66 / 406
第5章 狼人族
7 成長
しおりを挟む
蒸気機関にまつわるお話し合いはおしまいになったけど、他の皆さんがいるうちに前から聞いてみたかったことを聞いてみる。
「あの、キールさんとテリースさんてどんな魔法が使えるんですか?」
これ、結構気になっていたんだ。トーマスさんの話では、魔法は思っていたほどポピュラーじゃないらしいし。聞けるうちに聞いておきたい。
二人は私の質問にちょっと顔を見合わせて困った顔で私を見返した。
「あゆみ、君が知らないのは仕方のないことだが、ここではそれは余り誰にでもしないほうが無難な質問だ。お互い、それは自分の手の内を明かすようなものだしな」
「決して話すのがいけないと言うことではありませんが、自分の身の安全の為にもあまり大っぴらに話す内容ではありません」
「え! す、すみません」
二人の返答に慌てて謝ると、テリースさんがすかさずフォローを入れてくれる。
「いえ、いいんですよ。特にあゆみさんとネロ君は私が魔力の引き出しをしているんですから知っておきたいと思われるのは当然です」
そうなのだ。あまり魔法が出来る人間がいないということは、この二人が出来る魔法以外、私は習うことも出来ない可能性もあるし。
「全てお教えは出来ませんが、私もキーロン殿下も差しさわりのない程度には教えて差し上げられます」
そう言ってテリースさんがキールさんに顔を向ければ、キールさんもうなずきながら返事をしてくれる。
「ああ。俺は王家の固有魔法があるがこれは極秘事項で教える訳にはいかない。系統魔法も教えられないが、代わりに俺が全ての系統を使えることだけは教えておこう。だから君たちが魔術を鍛錬するときには少なくとも一通り全て触る手伝いをしてやれるだろう」
うわ、凄い。さっきのテリースさんのお話によれば系統以外の魔法は使えないことのほうが多いんだよね? だったら全部できるってのはかなり凄いことだと思う。
キールさんに続けてテリースさんが話し始めた。
「以前もお話しましたが、私は治療関連の固有魔法が幾つかあります。系統は風です。他に『生』と『死』の魔法が系統として使えます」
「せ、『生』と『死』ですか?」
なんか凄そうなカテゴリーに自分の耳を疑って聞きなおしちゃった。
「ええ、これは対になっていますが別に殺す、という意味の『死』ではありませんよ。まあ、極めればそれもあるのかもしれませんが、少なくとも私には使えません。私の『死』の系統魔法では、例えば眠らせたり、動きを緩くしたりすることが出来ます。ですから怪我や病の進行を遅らせるのに使用することが多いですね」
「そ、それはすごい」
「ええ、これは主にエルフが得意とする系統なんです」
伏目がちにテリースさんが頷いて答えてくれる。
「パット、お前は魔法は使えないんだよな?」
「出来ません。と言うより使える人の方が滅多にいませんよ」
黒猫君の不躾な質問にパット君がちょっと困った顔で黒猫君に返事をした。
「では折角お話も出ましたし、今日も少し魔術の鍛錬をしてみましょうか?」
「その前に一つあゆみに頼みたいんだが」
キールさんがチロリと黒猫君に目をやりながら聞いてきた。
「はい、なんでしょうか?」
「もう一度君の固有魔法を試してみないか?」
心臓がドキンと跳ねあがった。
「そ、それって」
「ああ、この前は水を通した放射実験をしたせいで影響がそこら中に広がってたが、ネロにだけ出せばもしかするとまたこいつを人間に戻せるんじゃないのか?」
「…………」
それは……私だって考えていなかったわけじゃなかった。
ただ、ちょっと躊躇っていたのは。
もし失敗しちゃったら黒猫君が凄く落ち込むんじゃないかと心配したから。
っていうのは詭弁だよね。
本当は。多分、黒猫君が黒猫君の方が私が付き合いやすいから。
私は恐る恐る黒猫君を見る。黒猫君はその金の瞳になんの感情も映さずに私を見返してきた。
「あゆみ、どうしたい?」
ひどく真っすぐな質問に、言葉を失う。自分の感情だけの問題でこれを断るのは余りに卑怯だ。
「やってみよう」
私は絞り出すように答えた。
キールさんが念のため室内は避けたほうがいいと言うので、また全員で裏庭に移動した。
「あゆみさん、この前と方法は同じですがネロ君の手を取って集中してみてください」
身長の差を縮めるために私も黒猫君も持ち出した椅子に座ってる。私は意を決して黒猫君の手を取った。
「失敗したらごめん」
前もって断っておく。
「別にいい」
短く黒猫君が答えてくれる。でもそれは不機嫌なんじゃなくてかなり緊張してるからみたい。その証拠に黒猫君の肉球の足はじっとりと汗で濡れている。
黒猫君の答えに背を押されて私は前回、水の中でしたように魔力を流し始めた。
「うっ!」
私が魔力を流し始めた途端、黒猫君の身体が大きくなり始める。だけどそれと同時に黒猫君が苦しそうな唸り声を上げた。
「だ、大丈夫!?」
唸った黒猫君が心配で声を掛けたけど、黒猫君は首を振って短く「続けろ」っとだけ返す。仕方ないので量を調節して、とにかく少なめを心がけて放出し続けた。
少し大きくなるたびに黒猫君が唸り声をあげる。どう見てもこの不自然な巨大化はかなり辛い痛みを伴ってるんだと思う。
「ねえ、ここで一旦止めない?」
黒猫君が小さめの柴犬くらいまで大きくなったところでもう一度魔力を止めて、再度聞いてみた。
だって黒猫君、身体を捩りながら痛みに耐えてるんだもん。足の肉球が滑るほど汗が滲んでるし。
「だめだ! 続けてくれ」
私は縋るようにキールさんとテリースさんを見上げた。
「ネロ、無理はするな。また試せばいいだけのことだぞ」
「大丈夫だから続けろ!」
頑なに続けろと繰り返す黒猫君に、私は仕方なく魔力の放出を再開した。
「がああぁ!」
叫び出した黒猫君に慌てて魔力を止める。
「なんかやだよ、もう出来ない」
こんな苦しんでるのに続けるのは無理。
私の拒絶を聞いた黒猫君が、苦しそうに喘ぎながら私を見上げた。小さくため息をついて、「分かった」と一言言って私の手から自分の前足を引き抜く。
「よ、よかったじゃないですかネロさん。少なくともネロさんの成長があゆみさんの魔法で起きていたのは証明されたんですから」
横で見ていたパット君が笑顔を貼りつけて声を掛けるけど。
「ああ、そうだな」
そう短く返事をした黒猫君は、すぐに治療院の中に一人で帰って行ってしまった。
「あの、キールさんとテリースさんてどんな魔法が使えるんですか?」
これ、結構気になっていたんだ。トーマスさんの話では、魔法は思っていたほどポピュラーじゃないらしいし。聞けるうちに聞いておきたい。
二人は私の質問にちょっと顔を見合わせて困った顔で私を見返した。
「あゆみ、君が知らないのは仕方のないことだが、ここではそれは余り誰にでもしないほうが無難な質問だ。お互い、それは自分の手の内を明かすようなものだしな」
「決して話すのがいけないと言うことではありませんが、自分の身の安全の為にもあまり大っぴらに話す内容ではありません」
「え! す、すみません」
二人の返答に慌てて謝ると、テリースさんがすかさずフォローを入れてくれる。
「いえ、いいんですよ。特にあゆみさんとネロ君は私が魔力の引き出しをしているんですから知っておきたいと思われるのは当然です」
そうなのだ。あまり魔法が出来る人間がいないということは、この二人が出来る魔法以外、私は習うことも出来ない可能性もあるし。
「全てお教えは出来ませんが、私もキーロン殿下も差しさわりのない程度には教えて差し上げられます」
そう言ってテリースさんがキールさんに顔を向ければ、キールさんもうなずきながら返事をしてくれる。
「ああ。俺は王家の固有魔法があるがこれは極秘事項で教える訳にはいかない。系統魔法も教えられないが、代わりに俺が全ての系統を使えることだけは教えておこう。だから君たちが魔術を鍛錬するときには少なくとも一通り全て触る手伝いをしてやれるだろう」
うわ、凄い。さっきのテリースさんのお話によれば系統以外の魔法は使えないことのほうが多いんだよね? だったら全部できるってのはかなり凄いことだと思う。
キールさんに続けてテリースさんが話し始めた。
「以前もお話しましたが、私は治療関連の固有魔法が幾つかあります。系統は風です。他に『生』と『死』の魔法が系統として使えます」
「せ、『生』と『死』ですか?」
なんか凄そうなカテゴリーに自分の耳を疑って聞きなおしちゃった。
「ええ、これは対になっていますが別に殺す、という意味の『死』ではありませんよ。まあ、極めればそれもあるのかもしれませんが、少なくとも私には使えません。私の『死』の系統魔法では、例えば眠らせたり、動きを緩くしたりすることが出来ます。ですから怪我や病の進行を遅らせるのに使用することが多いですね」
「そ、それはすごい」
「ええ、これは主にエルフが得意とする系統なんです」
伏目がちにテリースさんが頷いて答えてくれる。
「パット、お前は魔法は使えないんだよな?」
「出来ません。と言うより使える人の方が滅多にいませんよ」
黒猫君の不躾な質問にパット君がちょっと困った顔で黒猫君に返事をした。
「では折角お話も出ましたし、今日も少し魔術の鍛錬をしてみましょうか?」
「その前に一つあゆみに頼みたいんだが」
キールさんがチロリと黒猫君に目をやりながら聞いてきた。
「はい、なんでしょうか?」
「もう一度君の固有魔法を試してみないか?」
心臓がドキンと跳ねあがった。
「そ、それって」
「ああ、この前は水を通した放射実験をしたせいで影響がそこら中に広がってたが、ネロにだけ出せばもしかするとまたこいつを人間に戻せるんじゃないのか?」
「…………」
それは……私だって考えていなかったわけじゃなかった。
ただ、ちょっと躊躇っていたのは。
もし失敗しちゃったら黒猫君が凄く落ち込むんじゃないかと心配したから。
っていうのは詭弁だよね。
本当は。多分、黒猫君が黒猫君の方が私が付き合いやすいから。
私は恐る恐る黒猫君を見る。黒猫君はその金の瞳になんの感情も映さずに私を見返してきた。
「あゆみ、どうしたい?」
ひどく真っすぐな質問に、言葉を失う。自分の感情だけの問題でこれを断るのは余りに卑怯だ。
「やってみよう」
私は絞り出すように答えた。
キールさんが念のため室内は避けたほうがいいと言うので、また全員で裏庭に移動した。
「あゆみさん、この前と方法は同じですがネロ君の手を取って集中してみてください」
身長の差を縮めるために私も黒猫君も持ち出した椅子に座ってる。私は意を決して黒猫君の手を取った。
「失敗したらごめん」
前もって断っておく。
「別にいい」
短く黒猫君が答えてくれる。でもそれは不機嫌なんじゃなくてかなり緊張してるからみたい。その証拠に黒猫君の肉球の足はじっとりと汗で濡れている。
黒猫君の答えに背を押されて私は前回、水の中でしたように魔力を流し始めた。
「うっ!」
私が魔力を流し始めた途端、黒猫君の身体が大きくなり始める。だけどそれと同時に黒猫君が苦しそうな唸り声を上げた。
「だ、大丈夫!?」
唸った黒猫君が心配で声を掛けたけど、黒猫君は首を振って短く「続けろ」っとだけ返す。仕方ないので量を調節して、とにかく少なめを心がけて放出し続けた。
少し大きくなるたびに黒猫君が唸り声をあげる。どう見てもこの不自然な巨大化はかなり辛い痛みを伴ってるんだと思う。
「ねえ、ここで一旦止めない?」
黒猫君が小さめの柴犬くらいまで大きくなったところでもう一度魔力を止めて、再度聞いてみた。
だって黒猫君、身体を捩りながら痛みに耐えてるんだもん。足の肉球が滑るほど汗が滲んでるし。
「だめだ! 続けてくれ」
私は縋るようにキールさんとテリースさんを見上げた。
「ネロ、無理はするな。また試せばいいだけのことだぞ」
「大丈夫だから続けろ!」
頑なに続けろと繰り返す黒猫君に、私は仕方なく魔力の放出を再開した。
「がああぁ!」
叫び出した黒猫君に慌てて魔力を止める。
「なんかやだよ、もう出来ない」
こんな苦しんでるのに続けるのは無理。
私の拒絶を聞いた黒猫君が、苦しそうに喘ぎながら私を見上げた。小さくため息をついて、「分かった」と一言言って私の手から自分の前足を引き抜く。
「よ、よかったじゃないですかネロさん。少なくともネロさんの成長があゆみさんの魔法で起きていたのは証明されたんですから」
横で見ていたパット君が笑顔を貼りつけて声を掛けるけど。
「ああ、そうだな」
そう短く返事をした黒猫君は、すぐに治療院の中に一人で帰って行ってしまった。
0
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる