14 / 151
13 ラウラの森の湖
しおりを挟む
湖周辺は両生類であるジャイアントトードの一大棲息地になっている。また水を飲みに他の魔物もやってくることから、かなり注意が必要なエリアとのこと。
冒険者も水が必要ではと思うかもしれないけど、そこは生活魔法である「注水」が使われる。パーティメンバーに一人ぐらいは「注水」を使える者がいるぐらいにはメジャーな生活魔法らしい。
ということで、ここでの狩りについては魔物をおびき寄せて各個撃破していく作戦がとられるのが一般的で、それがギルドの方針でもある。
湖で戦っていたら他の魔物が警戒してしまったり、逆にやってきた多くの魔物と混戦となり危険に陥ってしまう可能性があるとのこと。
そういうことで、湖周辺には誘導役やデコイ役の冒険者ぐらいしかいない。
そんな危険な場所でマギカ草を採取しようと考えていた自分の愚かさを今さらながらに感じている。ロージー先輩に話しても、きっと「危ないよ」と諭されたことだろう。
それにしても美しい湖だ。まるで海じゃないかと思えなくもない広さの湖。遠くを見るとマギカ草と思われるものが群生している。
木々や草花と湖のブルーの色合いが本当に綺麗で、こんな場所に住めたらいいなーとか思ってはみたものの、魔物が休むまもなくやってくるとなると寝る暇もないことは言うまでもない。というか、僕一人だと生きることさえ難しいだろう。
「どれを狙う」
「ルイーズさんに任せるよ」
ちょっと興味があったのと、マギカ草が多く自生する湖を見てみたかったというのもあって、ルイーズさんに誘導役の勉強をさせてもらうことにしたのだ。
誘導は割と簡単で、単体でいるジャイアントトードに小石をぶつけて湖から引き離すというもの。中にはデコイといって弱った魔物に似せた動きをして誘導させる冒険者もいるらしい。
「まさか、こんなところで小石が役に立つとは思わなかったよ。はい、使ってください」
「それってガチャのハズレ品だっけ。うん、ちょうど投げやすい大きさかも」
特に難しいこともなく、ルイーズさんは立ち上がってジャイアントトードにこちらの姿が見えるようにするとまっすぐに小石を投げた。
「ゲコ、ゲコッ!」
こちらを振り返ると怒り心頭のジャイアントトードはこちらに向かってくる。案外あっさり成功してしまうらしい。
ジャイアントトードはそこまで俊敏な魔物ではないので、僕でもここまではやれそうだ。
「行こう、ニールさん」
「う、うん」
問題があるとしたら、逃げてる途中に他の魔物に見つかってしまう場合だろうか。逃げるにしても他の魔物を引き連れてきてルイーズさんやアルベロさんを危険にさらしてしまう可能性は高い。
前を進むルイーズさんから足音というのはあまり聞こえない。僕にルイーズさんのような動きは難しい。
「森の歩き方を覚えるまではこの役は私がやった方がいいかなー」
「ですよねー」
「まあ、元々ニールさんの役割はアルベロと荷車を守ってもらうことだから気にしないで」
「そう言ってもらえると助かります」
「いいの、いいの。ニールさんはもう十分に役立っているんだから。インベントリのことは私たちにとっても嬉しい誤算だったというか……」
初回プレミアム特典ガチャありがとう。何となく、インベントリのおかげで後ろめたさみたいなものがなくなったのは僕としても嬉しい。
そうこうしているうちに、僕たちは誘導場所まであと少しのところまでやってきていた。
ジャイアントトードを引きつけつつ、アルベロさんの待っている少し開けた場所に到着すると、弓の射線から外れるように二手に分かれる。
「二人ともお疲れさま」
木の上で待機していたアルベロさんは準備万端なようで、広場にやってきたジャイアントトードの頭部を前回と同じようにビュンっと一発で仕留めていった。
「すごい精度だね」
「ジャイアントトードは動きがそこまで速くないからこんなものよ。ルイーズ、三体ぐらいまでならおびき寄せても大丈夫よ」
「そうだね。今日は稼いじゃおうかー」
「あっ、じゃあ、僕が解体しますね」
「うん、よろしくねー」
どうやら、この周辺はジャイアントトードやゴブリンがいるからなのかホーンラビットの姿はあまり見ない。
あまりというのは、僕が気づく前にアルベロさんが仕留めているからで、僕はそのホーンラビットを荷車に乗せるぐらい。
ウサギの解体はやったことがないので、あとでルイーズさんに教えてもらおうと思う。
「とりあえず、インベントリに入れておこうかな」
そんな軽い気持ちでホーンラビットをインベントリに入れたのだけど、そこでとんでもないことに気づいてしまった。
インベントリをタップすると五つの大項目が現れる。
●ジャイアントトード
●ホーンラビット
●小石
●リカバリーポーション
●ヒーリング草
次にホーンラビットをタップすると
●ホーンラビット
→ツノ(討伐証明)
→お肉
→毛皮
→死骸
ホーンラビットは勝手に四つの項目に分かれていたのだ。
これが意味することは、つまり、自動解体機能とでもいえばいいだろうか。
インベントリに入れてしまえば解体はやらなくてもいいということらしい……。
冒険者も水が必要ではと思うかもしれないけど、そこは生活魔法である「注水」が使われる。パーティメンバーに一人ぐらいは「注水」を使える者がいるぐらいにはメジャーな生活魔法らしい。
ということで、ここでの狩りについては魔物をおびき寄せて各個撃破していく作戦がとられるのが一般的で、それがギルドの方針でもある。
湖で戦っていたら他の魔物が警戒してしまったり、逆にやってきた多くの魔物と混戦となり危険に陥ってしまう可能性があるとのこと。
そういうことで、湖周辺には誘導役やデコイ役の冒険者ぐらいしかいない。
そんな危険な場所でマギカ草を採取しようと考えていた自分の愚かさを今さらながらに感じている。ロージー先輩に話しても、きっと「危ないよ」と諭されたことだろう。
それにしても美しい湖だ。まるで海じゃないかと思えなくもない広さの湖。遠くを見るとマギカ草と思われるものが群生している。
木々や草花と湖のブルーの色合いが本当に綺麗で、こんな場所に住めたらいいなーとか思ってはみたものの、魔物が休むまもなくやってくるとなると寝る暇もないことは言うまでもない。というか、僕一人だと生きることさえ難しいだろう。
「どれを狙う」
「ルイーズさんに任せるよ」
ちょっと興味があったのと、マギカ草が多く自生する湖を見てみたかったというのもあって、ルイーズさんに誘導役の勉強をさせてもらうことにしたのだ。
誘導は割と簡単で、単体でいるジャイアントトードに小石をぶつけて湖から引き離すというもの。中にはデコイといって弱った魔物に似せた動きをして誘導させる冒険者もいるらしい。
「まさか、こんなところで小石が役に立つとは思わなかったよ。はい、使ってください」
「それってガチャのハズレ品だっけ。うん、ちょうど投げやすい大きさかも」
特に難しいこともなく、ルイーズさんは立ち上がってジャイアントトードにこちらの姿が見えるようにするとまっすぐに小石を投げた。
「ゲコ、ゲコッ!」
こちらを振り返ると怒り心頭のジャイアントトードはこちらに向かってくる。案外あっさり成功してしまうらしい。
ジャイアントトードはそこまで俊敏な魔物ではないので、僕でもここまではやれそうだ。
「行こう、ニールさん」
「う、うん」
問題があるとしたら、逃げてる途中に他の魔物に見つかってしまう場合だろうか。逃げるにしても他の魔物を引き連れてきてルイーズさんやアルベロさんを危険にさらしてしまう可能性は高い。
前を進むルイーズさんから足音というのはあまり聞こえない。僕にルイーズさんのような動きは難しい。
「森の歩き方を覚えるまではこの役は私がやった方がいいかなー」
「ですよねー」
「まあ、元々ニールさんの役割はアルベロと荷車を守ってもらうことだから気にしないで」
「そう言ってもらえると助かります」
「いいの、いいの。ニールさんはもう十分に役立っているんだから。インベントリのことは私たちにとっても嬉しい誤算だったというか……」
初回プレミアム特典ガチャありがとう。何となく、インベントリのおかげで後ろめたさみたいなものがなくなったのは僕としても嬉しい。
そうこうしているうちに、僕たちは誘導場所まであと少しのところまでやってきていた。
ジャイアントトードを引きつけつつ、アルベロさんの待っている少し開けた場所に到着すると、弓の射線から外れるように二手に分かれる。
「二人ともお疲れさま」
木の上で待機していたアルベロさんは準備万端なようで、広場にやってきたジャイアントトードの頭部を前回と同じようにビュンっと一発で仕留めていった。
「すごい精度だね」
「ジャイアントトードは動きがそこまで速くないからこんなものよ。ルイーズ、三体ぐらいまでならおびき寄せても大丈夫よ」
「そうだね。今日は稼いじゃおうかー」
「あっ、じゃあ、僕が解体しますね」
「うん、よろしくねー」
どうやら、この周辺はジャイアントトードやゴブリンがいるからなのかホーンラビットの姿はあまり見ない。
あまりというのは、僕が気づく前にアルベロさんが仕留めているからで、僕はそのホーンラビットを荷車に乗せるぐらい。
ウサギの解体はやったことがないので、あとでルイーズさんに教えてもらおうと思う。
「とりあえず、インベントリに入れておこうかな」
そんな軽い気持ちでホーンラビットをインベントリに入れたのだけど、そこでとんでもないことに気づいてしまった。
インベントリをタップすると五つの大項目が現れる。
●ジャイアントトード
●ホーンラビット
●小石
●リカバリーポーション
●ヒーリング草
次にホーンラビットをタップすると
●ホーンラビット
→ツノ(討伐証明)
→お肉
→毛皮
→死骸
ホーンラビットは勝手に四つの項目に分かれていたのだ。
これが意味することは、つまり、自動解体機能とでもいえばいいだろうか。
インベントリに入れてしまえば解体はやらなくてもいいということらしい……。
36
お気に入りに追加
1,821
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
スキルを極めろ!
アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作
何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める!
神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。
不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。
異世界でジンとして生きていく。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる