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25 ゴブリン狩り4
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僕が魔法に集中していると、ルイーズが飛び上がりショートソードを進化種の首に攻撃を加えていた。
確かに首に入っている攻撃なのだけど、まるで効いていない。というか、防御が厚すぎる。
「アルベロ、このゴブリン何なの?」
「ホブゴブリンにしては強すぎる。ひょっとしたらゴブリンファイターになりうる進化個体なのかもしれない」
冒険者ギルドの情報では、ゴブリンはDランク、ホブゴブリンは確かCランク、ゴブリンファイターはよくわからない。けど、ホブゴブリンの進化個体ともなればBランクに近い可能性もあるのか。
そんな魔物を倒すのはちょっと現実的ではない。
アルベロがCランク、ルイーズがDランク。DからCにはとてつもない壁があることを知っている。そうなると、Cより上のBランク近くになってしまうと、とんでもない力の差があるのは明白だろう。
三人で倒せる相手なのか。アルベロとルイーズはどう考えているのか。
二人を見ると、わかりやすく悩んでいた。相手は強いが一体。一方で弱い僕を危険にさらす可能性があるため逃げることも考えなくてはならない。
ならば僕の意志を伝えよう。悩んでいるということはきっと可能性があるということ……だよね?
「アルベロ、ハリトを使う許可を。ちゃんとタイミングを判断して撃つから」
まだみんな力を出し切ってはいない。僕だって効かないかもしれないけど魔法攻撃が残っている。
「わかったわ。ルイーズ、倒すわよ」
「オッケー。でもどうする? こいつ攻撃が通らない」
「ルイーズはスピード重視で場をかき回して。ニールはルイーズのフォローと隙をついた攻撃を」
「アルベロは?」
「私は目を狙う」
その言葉で何かを察したのかルイーズは動き始める。
「なら、私たちは攻撃を足下に集中させるよ」
「うん、わかった」
動き回る魔物の目をピンポイントで射抜くなんて神業、アルベロでなければ信じられない。
でも今までアルベロを見てきた僕には信じられる。もちろんそれはルイーズも同様だろう。
そうと決まればアルベロの矢が狙い通り目に当たるように少しでも可能性を高めるべく隙きをつくるのみ。
すぐにルイーズが魔物の動きを制限するようにヒットアンドアウェイで立ち回る。スピードだけをみればルイーズの方が上だ。
僕の役割は、魔物の気を引くべく先程と同様に大盾で音を立てルイーズをフォローする。
ルイーズも僕に攻撃が向かない程度に引きつけてくれる。
そしてルイーズの負担が大きくなりそうな所を見計らって、足下へ魔法を放つ。これは当たらなくてもいい。避けられて森に引火することを考えれば地面にぶつけた方が全然いい。
「ハリト!」
威力は低くても魔法は警戒するだろうし、地面を抉る攻撃は足下を崩す可能性もあるし、空中に避ければルイーズの攻撃が当たりやすくなる。
すると、予想通り魔法を警戒した魔物はハリトをジャンプして避ける選択をとる。
ここがチャンスだ!
その瞬間を逃さないようにルイーズが攻撃大勢に入る。僕も大盾を構えたまま魔物へ突進する。
魔物は着地とともにルイーズの攻撃を警戒して防御態勢に入るが、そこへ攻撃が来ると予想していなかった盾持ちが突進していることに慌ててしまう。
その隙を逃さずにルイーズの攻撃が二回、三回と入ると、魔物の態勢は崩れる。
「お、おりやぁぁぁぁ!」
そこへ突進するのは僕。
ルイーズの攻撃で膝をついた魔物の頭を殴りつけるように大盾で叩きつける。
「アルベロ!」
「いっけー!」
魔物は空を見上げるように大の字に倒れ、頭を回している。もちろん、そこまでのダメージは入っていない。すぐに起き上がるだろうけど、その瞬間を逃すアルベロではない。
鋭い風切音と共に、アルベロの攻撃が飛んでくる。
「ぐぎゃあおおおおおー」
魔物の叫び声とともに矢が二本同時に魔物の目を貫いていた。しかも、特別な矢のようで矢じり部分が長く鉄で出来ている。
すぐに畳み掛けるようにアルベロが魔法の準備をしている。
「ハリト! ニールも続けて撃って!」
痛がり、転がる魔物の頭目掛けてアルベロのハリトが金属の矢じりを通じて目を焼いていく。
体は丈夫でも、身体の中から脳を焼けば倒せるということか。
僕もすぐに集中して魔法を撃つ。
「ハリト!」
出し惜しみは無しだ。撃てるだけのハリトをここで全部使う。これで倒れないなら逃げるのみ。
僕の魔法のあとに続くようにアルベロもハリトを撃っていく。僕も何度も繰り返す。魔物が動かなくなるまで。
「た、倒したよね?」
「ええ、倒したわね……」
頭が黒く焼け焦げたホブゴブリン。これがゴブリンファイターに進化していた個体ならさらに苦戦したことだろう。
二人のその言葉を聞いた僕は尻餅をつくようにして後ろに倒れ込んでしまった。
それは物々しい緊張感からの解放だったり、いまさらになって足が竦んでガクガクになっていたというのもある。
「ちょっと、ニール大丈夫?」
そんな僕を見てアルベロが心配してくれる。
「ははっ、しばらく動けないかも……」
「そうだ。ポーション飲んでー。さっき吹き飛ばされたでしょ? 休憩、休憩ー」
さすがに洞窟内にまだゴブリンがいるとは考えづらいけど、中にさらわれた人がいる可能性はある。
ちゃんと体を休めてから探索するべきだろう。
確かに首に入っている攻撃なのだけど、まるで効いていない。というか、防御が厚すぎる。
「アルベロ、このゴブリン何なの?」
「ホブゴブリンにしては強すぎる。ひょっとしたらゴブリンファイターになりうる進化個体なのかもしれない」
冒険者ギルドの情報では、ゴブリンはDランク、ホブゴブリンは確かCランク、ゴブリンファイターはよくわからない。けど、ホブゴブリンの進化個体ともなればBランクに近い可能性もあるのか。
そんな魔物を倒すのはちょっと現実的ではない。
アルベロがCランク、ルイーズがDランク。DからCにはとてつもない壁があることを知っている。そうなると、Cより上のBランク近くになってしまうと、とんでもない力の差があるのは明白だろう。
三人で倒せる相手なのか。アルベロとルイーズはどう考えているのか。
二人を見ると、わかりやすく悩んでいた。相手は強いが一体。一方で弱い僕を危険にさらす可能性があるため逃げることも考えなくてはならない。
ならば僕の意志を伝えよう。悩んでいるということはきっと可能性があるということ……だよね?
「アルベロ、ハリトを使う許可を。ちゃんとタイミングを判断して撃つから」
まだみんな力を出し切ってはいない。僕だって効かないかもしれないけど魔法攻撃が残っている。
「わかったわ。ルイーズ、倒すわよ」
「オッケー。でもどうする? こいつ攻撃が通らない」
「ルイーズはスピード重視で場をかき回して。ニールはルイーズのフォローと隙をついた攻撃を」
「アルベロは?」
「私は目を狙う」
その言葉で何かを察したのかルイーズは動き始める。
「なら、私たちは攻撃を足下に集中させるよ」
「うん、わかった」
動き回る魔物の目をピンポイントで射抜くなんて神業、アルベロでなければ信じられない。
でも今までアルベロを見てきた僕には信じられる。もちろんそれはルイーズも同様だろう。
そうと決まればアルベロの矢が狙い通り目に当たるように少しでも可能性を高めるべく隙きをつくるのみ。
すぐにルイーズが魔物の動きを制限するようにヒットアンドアウェイで立ち回る。スピードだけをみればルイーズの方が上だ。
僕の役割は、魔物の気を引くべく先程と同様に大盾で音を立てルイーズをフォローする。
ルイーズも僕に攻撃が向かない程度に引きつけてくれる。
そしてルイーズの負担が大きくなりそうな所を見計らって、足下へ魔法を放つ。これは当たらなくてもいい。避けられて森に引火することを考えれば地面にぶつけた方が全然いい。
「ハリト!」
威力は低くても魔法は警戒するだろうし、地面を抉る攻撃は足下を崩す可能性もあるし、空中に避ければルイーズの攻撃が当たりやすくなる。
すると、予想通り魔法を警戒した魔物はハリトをジャンプして避ける選択をとる。
ここがチャンスだ!
その瞬間を逃さないようにルイーズが攻撃大勢に入る。僕も大盾を構えたまま魔物へ突進する。
魔物は着地とともにルイーズの攻撃を警戒して防御態勢に入るが、そこへ攻撃が来ると予想していなかった盾持ちが突進していることに慌ててしまう。
その隙を逃さずにルイーズの攻撃が二回、三回と入ると、魔物の態勢は崩れる。
「お、おりやぁぁぁぁ!」
そこへ突進するのは僕。
ルイーズの攻撃で膝をついた魔物の頭を殴りつけるように大盾で叩きつける。
「アルベロ!」
「いっけー!」
魔物は空を見上げるように大の字に倒れ、頭を回している。もちろん、そこまでのダメージは入っていない。すぐに起き上がるだろうけど、その瞬間を逃すアルベロではない。
鋭い風切音と共に、アルベロの攻撃が飛んでくる。
「ぐぎゃあおおおおおー」
魔物の叫び声とともに矢が二本同時に魔物の目を貫いていた。しかも、特別な矢のようで矢じり部分が長く鉄で出来ている。
すぐに畳み掛けるようにアルベロが魔法の準備をしている。
「ハリト! ニールも続けて撃って!」
痛がり、転がる魔物の頭目掛けてアルベロのハリトが金属の矢じりを通じて目を焼いていく。
体は丈夫でも、身体の中から脳を焼けば倒せるということか。
僕もすぐに集中して魔法を撃つ。
「ハリト!」
出し惜しみは無しだ。撃てるだけのハリトをここで全部使う。これで倒れないなら逃げるのみ。
僕の魔法のあとに続くようにアルベロもハリトを撃っていく。僕も何度も繰り返す。魔物が動かなくなるまで。
「た、倒したよね?」
「ええ、倒したわね……」
頭が黒く焼け焦げたホブゴブリン。これがゴブリンファイターに進化していた個体ならさらに苦戦したことだろう。
二人のその言葉を聞いた僕は尻餅をつくようにして後ろに倒れ込んでしまった。
それは物々しい緊張感からの解放だったり、いまさらになって足が竦んでガクガクになっていたというのもある。
「ちょっと、ニール大丈夫?」
そんな僕を見てアルベロが心配してくれる。
「ははっ、しばらく動けないかも……」
「そうだ。ポーション飲んでー。さっき吹き飛ばされたでしょ? 休憩、休憩ー」
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