287 / 406
第11章 北の森
* ここまで(9〜10章)のお話(キール談)
しおりを挟む
9~10章のまとめです。一応間話としても読めますが、読み飛ばしても問題ありません。
ーーーーー
急いでウイスキーの街に戻ったのには訳がある。無論、麦や税金の片付けもそうだが、なによりあゆみとネロの結婚式だ。
勝手にあいつらを夫婦にしちまった俺としては、色々思うところも罪悪感もあり、なんとしても早いところ結婚式を挙げさせちまいたかった。それに、これからもっと正式な立場がくっついてくれば、今みたいに自由な形で二人の結婚式を挙げさせてやるのは無理になるだろう。今後も末永くこき使う……ではなく働いて貰うためにも、二人にはしっかり俺の分まで幸せになって欲しい。
二人の結婚式後、一番面倒な案件を片付けることにした。
街の娼館の主から、彼らに裏組織らしき者からの接触が来たと連絡が届いてた。
たかが田舎の娼館とはいえ、元々は裏組織と通じていた厄介な連中だ。都合上あゆみとネロを向かわせたが、やはり「連邦」らしき者らに急襲を受ける。結果あゆみが負傷したと報告を受け、急遽テリースと救援に向かったそこには、若い頃世話になった女が待っていた。
思わぬ再会を喜ぶのも束の間、娼婦の中には傀儡の術で操られている者が多数紛れていることが判明。俺の時間停止魔法も一時しのぎにしかならなかった。
一件の後、あゆみたちがタッカーをまたも執政官に戻すと言い出した。面倒なのであゆみたちの奴隷にしてこき使わせる事にする。
とんぼ返りでナンシーに戻ってみれば、亡きナンシー公の跡を継いだエミールは俺が留守の間にきっちり自分の仕事を片付けていた。コイツはやる気さえ出せば仕事は出来るんだ。やる気さえ続いて、あの女癖さえなけりゃ。
あゆみとネロは前もって振ってあった新しい勅令に関する仕事を始めたようだ。あゆみとネロは相変わらずくっついたり離れたり忙しい。俺も新政府に関わる貴族の任命やら調整、各地との連絡等で忙しい。
一刻も早くあゆみたちを北に送り出すはずだったんだが、あゆみとネロがエルフの駆け引きに引っかかって俺まで巻き込まれた。
結果、俺がネロに報奨として庄屋や教会内の土地を与えたにも関わらず、その実権をエルフたちに委ねる気らしい。ま、俺としてはエルフ共の面倒もネロたちに移って大助かりだが。しかもあゆみに執着を見せるエルフの女王シアンは、ウィスキーの街で時間停止させている娼婦たちの救済にも手を貸してくれるという。
エルフの試練を乗り越え、その絆をより深めたネロとあゆみ。山積みの政治問題に忙殺される俺の代わりに、二人は俺の軍と共に北の砦へと向かう。
ーーーーー
急いでウイスキーの街に戻ったのには訳がある。無論、麦や税金の片付けもそうだが、なによりあゆみとネロの結婚式だ。
勝手にあいつらを夫婦にしちまった俺としては、色々思うところも罪悪感もあり、なんとしても早いところ結婚式を挙げさせちまいたかった。それに、これからもっと正式な立場がくっついてくれば、今みたいに自由な形で二人の結婚式を挙げさせてやるのは無理になるだろう。今後も末永くこき使う……ではなく働いて貰うためにも、二人にはしっかり俺の分まで幸せになって欲しい。
二人の結婚式後、一番面倒な案件を片付けることにした。
街の娼館の主から、彼らに裏組織らしき者からの接触が来たと連絡が届いてた。
たかが田舎の娼館とはいえ、元々は裏組織と通じていた厄介な連中だ。都合上あゆみとネロを向かわせたが、やはり「連邦」らしき者らに急襲を受ける。結果あゆみが負傷したと報告を受け、急遽テリースと救援に向かったそこには、若い頃世話になった女が待っていた。
思わぬ再会を喜ぶのも束の間、娼婦の中には傀儡の術で操られている者が多数紛れていることが判明。俺の時間停止魔法も一時しのぎにしかならなかった。
一件の後、あゆみたちがタッカーをまたも執政官に戻すと言い出した。面倒なのであゆみたちの奴隷にしてこき使わせる事にする。
とんぼ返りでナンシーに戻ってみれば、亡きナンシー公の跡を継いだエミールは俺が留守の間にきっちり自分の仕事を片付けていた。コイツはやる気さえ出せば仕事は出来るんだ。やる気さえ続いて、あの女癖さえなけりゃ。
あゆみとネロは前もって振ってあった新しい勅令に関する仕事を始めたようだ。あゆみとネロは相変わらずくっついたり離れたり忙しい。俺も新政府に関わる貴族の任命やら調整、各地との連絡等で忙しい。
一刻も早くあゆみたちを北に送り出すはずだったんだが、あゆみとネロがエルフの駆け引きに引っかかって俺まで巻き込まれた。
結果、俺がネロに報奨として庄屋や教会内の土地を与えたにも関わらず、その実権をエルフたちに委ねる気らしい。ま、俺としてはエルフ共の面倒もネロたちに移って大助かりだが。しかもあゆみに執着を見せるエルフの女王シアンは、ウィスキーの街で時間停止させている娼婦たちの救済にも手を貸してくれるという。
エルフの試練を乗り越え、その絆をより深めたネロとあゆみ。山積みの政治問題に忙殺される俺の代わりに、二人は俺の軍と共に北の砦へと向かう。
0
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる