37 / 151
36 ソードフィッシュ狩り3
しおりを挟む
アルベロの調べによると、ソードフィッシュから魔力が感じられないとのこと。つまり、ルリカラの聖なるブレスとやらで魔物のエネルギーともいえる魔力を消滅させてしまったらしい。
続いて、またしても僕の腕の中で眠りについてしまったルリカラについて。こちらは、単純に魔力切れにより眠りについているようだ。目が覚めたら魔力回復薬であるマジックポーションを飲ませてあげようとのこと。
「まったく、心配させてくれるよね」
「でも、さっきのブレスすごかったねー」
魔力が少ないためどうやら現状一日一回しか使用できなそうだけど、その効果は若干ふかしている可能性があったものの確かなものだった。
少なくともまだ一体も倒していない僕よりも高い戦闘力があるのは紛れもない事実だ。
現在はルリカラをアルベロに預けて、僕とルイーズで引き続きソードフィッシュ狩りを行っている。索敵はアルベロが引き受けてくれるので、僕は待ち構えるだけでいい。
そうして待つこと数分。ソードフィッシュは再びやってきた。
「左から一体、ニールの方よ」
ソードフィッシュの狙いは僕。勢いをつけて飛び掛かろうとしてくる。
ルイーズのようにジャンプするまで身動きをせずに引きつける。ソードフィッシュに空中で軌道を変更するような器用な行動はない。そこをギリギリ半身で避けつつ、ショートソードをタイミングを合わせて突き刺す。
「ここだっ!」
少し外したか。
「ニール、もう一回」
船の上で暴れるソードフィッシュの頭に止めの一撃。
「どえぃ!」
しばらくバタバタと動いていたソードフィッシュが力尽きるようにその動きを止めた。
「やったねー、ニール」
「う、うん。これなら何とか討伐出来そうかな」
「いけるーいけるー」
「近くにまだ気配があるわ。ニールはスピード解体、あと、ソードフィッシュの死骸を海へ投げて」
撒き餌が無くなったので、討伐したソードフィッシュを餌にして小魚を集める作戦に切り替えるようだ。もちろん、討伐証明と追加報酬であるお肉を除いた部分を投げる。
いつもは魔物の死骸はインベントリのゴミ箱に棄てるだけなので、海での戦いは無駄がなくていい。
ちなみにこのソードフィッシュ狩りだけど、一般的には五体も狩ったら船の上がいっぱいになってしまうのであまり人気ではない。なので、こちらではバブルクラブ狙いの冒険者の方が多いとのこと。
その点、僕たちはインベントリとスピード解体があるので稼ぎはそれなりになる。
でも、塩でかなり稼げるということもあってか、今回のソードフィッシュ狩りはステータスの向上に重きをおいている。
なので、追加報酬分はもちろんのこと、ソードフィッシュは倒せるだけ倒す。それは僕の体力が続く限り。インベントリには十体も入ればいい方だろうからね。あとは解体処理してゴミ箱行きか撒き餌となっていく。
「ニール、後ろから来てるよー」
「ありがとうルイーズ」
アルベロの索敵に、ルイーズもフォローしてくれながら戦えるのでなかなか安全に討伐ができている。
慣れてくれば、余裕をもってかわすことができる。もちろん二人の声があるからというのもあるけど、これならソードフィッシュ狩りは何とかなりそうだ。
二回に一回は一発で仕留められるようにもなっている。
やはりEランクの魔物なので、そこまでの脅威度はないらしい。まぁ、僕もEランクなんだけれども。
船の上だと休憩のタイミングが難しく、結局僕は二十匹を倒したところで体力の限界がきた。ルイーズは三十匹ぐらい倒している気がする。なんで全然疲れていないのだろうかこの子……。
「このレイピア凄いかも。魔力が少し減ってるけど、今までとはあきらかに動きが違うもん。やっぱり加護付きの武器って凄いんだねー」
「本当に驚いているわ。ニールに感謝しなきゃね」
「役に立てたようでよかったよ。でも、アルベロの矢は今後どうするの」
「そうよね。矢じりが使いものにならないもの。かといって、コストの安い矢だと軌道がブレちゃうし困ったわ」
アルベロの弓はこのパーティにおいて必要不可欠な高精度飛び道具なので、使えないと攻撃のバリエーションが減ってしまう。
「じゃあ、前の弓に戻す?」
「嫌よ。これはエルフの民が喉から手が出るほど欲っする武器よ。使わないなんてことはありえないわ」
かなり気に入ってもらえたようで、僕も何だか嬉しい。
「でも、弓矢代だって大変なんでしょー」
「そうだけど、ルイーズも見たでしょ。あのパワー」
ソードフィッシュの頭ごと吹き飛ばしたあの一撃は今も僕の目にしっかりと焼き付いている。
「あれはすごかった」
「魔法でもないのに爆発したもんね」
あの衝撃とパワーはアルベロの撃つハリトの倍ぐらいは威力があったと思うんだ。それが毎回撃てるとなると、あの進化個体との戦いだってあそこまで無理をせずとも倒せた可能性がある。
「少し撃つ回数は抑えるわ。あと、この弓の威力に耐えられる矢の素材を探さなきゃね」
今使っている矢じりの素材は鉄だという。この世界の鉄の硬さというのがわからないけど、見た目はそれなりに硬い。
鉄よりも硬い鉱石かー。異世界だけにミスリルとかアダマンタイトなどのファンタジー鉱石もあるかもしれない。
僕もいつかそんな素材でかっこいい武器を扱えるようになりたいな。
続いて、またしても僕の腕の中で眠りについてしまったルリカラについて。こちらは、単純に魔力切れにより眠りについているようだ。目が覚めたら魔力回復薬であるマジックポーションを飲ませてあげようとのこと。
「まったく、心配させてくれるよね」
「でも、さっきのブレスすごかったねー」
魔力が少ないためどうやら現状一日一回しか使用できなそうだけど、その効果は若干ふかしている可能性があったものの確かなものだった。
少なくともまだ一体も倒していない僕よりも高い戦闘力があるのは紛れもない事実だ。
現在はルリカラをアルベロに預けて、僕とルイーズで引き続きソードフィッシュ狩りを行っている。索敵はアルベロが引き受けてくれるので、僕は待ち構えるだけでいい。
そうして待つこと数分。ソードフィッシュは再びやってきた。
「左から一体、ニールの方よ」
ソードフィッシュの狙いは僕。勢いをつけて飛び掛かろうとしてくる。
ルイーズのようにジャンプするまで身動きをせずに引きつける。ソードフィッシュに空中で軌道を変更するような器用な行動はない。そこをギリギリ半身で避けつつ、ショートソードをタイミングを合わせて突き刺す。
「ここだっ!」
少し外したか。
「ニール、もう一回」
船の上で暴れるソードフィッシュの頭に止めの一撃。
「どえぃ!」
しばらくバタバタと動いていたソードフィッシュが力尽きるようにその動きを止めた。
「やったねー、ニール」
「う、うん。これなら何とか討伐出来そうかな」
「いけるーいけるー」
「近くにまだ気配があるわ。ニールはスピード解体、あと、ソードフィッシュの死骸を海へ投げて」
撒き餌が無くなったので、討伐したソードフィッシュを餌にして小魚を集める作戦に切り替えるようだ。もちろん、討伐証明と追加報酬であるお肉を除いた部分を投げる。
いつもは魔物の死骸はインベントリのゴミ箱に棄てるだけなので、海での戦いは無駄がなくていい。
ちなみにこのソードフィッシュ狩りだけど、一般的には五体も狩ったら船の上がいっぱいになってしまうのであまり人気ではない。なので、こちらではバブルクラブ狙いの冒険者の方が多いとのこと。
その点、僕たちはインベントリとスピード解体があるので稼ぎはそれなりになる。
でも、塩でかなり稼げるということもあってか、今回のソードフィッシュ狩りはステータスの向上に重きをおいている。
なので、追加報酬分はもちろんのこと、ソードフィッシュは倒せるだけ倒す。それは僕の体力が続く限り。インベントリには十体も入ればいい方だろうからね。あとは解体処理してゴミ箱行きか撒き餌となっていく。
「ニール、後ろから来てるよー」
「ありがとうルイーズ」
アルベロの索敵に、ルイーズもフォローしてくれながら戦えるのでなかなか安全に討伐ができている。
慣れてくれば、余裕をもってかわすことができる。もちろん二人の声があるからというのもあるけど、これならソードフィッシュ狩りは何とかなりそうだ。
二回に一回は一発で仕留められるようにもなっている。
やはりEランクの魔物なので、そこまでの脅威度はないらしい。まぁ、僕もEランクなんだけれども。
船の上だと休憩のタイミングが難しく、結局僕は二十匹を倒したところで体力の限界がきた。ルイーズは三十匹ぐらい倒している気がする。なんで全然疲れていないのだろうかこの子……。
「このレイピア凄いかも。魔力が少し減ってるけど、今までとはあきらかに動きが違うもん。やっぱり加護付きの武器って凄いんだねー」
「本当に驚いているわ。ニールに感謝しなきゃね」
「役に立てたようでよかったよ。でも、アルベロの矢は今後どうするの」
「そうよね。矢じりが使いものにならないもの。かといって、コストの安い矢だと軌道がブレちゃうし困ったわ」
アルベロの弓はこのパーティにおいて必要不可欠な高精度飛び道具なので、使えないと攻撃のバリエーションが減ってしまう。
「じゃあ、前の弓に戻す?」
「嫌よ。これはエルフの民が喉から手が出るほど欲っする武器よ。使わないなんてことはありえないわ」
かなり気に入ってもらえたようで、僕も何だか嬉しい。
「でも、弓矢代だって大変なんでしょー」
「そうだけど、ルイーズも見たでしょ。あのパワー」
ソードフィッシュの頭ごと吹き飛ばしたあの一撃は今も僕の目にしっかりと焼き付いている。
「あれはすごかった」
「魔法でもないのに爆発したもんね」
あの衝撃とパワーはアルベロの撃つハリトの倍ぐらいは威力があったと思うんだ。それが毎回撃てるとなると、あの進化個体との戦いだってあそこまで無理をせずとも倒せた可能性がある。
「少し撃つ回数は抑えるわ。あと、この弓の威力に耐えられる矢の素材を探さなきゃね」
今使っている矢じりの素材は鉄だという。この世界の鉄の硬さというのがわからないけど、見た目はそれなりに硬い。
鉄よりも硬い鉱石かー。異世界だけにミスリルとかアダマンタイトなどのファンタジー鉱石もあるかもしれない。
僕もいつかそんな素材でかっこいい武器を扱えるようになりたいな。
11
お気に入りに追加
1,813
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道
コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。
主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。
こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。
そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。
修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。
それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。
不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。
記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。
メサメサメサ
メサ メサ
メサ メサ
メサ メサ
メサメサメサメサメサ
メ サ メ サ サ
メ サ メ サ サ サ
メ サ メ サ ササ
他サイトにも掲載しています。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる