのか。猫かきも悪くないと思うけど、大きくかける平泳ぎの方がスピードは出るだろう。
あまり速く進みすぎてもキャットアイさんと離れてしまうことでマーマンに襲われても嫌なのでゆっくり進ませてもらう。
暇だし、塩でも集めながら戻ろうか。
インベントリに海水を入れて塩だけ残して他は全て排出する。
何となく僕の前方にあった海水をいれて、後方に排出してみる。
「おお、ジェット水流」
「な、何をしたにゃ!」
すぐ後ろを泳いでいたキャットアイさんに海水が盛大に掛かってしまった。
「ご、ごめんなさい。ちょっと魔法を試してみたらこんなことに……」
「気をつけるにゃ」
「は、はい」
思いの外、ジェット水流で前に行ってしまったので、威嚇スキルの範囲内から出てしまった僕はマーマンから逆に威嚇を受けている。
とはいえ、後ろでスキル発動しているAランク冒険者がいるので、これ以上近寄ってはこなそうだけど。
変に挑発するのもよくないので、またスピードを落として進むことにする。
無事に浜辺まで到着すると、ルイーズとアルベロ、そしてルリカラが心配そうに待っていてくれた。
まずは僕の顔面に飛び込んでくるルリカラ。
「ぶふぉっ」
急に飛んでいって心配したんだからね。という感情が伝わってきた。そういえばちゃんと説明せずに飛ばされたね。獣魔的には驚きだったことだろう。
「ごめん、ごめん」
「ニール、急に飛んでいったからびっくりしたんだからー」
「まったく、気を失っていたら大変なことになっていたわ」
そう言ってキャットアイさんを睨むアルベロ。
確かに想像よりも激しい飛ばされ方をしたけど、結果的に無事だったわけだし、シーデーモンからアルベロの矢を隠すことができた。
「まあまあ、僕も了承してやったことなんだから。それに無事に倒せたみたいだしさ」
「でも!」
「でも、他にあれよりいい作戦はなかったと思うんだ。そうでしょ?」
あの場で代役を呼んでる余裕なんてなかったはずだし、シーデーモンは次の魔法を準備していたのだから。
「ニール……一瞬、気を失っていたでしょ」
す、するどい。何で気づいているのだろう。
「そ、そんな訳ないじゃん。じゃなきゃ、魔法のスクロールなんて使えないって」
「足だってそんなに傷だらけになって」
「そ、それは、もうポーションで平気だから」
と、ここでようやくルイーズが助け舟を出してくれた。
「アルベロ、そろそろ許してあげて。ほら、みんな静かになっちゃってるから」
歓喜で迎えられた防衛戦の立役者の一人だったけど、アルベロのおかん的な怒りに周りの人たちはひいてしまったか静まりかえっている。
「しょうがないわね。宿屋に戻ったら反省会するわよ」
「わ、わかったよ」
すると、様子を窺っていた眼鏡をかけた……確か、冒険者ギルドの職員さんが声を掛けてきた。
「あ、あのー、少しよろしいでしょうか。バブルラグーン冒険者ギルド職員のエイビスです。シーデーモンの討伐ご苦労さまでした。討伐は三名の評点とさせていただきますね」
三名というのはキャットアイさんとアルベロ、そして僕ということか。
「貢献順に十点を振り分けますと、アルベロさんが六点、キャットアイさんと……えーっと」
「ニールにゃ」
「失礼しました。ニールさんがそれぞれ二点ということでよろしいでしょうか?」
「それで問題ないにゃ」
直接攻撃してないのに二点ももらえるのか。
エイビスさんが言うには、バブルラグーンにシーデーモンが現れることは珍しいため、今回の討伐はかなりボーナスが期待できるらしい。
しかもシーデーモンは単体でランクAの魔物。そんな格上をアルベロはともかくとしてEランクのニールが討伐に寄与したなんて、いいのだろうか。
しかも格上。そう、格上討伐ガチャ再びだ!
今回はAランクなのだからもっといいものが手に入る可能性がある。ついに、僕にも武器が手に入るかもしれない。
狙っていたわけではないけどこれはうれしい誤算というもの。出るよね? 格上討伐ガチャ。これで出ないとかないよね!?
ちなみに、シーデーモンが討伐された際に一番近くにいたのは僕なので、Aランクの魔素を吸収したことになる。
Eランクの僕がAランクの魔素をいきなり吸収とかしたら中毒になりそうだけど、近いといってもそれなりに距離が離れていたから問題ないだろうとのこと。
直接僕がシーデーモンに何かしたわけでもないので若干心苦しくもある。でも、もらえるものはうれしい。宿に戻ったらステータスを確認してみようと思う。
それにしても、吹き飛ばされたせいなのか、マーマンとの戦いに疲れたのか少し体が重く感じる。今日は早めに就寝させてもらおうかな。アルベロの反省会が終わったら。
まあ、このままここにいてもしょうがないし泳ぐしかない。
キャットアイさんの後を追うように海に飛び込むと、本当にマーマンたちが離れていく姿が見えた。
僕一人だったら喜々として襲い掛かってきたというのに、Aランク冒険者の威圧スキルはすごい。
「変わった泳ぎ方をするにゃ」
「そうなんですかね」
「顔を出して泳ぐのはこれが一番だと思っていたにゃ。でも、そのジャイアントトードのような泳ぎ方も悪くなさそうにゃ」
僕の平泳ぎはジャイアントトード泳ぎなのか。猫かきも悪くないと思うけど、大きくかける平泳ぎの方がスピードは出るだろう。
あまり速く進みすぎてもキャットアイさんと離れてしまうことでマーマンに襲われても嫌なのでゆっくり進ませてもらう。
暇だし、塩でも集めながら戻ろうか。
インベントリに海水を入れて塩だけ残して他は全て排出する。
何となく僕の前方にあった海水をいれて、後方に排出してみる。
「おお、ジェット水流」
「な、何をしたにゃ!」
すぐ後ろを泳いでいたキャットアイさんに海水が盛大に掛かってしまった。
「ご、ごめんなさい。ちょっと魔法を試してみたらこんなことに……」
「気をつけるにゃ」
「は、はい」
思いの外、ジェット水流で前に行ってしまったので、威嚇スキルの範囲内から出てしまった僕はマーマンから逆に威嚇を受けている。
とはいえ、後ろでスキル発動しているAランク冒険者がいるので、これ以上近寄ってはこなそうだけど。
変に挑発するのもよくないので、またスピードを落として進むことにする。
無事に浜辺まで到着すると、ルイーズとアルベロ、そしてルリカラが心配そうに待っていてくれた。
まずは僕の顔面に飛び込んでくるルリカラ。
「ぶふぉっ」
急に飛んでいって心配したんだからね。という感情が伝わってきた。そういえばちゃんと説明せずに飛ばされたね。獣魔的には驚きだったことだろう。
「ごめん、ごめん」
「ニール、急に飛んでいったからびっくりしたんだからー」
「まったく、気を失っていたら大変なことになっていたわ」
そう言ってキャットアイさんを睨むアルベロ。
確かに想像よりも激しい飛ばされ方をしたけど、結果的に無事だったわけだし、シーデーモンからアルベロの矢を隠すことができた。
「まあまあ、僕も了承してやったことなんだから。それに無事に倒せたみたいだしさ」
「でも!」
「でも、他にあれよりいい作戦はなかったと思うんだ。そうでしょ?」
あの場で代役を呼んでる余裕なんてなかったはずだし、シーデーモンは次の魔法を準備していたのだから。
「ニール……一瞬、気を失っていたでしょ」
す、するどい。何で気づいているのだろう。
「そ、そんな訳ないじゃん。じゃなきゃ、魔法のスクロールなんて使えないって」
「足だってそんなに傷だらけになって」
「そ、それは、もうポーションで平気だから」
と、ここでようやくルイーズが助け舟を出してくれた。
「アルベロ、そろそろ許してあげて。ほら、みんな静かになっちゃってるから」
歓喜で迎えられた防衛戦の立役者の一人だったけど、アルベロのおかん的な怒りに周りの人たちはひいてしまったか静まりかえっている。
「しょうがないわね。宿屋に戻ったら反省会するわよ」
「わ、わかったよ」
すると、様子を窺っていた眼鏡をかけた……確か、冒険者ギルドの職員さんが声を掛けてきた。
「あ、あのー、少しよろしいでしょうか。バブルラグーン冒険者ギルド職員のエイビスです。シーデーモンの討伐ご苦労さまでした。討伐は三名の評点とさせていただきますね」
三名というのはキャットアイさんとアルベロ、そして僕ということか。
「貢献順に十点を振り分けますと、アルベロさんが六点、キャットアイさんと……えーっと」
「ニールにゃ」
「失礼しました。ニールさんがそれぞれ二点ということでよろしいでしょうか?」
「それで問題ないにゃ」
直接攻撃してないのに二点ももらえるのか。
エイビスさんが言うには、バブルラグーンにシーデーモンが現れることは珍しいため、今回の討伐はかなりボーナスが期待できるらしい。
しかもシーデーモンは単体でランクAの魔物。そんな格上をアルベロはともかくとしてEランクのニールが討伐に寄与したなんて、いいのだろうか。
しかも格上。そう、格上討伐ガチャ再びだ!
今回はAランクなのだからもっといいものが手に入る可能性がある。ついに、僕にも武器が手に入るかもしれない。
狙っていたわけではないけどこれはうれしい誤算というもの。出るよね? 格上討伐ガチャ。これで出ないとかないよね!?
ちなみに、シーデーモンが討伐された際に一番近くにいたのは僕なので、Aランクの魔素を吸収したことになる。
Eランクの僕がAランクの魔素をいきなり吸収とかしたら中毒になりそうだけど、近いといってもそれなりに距離が離れていたから問題ないだろうとのこと。
直接僕がシーデーモンに何かしたわけでもないので若干心苦しくもある。でも、もらえるものはうれしい。宿に戻ったらステータスを確認してみようと思う。
それにしても、吹き飛ばされたせいなのか、マーマンとの戦いに疲れたのか少し体が重く感じる。今日は早めに就寝させてもらおうかな。アルベロの反省会が終わったら。
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