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第11章 北の森

* ここまで(9〜10章)のお話(キール談)

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9~10章のまとめです。一応間話としても読めますが、読み飛ばしても問題ありません。

ーーーーー

 急いでウイスキーの街に戻ったのには訳がある。無論、麦や税金の片付けもそうだが、なによりあゆみとネロの結婚式だ。
 勝手にあいつらを夫婦にしちまった俺としては、色々思うところも罪悪感もあり、なんとしても早いところ結婚式を挙げさせちまいたかった。それに、これからもっと正式な立場がくっついてくれば、今みたいに自由な形で二人の結婚式を挙げさせてやるのは無理になるだろう。今後も末永くこき使う……ではなく働いて貰うためにも、二人にはしっかり俺の分まで幸せになって欲しい。

 二人の結婚式後、一番面倒な案件を片付けることにした。
 街の娼館の主から、彼らに裏組織らしき者からの接触が来たと連絡が届いてた。
 たかが田舎の娼館とはいえ、元々は裏組織と通じていた厄介な連中だ。都合上あゆみとネロを向かわせたが、やはり「連邦」らしき者らに急襲を受ける。結果あゆみが負傷したと報告を受け、急遽テリースと救援に向かったそこには、若い頃世話になった女が待っていた。
 思わぬ再会を喜ぶのも束の間、娼婦の中には傀儡の術で操られている者が多数紛れていることが判明。俺の時間停止魔法も一時しのぎにしかならなかった。
 一件の後、あゆみたちがタッカーをまたも執政官に戻すと言い出した。面倒なのであゆみたちの奴隷にしてこき使わせる事にする。

 とんぼ返りでナンシーに戻ってみれば、亡きナンシー公の跡を継いだエミールは俺が留守の間にきっちり自分の仕事を片付けていた。コイツはやる気さえ出せば仕事は出来るんだ。やる気さえ続いて、あの女癖さえなけりゃ。

 あゆみとネロは前もって振ってあった新しい勅令に関する仕事を始めたようだ。あゆみとネロは相変わらずくっついたり離れたり忙しい。俺も新政府に関わる貴族の任命やら調整、各地との連絡等で忙しい。
 一刻も早くあゆみたちを北に送り出すはずだったんだが、あゆみとネロがエルフの駆け引きに引っかかって俺まで巻き込まれた。
 結果、俺がネロに報奨として庄屋や教会内の土地を与えたにも関わらず、その実権をエルフたちに委ねる気らしい。ま、俺としてはエルフ共の面倒もネロたちに移って大助かりだが。しかもあゆみに執着を見せるエルフの女王シアンは、ウィスキーの街で時間停止させている娼婦たちの救済にも手を貸してくれるという。

 エルフの試練を乗り越え、その絆をより深めたネロとあゆみ。山積みの政治問題に忙殺される俺の代わりに、二人は俺の軍と共に北の砦へと向かう。
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