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49 シーデーモン討伐
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海面に出て息を吸う。生きている。
でもすぐにまたマーマンがやってくることはわかっている。
「ダルト」
インベントリから魔法のスクロールを取り出すと、自分の足下に向けて冷気の魔法を放つ。
すると、すぐに海水が凍るように固まっていく。ダメもとで放ったダルトだったけど、僕の期待通りの結果をもたらせてくれた。
すぐに足場になった氷の上に立つようにして助けを求める。下からはマーマンと思われる攻撃がガツガツと響いている。
すぐに回り込んで氷の上にも上がってくるはずだ。
おっと、そんなことよりもシーデーモンだ。アルベロの攻撃はちゃんと届いたのか。
振り返ると、そこには頭や腕が吹き飛んでいて、倒れようとしているシーデーモンの姿がみえた。
おそらくは一本では倒れずに何矢か追加で撃ち放ったのだろう。
「よ、よかったぁ……」
安心するのも束の間、ふと足下を見ると血溜まりができている。
「お、おわっ、痛っ」
気が緩んだからなのか、血を見たからなのか、足を猛烈な痛みが襲う。
マーマンに襲われた下半身は服もボロボロで出血もひどい。鋭い爪でやられたのだろう。
残念なことにリカバリーポーションはインベントリにも手もとにもない。今は戻るまで我慢だ。
全体としてはシーデーモンが倒れたことで海にいるマーマンは逃げはじめている。しかしながら上陸しているマーマンやキングマーマンはひたすらに前へと歩みを止める様子がない。
「さて、僕はもう少しここで時間稼ぎだね」
ついに氷の縁に手を掛けて登ってこようとしているマーマンが現れた。
「ハリト」
もちろん、簡単には登らせない。海ならどれだけハリトを撃っても火事になる心配はいらない。いくらでも撃ってやろうじゃないか。あと四発しか撃てないけども。
残りの攻撃手段は……インベントリにルイーズのショートソードがあるぐらいか。
大盾は海の藻屑と消えてしまっている。魔法を撃ち終わったらショートソードで耐えるしかないか……。
キャットアイさんは。うん、こちらに向かって泳いで来ている。あれは猫かきかな。そのスピードは決して早くはない。おい、Aランクー!
そう悲観していたからなのか、氷に乗り上がろうとしていたマーマンの上半身が吹き飛んだ。
そう、これはアルベロの矢だ。
結構な距離があるというのに、寸分違わずにヒットしてみせる。さすが頼りになるエルフはアルベロだね。これで僕も少し心の余裕が持てるというもの。
アルベロの周りにはルイーズを含む冒険者が集まりマーマンの群れから守っている。大丈夫そうだね。あとは僕が無事に帰還すれば文句なしだ。
いや、この怪我は無事ではないかもしれないけども。早く僕にポーションを。
ん? ポーション。
ポーションは持ってないけど、出る可能性はあるよね。そうガチャだ。
「スキルガチャ起動!」
昨日はほとんど狩りをしていないので現れるのはもちろん通常ガチャ。しかしながら今一番必要なのはこの通常ガチャだ。
何せ高確率でポーションが出るのだから。
「よしっ、出ろ! リカバリーポーション」
二、三回も回せば出てくるはずのリカバリーポーション。
ところが、こんな時に限ってなかなか出てこないもの。
「二回続けて小石だと!?」
いや、いったん落ち着こう。痛みはあるものの、アルベロがマーマンを倒してくれるから安全は確保されている。慌てる必要はないのだ。
でも痛いのは痛い。次こそは出てほしい。
「リカバリーポーション来い、リカバリーポーション来い!」
すると願いが通じたのか、ようやく希望のポーションが現れた。
「きたー! リカバリーポーション!」
目の前には一番安いリカバリーポーション。
そういえば、僕の異世界召喚はこのリカバリーポーションから始まったといっても過言ではない。
あの時は意味もわからずに現れたポーションを偉そうな神官さんに速攻で奪われたんだっけ……。
神官さんはまた誰かを召喚するために魔力を溜めているのだろうか。よくよく考えるとかなり迷惑な話しだけど、異世界は思ったよりも悪くないなんて思い始めている。
それはルイーズやアルベロといった仲間の存在も大きい。理不尽な追放ではあったけど、それなりに心配してくれる人もいる。
それにガチャのおかげで僕にも役に立てることがわかってきた。インベントリスキルは偉大だし、今後も新しいスキルや武器が手に入る可能性があるはずだ。
「待たせたにゃ」
「そんなゆっくり泳いでくるなんて聞いてませんでしたよ。というか、海の中でマーマンに襲われなかったんですか?」
「マーマンも相手は選ぶにゃ。威嚇スキルで、すぐに逃げていくにゃ」
「じゃあ、もう下にはマーマンは?」
「いないにゃ」
「た、助かったー」
「足の怪我は大丈夫にゃ?」
「あっ、はい。さっきリカバリーポーション飲んたので止血できてます」
「ニール、ポーション持ってたにゃ?」
「も、持ってましたよ。冒険者ですからね」
「そうにゃ?」
「ええ」
「まあ、いいにゃ。じゃあ泳いで戻るにゃ」
キャットアイさんが威嚇しながら泳ぐので、僕も普通に泳いで戻れそうだ。何でゆっくり泳いでるのかと思ったら威嚇スキルを使用しながらだったから遅かったらしい。
浜辺の方のマーマンの数もかなり減ってきている。これはもう勝利を確信していいだろう。
いや、本当に疲れた。
でもすぐにまたマーマンがやってくることはわかっている。
「ダルト」
インベントリから魔法のスクロールを取り出すと、自分の足下に向けて冷気の魔法を放つ。
すると、すぐに海水が凍るように固まっていく。ダメもとで放ったダルトだったけど、僕の期待通りの結果をもたらせてくれた。
すぐに足場になった氷の上に立つようにして助けを求める。下からはマーマンと思われる攻撃がガツガツと響いている。
すぐに回り込んで氷の上にも上がってくるはずだ。
おっと、そんなことよりもシーデーモンだ。アルベロの攻撃はちゃんと届いたのか。
振り返ると、そこには頭や腕が吹き飛んでいて、倒れようとしているシーデーモンの姿がみえた。
おそらくは一本では倒れずに何矢か追加で撃ち放ったのだろう。
「よ、よかったぁ……」
安心するのも束の間、ふと足下を見ると血溜まりができている。
「お、おわっ、痛っ」
気が緩んだからなのか、血を見たからなのか、足を猛烈な痛みが襲う。
マーマンに襲われた下半身は服もボロボロで出血もひどい。鋭い爪でやられたのだろう。
残念なことにリカバリーポーションはインベントリにも手もとにもない。今は戻るまで我慢だ。
全体としてはシーデーモンが倒れたことで海にいるマーマンは逃げはじめている。しかしながら上陸しているマーマンやキングマーマンはひたすらに前へと歩みを止める様子がない。
「さて、僕はもう少しここで時間稼ぎだね」
ついに氷の縁に手を掛けて登ってこようとしているマーマンが現れた。
「ハリト」
もちろん、簡単には登らせない。海ならどれだけハリトを撃っても火事になる心配はいらない。いくらでも撃ってやろうじゃないか。あと四発しか撃てないけども。
残りの攻撃手段は……インベントリにルイーズのショートソードがあるぐらいか。
大盾は海の藻屑と消えてしまっている。魔法を撃ち終わったらショートソードで耐えるしかないか……。
キャットアイさんは。うん、こちらに向かって泳いで来ている。あれは猫かきかな。そのスピードは決して早くはない。おい、Aランクー!
そう悲観していたからなのか、氷に乗り上がろうとしていたマーマンの上半身が吹き飛んだ。
そう、これはアルベロの矢だ。
結構な距離があるというのに、寸分違わずにヒットしてみせる。さすが頼りになるエルフはアルベロだね。これで僕も少し心の余裕が持てるというもの。
アルベロの周りにはルイーズを含む冒険者が集まりマーマンの群れから守っている。大丈夫そうだね。あとは僕が無事に帰還すれば文句なしだ。
いや、この怪我は無事ではないかもしれないけども。早く僕にポーションを。
ん? ポーション。
ポーションは持ってないけど、出る可能性はあるよね。そうガチャだ。
「スキルガチャ起動!」
昨日はほとんど狩りをしていないので現れるのはもちろん通常ガチャ。しかしながら今一番必要なのはこの通常ガチャだ。
何せ高確率でポーションが出るのだから。
「よしっ、出ろ! リカバリーポーション」
二、三回も回せば出てくるはずのリカバリーポーション。
ところが、こんな時に限ってなかなか出てこないもの。
「二回続けて小石だと!?」
いや、いったん落ち着こう。痛みはあるものの、アルベロがマーマンを倒してくれるから安全は確保されている。慌てる必要はないのだ。
でも痛いのは痛い。次こそは出てほしい。
「リカバリーポーション来い、リカバリーポーション来い!」
すると願いが通じたのか、ようやく希望のポーションが現れた。
「きたー! リカバリーポーション!」
目の前には一番安いリカバリーポーション。
そういえば、僕の異世界召喚はこのリカバリーポーションから始まったといっても過言ではない。
あの時は意味もわからずに現れたポーションを偉そうな神官さんに速攻で奪われたんだっけ……。
神官さんはまた誰かを召喚するために魔力を溜めているのだろうか。よくよく考えるとかなり迷惑な話しだけど、異世界は思ったよりも悪くないなんて思い始めている。
それはルイーズやアルベロといった仲間の存在も大きい。理不尽な追放ではあったけど、それなりに心配してくれる人もいる。
それにガチャのおかげで僕にも役に立てることがわかってきた。インベントリスキルは偉大だし、今後も新しいスキルや武器が手に入る可能性があるはずだ。
「待たせたにゃ」
「そんなゆっくり泳いでくるなんて聞いてませんでしたよ。というか、海の中でマーマンに襲われなかったんですか?」
「マーマンも相手は選ぶにゃ。威嚇スキルで、すぐに逃げていくにゃ」
「じゃあ、もう下にはマーマンは?」
「いないにゃ」
「た、助かったー」
「足の怪我は大丈夫にゃ?」
「あっ、はい。さっきリカバリーポーション飲んたので止血できてます」
「ニール、ポーション持ってたにゃ?」
「も、持ってましたよ。冒険者ですからね」
「そうにゃ?」
「ええ」
「まあ、いいにゃ。じゃあ泳いで戻るにゃ」
キャットアイさんが威嚇しながら泳ぐので、僕も普通に泳いで戻れそうだ。何でゆっくり泳いでるのかと思ったら威嚇スキルを使用しながらだったから遅かったらしい。
浜辺の方のマーマンの数もかなり減ってきている。これはもう勝利を確信していいだろう。
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