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Ⅷ 追記
追記:アズレイアの研究 ★
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『Ⅰ前置き
魔法陣とは基礎となる精霊の魔術印を組み合わせ、精霊契約をせずに精霊の加護を擬似的に発動するものである。
最も単純な元素精霊の魔術印の効果は非常に小さい。
これを使用用途に必要な力量まで引き上げるために、増幅の魔術印を組み合わせる必要がある。
ただし、増幅の魔術印の無作為な複数使用は、比例的に必要とする魔力量を増加させていく。
魔法陣の効率化については先の『魔法陣の線画画数、分岐数と魔力減少の相関関係と効率化』(*王立図書館禁書目録2023-2)に詳しく述べた。
効率化された魔法陣の発動に必要とされる魔力量を最低レベルと考え、これを1mtとした場合、現在知られる最も不効率な書式で書かれた同一の効果の魔法陣が必要とする魔力量は約300倍となる。
(*参照Ⅴーⅳ:魔法陣の使用量比較)
魔法陣の種類ごとに必要とされる最低値は異なるため、仮定的にその平均値を7mtと置く。
(*参照同上)
これを発動出来る魔力量の目標とし、貴族外の人間に淫紋紙を用い、その魔力を増量・定着するために、性交による民間の魔力譲渡を実験的に執り行──』
「──アズレイア、いい加減にしろ」
「ひゃっ!」
執筆中の研究指導書に集中していたアズレイアが、突然後ろから名を呼ばれてビクリと飛び上がる。
カルロスの言い方からして、多分、もうすでに何回か声をかけた後なのだろう。
だが本気で執筆中のアズレイアに、周りの音など聞こえやしないのだから仕方ない。
裸のまま、肩にローブを引っ掛け、前も閉じずに論文に勤しんでいたアズレイアは、真後ろに仁王立ちするカルロスにおずおずと視線を向けた。
「カルロス、起きちゃったの?」
しれっとそんな答えを返すアズレイアに、カルロスがため息をつきながら、壁に備え付けられた塔の明かりを灯しにいく。
テーブルに置いてあるランプの光量を絞り切っていたアズレイアは、突然明るくなった部屋に眼をしばたたかせた。
「お前こそ、また一人で起きだしてたのか。何度言ったら分かる。こんな暗い中でものを書くな」
そう言いながら戻ってきたカルロスが、アズレイアのペンを手から奪い取り、ペン挿しに戻す。
それを不服そうに見返して、アズレイアが精いっぱいの反論を返した。
「だって。最近あなた、夜寝かしてくれないから昼間力尽きて書けないんだもの」
そう、カルロスは毎日やってくる。
一緒に夕飯を食べながら、王城での出来事などを色々話し、そして食べ終わるとほぼ確実にアズレイアをベッドに押し倒す。
今夕食を食べたばかりでよくもまあと思うほど、カルロスは精力的に攻めに来る。
……というか、長い前儀を消化運動とでも思ってるらしい。
最初からフルスピードで責め立てられるアズレイアにはたまったものではない。
しかもモントレー家での話し合い以来、思うところでもあったのか、カルロスは前戯だけで我慢することを放棄した。
以前と違い、前戯だけで終わらない分、下手したらアズレイアが体力的に限界を見ることになる……。
しかも結構な数をこなすので、アズレイアは連日昼間は使い物にならなくなっていた。
「なんだ、そういうことか」
アズレイアの反論を聞いたカルロスが、なぜか嬉しそうに笑っている。
それをみたアズレイアは、もう悪い予感しかしない……。
「じゃあもう夜中に目が覚めなくなるまでちゃんとしてやるよ」
「待って、それじゃあ私はいつ研究すればいいのよ!」
言い返すアズレイアの体はもう宙を浮いている。
カルロスが片手でアズレイアを抱え上げ、膝に乗せながら椅子に座った。
「今書けばいい。俺は止めない」
そんな無茶な!
「ほら、どうした。続きを書けよ」
アズレイアを膝に乗せ、はだけたローブの上から腰を抱え込んだカルロスがせっつく。
抱きしめてはいるが、それ以上はしてこないカルロスに、不審に思うも、清書中の研究資料からどうしても目を逸らせない。
書類保管の関係上、提出用の書類は全て最高級インクで書かねばならないのだ。
このまま放っておくと、今あのペンについているインクが無駄になる。
これが最後の清書だ。
これさえ終われば、今度こそ魔術師総会に提出出来る──。
不安は残れど、結局ペンをとって書き始めるアズレイア。
『これを発動出来る魔力量を目標とし、貴族外の人間に淫紋紙を用い、その魔力を増量・定着するために、性交による民間の魔力譲渡を実験的に執り行う。』
先ほどの続きから書き進め、一行二行書き足したところで、カルロスの手がアズレイアの素肌を滑り出した。
だがすでに清書に気を取られきっているアズレイアは、カルロスの悪戯を止めることなど思いつきもしない。
『*魔力譲渡に関する理論は『肉体関係による魔力移譲と魔力差の相関関係』(*王立図書館禁書目録2018-2)を参照
Ⅱ 検証内容
ⅰ淫紋紙を利用した魔力譲渡概要
指定の淫紋紙を用い、二人の魔力を一時的に増加し、一定方向(男性から女性)への魔力の移譲を確認する。
・淫紋は必ず両者に同じ物を使用する
・淫紋の効果は24時間以内とす~~~』
肌を優しく撫で上げ、片手が胸を包み込む。
やわやわと、壊れ物のように揉み始めるカルロスの愛撫が、やがて静かにエスカレートし始める……。
「ンンンッ!」
突然乳首が転がされ、手元が狂う。
書きそこないを消そうと腰を浮かせ、白インクに手を伸ばした隙に、アズレイアのローブの裾が一気に捲りあげられた。
「ま、待って」
「安心しろ。挿れる気はまだない」
そう言うと、カルロスが半立ちになったアズレイアの腰を無理やり後ろに引っ張った。
まだってなによ!
そう思うも、自分の置かれた怪しい状況と、目前の書き損ないのほうに気が回って声が出ない。
事後にそのまま眠りについたため、カルロスも裸のままだ。
結果、ローブを捲り上げられたまま腰を引かれたアズレイアの無防備な秘部に、カルロスの熱をもった肉茎が挟まった。
肌と肌がふれあい、カルロスの熱が直接伝わってきて、一気に体が熱くなる。
下着もつけず、ローブを羽織ったままでいた自分が悪い。
そう後悔するも、もう遅い。
アズレイアの太腿の間に、カルロスの陰茎の先端が覗いて見える。
しっかりと起立したそれを見て、アズレイアの喉が小さく鳴った。
それに気をよくしたのか、カルロスの胸を揉む手が滑らかに動き出す。
「どうした、続けろよ」
アズレイアが身を捩るのを楽しみつつ、カルロスがわざとらしくせっついた。
こんなおかしな状況に、アズレイアも文句を言いたいのは山々だが、それ以上に乾きかけのインクが気になって仕方ない。
何とかペンを握り直し、訂正をつけつつ書き進むアズレイア。
『・淫紋の効果は24時間以内とする
・性交回数(必ず射精を含む)は制限時間内に1回から3回までとする。
・最後の性交から6時間ごとに、両者の魔力量を検証する。
(*検証方法はⅢ-ⅴ『魔力量検証方法の選定と実施要項』を参照)
ⅱ対象者選定における条件
被験体は必ず夫婦、またはそれに準ずる関係を証明できるものとすううレ──────』
「──ひぁん、アッ、それ…、ぁ……」
折角少し書き進めたのに、今度はカルロスが耳を舐めはじめ、反射で手が震えて書きそこなった。
どう考えたってこれで書き進められるわけがない。
「ねえ、ムリ、もう、書けない」
「んぁ、諦めるな。大事な研究なんだろ?」
いや、もう諦めたい。
そう思うのに、アズレイアのペンを持つ手をカルロスの手が握りこむ。
そのまま、アズレイアの片手をテーブルに縫いつけ、動きが制限された彼女の首筋をカルロスの大きな口が甘噛みしていく……。
前にのけぞるアズレイアの首筋をとらえ、徐々に肩口まで舌を這わせたカルロスは、また耳に戻って嬲り倒した。
「ハァ……ン……アッ、アッ……」
息が切れ、吐息が塔に響きだし、もう自分がじっとりと濡れてきてしまったのが分かってしまう。
なのに、その秘所にあてがわれたカルロスの男根は、まだ少しも動いてくれなくて。
結果、ただあてがわれるだけのその肉茎を、自分の体液が汚していくのを強く意識させられるアズレイア。
執拗に乳首を転がしていたカルロスの指が、徐々にその力を強め、乳首の先端がピリピリし始めた。
断続的なその刺激は、不思議なほど逃れようがなく、徐々にアズレイアを追い詰めていく。
「お前、これも好きだったろう」
そう言われて、淫紋紙の時のことを思いだした。
気のせいなんかじゃない!
そういえばカルロスったら、雷の精霊を使うんだった!
「それ、キツイ!」
「痛くはないだろう」
痛い痛くないじゃない。
刺激が強い。
こするわけでも叩くわけでもないのに、ジンジンとした刺激が先端から走り出す。
下腹部に響くそれを逃がそうとして、アズレイアの下半身が勝手に揺れだした。
繰り返し揺れる腰とともに、アズレイアの口から甘い吐息が漏れていく。
「いいぞ。もっと俺のを濡らせよ」
アズレイアの潤いきった秘部が滑るたび、カルロスの男根が愛液に濡れる。
耳を嬲る水音とともに、カルロスの命令が脳にしみこんでいく……。
そんな卑猥な言葉に従う必要はないはずなのに、体は勝手に従った。
腰を揺らし、カルロスの男根に自分の陰部を擦り付けると、淫靡な水音が流れ出す。
花芯が亀頭にすられるたびに、甘く切ないシビレが下腹部を走っていく。
それを少しでも長く感じたくて、アズレイアが大きく腰を揺らした。
胸と下腹部、絶え間ない両方の刺激に、アズレイアの頭から書くべき研究の内容が解け落ちていく。
「アズレイア。今お前が欲しいのはなんだ?」
とろとろに蕩けたアズレイアの耳に、カルロスの問いかけが響く。
「その研究書か?」
違う。
「ペンか?」
違う。
「研究が一番だもんな。俺のコレはいらないんだよな?」
そんなわけない……!
今一番欲しいのは、カルロスだ。
カルロスの与えてくれる刺激を奥に欲して、アズレイアの中が疼く。
疼きはそのまま愛液に変わって、二人の間をより潤していく。
「欲しいなら口にしろ」
耳元でカルロスが意地悪に囁く。
「中を突いてほしいって言えよ」
そんな言葉を言わせるとか、絶対カルロスは変態だ。
そう思うのに、欲しい気持ちが上回って、口を開いてしまうアズレイア。
「いいから、お願い入れ──ヒャッ!」
とりあえず言えることを言ったアズレイアの乳首に、一段と強い刺激が流れ込む。
その強い刺激に全身が震え、アズレイアの口から軽い悲鳴が上がった。
「全く情緒がない。やり直しだ」
乳首の刺激で体が跳ねるも、後ろと手首をカルロスに抑えられて大して逃げられない。
そのままカルロスがゆっくりと腰を揺らしだし、アズレイアの濡れた秘裂に新しい刺激が加わった。
「ほら……もっと、ちゃんと、おねだり、して……みろよ」
カルロスも善いのだろう。息が上がり、声が掠れて途切れがちになる。
それでもただただアズレイアの間合いを擦るばかりで、中に挿入ってきてはくれない。
もどかしいを通り越し、いい加減イライラし始めたアズレイア。
思わず感情に任せて叫ぶ。
「あなたの男性生殖器で私の膣壁を開いて性交して!」
叫ぶに事欠いて、アズレイアはさっき書きかけの論文に使っていた言葉を引用した。
無論萎えそうになるのを我慢して、カルロスが息も荒く腰を振る。
「おっ前は! どこまでそっちに気を取られてるんだよ!」
彼女の研究は尊敬する。
アズレイアが人生をかけて頑張っているのも分かっていた。
だとしても、やってる最中に自分以外のことが彼女の頭にあるのがとにかく気に入らない。
握っていたアズレイアの手をしっかりと掴みなおし、腰に手を添えて彼女の上半身を軽く引っぱりあげる。
吊り上げられ浮き上がったアズレイアの腰の下に、自分の男根を押し当てたカルロスは、そのまま一気に最奥まで貫いた。
「ひぁんんンンッ………!」
一気に一番奥の深い場所まで、カルロスの太い楔を向かい入れたアズレイア。
勝手に嬌声が上がり、突き上げられた腰から脳天まで雷のような快感が突き抜ける。
だが休む間も与えずに、カルロスが腰を揺らし始めた。
「なあ……その紙切れに、俺とお前の…性交も、入れる…気…か?」
ゆっくりと腰をスライドさせ、亀頭でグリグリとアズレイアの奥をえぐりつつ、カルロスが苦し気に問いかける。
奥を何度も擦られて、息のつけないアズレイア。
だけど頭の隅では考えていた。
それはここじゃなくて別の検証資料に……
考えても、それを口にするほどアズレイアも馬鹿じゃない。
だがその顔つきから、アズレイアが余計な何かを思いついたとカルロスは気づく。
「おい、いま何を考えた? 余計なこと考えてるようじゃまだまだ足りないってことだな」
一気に手加減なく突き上げ始めるカルロスに、アズレイアは胸中でズルいと叫ぶ。
「ヒッ、アッ、アッ、アッ」
でもその口から漏れ出すのは、可愛らしい鳴き声だけだ。
それがカルロスを余計に煽る。
もっとそれが聞きたくて、荒い息の中、アズレイアの耳もとで囁くカルロス。
「俺を見ろよ」
抜くたびにカルロスの亀頭が蜜口を押しわり、
「俺を感じろよ」
肉茎が膣壁を押し広げ、
「俺以外を忘れて」
最奥に達した鈴口がアズレイアの奥の口にキスを繰り返す。
「俺だけで頭いっぱいにして、俺一色に染まれよ」
そのたびに広がる快感の強烈さに、アズレイアの脳内がカルロス一色に染め上げられていく──。
「そんなに、欲しかったか! これが、欲しかったのか!」
カルロスは尋ねてるわけではない、アズレイアを洗脳してるだけだ。
言葉とともにズンズンと奥に響く突き上げに、アズレイアの息がだんだん薄くなる。
「なら、もっと味わえよッ」
酸欠で目の前がうっすらと暗くなり、
「もっと、突き上げて、やるから、よッ」
思考能力が低下して、もう考えるのは快感とカルロスだけ。
「言えよ、アズレイア、もっと、俺を、求めて、見せろ!」
思考力の落ち切った脳が、反射的に答えを返す。
「好き、好き、これ好き、大好き♡ カルロス、スキィ♡ キモチイイ、これキモチイイィィィ……」
「バカ、言いすぎだ!!!」
アズレイアの素直すぎる反応に一気に煽られ、まるっきり抑えが効かなくなるカルロス。
これをやるからこいつを抱くとあっという間に終わっちまうんだよ!
せりあがる欲望は溶けた鉄のように体内を駆け巡り、渦のような欲求が腰を飲み込んでもう抑えきれない。
「出すぞアズレイア!」
カルロスの硬い肉杭が一段と深く打ち込まれ、最奥のまた奥へと白濁を吐き出し、欲望のすべてがアズレイアの下半身へと注がれていく。
それはアズレイアの胎だけでは収まりきらず、ボトボトと滴り落ちて椅子やその下の床を濡らした。
達した勢いでアズレイアの小さな体を机に押しつぶしていたカルロスが、まだ治まらぬ息とともに呻く。
「それで、どうだ、進捗は?」
そのまま書きかけの紙を拾い上げ、アズレイアの目前にチラつかせた。
「よく捗っただろう。これなら文句ないな」
「ひいいいいいぃぃぃぃ!」
やっと息が整ってきたアズレイアが目にしたのは、一部が破れ、ペンのインクが飛び散り、汗やらなにやら分からぬ液体でぐじゃぐじゃに文字が崩れた紙片だった。
☆ ☆ ☆
それから一週間、カルロスは塔から締め出された。
怒って顔も見せてくれないアズレイアに、肉のパンばさみとエール、それに研究用の素材あれこれをハリスに持たせ、毎日貢ぎつづけたその結果。
『今後決してアズレイアの研究資料の周りで淫らなことをしない』と誓った神殿契約書にサインをさせられ、やっと塔への出入りを許可されたカルロスだった。
追記:アズレイアの研究(完)
魔法陣とは基礎となる精霊の魔術印を組み合わせ、精霊契約をせずに精霊の加護を擬似的に発動するものである。
最も単純な元素精霊の魔術印の効果は非常に小さい。
これを使用用途に必要な力量まで引き上げるために、増幅の魔術印を組み合わせる必要がある。
ただし、増幅の魔術印の無作為な複数使用は、比例的に必要とする魔力量を増加させていく。
魔法陣の効率化については先の『魔法陣の線画画数、分岐数と魔力減少の相関関係と効率化』(*王立図書館禁書目録2023-2)に詳しく述べた。
効率化された魔法陣の発動に必要とされる魔力量を最低レベルと考え、これを1mtとした場合、現在知られる最も不効率な書式で書かれた同一の効果の魔法陣が必要とする魔力量は約300倍となる。
(*参照Ⅴーⅳ:魔法陣の使用量比較)
魔法陣の種類ごとに必要とされる最低値は異なるため、仮定的にその平均値を7mtと置く。
(*参照同上)
これを発動出来る魔力量の目標とし、貴族外の人間に淫紋紙を用い、その魔力を増量・定着するために、性交による民間の魔力譲渡を実験的に執り行──』
「──アズレイア、いい加減にしろ」
「ひゃっ!」
執筆中の研究指導書に集中していたアズレイアが、突然後ろから名を呼ばれてビクリと飛び上がる。
カルロスの言い方からして、多分、もうすでに何回か声をかけた後なのだろう。
だが本気で執筆中のアズレイアに、周りの音など聞こえやしないのだから仕方ない。
裸のまま、肩にローブを引っ掛け、前も閉じずに論文に勤しんでいたアズレイアは、真後ろに仁王立ちするカルロスにおずおずと視線を向けた。
「カルロス、起きちゃったの?」
しれっとそんな答えを返すアズレイアに、カルロスがため息をつきながら、壁に備え付けられた塔の明かりを灯しにいく。
テーブルに置いてあるランプの光量を絞り切っていたアズレイアは、突然明るくなった部屋に眼をしばたたかせた。
「お前こそ、また一人で起きだしてたのか。何度言ったら分かる。こんな暗い中でものを書くな」
そう言いながら戻ってきたカルロスが、アズレイアのペンを手から奪い取り、ペン挿しに戻す。
それを不服そうに見返して、アズレイアが精いっぱいの反論を返した。
「だって。最近あなた、夜寝かしてくれないから昼間力尽きて書けないんだもの」
そう、カルロスは毎日やってくる。
一緒に夕飯を食べながら、王城での出来事などを色々話し、そして食べ終わるとほぼ確実にアズレイアをベッドに押し倒す。
今夕食を食べたばかりでよくもまあと思うほど、カルロスは精力的に攻めに来る。
……というか、長い前儀を消化運動とでも思ってるらしい。
最初からフルスピードで責め立てられるアズレイアにはたまったものではない。
しかもモントレー家での話し合い以来、思うところでもあったのか、カルロスは前戯だけで我慢することを放棄した。
以前と違い、前戯だけで終わらない分、下手したらアズレイアが体力的に限界を見ることになる……。
しかも結構な数をこなすので、アズレイアは連日昼間は使い物にならなくなっていた。
「なんだ、そういうことか」
アズレイアの反論を聞いたカルロスが、なぜか嬉しそうに笑っている。
それをみたアズレイアは、もう悪い予感しかしない……。
「じゃあもう夜中に目が覚めなくなるまでちゃんとしてやるよ」
「待って、それじゃあ私はいつ研究すればいいのよ!」
言い返すアズレイアの体はもう宙を浮いている。
カルロスが片手でアズレイアを抱え上げ、膝に乗せながら椅子に座った。
「今書けばいい。俺は止めない」
そんな無茶な!
「ほら、どうした。続きを書けよ」
アズレイアを膝に乗せ、はだけたローブの上から腰を抱え込んだカルロスがせっつく。
抱きしめてはいるが、それ以上はしてこないカルロスに、不審に思うも、清書中の研究資料からどうしても目を逸らせない。
書類保管の関係上、提出用の書類は全て最高級インクで書かねばならないのだ。
このまま放っておくと、今あのペンについているインクが無駄になる。
これが最後の清書だ。
これさえ終われば、今度こそ魔術師総会に提出出来る──。
不安は残れど、結局ペンをとって書き始めるアズレイア。
『これを発動出来る魔力量を目標とし、貴族外の人間に淫紋紙を用い、その魔力を増量・定着するために、性交による民間の魔力譲渡を実験的に執り行う。』
先ほどの続きから書き進め、一行二行書き足したところで、カルロスの手がアズレイアの素肌を滑り出した。
だがすでに清書に気を取られきっているアズレイアは、カルロスの悪戯を止めることなど思いつきもしない。
『*魔力譲渡に関する理論は『肉体関係による魔力移譲と魔力差の相関関係』(*王立図書館禁書目録2018-2)を参照
Ⅱ 検証内容
ⅰ淫紋紙を利用した魔力譲渡概要
指定の淫紋紙を用い、二人の魔力を一時的に増加し、一定方向(男性から女性)への魔力の移譲を確認する。
・淫紋は必ず両者に同じ物を使用する
・淫紋の効果は24時間以内とす~~~』
肌を優しく撫で上げ、片手が胸を包み込む。
やわやわと、壊れ物のように揉み始めるカルロスの愛撫が、やがて静かにエスカレートし始める……。
「ンンンッ!」
突然乳首が転がされ、手元が狂う。
書きそこないを消そうと腰を浮かせ、白インクに手を伸ばした隙に、アズレイアのローブの裾が一気に捲りあげられた。
「ま、待って」
「安心しろ。挿れる気はまだない」
そう言うと、カルロスが半立ちになったアズレイアの腰を無理やり後ろに引っ張った。
まだってなによ!
そう思うも、自分の置かれた怪しい状況と、目前の書き損ないのほうに気が回って声が出ない。
事後にそのまま眠りについたため、カルロスも裸のままだ。
結果、ローブを捲り上げられたまま腰を引かれたアズレイアの無防備な秘部に、カルロスの熱をもった肉茎が挟まった。
肌と肌がふれあい、カルロスの熱が直接伝わってきて、一気に体が熱くなる。
下着もつけず、ローブを羽織ったままでいた自分が悪い。
そう後悔するも、もう遅い。
アズレイアの太腿の間に、カルロスの陰茎の先端が覗いて見える。
しっかりと起立したそれを見て、アズレイアの喉が小さく鳴った。
それに気をよくしたのか、カルロスの胸を揉む手が滑らかに動き出す。
「どうした、続けろよ」
アズレイアが身を捩るのを楽しみつつ、カルロスがわざとらしくせっついた。
こんなおかしな状況に、アズレイアも文句を言いたいのは山々だが、それ以上に乾きかけのインクが気になって仕方ない。
何とかペンを握り直し、訂正をつけつつ書き進むアズレイア。
『・淫紋の効果は24時間以内とする
・性交回数(必ず射精を含む)は制限時間内に1回から3回までとする。
・最後の性交から6時間ごとに、両者の魔力量を検証する。
(*検証方法はⅢ-ⅴ『魔力量検証方法の選定と実施要項』を参照)
ⅱ対象者選定における条件
被験体は必ず夫婦、またはそれに準ずる関係を証明できるものとすううレ──────』
「──ひぁん、アッ、それ…、ぁ……」
折角少し書き進めたのに、今度はカルロスが耳を舐めはじめ、反射で手が震えて書きそこなった。
どう考えたってこれで書き進められるわけがない。
「ねえ、ムリ、もう、書けない」
「んぁ、諦めるな。大事な研究なんだろ?」
いや、もう諦めたい。
そう思うのに、アズレイアのペンを持つ手をカルロスの手が握りこむ。
そのまま、アズレイアの片手をテーブルに縫いつけ、動きが制限された彼女の首筋をカルロスの大きな口が甘噛みしていく……。
前にのけぞるアズレイアの首筋をとらえ、徐々に肩口まで舌を這わせたカルロスは、また耳に戻って嬲り倒した。
「ハァ……ン……アッ、アッ……」
息が切れ、吐息が塔に響きだし、もう自分がじっとりと濡れてきてしまったのが分かってしまう。
なのに、その秘所にあてがわれたカルロスの男根は、まだ少しも動いてくれなくて。
結果、ただあてがわれるだけのその肉茎を、自分の体液が汚していくのを強く意識させられるアズレイア。
執拗に乳首を転がしていたカルロスの指が、徐々にその力を強め、乳首の先端がピリピリし始めた。
断続的なその刺激は、不思議なほど逃れようがなく、徐々にアズレイアを追い詰めていく。
「お前、これも好きだったろう」
そう言われて、淫紋紙の時のことを思いだした。
気のせいなんかじゃない!
そういえばカルロスったら、雷の精霊を使うんだった!
「それ、キツイ!」
「痛くはないだろう」
痛い痛くないじゃない。
刺激が強い。
こするわけでも叩くわけでもないのに、ジンジンとした刺激が先端から走り出す。
下腹部に響くそれを逃がそうとして、アズレイアの下半身が勝手に揺れだした。
繰り返し揺れる腰とともに、アズレイアの口から甘い吐息が漏れていく。
「いいぞ。もっと俺のを濡らせよ」
アズレイアの潤いきった秘部が滑るたび、カルロスの男根が愛液に濡れる。
耳を嬲る水音とともに、カルロスの命令が脳にしみこんでいく……。
そんな卑猥な言葉に従う必要はないはずなのに、体は勝手に従った。
腰を揺らし、カルロスの男根に自分の陰部を擦り付けると、淫靡な水音が流れ出す。
花芯が亀頭にすられるたびに、甘く切ないシビレが下腹部を走っていく。
それを少しでも長く感じたくて、アズレイアが大きく腰を揺らした。
胸と下腹部、絶え間ない両方の刺激に、アズレイアの頭から書くべき研究の内容が解け落ちていく。
「アズレイア。今お前が欲しいのはなんだ?」
とろとろに蕩けたアズレイアの耳に、カルロスの問いかけが響く。
「その研究書か?」
違う。
「ペンか?」
違う。
「研究が一番だもんな。俺のコレはいらないんだよな?」
そんなわけない……!
今一番欲しいのは、カルロスだ。
カルロスの与えてくれる刺激を奥に欲して、アズレイアの中が疼く。
疼きはそのまま愛液に変わって、二人の間をより潤していく。
「欲しいなら口にしろ」
耳元でカルロスが意地悪に囁く。
「中を突いてほしいって言えよ」
そんな言葉を言わせるとか、絶対カルロスは変態だ。
そう思うのに、欲しい気持ちが上回って、口を開いてしまうアズレイア。
「いいから、お願い入れ──ヒャッ!」
とりあえず言えることを言ったアズレイアの乳首に、一段と強い刺激が流れ込む。
その強い刺激に全身が震え、アズレイアの口から軽い悲鳴が上がった。
「全く情緒がない。やり直しだ」
乳首の刺激で体が跳ねるも、後ろと手首をカルロスに抑えられて大して逃げられない。
そのままカルロスがゆっくりと腰を揺らしだし、アズレイアの濡れた秘裂に新しい刺激が加わった。
「ほら……もっと、ちゃんと、おねだり、して……みろよ」
カルロスも善いのだろう。息が上がり、声が掠れて途切れがちになる。
それでもただただアズレイアの間合いを擦るばかりで、中に挿入ってきてはくれない。
もどかしいを通り越し、いい加減イライラし始めたアズレイア。
思わず感情に任せて叫ぶ。
「あなたの男性生殖器で私の膣壁を開いて性交して!」
叫ぶに事欠いて、アズレイアはさっき書きかけの論文に使っていた言葉を引用した。
無論萎えそうになるのを我慢して、カルロスが息も荒く腰を振る。
「おっ前は! どこまでそっちに気を取られてるんだよ!」
彼女の研究は尊敬する。
アズレイアが人生をかけて頑張っているのも分かっていた。
だとしても、やってる最中に自分以外のことが彼女の頭にあるのがとにかく気に入らない。
握っていたアズレイアの手をしっかりと掴みなおし、腰に手を添えて彼女の上半身を軽く引っぱりあげる。
吊り上げられ浮き上がったアズレイアの腰の下に、自分の男根を押し当てたカルロスは、そのまま一気に最奥まで貫いた。
「ひぁんんンンッ………!」
一気に一番奥の深い場所まで、カルロスの太い楔を向かい入れたアズレイア。
勝手に嬌声が上がり、突き上げられた腰から脳天まで雷のような快感が突き抜ける。
だが休む間も与えずに、カルロスが腰を揺らし始めた。
「なあ……その紙切れに、俺とお前の…性交も、入れる…気…か?」
ゆっくりと腰をスライドさせ、亀頭でグリグリとアズレイアの奥をえぐりつつ、カルロスが苦し気に問いかける。
奥を何度も擦られて、息のつけないアズレイア。
だけど頭の隅では考えていた。
それはここじゃなくて別の検証資料に……
考えても、それを口にするほどアズレイアも馬鹿じゃない。
だがその顔つきから、アズレイアが余計な何かを思いついたとカルロスは気づく。
「おい、いま何を考えた? 余計なこと考えてるようじゃまだまだ足りないってことだな」
一気に手加減なく突き上げ始めるカルロスに、アズレイアは胸中でズルいと叫ぶ。
「ヒッ、アッ、アッ、アッ」
でもその口から漏れ出すのは、可愛らしい鳴き声だけだ。
それがカルロスを余計に煽る。
もっとそれが聞きたくて、荒い息の中、アズレイアの耳もとで囁くカルロス。
「俺を見ろよ」
抜くたびにカルロスの亀頭が蜜口を押しわり、
「俺を感じろよ」
肉茎が膣壁を押し広げ、
「俺以外を忘れて」
最奥に達した鈴口がアズレイアの奥の口にキスを繰り返す。
「俺だけで頭いっぱいにして、俺一色に染まれよ」
そのたびに広がる快感の強烈さに、アズレイアの脳内がカルロス一色に染め上げられていく──。
「そんなに、欲しかったか! これが、欲しかったのか!」
カルロスは尋ねてるわけではない、アズレイアを洗脳してるだけだ。
言葉とともにズンズンと奥に響く突き上げに、アズレイアの息がだんだん薄くなる。
「なら、もっと味わえよッ」
酸欠で目の前がうっすらと暗くなり、
「もっと、突き上げて、やるから、よッ」
思考能力が低下して、もう考えるのは快感とカルロスだけ。
「言えよ、アズレイア、もっと、俺を、求めて、見せろ!」
思考力の落ち切った脳が、反射的に答えを返す。
「好き、好き、これ好き、大好き♡ カルロス、スキィ♡ キモチイイ、これキモチイイィィィ……」
「バカ、言いすぎだ!!!」
アズレイアの素直すぎる反応に一気に煽られ、まるっきり抑えが効かなくなるカルロス。
これをやるからこいつを抱くとあっという間に終わっちまうんだよ!
せりあがる欲望は溶けた鉄のように体内を駆け巡り、渦のような欲求が腰を飲み込んでもう抑えきれない。
「出すぞアズレイア!」
カルロスの硬い肉杭が一段と深く打ち込まれ、最奥のまた奥へと白濁を吐き出し、欲望のすべてがアズレイアの下半身へと注がれていく。
それはアズレイアの胎だけでは収まりきらず、ボトボトと滴り落ちて椅子やその下の床を濡らした。
達した勢いでアズレイアの小さな体を机に押しつぶしていたカルロスが、まだ治まらぬ息とともに呻く。
「それで、どうだ、進捗は?」
そのまま書きかけの紙を拾い上げ、アズレイアの目前にチラつかせた。
「よく捗っただろう。これなら文句ないな」
「ひいいいいいぃぃぃぃ!」
やっと息が整ってきたアズレイアが目にしたのは、一部が破れ、ペンのインクが飛び散り、汗やらなにやら分からぬ液体でぐじゃぐじゃに文字が崩れた紙片だった。
☆ ☆ ☆
それから一週間、カルロスは塔から締め出された。
怒って顔も見せてくれないアズレイアに、肉のパンばさみとエール、それに研究用の素材あれこれをハリスに持たせ、毎日貢ぎつづけたその結果。
『今後決してアズレイアの研究資料の周りで淫らなことをしない』と誓った神殿契約書にサインをさせられ、やっと塔への出入りを許可されたカルロスだった。
追記:アズレイアの研究(完)
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くーたんさん、ご感想ありがとうございます♪
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