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24 ゴブリン狩り3
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「ニール、離れて」
「う、うん」
足の遅い僕は万が一に備えて一番湖に近い場所で待機。出てくるゴブリンの数が多かったら、ルイーズが逃げ出しやすいように、残り一つとなったダルトのスクロールを使用して少しでも時間を稼ぐ役割だ。
「来るわ!」
そしてもう一つの役割は、洞窟から出てくるゴブリンから注目を集めること。
洞窟から三体のゴブリンが出てくると、正面で僕の大盾の立てる音を見て醜悪な笑みを浮かべた。
すると、早速一体のゴブリンが足下の縄に引っ掛かり、仲間を道連れにするように盛大に転んでいった。
縄に引っ掛からなかったゴブリンも倒れた仲間を振り返るタイミングでアルベロの矢が刺さり、倒れたゴブリンはあっさりルイーズにとどめをさされていった。
は、早い……。これでもう四体を倒したのか。
洞窟からは尚もゴブリンの騒がしい声が聞こえてくる。あと、何体いるのか。
「ほらっ、こっちだよ」
僕の役割は相変わらず音出し係。少し離れた洞窟の正面に立って、出てきたゴブリンの視線を集める。
しかしながら、今回は仲間の死体が転がっているせいで縄には足を引っ掛かってくれない。
現れたゴブリンは五体。どんどん増えてくる。
だけど、仲間の死体を見ているその瞬間を逃さないアルベロの矢が襲う。
これで、残り四体。
僕が一歩前に出て威嚇すると、怯えるように下がるゴブリン。倒れている仲間の死体を踏み体制を崩してしまう。そこをルイーズが心臓を一突き、反転してさらにもう一体に一突き。
あと二体。
二体のゴブリンは矢を警戒しながら、一番弱そうで、武器も持っていない僕に特攻をかけてくる。
しかしながら、わかりやすくまっすぐに突っ込んでくる小さなゴブリンなら、シンプルに大盾で吹き飛ばすのみ。
最悪、躱されたとしても二体程度ならアルベロとルイーズがすぐに倒してくれるはず。ゴブリンの武器がこん棒というのも僕に勇気をくれた。
直前まで引きつけて、大盾を一気に前へ突き出すと、激しい衝突音と共に、ゴブリンは飛ばされていった。
「ニール、やるー」
そう言いながらルイーズは倒れたゴブリンの首にショートソードを突き刺している。
そして、もう一体のゴブリンの頭には既にアルベロの矢が刺さっていた。
ちょっとだけど、はじめて戦闘で役に立った気がする。
「ニール、倒れているゴブリンを回収して。戦闘場所を確保したい。ルイーズは洞窟を警戒ね」
「りょーかーい」
洞窟前に倒れているゴブリンは全部で九体。首が飛んでいった個体も体を回収するタイミングで離れている首と一緒に消えていった。サービスなのか、首だけでも体を回収できるのか不明ながらもとにかく助かった。これで、討伐証明の左耳は確保できたのだから。
洞窟の前に倒れていたゴブリンたちは全てインベントリに入れて整理整頓も済んでいる。
この洞窟からあと何体のゴブリンが出てくるのか。
「足音が聞こえる。ニールは元の位置に戻ってー」
「わ、わかった」
やはり、まだいるらしい。
さっきまでとは違う大きな足音がゆっくりと近づいてきて、それは洞窟の手前で止まった。
どこか張り詰めたような空気を感じる。
でも、僕の役割は変わらない。
とにかく僕に注目を集める。そうすれば、アルベロとルイーズが倒してくれる。
しかしながら、洞窟から出てきたのは小さなゴブリンではなく、一回り以上大きくパワーのありそうな個体だった。
軽く周辺を見渡すことでルイーズの動きを牽制すると、僕に向かって全速力で駆けてくる。
「ニール、逃げて!」
ルイーズの声が響くけど、足が竦んで動けない。
アルベロの矢が胸に刺さるも、分厚い筋肉の壁で深くは刺さらない。
そして、勢いそのままに僕の構える大盾ごとタックルされると、僕は後方に転がるように吹き飛ばされた。
痛いけど、足も手も動く。血が出てるけど、おそらく擦り傷程度だろう。
目の前の魔物は武器を持っていない。いや、その体が武器と言ってもいい。ゴブリンの進化種なのだろうか。倒れている僕に向かってとどめを刺そうと近づいてくる。
「ハリト!」
矢が効かないとわかるや、アルベロは攻撃を魔法に切り替えたようだ。僕しか見ていなかったその魔物はもろに頭に爆発を受けた。
しかしながら、ゴブリンに効果のあるハリトも、この進化種には殺傷能力はなかった。
僕にできることは何か……。逃げたほうがいいのか。でも、そうすると次に狙われるのはルイーズだ。ルイーズは……。
ルイーズを見ると、爆発による瞬間を逃さないように攻撃に転じようとしているのが見えた。
ならば、僕もやってやる。インベントリからダルトのスクロールを取り出すと、進化種の足目掛けて魔法を放つ。
「ダルト!」
少しでも足止めになってくれればいい。
動きが鈍くなったところにアルベロの攻撃が通れば成功だ。
凍てつく冷気を足下に集中して放つと、進化種の足はみるみるうちに凍っていき、ダメージがあるようには思えないものの、その動きを抑える役割は果たしたと思う。
あと僕にできることといえば、禁止されている火の魔法ハリト。ルイーズが近づいているから無闇に撃てないけど、最悪の事態に備えて準備をしておく。
僕は近くに転がっていた大盾を拾い、いつでもハリトを撃てる準備をすることにした。
「う、うん」
足の遅い僕は万が一に備えて一番湖に近い場所で待機。出てくるゴブリンの数が多かったら、ルイーズが逃げ出しやすいように、残り一つとなったダルトのスクロールを使用して少しでも時間を稼ぐ役割だ。
「来るわ!」
そしてもう一つの役割は、洞窟から出てくるゴブリンから注目を集めること。
洞窟から三体のゴブリンが出てくると、正面で僕の大盾の立てる音を見て醜悪な笑みを浮かべた。
すると、早速一体のゴブリンが足下の縄に引っ掛かり、仲間を道連れにするように盛大に転んでいった。
縄に引っ掛からなかったゴブリンも倒れた仲間を振り返るタイミングでアルベロの矢が刺さり、倒れたゴブリンはあっさりルイーズにとどめをさされていった。
は、早い……。これでもう四体を倒したのか。
洞窟からは尚もゴブリンの騒がしい声が聞こえてくる。あと、何体いるのか。
「ほらっ、こっちだよ」
僕の役割は相変わらず音出し係。少し離れた洞窟の正面に立って、出てきたゴブリンの視線を集める。
しかしながら、今回は仲間の死体が転がっているせいで縄には足を引っ掛かってくれない。
現れたゴブリンは五体。どんどん増えてくる。
だけど、仲間の死体を見ているその瞬間を逃さないアルベロの矢が襲う。
これで、残り四体。
僕が一歩前に出て威嚇すると、怯えるように下がるゴブリン。倒れている仲間の死体を踏み体制を崩してしまう。そこをルイーズが心臓を一突き、反転してさらにもう一体に一突き。
あと二体。
二体のゴブリンは矢を警戒しながら、一番弱そうで、武器も持っていない僕に特攻をかけてくる。
しかしながら、わかりやすくまっすぐに突っ込んでくる小さなゴブリンなら、シンプルに大盾で吹き飛ばすのみ。
最悪、躱されたとしても二体程度ならアルベロとルイーズがすぐに倒してくれるはず。ゴブリンの武器がこん棒というのも僕に勇気をくれた。
直前まで引きつけて、大盾を一気に前へ突き出すと、激しい衝突音と共に、ゴブリンは飛ばされていった。
「ニール、やるー」
そう言いながらルイーズは倒れたゴブリンの首にショートソードを突き刺している。
そして、もう一体のゴブリンの頭には既にアルベロの矢が刺さっていた。
ちょっとだけど、はじめて戦闘で役に立った気がする。
「ニール、倒れているゴブリンを回収して。戦闘場所を確保したい。ルイーズは洞窟を警戒ね」
「りょーかーい」
洞窟前に倒れているゴブリンは全部で九体。首が飛んでいった個体も体を回収するタイミングで離れている首と一緒に消えていった。サービスなのか、首だけでも体を回収できるのか不明ながらもとにかく助かった。これで、討伐証明の左耳は確保できたのだから。
洞窟の前に倒れていたゴブリンたちは全てインベントリに入れて整理整頓も済んでいる。
この洞窟からあと何体のゴブリンが出てくるのか。
「足音が聞こえる。ニールは元の位置に戻ってー」
「わ、わかった」
やはり、まだいるらしい。
さっきまでとは違う大きな足音がゆっくりと近づいてきて、それは洞窟の手前で止まった。
どこか張り詰めたような空気を感じる。
でも、僕の役割は変わらない。
とにかく僕に注目を集める。そうすれば、アルベロとルイーズが倒してくれる。
しかしながら、洞窟から出てきたのは小さなゴブリンではなく、一回り以上大きくパワーのありそうな個体だった。
軽く周辺を見渡すことでルイーズの動きを牽制すると、僕に向かって全速力で駆けてくる。
「ニール、逃げて!」
ルイーズの声が響くけど、足が竦んで動けない。
アルベロの矢が胸に刺さるも、分厚い筋肉の壁で深くは刺さらない。
そして、勢いそのままに僕の構える大盾ごとタックルされると、僕は後方に転がるように吹き飛ばされた。
痛いけど、足も手も動く。血が出てるけど、おそらく擦り傷程度だろう。
目の前の魔物は武器を持っていない。いや、その体が武器と言ってもいい。ゴブリンの進化種なのだろうか。倒れている僕に向かってとどめを刺そうと近づいてくる。
「ハリト!」
矢が効かないとわかるや、アルベロは攻撃を魔法に切り替えたようだ。僕しか見ていなかったその魔物はもろに頭に爆発を受けた。
しかしながら、ゴブリンに効果のあるハリトも、この進化種には殺傷能力はなかった。
僕にできることは何か……。逃げたほうがいいのか。でも、そうすると次に狙われるのはルイーズだ。ルイーズは……。
ルイーズを見ると、爆発による瞬間を逃さないように攻撃に転じようとしているのが見えた。
ならば、僕もやってやる。インベントリからダルトのスクロールを取り出すと、進化種の足目掛けて魔法を放つ。
「ダルト!」
少しでも足止めになってくれればいい。
動きが鈍くなったところにアルベロの攻撃が通れば成功だ。
凍てつく冷気を足下に集中して放つと、進化種の足はみるみるうちに凍っていき、ダメージがあるようには思えないものの、その動きを抑える役割は果たしたと思う。
あと僕にできることといえば、禁止されている火の魔法ハリト。ルイーズが近づいているから無闇に撃てないけど、最悪の事態に備えて準備をしておく。
僕は近くに転がっていた大盾を拾い、いつでもハリトを撃てる準備をすることにした。
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